5月の『ガールズケイリンコレクション2021京王閣ステージ』の出場権をかけて行われているトライアルレース。最後に行われたのは1月28日からの平塚競輪場でした。
地元でのトライアルレースを優勝した尾崎睦選手(神奈川108期)に、レースの振り返りや意気込み、そして今年の抱負などをお伺いしました。
山口:平塚でのトライアルレース、優勝おめでとうございました。
尾崎:ありがとうございます。
山口:終えられて今の率直なお気持ちはいかがですか?
尾崎:今年に入ってから目標にしていた開催だったので、優勝できてほっとしました。
山口:平塚に入る前はどういう気持ちで臨みましたか?
尾崎:もちろん優勝は目標にしていましたし、コレクションの権利もとりたかったです。でもあまりそこを気にしすぎても良くないと思い、自然体で臨めるようにリラックスをして入りました。
山口:地元平塚でのトライアルレース、走り慣れているバンクだと思いますが、その辺りはいかがでしたか?
尾崎:参加選手の誰よりも自分が一番、平塚のバンクは走っているので、走り慣れているというアドバンテージはあったと思います。「誰よりも平塚を走っているから大丈夫だ」と自信を持って臨みました。
山口:レースを振り返っていきます。初日は荒牧聖未選手(栃木102期)の捲りにのり、追い込んで1着でした。振り返っていかがですか?
尾崎:位置取りでインコースに被ってしまい、どうするかの判断が難しかったです。でも荒牧さんが1番車だったので「引いていけるところから巻き返そう」と思っていました。
最終的には荒牧さんの捲りを追い込む形になってしまったので、仕掛けようという判断が遅く、納得はしていない1着でした。
山口:2走目は永塚祐子選手(神奈川118期)の先行の3番手インコースで、比嘉真梨代選手(沖縄114期)と併走でしたね。
尾崎:完全に失敗のレースでした。「あのレースをしているようじゃだめだな」ととても反省しました。
山口:良い位置でもインコースの狭いところにいるより、外から自分で仕掛ける方が得意ですか?
尾崎:そうですね。しっかり自分から仕掛けていく方が良いですね。もし仕掛けて負けてしまっても、それは次に繋がるレースになります。でも2走目のようなレースは、普段自分が練習している内容とは全く違うので練習している意味がなくなってしまいます。レースのために練習をしているのにそれを出し切れていないですよね。
山口:2走目から決勝への気持ちの切り替えはどうしたんですか?
尾崎:神奈川の先輩選手に話を聞いてもらい「決勝なんだから切り替えて頑張れ」と励ましてもらいました。
また、仲の良い板根茜弥選手(東京110期)も同じ参加で、彼女は決勝には乗れなかったんですが、「私の分も決勝は頑張って欲しい」と言ってくれました。すごく応援してくれていたので「何とか頑張らないといけない」と気持ちを切り替えました。
山口:以前私も検車場でお見かけした時も、板根選手とは仲が良さそうだと感じました。
尾崎:そうですね、ガールズ選手では一番仲が良いと思います。もちろんレースではお互い勝負ですが、レースから離れたらいろんな話もしますし、お互い応援し合っています。
最終日は一般と決勝でレースが離れていたので、板根選手のレースは私が全力で応援しましたし、走り終わった後は私のことを一生懸命応援してくれました。見てくれている後輩の前で頑張ろうと思って走りました。
山口:そうでしたか。では、決勝を振り返ります。組み立てはどう考えていましたか?
尾崎:1番車だったので良い位置を取れるかなと思ったのと、前にはいたかったのでスタートは一生懸命出ました。
山口:山原さくら選手(高知104期)が連勝での決勝戦でしたが、意識はされていましたか?
尾崎:そうですね。山原選手の仕上がりも良さそうでしたし、自信を持ってレースをしているのがわかりました。仕掛けてくるとしたら山原選手だなと思っていたのでそこだけ警戒して、もし仕掛けがなければ自分からいこうと思っていました。
山口:最終HSから山原選手の仕掛けがありました。スピードはどうでしたか?
尾崎:物凄いスピードでしたね。
山口:山原選手の後ろに飛びついてスイッチしていきましたが、タイミングや動きはどうでした?
尾崎:タイミングはバッチリでしたけど、実は、あの時の動きは自分でもびっくりでした。何であんな動きができたかはわかりません。
山口:そうなんですね。確かに飛びつきは、前半で話していただいた「狭いコース」になりますもんね。
尾崎:そうなんです。自分でもあの動きはしようとは思っておらず、予想外の動きだったんです。
山口:山原選手が先行する永塚選手を捲り切った後は、永塚選手との外併走がありました。
尾崎:永塚選手がインで粘っていましたが、それはあまり気にならなかったです。それよりも山原選手のスピードについていこう、という意識でした。
山口:ゴール前の追い込みはいかがでした?
