2022年。躍進が光る眞杉匠選手(栃木・113期)。今年2度目の記念制覇、そしてオールスター競輪に向けてのお話を伺いました。
大津:小松島記念(GIII)優勝おめでとうございます。
眞杉:ありがとうございます。
大津:二度目の記念制覇となりましたがお気持ちはいかがですか。
眞杉:嬉しいです。高松宮記念杯競輪(GI)くらいからあまり調子が良くなくて、ちょっと連日悩みながら自分の競走が出来ない中での優勝だったので、その状態の中で勝てたというのは大きいですね。
大津:シリーズをのぞむにあたって理想の状態ではなかったということですか。
眞杉:初日特選で先行したんですが、最終バックも取れずに捲られてしまいましたし、2日目、3日目もカマシに行っても出切れないような感じで状態は良くなかったです。
大津:勝ち上がりの段階で最終バックを取れないレースは今年なかったですもんね。
眞杉:そうですね。季節の変わり目で体調が合わなくて・・・なんですかね。
なんか急に暑くなって体調が悪いというか夏バテ気味というか。他の選手も条件は一緒なので、そこに対応しないといけないんですけどね。
大津:私たち一般人からしても、この暑さは堪えます。
眞杉:もうアップの段階から暑すぎて大変です。小松島競輪場はアップする場所が外なので灼熱の中、海風を浴びながらアップしてました。
控室はクーラーが効いていて涼しいんですが、そことの寒暖差でも疲れてしまいました。
大津:先ほど高松宮記念杯競輪でも状態が良くなかったと仰ってましたが、宮記念杯では存在感を示していたように感じました。
眞杉:宮記念杯は自転車に乗ってる感じが凄い悪かったんですけど、タイムは良いし、2次予選で敗けてはしまいましたが着も悪くなかったんですが、なんだろう回せない感じだったんです。
いつもの自分のパターンに持ち込んで出切ったとしても脚を上手く回せず、踏みつけてしまっちゃってたんですよね。いつもレースの前後にマッサージに行くのですが、宮記念杯終わって身体を見てもらったら先生にいつもと全然違う身体の張り方をしているって言われました。
大津:今までも同じような感覚に陥ったことはあったのでしょうか。
眞杉:けっこうあります。波のあるタイプなので。小松島記念で先行はしましたが、絶対持たないなって感じでした。
感覚としては宮記念杯での先行と一緒だったんです。岸和田では先行して11.3秒くらい出ていたのでタイムは悪くなかったんです。でも小松島ではタイムも出ないし、いつもと全然違いました。
大津:シリーズの中で修正が出来そうな感じはありましたか。
眞杉:いや、なかったですね。気持ちの面でも悪い方向に進んでしまい、勝てるビジョンも見えなかったですし余裕もなかったです。
大津:話を聞いていると名古屋記念(GIII)を取った時とは雲泥の差ですね。
眞杉:名古屋記念の時は練習の感じはいつも通りだったんですが、走ってみたらめちゃくちゃ良かったんですよね。そこに向けて仕上げていたとかではないんですけど、たまたまそこで調子が良かったというか。
僕今まで調整ってしたことなかったんです。名古屋記念取って、その後の地元のウィナーズに向けてがっつり練習したらオーバーワークになってしまい、レースで全然力が入りませんでした。そこから調整してみようと思って、ダービーに向けて調整をしてみたんです。
大津:調整というのは具体的にどのようなことをされたのでしょうか。
眞杉:練習量を減らしました。これにより感覚としては良くなってはきたんですが、練習量を減らしたことによって自分の中で強くなっているかといえばそうではなく、疲れが抜けているだけだったんですよね。
それに気づいたので今は練習量を戻している状況です。
大津:その辺りは先輩方にも相談したりするんですか。
眞杉:そうですね、けっこう色々話を聞いてます。マッサージだったり、休みの頻度だったり、練習量だったりとヒントをもらっています。まだ手探りです。
大津:その中での小松島記念だったんですね。
眞杉:練習量を戻している段階で、まだ若干疲れが抜け切れてない状態でした。
大津:決勝戦はどんなレース展開をイメージされてましたか。
眞杉:最終的に先行するのは四国勢だと思っていたので、そこに付いて行って道中捲れればって思ってました。
ただ、実際は勝負所で高久保さん(高久保雄介選手・京都100期)がカマシそうな雰囲気があったのでそこで頭を切り替えて上手く追走が出来ました。
大津:高久保選手の後位から2角付近ではすかさず捲っていきました。
眞杉:あっ、3番手だと思い、そこに入ろうとしたんですが、ここで3番手もキープしててもしょうがないないなと思い自分で仕掛けました。
大津:3番手というのは絶好の位置に思えるんですが。
眞杉:僕の調子が良くなかったですからね。そこでジッとしてて後ろから捲りが飛んできた時に、内で詰まって何もできないまま終わってしまうよりかは、仕掛けてダメならダメでと思い踏んでみました。
状態は悪かったですけど、その中でも出し切って終わりたかったです。
大津:踏んだ手応えはいかがでしたか。
眞杉:連日最悪だったんですが最終日は若干良い時に近い感覚に戻ってて良い感じでした。踏んだ距離がいつもより短かったというのもあるかもしれません。
単騎だったので、気楽にというと誤解を招くかもしれませんがリラックスして走れました。
大津:ゴール前は志智選手(志智俊夫選手・岐阜70期)との接戦でしたね。
眞杉:出切ってからは前しか見てなくて4角を先頭で回ってきたときに「これはあるぞ」と思ってたんですが、最後志智さんが横まで来てたんで最後まで分からなかったです。
大津:押し切った感覚はなかったんですか。
眞杉:3着までには残ってんだろうなぁとは思いました。先行してると分かんないんですよ、後ろからスピード良く来られるんで。
実際に自分が残ってる時でも抜かれちゃったかなぁって思うことはよくあるんです。
大津:序盤にも触れていただきましたが、調子が上がらない中での優勝というのは改めていかがでしょうか。
眞杉:本当に自信になりますよね。調子が悪いと捲れるイメージもないし逃げ切れるビジョンも見えないし、決勝に上がれたってだけでも大きかったんですよ。
だっていつもの自分の負けパターンばかりでしたもん。出切れずに外で浮いてしまい終わってしまうっていう。
大津:先ほど単騎のお話が出ましたが単騎でも本当に強いですよね。
眞杉:過去にも何度かありますけど良いですね。後ろがいないから気楽に走ってるからですかね。焦らず自分のタイミングで行けてるというか。
大津:対戦相手からすると逃げても強い、単騎でも強いというのはかなり厄介だと思うのですが。
眞杉:単騎はたまたまですよ。単騎で走る前は余裕も自身も全くないですから。今回だって調子が悪い中で決勝に上がれただけでも良かったなって感じで、決勝戦も一人でも多く抜けたら良いなって思ってたくらいですから。
大津:今年のGIでは全て最終BKを取っていますが、この辺りは意識しているんですか。
眞杉:そうなんですか、全部BKを取ってるのは知りませんでした。特別意識はしてないです。
去年のダービーの決勝戦で何もできずに終わってしまって、そこから自分の得意パターンに持ち込めなくても勝てるようにって思いながら走ってたんです。だけど、それが全然思うようにいかず逆にやらかすレースが増えてきたんです。
大津:と言いますと。
眞杉:例えば先行ではなくて、今日のレースは捲りでいこうと最初から決めて走ると捲れずに外で浮いてしまったりと、自分の中では上手く立ち回りたいと思えば思うほど悪い方向にいってしまい、やらかしちゃうって感じでした。
僕、不器用だからそういうのは考えちゃダメなんだ。上手く走るんじゃなくて、とりあえず全部先行しようって思い意識を変えてレースにのぞんだら内容も良くなって点数も上がってきたって感じですかね。
なのでGIだけ先行という感じじゃなくてレースグレードに関係なく前々に攻めるようにしています。
大津:その結果、現在賞金ランキング13位で競走得点も114点台に上がっています。
眞杉:去年よりは成長出来ているかなとは思います。前回の宮記念杯は2次予選で敗けてしまったんですがGIの決勝には常に乗れるようになりたいです。
大津:眞杉さんは敗けたとしても、後ろに付いた選手は勝ち上がるというレースも多いですよね。
眞杉:そうですね、なんか自分が勝とうと思うと結果敗けるパターンが多いので、ラインで勝てるように走っていると自分も残れることが多くなって、点数も上がってきたイメージですね。
大津:そして8月に行われるオールスター競輪(GI)では17位に選出されオリオン賞からのスタートとなりました。
眞杉:いやぁ、嬉しいの一言です。去年は恐らく27位か28位くらいでしたので。
大津:ファンは眞杉選手のどんな所に魅力を感じて投票してくれたのだと思いますか。
眞杉:うーん、どうでしょう・・・。去年よりやらかすことが減ってきたからじゃないですか(笑)。
大津:先行力じゃないんですか(笑)選んでいただいたファンにどんな姿を見せたいですか。
眞杉:自分のスタイルを変えずに積極的に動いていきたいです。
大津:オールスターが行われる西武園競輪は平原選手(平原康多選手・埼玉87期)のホームバンクにもなります。
眞杉:勝ち上がりの段階で連携する可能性はありますから自分の調子が悪いなぁって感覚では大会に挑みたくはないですね。そこに向けて自分の状態をしっかり持っていけられるように頑張ります。
大津:西武園競輪場との相性はいかがでしょうか。
眞杉:FIで2回くらい走ってますかね。前回走った時に決勝でやらかしてますね(笑)捲れなかったです。
大津:ではオールスターでは先行して、ですね。
眞杉:そうですね、自分のスタイルを崩さずに前々に攻めてラインで決めたいです。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いします。
眞杉:自分のレースをして、先行で決勝戦まで勝ち上がりたいです。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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