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やっぱり馬が好き(第46回) 旋丸 巴

ミサキスーパー引退式

 前回、「ミサキスーパー引退式については、来月の心だ~!」と記して、しかし、未だ来月になってないんだけど、まあ、そんな小さなミステイクは無視してちょんまげ。とにかく、今回はミサキスーパーの引退式について、なのである。

 引退制度の廃止で、蛍の光賞も引退馬打ち揃ってのお別れ会もなくなってしまった今季。重賞4勝、スーパーペガサスと共に一時代を築いたミサキスーパーも、本来なら誰にも見送られず、ひっそりと引退することになっていたのだけれど、そこに現れたファンの青年2人の奔走によって、同馬の引退式が行われるようになった、とは、前回記した通り。

 この2青年の提案を受けて、当日の準備を進めたのがオッズパークばんえいマネジメント。これに調騎会も全面的に協力して実現したのが、ミサキスーパー引退式だったのである。正に全員参加型引退式。及ばずながら、不肖・私も、引退式で読み上げられる「引退馬紹介」の原稿なんぞを執筆してお手伝いする栄誉に浴した。

 その拙作「引退馬紹介」を、ばんえいの名物アナウンサー井馬さんが浪々と読み上げる中、名馬ミサキスーパーはパドックに登場。

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 ばんえい競馬特有の豪華な馬着(馬服)に身を包んだミサキスーパーは、いくらか現役時代より小さくなったようにも見えたけれど、凛と耳を立て、実に精悍で立派。殊に、その瞳は、何もかもを見通してしまいそうなほど清冽で、ゾッとするほど美しかった。
本馬の調教師・鈴木邦哉師、主戦・鈴木勝堤騎手への花束贈呈などのセレモニーも終わって引退式も終了かと思いきや、この後は、ファンとの記念撮影が用意されていたから驚いた。

 カメラを持参の希望者全員が、ミサキスーパーの手綱を取っても記念撮影……なんて、ファンのひしめくJRAでは到底、出来ないこと。こういうところが、小規模のばんえい競馬の強味であり、魅力なんである。

     *     *     *

 そんな写真撮影を見守っていたのは他ならぬミサキスーパーの主戦・鈴木勝堤騎手。実は、勝堤さん、レース間に行われたこの引退式のために騎乗レースをやり繰りして、無理にも、この引退式に参加されたのである。

 「だって、本当に良く走ってくれた馬だから」と人懐っこい笑顔で笑う勝堤さんに、「ひとつだけ質問していいですか?」と尋ねてみたのは「小柄な、この馬が、どうしてここまで強くなれたか?」ということ。

 いつだったか『どうぶつ物奇想天外』というテレビ番組で、勝堤さんはミサキについて「この馬は、小さいけど出世すると思ったんだ。そう言ったら、みんなに笑われたけどね」と話されていたのを思い出したからである。

 「いいところ? うん、それは真面目で、いらないことをしない性格だね」

 従順な馬のことを、ばんえいの世界では「手触りの良い馬」という。ミサキスーパーは、その「手触りの良い馬」の代表格だったようで、レースでも調教でも人の指示を良く理解し、どこまでも真面目に力の限り走った。

 その生真面目のおかげで、スーパーペガサスと死闘を繰り広げ、一時代を築いたのだけれど、また、その性格故に、体に負担をかける結果となり、引退を余儀なくされた。

 「そんな馬のためだもん、引退式には、どうしたって参加しないと」と勝堤さん。

 蛇足ながら、鈴木勝堤騎手という方は、東北弁の口の悪いオジサンで……いえいえ、確かに口は悪いけど、しかし、こと競馬となると、さすが、と、うならされること、しばしば。何より感心させられるのは、この名手、競馬の話となると、必ず「この馬を、どう育てたらいいか」「この馬に合ったレースをするには、どうしたら良いか」というようなコメントをされるのである。一見、極く普通のコメントに聞こえるけれど、注意して聞くと、「馬」が中心の会話であることに気付くはず。それくらい、個々の馬を観察し尽くし、それぞれの馬に合わせた調教、騎乗をされている訳で……。いや、勿論、他の騎手さんだって、馬の個性を尊重されているけれど、その一点に対する執念が圧倒的で、これだからこそリーディング街道を独走されているのだな、と、得心させられるのである。

 さて、話はミサキスーパーに戻って、この引退式の数日後、同馬の調教師・鈴木邦哉先生と、ゆっくり話す機会があったから、ミサキスーパーについても色々なお話を聞いた。

 ミサキスーパーは、牧場時代、目立つ存在ではなかったという。そんな同馬に惚れこんだのが邦哉先生。

 「確かに体は小さかったけど、いい顔してたんだ」という先生。

 生産者である三井さんもまた、「この馬を競走馬にしてくれるなら」と、格安で、この馬を邦哉先生の知り合いの馬主さんに譲ってくれたというのである。

 邦哉先生の相馬眼、三井さんの心意気、馬主さんの理解、そして、勝堤さんの的確な調教と騎乗、これらが、ミサキの素質を大きく開花させた。

 いやいや、しかし、こういう名人達の心を動かしたのはミサキスーパーの真摯な性格だった訳で……。人馬共に、みんなみんな、凄かったのである、ミサキスーパー陣営は。

 そんなお話の後、邦哉先生は腕組みをしつつ中空を見つめて、しみじみ、おっしゃった。

 「ファンのためにも、やっぱり、いい馬を作らんとダメだな」

     *     *     *

 今は亡きライバル=スーパーペガサスに代わって、ミサキスーパーは種牡馬として活躍してくれるだろう。我々は、彼の素晴しい産駒が競馬場にやって来るのを待望しながら、また新たなヒーロー、ヒロインの誕生を夢見て、今日も競馬場の門を潜るのである。

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