尾崎:思ったよりも自転車が進みましたね。抜きに行くときには「優勝できるかもしれない」と思いましたが、最後まで踏みました。
山口:3日間は良い手応えで終えられましたか?
尾崎:いや、2日目までは全くだめで気持ちも焦りがありました。でも地元の平塚でコレクションのトライアルレースという大切なレースを走らせてもらえるのはなかなかないことだしありがたいことです。決勝も1番車をもらえたので、そういう意味では最後の決勝で優勝して終えられたのは良かったです。でも2日目までの内容は良くなかったので反省はしっかりしました。
山口:平塚が最後のトライアルレースでしたが、取手、別府はどう見ていましたか?
尾崎:力が拮抗しているので見ている方は面白かったですが、走っているのは嫌だろうなと思っていました(笑)。
自分たちの直前の別府で、同期の108期の児玉碧衣選手(福岡)と細田愛未選手(埼玉)がコレクション出場の権利をとっていたのを見た時は、自分も権利をとって3人でコレクションを走りたいなと思いました。
2人とは競輪学校(現・日本競輪選手養成所)の時もずっと滝沢先生(現・所長)のT教場で一緒に練習していたんですよ。在学時代から「みんなで大きいレースを走りたい」という思いはずっとあったので、権利を獲得した2人と一緒にコレクションを走れるように自分も頑張ろうと思いましたね。
山口:そうでしたか。細田選手は初めてのガールズケイリンコレクション出場ですね。
尾崎:そうですね。細田選手も一生懸命頑張っているのは知っていましたし、コレクションになかなか出られていないのも知っていました。権利を取った時は凄く嬉しかったです。でも同時に「次は自分だ!頑張らないといけない」とプレッシャーと刺激をもらいました(笑)。
山口:尾崎選手にとっては昨年3月ウィナーズカップ以来のコレクション出場ですが、その権利を自分で勝ち取ったというのはいかがですか?
尾崎:とても自信になります。一昨年の同じ時期、5月の日本選手権でのコレクションへ向けてのトライアルレースも私は権利を獲得したんですが、トライアルレースの決勝は2着で優勝ではありませんでした。
優勝して権利を獲得するのは今まで無かったので、自分の中ではプラスになりますね。
山口:今回は平塚でのトライアルレースでした。同じ地元平塚での昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリでは悔しい思いもされたと思います。
尾崎:そうですね。昨年末は最後の最後で逆転されてしまい、グランプリは走れませんでした。結果を受け止めきれずに下を向いてしまう時期もありましたが、「私に足りないものがあるからこういう結果になったんだ」と考え直してからは、しっかりと前を向いて頑張ろうと思っています。
2月は違反点で斡旋が止まっているんですが、選手になってからは(斡旋が止まることは)初めてなので最初は嫌だなと思っていました。でもこの1か月を有効に利用して5月のコレクションへ向けての土台作りをしようと、今は練習をしています。
山口:年中休みなしで走っている選手にとって、まとまった練習ができる時期はあまりないですよね。
尾崎:選手になってからはしっかり土台を作ることが疎かになっていました。最初にきた斡旋で、レースの間が2週間空いたとしても「もしかしたら追加がくるかもしれない」となかなか強度を上げきれませんでした。今は練習だけできる環境なので、強度を上げて力を底上げしたいです。
山口:言える範囲で構いませんが、具体的にはどのような練習ですか?
尾崎:基本的には、距離をしっかり乗り込むことを中心にしています。
山口:ビーチバレーから転向して結果もすぐ出されていても、乗り込みは足りないと感じていたんですか?
尾崎:最初の方は、師匠(渡邊秀明選手・68期)と一緒にずっと乗り込みをしていました。その練習や競輪学校での練習の上に今の自分があるので、初心に帰って乗り込みをしています。今回は、師匠は私が巻き込みました(笑)。
山口:そうでしたか(笑)。渡邊選手とは普段も一緒に練習されることは多いですか?
尾崎:そうですね。なかなか自分ひとりでは練習をするのは難しいので、師匠が一緒にしてくれるのは本当にありがたいです。
山口:今年の目標は何ですか?
尾崎:毎年そうですが、やっぱりガールズグランプリに出たいです。プラス、今年は5月京王閣でのコレクションに出られるので、そこで優勝できるように頑張りたいです。
山口:対戦相手も揃いましたが、いかがですか?
尾崎:みんなそれぞれトライアルレースを勝ち抜いてきているので強いと思います。でも自分も負けないように準備をしたいです。練習とか自転車などの準備も必要ですが、最終的には気持ちが大切だと思うので、良い精神状態で臨めるようにメンタル面でも準備をしっかりしたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願い致します。
尾崎:いつも応援ありがとうございます。これからも一生懸命頑張りますので応援よろしくお願いします!
(インタビュアー注:メッセージをとお願いをした後に、何を言うか、凄く考えてくださいました。ありがとうございます。)
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA