先週23日、水沢1400mを舞台に行われた「第35回栗駒賞」はゴールデンヒーラーが完勝。単勝1・5倍の圧倒的1番人気に応え、2着ゼットセントラルに2馬身差をつけてゴールした。
山本聡哉騎手「少し体が重かったこととパワーの要る馬場を考慮して、あまり無茶をせず控える競馬をした。思ったよりペースは落ち着いたが、スローになる分には不安はなかった。3コーナーまで追い出しを我慢したのは大事に乗ったからだが、仕掛けてからの反応がすばらしかった。直線で追わせたのは久々も影響したと思うが、最後までしっかりと伸びてくれた。盛岡に替わるのはプラス材料。ただ、相手も休み明けを叩いて変わってくる。気を引き締めて臨みたいと思っています」
岩手古馬の春シーズン王道はトライアル・赤松杯→シアンモア記念。ゴールデンヒーラーも当初、赤松杯に登録があったが、スキップ。栗駒賞を叩いて本番・シアンモア記念へ臨む。
今年のシアンモア記念は5月7日(日)、舞台は盛岡ダート1600m。過去4年は水沢1600mで行われたが、今年は開催日程の変更により、5年ぶりに盛岡で実施される。
おや?と思う方も多いかもしれない。自分もそうだった。栗駒賞を使うと中1週でシアンモア記念を迎える。赤松杯(4月9日)からだと1ヶ月ほどレース間隔が開き、ちょうどいいローテーションになるが、佐藤祐司調教師はあえて中1週を選んだ。
佐藤祐司調教師「ゴールデンヒーラーは発情が強い馬なので使いだしに迷ったが、目標のシアンモア記念へ向け、いい状態で臨むため連闘で使おうと決めた」
この時期の牝馬は発情期を迎えるケースが多い。当然のことだが、体重が大きく減っていたり、本来の能力を出せずに終わることもある。ゴールデンヒーラーはほかの馬よりも発情が強いという。
昨年、ゴールデンヒーラーは春競馬(3月29日)を快勝後、たっぷりレース間隔を取ってシアンモア記念へ臨んだが、ヴァケーションの0秒4差3着。1番人気に支持されたが、調整の難しさも垣間見せた。
佐藤祐司調教師は悩んだ末、レースを使って間隔を詰まらせれば発情期のサイクルも変わると判断した。表現は適切ではないかもしれないが、レースに集中させて発情する"間"を作らせずシアンモア記念へ向かえばいい―と。
なるほどと思った。自分が牧場で馬の世話をしていた頃、発情期を迎えた牝馬はいつもとは違う雰囲気になっていた。それこそ発情の強い牝馬はお尻を摺り寄せてきた。馬房に入ってボロ(糞)を取っていても気が気でなかった。
赤松杯組と栗駒賞組の対決となりそうな今年のシアンモア記念。各陣営の作戦、それぞれの思惑を胸に5月7日、決戦の日を迎える。