今シーズンのばんえい重賞はとにかく難しい。ここまで重賞は15レースあって、3連単が4桁配当だったのは、ばんえい十勝オッズパーク杯の40倍と、ばんえい菊花賞の90倍の2レースのみ。逆に10万円以上ついたレースが、ばんえい大賞典、銀河賞、ドリームエイジカップと3レースもあった。フルゲートが18頭とか16頭とかの中央競馬と違い、出走頭数が10頭以下のばんえい競馬で10万馬券というのは大波乱といっていい。つまりは常識にかからない馬が激走するのだ。まあそれがばんえい競馬のおもしろさでもあるのだが。
で、中心はブラックボス。2歳シーズン3冠は確実と思われたイレネー記念で惨敗の5着。それでも3歳1冠目のばんえい大賞典を制した。その後はまったくいいところがないが、賞金を稼いで不相応に高いクラスに格付けされているため。同世代同士で定量戦のここならと、陣営も狙ってくるのではないか。
人気になるのはニシキエーカンだろうか。ばんえい菊花賞ではトップハンデながらの2着は立派だ。前走は9着惨敗だが、これは古馬オープンとの対戦だから仕方ない。
ニシキウンカイは、牝馬ながらばんえい大賞典3着のあと6連勝でばんえい菊花賞制覇。断然人気に支持されたばんえいオークスはまさかの4着。巻き返しのかかる一戦。
そのばんえいオークスを制したのがタカラハヤヒメ。ばんえい大賞典、ばんえい菊花賞はともに5着だったが、当時より上積みがあるはず。
アサヒリュウセイは、前走の特別戦こそ6着だったものの、ばんえい菊花賞3着のあと4連勝の勢いがある。
テンカムソウは、とかち皐月賞2着、とかちダービー勝利、秋桜賞2着など、同世代同士の特別で好走歴があり侮れない存在。
◎ブラックボス
◯ニシキエーカン
▲ニシキウンカイ
△タカラハヤヒメ
△アサヒリュウセイ
△テンカムソウ
中央から転入してきたマイネルリボーンが6戦オール連対で3連勝中と底を見せていない。前走は2着と半馬身差とはいえ、道中は好位の内でじっとしていて、4コーナーで外に持ち出して前をとらえるという強い勝ち方だった。ほとんどの馬が1700メートルは初めてだが、マイネルリボーンは芝ではあるものの1800メートルの経験もある。1500メートルの持ちタイムでも、1分37秒台があるのは出走メンバー中でこの馬だけ。さまざまな面で優位に立っている。
勢いならガッツオブトップも負けてはいない。プリンセスカップを5番人気で制したあと、2歳選抜戦を1番人気で勝利。以前はなかなか勝ちきれないレースが続いていたが、ここにきて連勝と充実してきた。
フレアリングメテオは、4走前と3走前の連勝でガッツオブトップを負かしているが、ここ2走はともにマイネルリボーンの3着。力的にそれほど差はない。
ハイパーエンジェルは、プリンセスカップでガッツオブトップの2着があるが、前走はマイネルリボーンから離されての6着。ややムラ駆けの面があるだけに、持てる力を発揮できるかどうか。
それ以外の馬はこれまでの対戦からも、ちょっと差がありそう。
◎マイネルリボーン
◯ガッツオブトップ
▲フレアリングメテオ
△ハイパーエンジェル
シャイニーハリアーのこの秋以降の安定ぶりに賭けてみたい。重賞はこれまで、今年1月のトウケイニセイ記念で3着、シアンモア記念でも3着、そして前々走の絆カップでは4着と、好走するもなかなか勝ち切れない。しかしここ4戦ではA級一組戦を3勝。絆カップの4着も、地元勢で先着されたのは2着のトーホクキングのみ。そのトーホクキングや、絆カップで期待されたカミノヌヴォー(9着)が不在というメンバーなら、いよいよ初重賞タイトルが狙えそう。
相手にはコパノマユチャン。前走栗駒賞は6番人気での勝利だが、トーホクキングらと直線で競り合って勝利には価値がある。JRA時代、さらにその後の大井在籍時にも、使われていたのはほとんどが右回り。岩手移籍後は前走の栗駒賞が初めての水沢コースで、右回りで力を発揮するという可能性はある。
かつては常に重賞で上位を争っていたゴールドマインだが、昨秋の青藍賞以降勝ち星がない。今シーズンは長期休養を挟み4戦して一般戦で3着が最高という成績。しかし前走栗駒賞は着順こそ5着だが、ゴール前は接戦で、勝ったコパノマユチャンから0秒5差。復調気配はある。
クレムリンエッグは栗駒賞で3着、前走A級一組でもシャイニーハリアーの3着と、ともにそれほど離されていなかった。
スーパーワシントンは7月の岩鷲賞で3着、芝ではあるもののOROターフスプリントで3着など、馬券圏内を狙える力はある。
この秋に大井から転入したタケノトレジャーは、岩手ではまだオープンクラスとの対戦はないものの、B級一組からA級二組で5戦して3着を外していないという安定ぶり。上のクラスでも勝負になりそうだ。
◎シャイニーハリアー
◯コパノマユチャン
▲ゴールドマイン
△クレムリンエッグ
△スーパーワシントン
△タケノトレジャー