グランダム・ジャパン古馬シーズンは、今年からこの佐賀ヴィーナスカップが加わって全9戦となり、その初戦として行われる。
昨年第1回として行われたこのレースだが、佐賀では2002年限りで休止となっていた九州クイーン賞以来となる、古馬牝馬重賞の復活となった。
兵庫から遠征のナナヨンハーバーは、重賞勝ちこそないものの、園田1230/1400メートルのA級特別で2017年以降、ずっと掲示板を外しておらず、特に今年になってからはすべて3着以内。初めての遠征競馬であり、佐賀のダートが合うかどうかという不安はあるものの、1400メートルが舞台でもあり、ここでは一枚能力が抜けている。全国リーディング独走中の吉村智洋騎手にも注目だ。
迎え撃つのは地元のベルモントナイト。昨年6月に浦和から移籍して佐賀では勝利に至っていないが、吉野ヶ里記念3着や九州大賞典4着などかつてのS1重賞での好走があり、前走でもウルトラカイザー、マサヤというS1重賞の上位常連馬相手に4着とまずまずの好走。牝馬同士なら勝負になる。
高知のディアマルコは、一昨年3歳時には、グランダム・ジャパン3歳シーズンで2位、さらに古馬シーズンでも3位と全国区で活躍。ただ昨年は兵庫サマークイーン賞を制したものの、古馬シーズン4位にとどまった。今年は地元A-2の一般戦で勝利があるだけ。ひところほどの勢いがないと見て3番手評価。
昨年のこのレース7着も中島記念では紅一点ながら4着と健闘したダンシング、山口勲騎手が手綱をとる兵庫のスターレーンらが馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎5ナナヨンハーバー
○2ベルモントナイト
▲3ディアマルコ
△4ダンシング
△1スターレーン
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ラブバレットは東京スプリントJpnIIIで6着に負けたあとどこを使うか迷っていたようだが、昨年使ったさきたま杯JpnIIではなく、ここに出走してきたのは、おそらくコーナー2つの1200メートル戦にこだわってのことだろう。回りは逆だが、昨年のクラスターカップJpnIIIでタイム差なし、コースレコードでの2着がこの馬の能力の高さを示している。今回、中央勢は実績馬2頭が59キロを背負い、ほか2頭は重賞実績がないというメンバーだけに、ここはあらためての期待だ。
テーオーヘリオスは3走前のコーラルステークスがモーニンに3/4馬身差の2着で、前走天王山ステークスでオープン初勝利。ここまでの勝ち星はダート1400メートル以下。重賞タイトルを狙える能力はありそう。
芝・ダートにこだわらず1200メートル戦を中心に使われているのが、今年10歳になったスノードラゴン。このレースには過去3回出走して、2、3、3着。GIのスプリンターズステークスを制したあと、59キロを背負うようになっても崩れていない。門別コースにも適性があるのだろう。
中央オープンから移籍して昨シーズンは勝利が挙げられなかったサトノプリンシパルだが、冬休みが明けて今シーズンはともに楽勝で2連勝。8歳だが復調を感じさせるレースぶり。勝ち負けになってもおかしくない。
このレース連覇がかかるのがニシケンモノノフ。シルクロードステークスGIII、フェブラリーステークスGIでの惨敗は仕方ないにしても、東京スプリントJpnIIIの8着は斤量もあったか。ここはさらに重い59キロを背負わされるだけに連下争いまで。
ダート1200メートルで5勝を挙げているコパノマイケルは、重賞初挑戦となった前走黒船賞JpnIIIは10着に敗れたが、中央でも1400メートル戦は2度走って結果が出ていなかった。1200メートルに戻って巻き返しなるかどうか。
◎5ラブバレット
○3テーオーヘリオス
▲10スノードラゴン
△6サトノプリンシパル
△9ニシケンモノノフ
△14コパノマイケル
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兵庫のこの世代は勝ったり負けたりで主役不在の混戦。デビューからの2勝がいずれも重賞というトゥリパの存在もそれを象徴している。
ならばここに来ての充実ぶりが感じられるクリノヒビキを狙う。重賞初挑戦が兵庫チャンピオンシップJpnIIで、地方最先着の6着。続く前走の3歳AB特別は、ほとんど重賞実績がないメンバーという相手にも恵まれたが、3コーナーで先頭に立つと、あとは後続勢の脚色を確認しながらの楽勝だった。その前走1700メートル戦の勝ちタイム1分53秒2は、良馬場に限ればメンバー中の持ちタイムで最速。 重賞初制覇に期待したい。
相手にはレコパンハロウィー。後方から末脚勝負の馬だけに、展開やペースに左右される面はあるが、名古屋の若草賞制覇を含めここのところ崩れることなく、安定して結果を残している。遠征競馬で1800メートル戦をすでに3回も経験しており、脚質的にも距離延長は歓迎。
