6月29日から平塚競輪場で行われたガールズケイリン10周年を記念したレース『オッズパーク杯ALL GIRL'S 10th Anniversary』。
マキバオー賞を優勝したのは佐藤水菜選手(神奈川114期)でした。レースの振り返りと、ナショナルチームでの活躍などお話を伺いました。
山口:平塚での『ALL GIRL'S 10th Anniversary』完全優勝おめでとうございます。
佐藤:ありがとうございます。
山口:児玉碧衣選手との同着の優勝でしたね。
佐藤:最終バックストレッチでは「前まで少し遠いかな」と感じたんですが、2センターでは届くと思いました。
自分としては差して1着かなと感じていたので、写真判定中はヒヤヒヤしていました。同着でしたね。
山口:決勝は、佐藤選手が仕掛けようという所でスピードがあがったように見えたのですがいかがでしたか?
佐藤:そうですね。児玉選手の後ろにいくか、そのまま鈴木美教選手の後ろにいるかはずっと迷っていました。
前のスピードがあがるのは想定しており、児玉選手も遅くてもバックストレッチからは仕掛けると思っていたので、私は何も考えず大外の捲りかなと考えていました。
山口:想定通りだったんですね!
佐藤:そうですね。余計な事はあまり考えてなかったです。感覚で走っていました。
山口:では3日間を振り返っていきます。アジア自転車競技選手権大会が終わってインドから帰国直後のレースでしたが、コンディションはどうでしたか?
佐藤:もちろん疲労はありましたね。なので、とにかく早く寝て、レース前までは体を休めることを何よりも考えて行動していました。
山口:ナイターでしたから、休める時間も昼間の開催よりは多くありましたよね。
佐藤:そうですね。後は暑さも心配していたんです、インドもとても暑かったので。なので気持ちの面でも、ナイターで良かったですし、後半のレースだったのも良かったですね。
山口:地元での開催でしたが、お客様の雰囲気はいかがでした?
佐藤:すごく声援が多かったです。名前をたくさん呼んでもらいました。久しぶりのガールズケイリンのレースでしたが、地元を走れて嬉しかったです。
山口:前検日からオープニングセレモニーもありましたね。参加選手全員が女子という雰囲気はいかがでしたか?
佐藤:全員が女子だったので和気あいあいと楽しかったです。レース以外は本当に楽しい開催でした。
普段は控え室や宿舎など男子と一緒なので、時間も制限がある部分が多く肩身が狭く感じますが、お風呂も自由な時間に入れたり、とストレスフリーでしたね。
今後もオールガールズ開催が増えていったら良いなと本当に思いました。
山口:今回は売上や集客でも目標を上回りました。選手もそれを意識されていたと伺いました。
佐藤:そうですね、私たちもかなり意識していました。売上目標を1億円も上回ったのは本当にすごい事ですし、女子だけのレースでこれだけ売れるんだと知ってもらえる良い機会になったと思います。
ファンの方もたくさん来てくださっていたので、施行者さん、選手、ファンの皆さんと三方良しの大会だったのではないでしょうか。
山口:開催後には選手の皆さんが、「レースの売上金額も日に日に意識して、良いレースをしたらもっと買ってもらえるからみんなで盛り上げようと思っていた」とSNSで発信されているのを見ました。佐藤選手もそうでしたか?
佐藤:はい、意識していました。走り終わった後にすぐ売上がわかる状態だったので、1レース毎にチェックしていました。
でも、その場で私たち選手ができることは「自分の走りをして良いレースを見せること」なので、その後はもうお客さん頼みでしたね。
山口:どのレースも白熱したレースでした!
佐藤:トーナメント制なのも大きいと思います。初日は誰にでもチャンスがあるし、普通のポイント制よりは気合いが入ります。
上位選手はプレッシャーもかかるかもしれませんが、競走得点が低くても一発のチャンスはありますしね。
山口:仲良しの柳原真緒選手も優勝でしたね。
佐藤:シャンパンファイトの時にあまりにも自分の顔面にかかるので、「私が失敗して顔にかかったのかな」と思っていたんです。そうしたら児玉選手が私の顔にかけていたのを後で知りました(笑)私はそれを知らずに、柳原さんにシャンパンをかけたんですが、それは「正しい選択をしてたんだ」と胸を張って言えますね!(笑)
山口:そうでしたか(笑)表彰式の柳原選手の笑顔もとても楽しそうでした!
佐藤:いつも走る前や、こういうダブルトーナメントの時などはお互いの組が違ったのを確認して「今回違う組で良かった。お互い優勝して114期のアベック優勝を目指して頑張ろうね」と自然と言い合うんです。なので今回お互いが優勝して良かったです。
山口:柳原選手はガールズケイリンコレクションを優勝してどんどんパワーアップしている印象ですが、刺激は受けますか?
佐藤:そうですね。でも対戦するときは仲良しだからと言って手加減はせず、ガンガン力勝負をしたいです!
山口:平塚の開催前には共同記者会見がありました。雰囲気はいかがでしたか?
