ダートGI・JpnIで5連勝中という成績をあらためて持ち出すまでもなく、エスポワールシチーが日本ではダート現役最強ということに異論はないだろう。前走、かしわ記念JpnIで2着に負かしたフリオーソが、その後の帝王賞JpnIでカネヒキリ、ヴァーミリアンらをまとめて負かしたことからもそれは明らか。
そのかしわ記念だが、陣営の話によると、フェブラリーステークスGI以来で完全には仕上がっておらず、レース内容も不満の残るものだったという。なるほどその後に帝王賞を勝つフリオーソは、このかしわ記念あたりから好調で、直線を向いて先頭に立ったときはそのまま押し切ってしまうかという場面もあった。それを直線半ばでとらえ1馬身半突き放してしまうエスポワールシチーはどんだけ強いんだということになる。ここは圧倒的なパフォーマンスを見せて、ブリーダーズCへと遠征してほしいところ。
2着3着争いは、他の中央馬のいずれにも可能性がありそう。
実績最上位(もちろんエスポワールシチーを除いて)は、テスタマッタ。ジャパンダートダービーJpnI勝ちがあり、今年も川崎記念JpnI・3着、フェブラリーステークスGI・2着。前走日本テレビ盃JpnIIはやや離されての4着だったが、フェブラリーステークス以来の休み明けだっただけに変り身が期待できる。
バーディバーディは断然人気となったジャパンダートダービーJpnIで6着に敗れたが、今回あらためて見直してみたい。ジャパンダートダービーは、使いづめの疲れや距離が敗因として指摘された。今回は3カ月の休養をとり、強い勝ち方をしたユニコーンステークスGIIIと同じ左回りのマイル戦なら持てる力を発揮できるだろう。初の古馬との対戦で、世代間の力比較という意味でも興味深い一戦となる。
セレスハントは、前走サマーチャンピオンJpnIIIで重賞初制覇。「地方のダートが合うと思っていた」という松永幹夫調教師の読みが的中した結果だ。1400メートルを中心に使われてきているが、前々走では小倉ダート1700メートルのKBC杯を勝っている。ただ、東京の武蔵野ステークスGIII、根岸ステークスGIIIでは大敗しているだけに、坂のある盛岡コースを克服できるかがカギとなりそうだ。
重賞勝ちのないオーロマイスターだが、前走エルムステークスGIIIで差のない2着、根岸ステークスGIIIでも3着などの善戦はある。ただブリーダーズゴールドカップJpnIIではシルクメビウスから離されての4着だっただけに、ここでも馬券圏内の争いに食い込めるかどうかだろう。
昨年のこのレースで3着と好走したことで現役を続行したメイショウバトラーは、前走のクラスターカップJpnIIIでも直線を向いて先頭に立ち、3着と好走した。さすがにこのメンバーでも3着というのは厳しいと思い印はつけなかったが、何度も好走している得意のコースだけに、穴をあけるならこの馬だろう。
◎エスポワールシチー
○テスタマッタ
▲バーディバーディ
△セレスハント
△オーロマイスター
すでに7勝を挙げているオイドンの力が抜けている。前々走、牡馬同士の2歳A-1戦を別定プラス10キロながら勝利。前走では牝馬のプリンセスヤヨイに先着を許したが、当時25キロ差だったのが、今回20キロ差に縮まることを考えれば、やはりりオイドンに有利。今回、引き続きプラス10キロの別定重量なら力で押し切るだろう。
3連勝で青雲賞を制したレットフジに勢いがあるが、今回はオイドンと同じ別定プラス10キロを背負うことになった。青雲賞では同重量のフナノコーネルが僅差の2着だったが、今回は別定での増量がないフナノコーネルのほうが有利と見て、相手筆頭。
とはいえレットフジも、連勝中の勢いで押し切ってしまう可能性もある。
青雲賞で僅差3着のニュータカラコマも、フナノコーネル同様、レットフジとの重量比較では逆転があっても不思議はない。
タカノテンリュウも、これまでオイドン、レットフジらと差のないレースをしてきているだけに、展開次第では上位を狙える。
◎オイドン
○フナノコーネル
▲レットフジ
△ニュータカラコマ
△タカノテンリュウ
15戦14勝、2着1回という無敵のムツミマーベラスがここも負けられない一戦。唯一の敗戦は福山ダービーでの2着だが、休養明け2戦目、連闘の急仕上げで間に合わせたのが敗因。その後は再びまったく危なげのないレースぶりで連勝を続けている。初めての2250メートルが心配になるが、それはほかの馬にとっても同じこと。福山ダービーは前述の理由で参考外として、その後1800メートルの福山チャンピオンシップで5馬身差圧勝があるだけに、心配はいらないだろう。ここも無事に通過すれば、いよいよ他地区への初遠征となるダービーグランプリ挑戦が待っている。
相手には、ムツミマーベラスに唯一土をつけたことがあるフォーインワン。それ以来勝ち星はないが、前走古馬A2特別での3着は、やはり実績的には上位。
重賞は初挑戦だが、上がり馬として注目はウィークリーショウ。春までは3歳1組で勝負にならなかったが、古馬に編入されてからは快進撃。古馬B6、B5と連勝してきた勢いは侮れない。ただその快進撃が短距離戦なのが気になるところ。血統的には距離延長もマイナスにはならないはずだが。
ほかにも好調馬が多く、連下争いは大混戦。ビクトリーノブナガは福山ダービー5着以降は、古馬に編入されて3着を外さない成績。前走はウィークリーショウに完敗の2着だが、距離経験で逆転できる可能性はある。
ビクトリーヒマワリは、ここまで重賞に7回出走していずれも掲示板確保と堅実な成績。先行タイプのビクトリー軍団がどんな流れでレースを展開するのかにも注目だ。
印はまわらなかったが、マリンケハラッショ、アクアビューティーらも近走好調だけに上位争いに加わってくる可能性はある。
◎ムツミマーベラス
○フォーインワン
▲ウィークリーショウ
△ビクトリーノブナガ
△ビクトリーヒマワリ
ファインスターが力をつけている。ここ2走は古馬A4特別からA3特別を連勝。特に前走のA3特別は、ハナを切ってベットボトムダラーにぴたりと競りかけれらる厳しい展開。しかし3~4コーナーから徐々に離しにかかると、直線では後続を寄せ付けず。2着のルグランコンデには1馬身半差だが、最後は手綱を抑えた状態で、完勝といえるレース内容。11月のプリンセスカップ以来の重賞勝利を狙う。
マンリョウは北日本新聞杯こそ6着だったが、続く3歳A2戦からは8戦6勝、2着2回という成績でクラスを上げてきた。前走古馬初挑戦となったA4特別も逃げ切って楽々と突破。急激に力をつけているだけに、重賞初勝利の可能性も。
ナムラアンカーは中央から移籍後7戦6勝、2着1回。前走3歳A1特別は6馬身差の圧勝だった。古馬との対戦はないものの、未知の魅力は大きい。
2歳時には兼六園ジュニアカップを勝って注目されたハヤテカムイオーだが、今シーズンはいまだ勝ち星なし。とはいえ、ヤングチャンピオン3着、北日本新聞杯2着、MRO金賞2着と、重賞では常に上位を争うだけの力はある。
セイカペガサスは、中央未勝利から金沢に移籍し、初戦となった前走3歳B1特別で2着馬に3馬身差をつける完勝。レースぶりから上位争いに食い込んでくる可能性もある。
◎ファインスター
○マンリョウ
▲ナムラアンカー
△ハヤテカムイオー
△セイカペガサス