9月25日に佐賀競馬場で行われた3歳馬によるロータスクラウン賞は、人気にもなってはいたが、高知勢のワンツー。3コーナー過ぎで先頭に立ったガルボマンボをヴェレノがとらえにかかっての直線一騎打ち。ヴェレノがゴール前でとらえてのハナ差は見ごたえのあるレースだった。
4コーナーでは地元のザビッグレディーもこの争いに加わったものの、結果は8馬身離されての3着。今の高知の勢いとレベルの高さを感じさせる結果でもあった。
高知の三冠では、一冠目の黒潮皐月賞をヴェレノが制し、二冠目の高知優駿、三冠目の黒潮菊花賞をガルボマンボが制していたが、これで高知から佐賀への計四冠で、高知の3歳2強が二冠ずつ星を分け合うこととなった。
高知の勢いといえば、9月はそのほかにも他地区に遠征しての活躍が目立った。
15日、園田競馬場で行われた西日本ダービーは、勝ったのは7連勝中だった金沢の二冠馬スーパーバンタムだったが、逃げた高知のフィールマイラヴが直線でも食い下がり、惜しくもクビ差2着。黒潮皐月賞では勝ったヴェレノから3秒も離されての10着で、その後は1勝を挙げたのみ。8番人気という低評価は当然で、それでいて接戦の2着と言う結果は、ここでも高知の3歳世代のレベルの高さを示したと言っていいだろう。
翌週23日、再び園田の園田チャレンジカップでは、佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIで2着に好走した地元のコウエイアンカが1番人気に支持されたが、自慢の末脚不発で5着。7番人気のダノンジャスティスが逃げ切り、10歳でも衰えを知らないダノングッドが2着で高知・別府真司厩舎のワンツー。ダノンジャスティスは地元で近3戦連続で掲示板を外していたため人気を落としていたが、6月の園田FCスプリントでは、ダノングッドが5馬身差で圧勝し、ダノンジャスティスは2着。今回は1、2着が逆になってという決着だった。
そして27日、名古屋の秋の鞍。デビューから6連勝で園田オータムトロフィーを制した兵庫のエコロクラージュが断然人気に支持され、4コーナー手前で一旦は先頭に立ったものの、高知の牝馬アンティキティラが内から抜け出して勝利。地元名古屋のコンビーノがゴール前でエコロクラージュをとらえ2着に入った。
アンティキティラは、2歳秋から6連勝で佐賀・花吹雪賞、名古屋・若草賞を勝利。高知三冠では最有力候補と期待され、黒潮皐月賞では1番人気に支持されるもヴェレノにアタマ差2着。その後調子を崩して高知優駿では5着。夏は休養して立て直し、9月10日の栴檀特別では3着に入って復活のきざし。そして再び名古屋に遠征した秋の鞍で約7カ月ぶりの重賞制覇となった。
高知勢のこのような遠征しての活躍は、最近始まったことではない。打ち上げがドン底だった時期にも高知の馬は他地区に遠征して活躍した。
たとえば2010年。中央1000万条件(現2勝クラス)から高知に移籍したグランシュヴァリエは、その初戦として1月3日の川崎・報知オールスターカップに遠征し、8番人気ながら2着に入る健闘。さらにその年、盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIに遠征すると、4コーナーでは先頭に立とうかという行きっぷりで、12頭立ての11番人気ながら3着に激走。3連単132万馬券を演出した。
時間は前後するが、2008年4月25日の笠松・オグリキャップ記念では、前年の高知県知事賞を制していたスペシャリストが3番人気で勝利。3着には8番人気だった高知のサンエムウルフが入り、3連単は20万円の配当がついた。
当時、もっとも積極的に遠征を重ねていた調教師のひとりが、グランシュヴァリエを管理していた雑賀正光調教師で、「高知の賞金が安かったから、遠征して稼ぐしかなかった」と振り返る。
その後、高知の売上がV字回復を遂げると、高知から他地区への遠征が目に見えて減った。なぜか。「高知の賞金がよくなったから、遠征する必要がなくなった」と雑賀調教師。
ところがここ2、3年、再び高知から他地区への遠征が増えてきたのは、地方競馬全体の売上上昇にともない、重賞レースを中心に、全国的にかつてないほど賞金が上昇しているためと思われる。
前半で触れた9月の高知所属馬の活躍だが、ロータスクラウンこそ高知の2頭に人気が集中していたため堅い決着だったが、西日本ダービーは、勝ったのが断然人気のスーパーバンタムでも、2着フィールマイラヴとの馬連複は2170円。園田チャレンジカップでは、勝ったダノンジャスティスの単勝が2550円で、馬単9920円、3連単は10万2360円もついた。
高知からの遠征馬は、ときに高配当も連れてくる。