新人選手にとって一発目の戦いであるルーキーシリーズ2024in富山で見事完全優勝を果たした栗山和樹選手(岐阜125期)。
一度社会人を経験してからの競輪選手への挑戦となった26歳の栗山選手に、今後の目標なども含めて様々なお話を伺いました。
ナッツ:まずはルーキーシリーズ2024in富山での優勝おめでとうございます。
栗山:ありがとうございます。
ナッツ:ご自身の中で振り返っていかがですか。
栗山:デビュー戦で完全優勝という形で終えることができたので、出来すぎな感じはしますね。
ナッツ:ルーキーシリーズに臨むにあたって、優勝まではイメージできていなかったということですか。
栗山:優勝できればいいなとは思っていたのですが、まさか完全優勝できるとは思っていませんでしたね。
ナッツ:お客様の前での初めてのレースでしたが、入場の際など緊張はしませんでしたか。
栗山:やっぱり脚見せの時には緊張しましたし、オッズを見た時に自分が人気になっていたこともわかったのでその辺りはドキドキしましたね。
ナッツ:もうその時点でオッズのことまで考えて臨まれていたわけですね。
そして初めてのレースで1着を取りましたがその時のお気持ちはいかがでしたか。
栗山:1着を取れたことが素直に嬉しかったですね。
ナッツ:その後はバンク内でマイクパフォーマンスもありました。実際にお客様を目の前にお話してはいかがでしたか。
栗山:「良かったぞ」って言う有難い言葉をいただけたのでそれに安心しましたし、 「次の日も頑張れ」っていう声もいただけたので、次の日もしっかり頑張らないとなっていうのは思いましたね。
ナッツ:やはりその辺りは卒業記念レースとは気持ちも違う面がありましたか。
栗山:そうですね。やっぱり卒業記念レースはお客様のお金はかかってないですし、自分たちの親に対して今までの成果を見せるレースのような感じだったので、自分のやりたいレースをやるという感じだったんです。やっぱりお金がかかってくると緊張の仕方も違いますし、他の選手の動きとかもしっかり見てないといけなくなってくるので、そういった意味では全然違うレースでしたね。
ナッツ:その辺りもしっかりと考えられていたあたりすごいですね。
栗山選手は養成所では3位の好成績だったわけですが、養成所ではどういった戦い方をされてたんですか。
栗山:師匠からも特にスタイルなどは何も言われていなかったので、できる時は先行しましたし、どちらかというと確定板を外さないように心掛けていましたね。
ナッツ:単騎戦ですし先行も一人しかできないですもんね。
栗山:そうですね。先行をしようと思えば出来るんですけど、それじゃやっぱり着は大きくなってしまいますしその辺りは無理して先行というスタイルではなかったですね。
ナッツ:ご自身の中ではどういう部分を意識して養成所を過ごされていたんでしょうか。
栗山:養成所では日本代表のメニューを色々変えてやってくださってるのでそこに必死に取り組みましたね。周りの子も強かったので、置いていかれないように日々練習を励んでましたし。競争訓練では先行はしないにしてもバックはなるべく多く取れるように走っていて、長い距離の捲りを打てれば、という意識でした。
ナッツ:そして先ほどお話もありましたが、卒業記念レースでは1着こそなかったものの、着をまとめて決勝にもしっかり勝ち進んでの準優勝でした。実際走られてみてのご自身の手応えはいかがでしたか。
栗山:身体の調子がいつも通りにはなっていなかったんです。でも先生が、卒業記念レースに関しては無理に1着を取らなくても3着で上がれるんだったらそれでもいいっていう風に言って下さって、それがすごく自分の中ではありがたい言葉でしたね。もちろん1着を狙っていましたが、力としてもちょっと落ちていた頃だったので、1着を狙いつつ決勝まで上がれるような競争をしました。
ナッツ:まさにその言葉通りしっかりと勝ち上がりを決めたわけですが、ちょっと調子が落ちていたというのは何か原因があったんですか。
栗山:大学生の頃から冬は身体も動かなくて、あまり得意じゃないのもあって...。
そこで周りの子に置いていかれていましたし、調子を合わせられなくて最後の方は1着を取れずじまいでしたね。
ナッツ:栗山選手にとっては暖かい時期の方が良いのですね。
栗山:そうですね。暑い時期の方がタイムも出るし身体も動くので、どちらかというと夏の方が良いですね。ただ、これからは冬でもしっかり戦えるように頑張っていきたいですね。
ナッツ:そして先日、養成所の滝澤所長がトークショーで、森田一郎選手(埼玉125期)とともに栗山選手の名前を挙げられて、今後に期待をしているというお話がありました。
栗山:いや~それは嬉しいんですけど、森田は大学(朝日大学)の後輩になるんですよね。
自分が4年生の時に1年生で一緒にやっていた子で。だからやっぱり後輩に負けるのは悔しいですし意識はしますね。やっぱりどんな練習しているかも知っているし、その分負けたくない気持ちが強いですね。
ナッツ:栗山選手ももちろん若い方ではありますけど26歳ということで、養成所の中では10代の子や20代前半の子も多い中で、体力面などの差を感じることもありましたか。
栗山:やっぱりそこは若いな~っていう風に感じますね。笑
大学卒業してからはしばらく自転車に関わっていなかったので、今はその時にはなかった新しい練習方法もありますし、考え方が当時とは全然違うので、僕らのやってた頃とは違うという部分で、若い子と話すと発見がたくさんあって刺激になっていましたね。
ナッツ:ちなみに同期の中で他に意識する選手はいますか。
栗山:何人かいるんですが、特に阿部英斗君(福岡125期)はずっと敵対視してくれてるので意識しますね。笑 養成所の時にいつも一緒に走ることが多くて、勝ったり負けたりを繰り返してたんです。
ナッツ:阿部選手もその経歴から注目されている選手ですもんね。今後の対戦に期待しておきます。そして栗山選手は松岡篤哉選手(岐阜97期)が師匠ですが、師匠との出会いはどういったきっかけだったんでしょうか。
栗山:まだアマチュアをやる前に練習をしていた場所が一緒で、その時に声をかけさせていただいたんです。その後大学時代に元選手の加藤渉さん(岐阜67期・引退)という方がいて、その人を通じて松岡さんにお願いしてもらった形ですね。
ナッツ:師匠と一緒に練習をすることはあるのでしょうか。
栗山:練習は一緒にはしてないですね。師匠は街道でされていて、自分はまずはバンクをメインでやっているので。そのバンクでは山口拳矢さん(岐阜117期)や志田君(志田龍星選手・岐阜119期)と一緒にやるのが多いですね。
ナッツ:おお、トップ選手と最初から練習ができる環境があるんですね。
栗山:そうですね。岐阜は結構その辺り分け隔てなく一緒に皆さんやってくれますね。
ナッツ:ちなみにルーキーシリーズを迎えるにあたって、師匠からは何かアドバイスはありましたか。
栗山:特に何かアドバイスはなかったのですが、終わった後に「おめでとう」とLINEが来たので見てはくれていたんだなと思いましたね。
ナッツ:イメージ的にも口数は多い方じゃないのかなとも思いますが、栗山選手がご自身で質問すると教えてくれる感じですかね。
栗山:そうですね。聞けば色々と教えてくださるタイプです。普段は陰からそっと見守ってくれている感じです。笑
ナッツ:そしてルーキーシリーズを見ていて1番感じたのが、良い意味で新人離れしているというか、内に包まれても全然慌てないし、展開に応じたレースができるなって印象だったのですが、ご自身の中でそういったところは強みでしょうか。
栗山:そうですね。大学まで自転車競技をやっていた分、そういったところで慌てないっていうのはありますし、周りをしっかり見てどの展開でも自在に走れてるのかなとは思います。
ナッツ:自在性もあるということですが、本デビューしてからはどのような戦い方をしていきたいですか。
栗山:やっぱりそこは先行ですね。師匠も今でも先行で頑張っているので私もしっかりと先行で戦っていきたいです。
ナッツ:ちなみに栗山選手の持ち味は?
栗山:そこはもう地脚ですね。しっかりと先行して力をつけていきたいと思っています。
ナッツ:ルーキーシリーズを見ていても長い距離をしっかりと踏んでいましたもんね。
その中で将来的には人の後ろという選択肢もありますか。
栗山:下の子たちも結構強い子がいるので、そこはメンバーなどにも応じて変えていきたいですね。絶対番手は回らない、という考えでもないですし、やっぱりオールドルーキーで年齢のこともあるので。でももちろんまずはやっぱり自力で戦っていきます。
ナッツ:そして栗山選手といえば、大学を卒業して一度就職をされたというお話を目にしたのですが、もしよろしければ具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。
栗山:もちろんです。家から30分ぐらいの段ボールの会社の営業職ですね。笑
ナッツ:えー!営業職だったのですね。
栗山: はい、そうなんです。自分の会社で作っているダンボールを買ってもらうという営業でした。
ナッツ:栗山選手とお話していての言葉遣いやメールでの文面を見ていても、すごくしっかりとされているなと思っていたんですが謎が解けました。笑 そのあたりは社会人としての経験があるからなのですね。ただ、大学で1度自転車を辞めて就職して、そこから仕事をしている環境でまた競輪選手を目指すきっかけは何だったのでしょうか。
栗山:それは職場の人で自転車を好きな人がいたんですよね。その人と久しぶりに自転車に乗る機会があったんです。ちょうどその時期コロナが流行していて、仕事自体にやりがいが少なくなっていた時期だったんです。好きなことを仕事にできるっていうのも良いなと感じて、それならもう一度挑戦してみようかなと思ったのがきっかけですね。
ナッツ:へぇ~!じゃあその一緒に働いてた方が自転車好きだったってのが本当に大きいですね。
栗山:そうなんですよ。今でも練習をすることもあってお世話になってる方なんです。
ナッツ:その方にとっては栗山選手が実際に選手になって相当嬉しいんじゃないですか。
栗山:そうですね!富山のルーキーシリーズも見にきてくれたんです。笑
ナッツ:おお、嬉しいですね!今の話を聞いて気になったのが、大学卒業の時に就職じゃなくて競輪選手になるという選択肢はなかったのでしょうか。
栗山:そこはなかったんです。やっぱり大学まで自転車をやり続けていて、ちょっと1回離れたいっていう気持ちが強かったんです。あんまりそこから続けるっていう気持ちがなかったんですよね。
ただ自転車を辞めていた時期も競輪自体は見ていたので、大学の時の同期が良い生活してるなってのを見ていいなとは思っていました。笑
ナッツ:大学の時の同期というと例えばどの選手ですか?
栗山:それは志田君だったり上杉君(上杉嘉槻選手・福井119期)ですね。大学は違いますが山根君(山根将太選手・岡山119期)も同級生ですね。今の119期の大学卒業組が年齢も一緒なんですよ。
ナッツ:確かにもう皆さんS級で戦ってる選手ですもんね。
栗山:そうなんです。だから自分も彼らのように頑張っていかないといけないなと感じていますね。
ナッツ:ちなみに選手を目指すにあたって親御さんはどんな反応だったんでしょうか。
栗山:「大学卒業した時に目指せばよかったやん」って感じでしたね。笑
でもやりたいことを反対する親ではなかったです。ただ、一度だけと決めて挑戦することにして合格できたのでよかったです。
ナッツ:しっかりとそこで一発合格できるあたりが素晴らしいですね。ちなみに家族への恩返しはなにかされましたか。
栗山:ルーキーシリーズの追加斡旋もあって、なかなか日にちが空かないのでまだご飯に連れていけていないし賞金には手をつけていないのですが、少し落ち着いたらご飯に行こうかなと思っています。
ナッツ:素敵ですね。そして今後栗山選手は選手としてどういったところに目標を置いていきますか。
栗山:近い目標としては師匠も制したヤンググランプリを獲ることですね。
そして長期的にはやっぱりGIに出て勝てる選手になりたいですね。
ナッツ:その為の今のご自身の強化ポイントはありますか。
栗山:やっぱり長い距離を踏めないといけないので、自分の持ち味の持久力を強化していかないといけないなと感じています。
ナッツ:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
栗山:中部を代表する選手になりますので、今後も応援よろしくお願いします。
ナッツ:ありがとうございました。今後の活躍に期待しています!
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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