赤見さんもブログに書いているが、高知のヒカルサザンクロスが、益田のウズシオタロー(牝馬ですよ)が1987年に引退するまでに走った最多出走記録、250戦を越えるまであと3戦と迫っている。
ちなみにこの地方競馬の記録というのは、地方競馬全国協会が設立された1962年(昭和37年)以降のもの。それ以前についてはきちんとした成績が残されてはいないのだが、今は無き春木競馬(大阪)に所属し、昭和28年〜38年にかけて平地と障害で476戦したコガネマルというアラブがいたそうだ。
ただ、当時と今では馬の扱いや競馬の質そのものが違っているだろうから、近代の地方競馬(平地)での記録としては、やはりウズシオタローの250戦が最多出走といっていいだろう。
高知には、ヒカルサザンクロスのほかにも記録を更新し続けている馬がいる。
7月15日のE3戦(1400メートル)を勝ったオースミレパードは、最高年齢出走と、最高年齢勝利となる自身の記録を更新し続けている。
1991年生まれで、現在16歳。
91年生まれと言えば、3冠馬ナリタブライアンと同期になる。デビューは中央で、クラシックには乗れなかったが、平安ステークスGIIIで2着になるなどダートのオープン戦線で活躍した。その後98年の7歳(旧8歳)時に高知に移籍し、通算では214戦32勝となっている。
そしてもう1頭、地方競馬での平地勝利数記録を更新し続けているのがアラブのエスケープハッチで、現在49勝。
これに続くのが、現役ではおそらく荒尾・ハイメーカーの39勝(違ってたらごめんなさい)。エスケープハッチはまだ7歳と若いだけに、トップの座が安泰なのはもちろん、まだまだ記録も伸ばせそうだ。
エスケープハッチで驚くのが、そのレースぶりだ。最強馬というのは、だいたいにおいて好位につけて直線で差しきるというレースぶりが多いが、このエスケープハッチは、道中は縦長の後方を進み、直線だけで追い込むという大胆なレースをする。
ただし、必ず差しきれるというわけではなく、ときどきゴール前で届かずということもあるから、見ていていつもハラハラさせられる。それゆえに2着とか3着もけっこう多い。
そのエスケープハッチが、22日(日)の高知第11レース「ひまわり特別」で区切りの50勝目に挑む。
ぜひとも馬券を勝って、ハラハラ度倍増でレースをご覧になってはいかがだろうか。
もちろんライブ映像はオッズパークで見ることができる。
競馬という枠を超えて、すでに一般のニュースとしてさんざん報道されているのでご存知かとは思うが、存続か廃止かに揺れていたばんえい競馬が、このオッズパークの系列というか、親会社のソフトバンク・プレイヤーズと業務委託契約することで来年度の存続が決まった。
赤見さんもブログに書かれているし、支援サイトもできているのでぜひご覧いただきたい。
いや、ご覧いただくだけでなく、これをきっかけに、ばんえい競馬はあまり見たことがないという方も、ぜひ馬券を買って参加していただきたい。
今週末は重賞は行われないのだが、日曜日のオープンはほぼベストメンバーともいえる注目の対戦となった。
王者スーパーペガサスは、ばんえい記念5連覇に向けていまだ調整中だが、現時点でのオールスターメンバーといってもいいだろう。
まずは今シーズン最大の上がり馬フクイズミをどうするかがポイント。3〜4番手で障害を一発でクリアできれば楽勝だが、前々走のレディースカップのように障害で詰まってしまうと勝負にならない。しかし前走、この冬初の帯広戦となったイオンカップは、第2障害で他馬が仕掛けるのを見て、じっくり溜めて仕掛けると一発で障害を越え、あとは手綱を持ったままの楽勝だった。3走前に勝った二世ロッシーニ記念と比べても、人気になると思われるカネサブラックやミサイルテンリュウとの重量差は今回も同じ。トモエパワーとの比較ではさらに有利になっている。
相手には、帯広になって調子を上げてきたミサイルテンリュウに、こちらも今シーズンの上がり馬カネサブラック。それに例年帯広開催で調子を上げてくるミサキスーパーまで。
岩見沢、北見と断然の強さで勝ちまくったアンローズだが、牡馬もあわせてのトップハンデに加え、生涯一度も勝ったことのない帯広コースでは勝負にならないだろう。
◎フクイズミ
○ミサイルテンリュウ
▲カネサブラック
△ミサキスーパー
繰り返しになるがフクイズミは楽勝か惨敗かのどちらかだと思うので、当然馬券的にはほかから狙う手もある。だが、ここは楽勝の可能性70〜80%とみる。
5月28日に行われた3歳馬による特別・はまなす賞(盛岡芝1600メートル)は、見ごたえのあるレースだった。もちろん現場で見たわけではなく、ネットの映像配信であとから見たわけだが。
そういえばこの日は日本ダービーで東京競馬場にいたので、岩手の場外発売所で見ようと思えば見ることもできた。しかしはまなす賞の発走時刻は日本ダービーが終った後で、勝利騎手・調教師の共同記者会見を待ってるところだったので、申し訳ないことにすっかり忘れていた。
ところで東京競馬場内の岩手場外は、メインスタンド1階という便利な場所に移ってからけっこうお客さんがいるようで、これはとってもよかったと思う。
と、だいぶ話がそれたが、はまなす賞の話に戻る。
馬券的には馬連複150円という、よほどの大金を賭けられるような方でないとおもしろくない配当だが、決着した2頭、オウシュウクラウンとブラックショコラの能力の高さをあらためて知らしめるレースぶりに納得だった。
4コーナーではブラックショコラが先頭に並びかけ、オウシュウクラウンは外に持ち出したがまだ中団。馬群はほとんど一団で、このあたりでは2強の決着にはならないのかと一瞬思ったが、直線半ばで2頭が完全に抜け出し一騎打ち。ゴールでは、後ろから仕掛けたオウシュウクラウンが半馬身先着した。2着ブラックショコラと3着馬との差は4馬身だが、上位2強はともに他馬より3キロ以上重い58キロだったから、やはり3着以下とは着差以上の能力差がある。
これで現時点での岩手3歳の勢力図がほぼ確定した。今回の2頭に、岩鷲賞でブラックショコラの2着だったダンディキングを加えた3頭が完全に抜けた存在。
オウシュウクラウンは父ジェイドロバリーのUAE産で、昨年の千葉サラブレッドトレーニングセール(船橋競馬場)にダーレー・ジャパンから上場されていた馬(主取り)。冬季間は船橋に移籍していたが、岩手に戻ってこれで2連勝。重賞タイトルはまだないが、昨シーズンの岩手在籍時より格段に力をつけている。
ブラックショコラは、中央遠征の1戦を除けば地元岩手では10戦4勝、2着4回、3着2回と安定した成績で、重賞も金杯と岩鷲賞を制した。2歳時の盛岡開催では芝コースのみを使われ、今回は、その後JRA東京に遠征して以来の芝のレース。父ブラックホーク、母の父リアルシャダイという血統からも、芝ダート兼用なのだろう。
そして今回出走しなかったダンディキングだが、重賞タイトルはないものの、4月23日のスプリングカップ(水沢)でブラックショコラ(3着)に決定的な差をつけて勝った。デビュー勝ちは盛岡の芝コースだったが、以降はダートのみを使われている。母はアラブのミスハクギンだけに、ダートのほうがいいのかもしれない。父は北九州記念を勝ったダンディコマンドだが、その父はニホンピロウイナー。母のミスハクギンもマイル以下で好成績を残した馬で、ダンディキングの適性はもしかしたらダートのマイル以下である可能性がある。
さて、6月11日に行われる岩手ダービー・ダイヤモンドカップだが、もちろんこの3頭が中心。舞台がスプリングカップと同じ水沢ダート1600メートルならダンディキングにとっても適性面での不安はない。
気になるのは、はまなす賞から中1週しかないというローテーション。ダンディキングの出走は間違いないだろうが、はまなす賞に出走した2頭は、果たしてどうだろう。
3強のうち2頭しか出走しないなら、馬連はまた200円前後のオッズになるだろう。ダンディキングしか出ない場合は、2着争いが混戦で馬券的にはおもしろいだろうが、そんなレースは望まない。
岩手ダービー・ダイヤモンドカップは、馬券よりも、3強の動向、そしてレースぶりに注目したい。
笠松のミツアキタービンが、いよいよ復帰する。
一度は4月に能検(能力検査)を受ける予定だったものが延期となり、あらためて5月19日の能検に登場。1400メートルを1分28秒3という実戦並みのタイムで駆け抜け、合格した。
ミツアキタービンは、もともと上山競馬でデビュー。2歳時に2戦して笠松に移籍してきた。3歳前半は重賞にこそ出走していたものの、それほど目立つ存在ではなかった。最初に注目を集めたのは重賞未勝利のまま出走したダービーグランプリ(盛岡)。6番人気ながら、ユートピア、ビッグウルフの3着に入った。
今考えてみれば、この年の3歳世代は中央も地方も高いレベルで上位拮抗のメンバーが充実していた年だった。ジャパンダートダービー(大井)は、この年のダートグレードの中でも1、2位を争う名勝負と言われたレース。ビッグウルフ、ユートピア、ナイキアディライトの直線で叩き合いは見事だった。
そしてダービーグランプリでは、この1、2着が入れ替わり、出走しなかったナイキアディライトに代わり、地方勢で台頭したのがミツアキタービンだった。
ユートピアは、あらためて書くまでもないが今年、ドバイ・ナドアルシバ競馬場のゴドルフィンマイルを制し、その後ゴドルフィンにトレードされた。
ビッグウルフは残念ながらジャパンダートダービーが最後の勝ち星。昨年兵庫に移籍し、3戦目となった12月の園田金盃では向正面で競走中止。大事には至らなかったものの、脚部不安が解消せず、5月はじめに登録抹消となった。
ナイキアディライトは、GIにこそ手が届いていないものの、現在に至るまで常に中央の一線級と互角に戦っている。
そしてミツアキタービンだが、全国のファンにその存在を知らしめたのは、4歳時のフェブラリーステークスだろう。直線では一瞬あわやというレースぶりで、勝ったアドマイヤドンからわずか0.2秒差の4着と好走した。
そしてGIIのダイオライト記念(船橋)とオグリキャップ記念(笠松)をいずれも堂々の1番人気で圧勝して見せた。GI制覇に大きな期待がかけられたものの、脚部不安での戦線離脱はほんとうに残念だった。
昨年6月には、地元の準重賞で約1年ぶりの復帰戦を勝利するも、再び休養入り。以来、再度1年の休養をはさんで戦線に復帰することになった。
近年のダートグレード戦線は、地方勢が完全に劣勢。2歳戦を除けば、互角に闘い続けているのは、船橋のアジュディミツオーとナイキアディライトくらいしかいない。
5月31日の準重賞・ローレル争覇(笠松1800メートル)に出走予定のミツアキタービンには、再びGIやGIIで上位をにぎわす存在としての期待もかかっている。
4月30日に行われた佐賀の古馬A1級による久住山特別(2000メートル)は、中央から転入緒戦のヤマノブリザードが圧勝、2着にも大井から転入したランノホシが入り、1番人気のオンユアマークは5着に敗れた。
ヤマノブリザードはスタートでダッシュがつかず、後方から追走する展開。しかし向正面で仕掛けると一気に先頭に立ち、好位を追走していたランノホシに8馬身差をつけ、楽勝でゴールを駆け抜けた。
ヤマノブリザードと言えば、2歳時に中央初挑戦となったクローバー賞をぼくは現地で見ていた。このときのことは、今でも鮮明に覚えている。
ヤマノブリザードは、たしかタイキブリザードの初年度産駒で、このときはまったく注目されず8番人気にしか過ぎなかった。クローバー賞のレース後、検量室前に戻ってきたヤマノブリザードのもとに藤沢和雄調教師がすごい勢いで近づいてきて、下馬した川島洋人騎手に「タイキブリザードの調教師の藤沢です」と、いきなり挨拶していたのを端から見ていて、ちょっと驚いた。
このレース、実は藤沢調教師はサンデーサイレンス産駒のマチカネアカツキという期待馬を出走させていた。2番人気ではあったが単勝オッズは2.2倍で、1番人気のアグネスソニックとの2頭の組み合わせで間違いなし、勝つのはどちらだろう、というレースだった。
しかし勝ったのはヤマノブリザードで、マチカネアカツキはクビ差で2着、アグネスソニックがやや離れて3着だった。
藤沢調教師はといえば、期待のマチカネアカツキが負けたことはさておき、タイキブリザード産駒が勝ったことのほうに大喜びしていたのが印象的だった。
続く札幌3歳Sも制したヤマノブリザードは、12月を前に藤沢和雄厩舎に転厩。朝日杯FSでアドマイヤドンの2着と好走した。いや、藤沢調教師にとっては好走ではなく、悔しい敗戦だったかもしれない。
中央所属としての勝利は5歳時のエイプリルSの1勝のみ。その後は和田正道厩舎、的場均厩舎と移り、中央では一度もダートを使われないまま佐賀へ転厩してきた。
今回のレースを見るかぎり、むしろ中央でもダートを使ったらどうだっただろうと思わせるような強い勝ち方で他馬を圧倒した。
そして1番人気のオンユアマークだが、昨年は九州大賞典を制し、今年は佐賀記念GIIIで地方最先着の3着と健闘するなど九州のトップに立っていた。今回はやや厳しいペースでの逃げになったとはいえ、ヤマノブリザードとランノホシに来られたところでまったく抵抗できずに後退し、5着に沈んだ。体調に問題があったなどの理由でもない限り、今回のレース内容では転入馬2頭に完全に覇権を握られたと言ってもいいかもしれない。