2020年、最初のGI開催となった全日本選抜競輪(GI)。ここで自身初めてのGIタイトルを手にしたのは、25歳の清水裕友選手(山口105期)。ゴールデンコンビとも言われる松浦悠士選手(広島98期)との連携でゴール前は清水選手が抜け出しました。これで3度目の競輪グランプリへの出場権を獲得。夢であるグランプリ制覇と賞金王に向けて更に奮起する清水選手に全日本選抜競輪(GI)の振り返りと2020年の意気込みを伺いました。
星野:全日本選抜競輪(GI)、優勝おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
星野:表彰式のインタビューでは実感はまだないということでしたが少し時間がたった今、いかがですか?
清水:未だに実感はないですね。周りの方が喜んでくれている感じです。
星野:初日から調子がいいとおっしゃっていましたが、タイトルを獲れるという手応えはあったんですか?
清水:前検日に自転車に乗ったときの感触もよかったし、初日も走ってみたら仕上がっているなと感じたので、自分がしっかり走ればチャンスが来ると思っていました。でも、まさか獲れるとは思っていませんでしたね。
星野:初日に連携した渡部哲男選手(愛媛 84期)は、あの強風の中で清水選手の加速も凄かったが、最後の伸びも凄かったとおっしゃっていました。
清水:そうですね。レース後「今までで一番良かった」と言ってもらいました。哲男さんは強いのでいつもゴール前は差されているイメージがありました。振りきれたのは初めてかもしれないです。
星野:風が強い中での競走は得意な方ですか?
清水:いや、風は嫌いですね。競輪場の風もすごかったんですが、その前に走った競輪場の2日目の方が風が強かったんです。あの時も後方から捲って1着でした。それを思うと今回の風は全然大丈夫だなって感じでした。それに、戦法的に自分は捲りの方が向いてるので、風が強い方が捲りやすいんです。だから、風は嫌いですが結果は出ているので苦手ではないって感じですね。
星野:そうなんですね。二日目のスタールビー賞では、松浦選手との連携が注目されました。いつも清水選手が前を走られてましたが、この時は松浦選手が初めて前を努めましたね。
清水:昨年は、いつもわがままを言って前を回らせてもらってたんですが、昨年末の競輪祭が終わって(清水選手が先頭を走って松浦選手が優勝)、お互いタイトルを沢山獲れるようにしていきたいねって話をしていたんです。その為にも、これからはどちらが前を回るかはその時のそれぞれの状態やタイミングで決めようということになりました。初日のレースが終わって、スタールビー賞にお互いが勝ち上がったときに、松浦さんから前を回らせて欲しいという話がありました。それだけ、松浦さんも自信があったんだと思います。今年の成績を見ていても松浦さんの方が機動力もあるので、そこはすんなり、前をお任せする事にしました。
星野:結果は松浦選手が7着、清水選手が3着でしたね。
清水:レースは9人で走っているので、展開的に厳しくなっただけで、力の問題ではないし、松浦さんとは信頼関係もあるので、仕方ないかなって感じでした。自分は最後伸びたので、状態としては大丈夫なんだなということは確認できました。
星野:そして準決勝戦は別々のレースを走って、お互い勝ち上がり決勝戦でも連携することになりました。
清水:はい。2日目と一緒で、松浦さんが前ということで、すんなりと並びは決まりました。
星野:決勝戦のオッズはご覧になりましたか?(清水選手から松浦選手が2車単の一番人気)
清水:三連単の人気オッズを見たときに9番車が並んでいたので、うそやろ??と思いました。まさか自分が人気になっていると思ってもいませんでしたから。でも、気持ちが一層引き締まりましたね。
星野:決勝戦は松浦選手が主導権を握っていきました。振り返っていかがですか?
清水:絶好の展開を松浦さんが作ってくれたので、少しでも躊躇すると松浦さんの頑張りを無駄にすると思い、後ろからの気配を感じたときに2番手から出させてもらいました。でも、出てから脚が三角に回って全然進んでなかったですね。迫って来た平原さん(平原康多選手・埼玉87期)とスピードに差があったので、差されたかと思った程です。もう少し自分に余裕があれば松浦さんとゴール勝負が出来たと思うし、そこは練習で磨いていきたいです。
星野:優勝はどの辺りで分かったんですか?
清水:敢闘門に戻ってからですね。みんなが拍手で迎えてくれたので優勝したんだと初めて分かりました。ただ、松浦さんが落車していたのでそんなに喜べなかったです。
星野:レース後、すぐに医務室にいた松浦選手の所に行かれましたね。
清水:その時は話せる状態ではなかったので、落ち着いてから「ありがとうございました」と伝えました。松浦さんが凄く喜んでくれたので素直に嬉しかったですね。
星野:さて、このゴールで3度目のグランプリ出場を決めました。
清水:こんなに早く決まると思っていませんでした。去年は最後まで切羽詰まってやっていたので、一年があっという間だったんですが、今年は真逆ですね。GIを優勝して自分がどうなるかってゆうのはまだわからないですが、優勝する前より練習には身が入ってますね。タイトルホルダーになったからって今の所は浮かれていませんよ。
星野:そして、開催が終わってから憧れの佐藤慎太郎選手(福島78期)とも初めてご飯に行かれたんですね。
清水:そうなんです。全日本選抜競輪(GI)が終わった後に、2019年の優秀選手表彰式があったので、慎太郎さんも参加されることは分かっていたし、こんな時しかチャンスはないと思って連絡させていただきました。
星野:どんな話をされたんですか?
清水:小さい頃の話ですね。レースの話も少しはしたんですが、ファンレターを渡したときはあんなに小さかったのにとか。思い出話がほとんどでした。それから、僕から誘ったのに、慎太郎さんが、優勝おめでとうってお祝いも用意してくださって、その気遣いが本当に嬉しかったです。
星野:清水選手の次の目標は賞金王とおっしゃっていましたが、佐藤選手は昨年の賞金王ですね。
清水:あの年齢で賞金王になれるって、そして、僕たちやベテラン選手、追い込み型の選手にもまだまだやれるって気持ちを与えて、凄いなと思います。競輪選手って本当に夢を与える職業だなと改めて思いました。
星野:また清水選手を見て競輪選手に憧れる子供たちも沢山いると思います。
清水:そうなれるように頑張りたいですね。
星野:では、今年の抱負とオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
清水:昨年は獲れなかったGI、今年は一番のりで獲ることができました。中国四国地区でこれからは沢山のタイトルを獲れるように、僕もしっかり自分のやることをやっていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社