トゥリパはここまでの2勝がともに重賞。菊水賞は出遅れもあっての10着だった。それもあってのじぎく賞では10番人気という低評価だったが、大井のアクアレジーナとの追い比べを制した。目下地方全国リーディングで単独トップを独走している吉村智洋騎手の勢いにも期待だ。
アゼツライトは、菊水賞では後続を寄せ付けないまま逃げ切り圧勝。今回、ほかに逃げそうなのは隣のラザレフくらいで、マイペースの逃げに持ち込めば菊水賞の再現もあるかもしれない。
コーナスフロリダも菊水賞では出遅れた。3コーナーで2番手まで押し上げたが、そこまでに脚を使ってしまい、直線では一杯になって4着。デビュー以来初めて連対を外すこととなった。ここは巻き返しのかかる一戦だが、勝ちきるまではどうだろう。
◎9クリノヒビキ
○12レコパンハロウィー
▲10トゥリパ
△2アゼツライト
△11コーナスフロリダ
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サムライドライブはデビューから10連勝で重賞も7連勝で、ひとつの目標としていた東海ダービーを迎えた。ほかにこれといった強力な新興勢力もなく、もはや文句のつけようがない。あえて不安を挙げるとすれば、脚元の状態が万全ではなく、目いっぱいに仕上げられたことがないということ。デビューから10戦で2着馬との着差の合計が51馬身1/2。平均して2着に5馬身ほどの差をつけて、しかも常に楽勝しているという能力の差は圧倒的だ。
1頭抜けた能力の馬がいるときの相手は難しい。実力2番手、3番手でも、本気で負かしに行こうとすれば惨敗となり、着狙いの伏兵馬が浮上することもめずらしくないからだ。
で、相手筆頭は、サムライドライブと同じ父シニスターミニスターのビップレイジング。中央に挑戦した2戦はともに惨敗だったが、その経験が生きたかどうか、その後は3歳特別、新緑賞と2連勝。続く前走ぎふ清流カップは5着に負けてしまったが、新緑賞のパフォーマンスは高かった。良馬場での勝ちタイム1分41秒8は、過去5年で、あのカツゲキキトキトに次ぐ2番めのタイム。北海道時代には1700メートル戦も勝っており、距離延長にも対応できそう。
牝馬のウォーターループは、ここにきて東海クイーンカップ、ぎふ清流カップと2連勝と力をつけた。こちらも距離延長に対応できそう。
キンショーウィークは駿蹄賞でサムライドライブの4着だったものの、中央未勝利から転入しての名古屋では7戦5勝とまだ底を見せていない。ただ勝ち星がすべて1400メートルだけに、距離がどうか。
ドリームスイーブルは5戦連続2着を続けていて、その3戦の勝ち馬がサムライドライブで、あとはビップレイジングとキンショーウィーク。相手なりに走るタイプなのかもしれない。
◎2サムライドライブ
○1ビップレイジング
▲3ウォーターループ
△11キンショーウィーク
△4ドリームスイーブル
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タイセイファントムは中央オープンから昨年秋に転入。絆カップ、トウケイニセイ記念の勝利を含め、ここまで重賞を中心に6戦してすべて3着以内。1000メートル戦は中央時代も含めて今回が初めてだが、1200メートルの経験もあり、前走で岩手では初めての1200メートル戦(盛岡・スプリント特別)を制した。10歳でもまだまだタイトルが期待できそうな勢いだ。
対するコウセンは昨年夏に中央1000万条件から転入し、盛岡の芝で重賞を2勝。水沢850メートルのスプリント特別も制している。中央時代にはダートでの勝利がなかったように、ダートはいまひとつ未知数なのと、昨年12月以来5カ月半ぶりの復帰戦ということもあり対抗評価まで。
オースミチャドは中央準オープンから今春転入。2戦目となった前走盛岡ダート1000メートルのスプリント特別は、スタートでは行き脚がつかなかったものの4コーナーで先行勢の直後にとりつき、ゴール前で突き抜けた。勝ちタイムの58秒9は、昨年の早池峰スーパースプリントの勝ちタイムとまったく同じ(ともに重馬場)。◎○も転入馬ゆえ力の比較は難しいが、ここでも十分に通用しそう。
昨年ダート1600メートルの重賞を3勝し、前走でタイセイファントムの2着だったイーグルカザン、大井からの再転入初戦が約半年ぶりの実践となるメジャーリーガー、昨年の岩手3歳二冠馬で、前走オースミチャドの3着だったキングジャガーらは、馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎9タイセイファントム
○12コウセン
▲1オースミチャド
△3イーグルカザン
△6メジャーリーガー
△7キングジャガー
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