佐藤:お客さんの前でのイベント等は参加させてもらったことはありますが、共同記者会見は機会があまりありませんでした。場所もすごかったし、気持ちが引き締まりました。でも和やかな雰囲気でした。
山口:では続いてアジア選手権のお話もお伺いします。初めての国際大会での金メダル、おめでとうございます。
佐藤:ありがとうございます。
山口:金メダルを獲得したのは、一つ区切りになりますか?
佐藤:はい。タイトルホルダーになれたのは大きな変化ですし自信になりました。
山口:日本勢が大活躍だったみたいですね。
佐藤:そうですね。実は行く前から「金メダルを獲得するのは大前提で、それ以上のものを持って帰ってこよう」と言われていました。なので金メダル獲得は嬉しいですが、それ以上の気持ちで参戦しました。みんな緊張感はありましたね。
山口:何かつかんだことはありますか?
佐藤:ガールズケイリンの開催は、発走予定時刻がきっちり決まっておりほとんど変更はありませんが、競技は発走の時間が変更になることはしょっちゅうあり、完璧に時間を見てウォーミングアップをすることはできません。
でもそれに対して、焦りや苛つきなどマイナスの方向に気持ちが行かないようにコントロールができました。他には、私は去年の5月から国際大会を経験していますが、ずっと冬のシーズンで暑い時期に走るのは今回のインドが初めてでした。暑さへの対処の仕方はできました。
山口:暑いインドで体調も整えて、しかも結果を出すのは素晴らしいです!
佐藤:ありがとうございます。気温にはどうしても左右されるので、その中でコンスタントに結果を出していかなくてはならない難しさは今回経験できました。
山口:次の大会は決まってますか?
佐藤:7月末に伊豆のベロドロームで大会があります。そこにも出場する予定です。
山口:ガールズケイリンを走るのが、今回の平塚までに約2か月空きました。レース勘などの不安はありましたか?
佐藤:「ハイレベルなアジア選手権を経験したから大丈夫だ」と自分に言い聞かせていました。正直に言うと、毎レースかなり緊張はしていますね。
でも3日間で、決勝に向けてだんだん感覚や気持ちなどを調整していくというのは、ナショナルチームに入ってからの課題でしたし、初日は気合いで乗り切りました。
山口:次のガールズケイリンの予定はガールズケイリンフェスティバルです。またポイント制に変わりますが、そこへ向けてはいかがですか?
佐藤:目指すのは優勝だけなので、リラックスしてやれることをやるだけです。平塚では同着優勝だったので、今度は私単独で優勝したいです。
山口:その後はオールスター競輪で行われるガールズドリームレースに選出されました。初めてのドリームレースに選ばれたお気持ちはいかがですか?
佐藤:とても嬉しかったです。去年は周りの方が「あなたならドリームレース走れるよ」と言っていただけていたんですが、アルテミス賞レースでした。走れる14人に選ばれただけで嬉しいんですが、正直悔しさもありました。
でも去年は「アルテミス賞は勝ったことないから、絶対勝つ!」と思って走り勝てたので、今年もドリームレースで勝ってタイトルを増やしたいです。
山口:ドリームレースではナショナルチームからも小林優香選手、太田りゆ選手が選出されましたが、意識しますか?
佐藤:いつもビッグレースになるとナショナルチームのメンバーはいます。手の内がお互いわかっているという面で戦いにくさはありますが、自分の出せる力を最大限に発揮して正々堂々と頑張りたいです。
山口:現在の練習状況はどのような感じですか?
佐藤:ナショナルチームでパリオリンピックへ向けて練習しています。ウェイトトレーニングも重要視しており、毎日筋肉痛になっています。良い刺激が入りまくってます(笑)
山口:休日はどれくらいの間隔でありますか?
佐藤:ほぼ休み無し、と言ってもいいかもしれません。インドから帰ってきて平塚に参加し、と連戦している感覚です。
山口:気持ちの切り替えはどのようにしていますか?
佐藤:ガールズケイリンの開催が心の休養だと思っています。そこでしっかり気持ちを切り替えようと言い聞かせて、なんとか毎日頑張っています。
山口:以前お話を伺ったときは「時間をきっちり管理されてトレーニングする方が向いている」と仰っていましたが、今も変わりませんか?
佐藤:はい、変わりません。自分一人だと規則正しい生活ができないと思うんです。練習時間が毎日決まっており「明日は●時に練習スタートだから、今夜は●時までに寝よう」と練習の時間を中心にして、その日の生活を組み立てています。
そのおかげでインドからの時差ボケもないですし、整って生活できて充実しすぎているくらいです(笑)
山口:結果も伴ってきていますよね。
佐藤:それが一番嬉しいです。頑張って努力したことが報われます。
山口:このあと国際大会もですが、ガールズケイリンでもビッグレースが続きますね。
佐藤:はい、優勝だけを見て頑張ります。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
佐藤:ガールズケイリンを走れる機会は今年もあとわずかになると思います。
その中でファンの皆さんとお会いできるのは凄く楽しみですし、皆さんもそう思っていただけたら嬉しいです。また有観客のレースの時は名前を呼んでいただけると2倍頑張れるので、これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA