残念ながら浦和・桜花賞が中止となり、グランダム・ジャパン3歳シーズンの初戦となる若草賞。地元福山勢は2頭とやや寂しいながらも、笠松、兵庫から各2頭、大井、高知、佐賀から各1頭の遠征があり、全国交流のこのシリーズらしいメンバーが揃った。昨年のグランダム・ジャパン2歳シーズンで総合3位のマンボビーン、4位のリジョウクラウン、6位のミラノボヴィッチがここでいきなり顔を合わせるというのも興味深い。
笠松・プリンセス特別、園田クイーンセレクションで1、2着を分け合い、しかも勝ったのはそれぞれ地元コースだったというミラノボヴィッチ、マンボビーンが、ともに福山に遠征しての勝負となる。
ミラノボヴィッチの前走スプリングカップは、2番人気と期待されながらも最下位12着に敗れた。しかしこのときはハナに行きたいミラノボヴィッチにとって、外の8番枠からのスタートで、先行争いで脚を使ってしまっての惨敗。マンボビーンに敗れた園田クイーンセレクションも大外12番枠だった。1番枠に入った今回は、ハナを奪ってそのまま逃げ切りを狙う。
マンボビーンは、前々走の園田クイーンセレクションが昨年7月のデビュー戦以来の勝利。とはいえ、それまでは連対を外したのが2回という堅実な成績。前走、中央挑戦は好位を追走し、着順こそ10着だったが勝ち馬からは1秒1差と、初芝ながらまずまずの走りを見せた。芝のスピード競馬を経験したことで、力をつけている可能性はある。
昨年9月の園田プリンセスカップを制したリジョウクラウンは、その後はなかなか勝ちきれないレースが続いている。ただ、後方追走から向正面ひとまくりという極端な脚質だけに、展開の助けは必要。上位2頭が再びハナ争いとなるかもしれないだけに、ハイペースの前崩れとなれば一発の可能性はある。
花吹雪賞、飛燕賞と連勝したヒシダイアナは、まだ底を見せていないだけに怖い1頭。父のヒシミラクル同様、ミラクルを起こせるかどうか。
大井から遠征のクイーンオブシーは、一般戦しか出走がないもののここ2戦で1、2着と好走。地区レベルの違いを見せられるかどうか。
◎ミラノボヴィッチ
○マンボビーン
▲リジョウクラウン
△ヒシダイアナ
△クイーンオブシー
ばんえい記念で自信を持ってナリタボブサップを本命にしたのは2008年だったか。あの年は、帯広記念をトップハンデの900キロで勝ったのを見て、その時点でナリタボブサップと決めたのだった。しかし結果は6着。ばんえい記念が1000キロで争われるようになってからもっとも遅いタイムでの決着となり、2連覇を果たしたトモエパワーから1分30秒近くも離されていた。そして今年は、3年越しでナリタボブサップに期待してみることにした。昨年のばんえい記念では、第2障害を越えて一旦は完全に先頭に立ち、そのまま押し切るかという勢いだったが、ゴール線上で止まってしまい3着。勝っていてもおかしくないレースだった。その2009年のシーズンは重賞を1勝もすることができなかったナリタボブサップだが、今シーズンは、ばんえいグランプリ、ドリームエイジカップと2つの重賞を制した。ナリタボブサップを本命にすると決めたのは、やはり帯広記念。結果は2着だったものの、20キロ軽いニシキダイジンと抜きつ抜かれつの接戦の末、僅差の2着だった。昨シーズン見られた末の甘さも解消された今なら、最高峰のタイトル奪取も夢ではない。
2番手には、連覇を狙うニシキダイジン。97~98年のフクイチ以降、ばんえい競馬の勝ち馬はいずれも2年以上の連覇を果たしている。そうした傾向からすれば今年もニシキダイジンとなる。フクイチはどちらかといえば重い重量でこそというタイプだったが、その後のシマヅショウリキ、サカノタイソン、スーパーペガサスは、いずれも700キロ台のシーズン当初のわりと軽い重量からばんえい記念の1トンまでこなすというタイプだった。しかし近年のトモエパワー、ニシキダイジンは、軽い重量だとまるっきりというタイプ。2007年シーズンのトモエパワーは、岩見沢記念のわずか1勝のみの成績でばんえい記念を制し、翌08年シーズンはなんとシーズン中1勝も挙げられないまま、それでもばんえい記念では1番人気に支持されて3連覇を果たすこととなった。重い重量でこそというニシキダイジンの今シーズンは、北見記念と帯広記念の2勝のみ。07年シーズンのトモエパワーの再現となる可能性もかなり高い。
3番手にカネサブラック。古馬重賞の予想でカネサブラックを▲以下にしたことが何度かあるが、そのたびにこんな低い印でいいのかと悩む。連対を外すことがきわめて少ないという安定感は抜群だからだ。このばんえい記念は2年連続で2着。3度目の正直となるかどうか。
勝つのはこの3頭のどれか。フクイズミにも印をつけたが、正直、勝ち負けまでは厳しいように思う。帯広記念を勝って、初めて挑戦した昨年のばんえい記念は4着。今シーズンは障害のキレがどうにも悪く、いくらフクイズミの末脚でも980キロで差し切る場面までは想像できない。
4勝目を目指すトモエパワーだが、いくらシーズン中未勝利でばんえい記念を勝ったことがあるとはいえ、今シーズンのレース内容でいきなりはないと思う。
◎ナリタボブサップ
○ニシキダイジン
▲カネサブラック
△フクイズミ
遠征馬は高知のジョインアゲンのみだが、そのジョインアゲンの経験と実力が断然だ。遠征を重ね、さすがにダートグレードでは厳しいが、昨年12月の船橋では地方全国交流の総の国オープンでキングスゾーンに2馬身半差の2着。そのキングスゾーンは、福山で3戦して2勝、3着1回。いずれのレースでも地元福山の馬ではまったく歯が立っていないことからも、ジョインアゲンでも十分勝負になるだろう。自身も福山では昨年3月に近畿・中国・四国交流のA1特別を完勝している。しかも舞台は今回と同じ1800メートル。地元高知で3連勝中と好調で、ここは負けられない一戦。
地元福山勢で意地を見せたいのはクラマテング。昨年の6月以降、10戦して連対を外したのは前々走のマイル争覇のみと地元では絶対的な存在。距離はさらに長いほうがよさそうだが、1800メートルでも流れはそれほど速くならないだろうから十分に守備範囲。ジョインアゲンに迫るならこの馬だろう。
明けて4歳のフォーインワンは、古馬重賞初挑戦となった正月の福山大賞典でクラマテングの2着と大健闘。父サウスヴィグラスだがギリギリ1800メートルまではこなしているだけに、馬券圏内のチャンスは十分にある。
昨年6番人気でこのレースを制したビービーバイラ、A3、A2の特別を連勝中のコロネットらがどこまで迫れるか。
◎ジョインアゲン
○クラマテング
▲フォーインワン
△ビービーバイラ
△コロネット
エスポワールシチーがブリーダーズカップクラシックに遠征して以来の出走となる。デキは7分程度という報道もあったが、JpnIIIのこのメンバーなら7分でも十分だろう。昨年のかしわ記念JpnIでは、フェブラリーステークスGI以来2か月半ぶりで「デキはぜんぜん」(佐藤哲三騎手)と言いながらもフリオーソを1馬身半差でしりぞけ圧勝だったことを考えれば、今回59キロでも普通に走ってくればまず負けないだろう。
相手筆頭はワンダーアキュート。09年にシリウスステークスGIIIと武蔵野ステークスGIIIを連勝した時はどんだけ強くなるんだと思ったものの、その後はいまひとつの成績。しかし前走仁川ステークスはオープン特別とはいえダートグレード実績のある馬たちを相手に完勝。仕上がり7分というエスポワールシチーに迫る場面はあるかもしれない。
地方勢では12連勝中のヒシウォーシイに期待大。ダートグレードは09年12月の名古屋グランプリJpnIIでの10着以来だが、当時より力をつけているのは明らか。地の利を生かして上位を狙う。
クリールパッションは昨年のエルムステークスGIIIを制し、ジャパンカップダートGI、フェブラリーステークスGIでは一線級を相手にともに6着とまずまずの走りを見せた。セレスハントは、地方の馬場が合うと見て挑んだ昨年のサマーチャンピオンJpnIIIを勝利。両馬ともに、当然馬券圏内の争いにはからんでくるだろう。それにしても中央勢の層は厚い。
◎エスポワールシチー
○ワンダーアキュート
▲ヒシウォーシイ
△クリールパッション
△セレスハント
4・5歳馬の限定重賞ポプラ賞。重賞として行われるのは07年以来だが、その間も特別として同じ条件で行われていた。過去5年の連対馬10頭のうち9頭が5歳馬。ばん馬は、この時期の4歳馬と5歳馬では圧倒的な実力差があるとみてよさそう。
もうひとつポイントとなるのは、トップハンデ780キロのキタノタイショウが最大70キロのハンデ差を克服できるかどうか。
データ的に優位な5歳馬の力関係を見てみると、まず除外できるのはワタシハスゴイ。近走で勝ち馬から10秒以内の差だったのは基礎重量が極端に軽いスピードスターファイナルのみで、それ以外は20秒以上の差を付けられての敗戦。かなり厳しいと言わざるを得ない。
2月11日の5歳限定戦、ダイヤモンドダスト賞で上位4着までを占めた4頭の争いとなりそうだ。
勝ったのは760キロのキタノタイショウで、45キロ差のホクショウマドンナが3秒6差で2着。今回60キロ差に広がれば逆転の余地はありそう。ただしその後、今回と同じ60キロ差のチャンピオンカップでは、ホクショウマドンナは3着キタノタイショウから15秒近くの差をつけられての7着だった。大一番の経験の差で、この2頭の比較ではキタノタイショウを上位にとる。
次にホクショウバンクとの比較。ダイヤモンドダスト賞ではキタノタイショウと10キロ差で5秒差の3着。今回は20キロ差に広がる上に、ホクショウバンクは近3走でオープン・A1の混合や、オープン2組で2、1、1着と好調なことから逆転の可能性はかなり高いと見る。
そしてダイヤモンドダスト賞でキタノタイショウと15キロ差で7秒4差の4着だったフクドリ。今回、キタノタイショウとはわずか10キロ差ではいかにも厳しいと見る。ホクショウバンクとの比較でも、ダイヤモンドダスト賞では5キロ軽かったものが、今回は逆に10キロ重くなってしまった。ポジティブな材料を探すとすれば、過去7回騎乗して3勝、2着2回、3着1回と相性のいい松田道明騎手への乗替りだろう。
以上の比較から順番をつけると以下のようになる。4歳馬は負担重量が有利とはいえ、いずれも実績的に馬券圏内に食い込むのはかなり難しいように思う。
◎ホクショウバンク
○キタノタイショウ
▲ホクショウマドンナ
△フクドリ