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やっぱり馬が好き(第41回) 旋丸 巴

弁当箱の秘密

 先日、何度目かのバックヤードツアーに参加して、いや、しかし、何度参加しても面白いね、このツアーは。

 装鞍所やコースの向こう側など、関係者以外が入れない競馬場の裏側を案内してくれるという嬉しい企画だから歓び勇んで参加して、しかし、前述のように既に何度も参加している私だから、今回は、なるべく、今まで見過ごしていたようなところを、じっくり拝見させてもらおうと鵜の目鷹の目で辺りを観察していたら……あった、ありましたよ、面白ポイントが!

 今回、発見したそれなるポイントは検量室。スタンドから見るとパドックの向こうに見える小さな建物が検量室なのだけれど、今まではコースを走る馬を見るために、急ぎ足で通過していたこの施設を、しかし、今回は、しっかりウォッチ。

 中の職員さんの許可を得て、入口辺りから中をつぶさに観察。

 全体で20畳もないだろうと思われる、この小さな建物は、勿論、騎手の体重が量られるのための施設だけど、その中で、私の目を釘付けにしたのは、片側の壁に備え付けられた下駄箱のような棚。棚には、騎手の名前が書き込まれた銀色の箱が入っていて、「お、これが、噂に聞く弁当箱か」と思ったら、心が躍った。

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 当ブログの読者諸氏なら御存知だろうが、念のために御説明申し上げれば、これなる銀色の箱の中身は「おもり」。

 夏なら75kg、冬なら防寒服を入れて77kgに統一されている、ばんえい競馬の騎手重量。これに合わせるために、騎手は、おのおのの体重によって調整した「おもり」を装備する。

 平地の騎手なら、小さな鉛の板を勝負服や鞍に装着すれば良いのだけれど、ばんえい騎手の場合は小さな板では間に合わないから、こんな箱が必要な訳で、何しろ、身長180センチを越える船山騎手も、150センチの竹ヶ原茉耶ちゃんも、みーんな、夏なら75kg、冬なら77kgに統一しなきゃならないから、その鉛の量も半端じゃないのである。

 という訳で、これらの「おもり」を入れるのが、俗に「弁当箱」と呼ばれる、この銀色の箱なのである。

 検量室の棚には、だから、大小様々な弁当箱が置かれていているのだけれど、そのひとつひとつには、ちゃんと名前が記されているから、興味は尽きない。

 レースそっちのけで、いつまでも弁当箱を眺めている私を不憫に思ったのか、奥で執務していた職員のおじさんが近寄って来て、「ほら、これ、希世の」と、わざわざ棚から引っ張り出してくれたのが、佐藤希世子騎手の弁当箱。

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 いや、弁当箱と、今、記したけれど、その箱は到底、「弁当」なんて可愛く呼べる代物ではなくて……。大型車のバッテリーに持ち手をつけたくらい。それくらい大きいのである。

 職員のおじさんは、更にサービス精神を発揮して「持ってごらん」とまで言ってくれる。折角だから、お言葉に甘えて持ち上げ……られないのである、重くて!

 「ひゃ~、これ何kgあるんですか?」と仰天する私に、おじさん、我が意を得たりと微笑み、答えて曰く

 「20kg」

 確かに、痩身の希世ちゃんであれば、これくらいの弁当箱が必要なわけで、そう言えば、レース後、検量室に入る彼女は、体を傾けて、この弁当箱を運んでいたっけ。

 この後も、「これは××騎手の、あれは△△騎手の」と、おじさんは次々に騎手さん達の弁当箱を見せてくれて、「じゃあ、最後に、N山騎手の、持ってみな」と差し出したのは、ショートケーキが3つ入るくらいの極く普通サイズの弁当箱。

 「何で、こんな平凡なものを?」と、不思議に思いつつ手に取った瞬間! 再び仰天する私。今度は、軽いのである、物凄く!

 「これプラスチックなんだよね」

 ふふふ、と、おじさんは笑ったけど、見れば、普通の弁当箱に見えたこの箱、実は、銀色の塗料を塗ったプラスチックの箱。

 「あいつ、いつも減量でヒーヒー言ってるから」と、おじさん。

 なるほど、それで、N山騎手はプラスチックの弁当箱なのか。と、納得しかけて、いやいや、と首を振った。

 弁当箱が使えないなら鉛の板をポケットに入れてレースに臨めばいい訳で、実際、そうしている騎手も多いのである。それを、わざわざ、こんなイミテーション弁当箱を作って、「僕は、ちゃんと弁当箱持ってレースに乗ってますよ」と、とぼけて見せるとは、さすが、日頃から明るいトークで周囲をなごませているN山騎手。実に、実に、お茶目!

 という訳で、弁当箱の秘密を、ほとんど匿名になってないイニシャルネームで暴露してしまったけど、お茶目なN山さんだもん、そんなことくらいで怒らないよね、ねっ?

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