6月21日の黒ユリ賞に続く、ばんえい3歳牝馬3冠の2冠目。クラス別定戦で、バレンタインカップと黒ユリ賞を勝っているウィナーミミ、ばんえい大賞典を制したワタシハスゴイの2頭が660キロ。ワタシハキレイズキとタワノアヤカが650キロで、そのほかは640キロという負担重量での対戦となった。
ここは3歳になってから重賞2勝と確実に力をつけているウィナーミミから。ばんえい大賞典は牝馬が健闘し、大接戦の上位4頭のうち3頭が牝馬だった。勝ったのはワタシハスゴイで、ウィナーミミは3着だったが、障害を一気に上げられなかったぶん、遅れてしまった。それでいて最後は差をつめているだけに、ここであらためて期待したい。松田道明騎手とのコンビでは、7戦4勝、2着2回、3着1回と抜群の相性。
相手筆頭はワタシハキレイズキ。ばんえい大賞典では、ワタシハスゴイ、ウィナーミミとは20キロ差で単勝1番人気に推されながら、2頭の後塵を拝して4着。今回は10キロ差に縮まっているだけに、負担重量だけを見れば不利。しかしその後は120万〜180万クラスで5戦4勝、2着1回と確実に力をつけている。展開次第では一発逆転も可能だろう。ばんえい大賞典の雪辱を果たしたいところ。
ワタシハスゴイは、ばんえい大賞典の第2障害では一呼吸置いて仕掛け、ひと腰でクリア。最後もよく伸びて接戦を制したように展開がばっちりはまった。ただその後のレースぶりでは、ウィナーミミにはやや劣る感じ。
軽量組では、バレンタインカップ、黒ユリ賞ともに3着と好走のスーパーコマチが自己条件を連勝中。重賞実績もあり、人気がなければ連下として狙ってみるのも面白い。2走前から手綱をとっている新人の菊池一樹騎手にとってはこれが重賞初挑戦となる。
黒ユリ賞5着だったコマクインも、夏から調子を上げてきているだけに、上位食い込みを狙いたいところ。
◎ウィナーミミ
○ワタシハキレイズキ
▲ワタシハスゴイ
△スーパーコマチ
△コマクイン
一昨年は馬インフルエンザの影響か地元馬だけの争いだったが、近年は毎年のようにホッカイドウ競馬からの遠征があり、06年は2着、昨年は勝利。その2頭ともが、このレースまで1勝のみでの遠征で、やはりホッカイドウ競馬デビューの2歳馬のレベルは高い。
今年は認定厩舎・社台ファームの外厩馬が2頭遠征してきた。ともにJRA認定レースを1勝のみだが、前走1200メートルを好タイムで勝ったローズデュルワに期待したい。父アフリート、母父ナリタブライアンは、芝・ダート兼用という感じの血統。何といっても祖母にスカーレットブーケの名があり、ダイワメジャー、ダイワスカーレットの近親ということになる。
地元勢の筆頭は、デビュー2戦目から3連勝のロックハンドスター。前々走、今回と同じ芝1600メートルの舞台で、不良馬場とはいえ2着に9馬身差の勝利は圧巻だった。
デビューから3戦、一貫して1700メートル戦を使われてきた北海道のボヘミアンも怖い存在。
デビューから4戦して連対を外していないゴールデンライフは、2着に負けたときも常に勝ち馬とは僅差。水沢のダートではあったが、ロックハンドスターとクビ差の接戦もある。
過去5年の結果を見ると伏兵の連対もめずらしくない。前走水沢のダートでは大敗も、盛岡芝の認定戦を好タイムで勝っているグラドル、アンダーフジコあたりは穴として狙っておもしろそう。
◎ローズデュルワ
○ロックハンドスター
▲ボヘミアン
△ゴールデンライフ
△グラドル
△アンダーフジコ
過去10年で地元金沢勢は3勝と苦戦。ただ、以前は地元勢にとってはこのレースが初めての1400メートル戦となり、力を発揮できないことが多かった。しかし近年では、この重賞の前に同じ舞台を経験できるように番組が改められている。07年は馬インフルエンザの影響で他地区からの遠征はなかったが、06年に地元のブラックムーンが勝って金沢勢がワンツーとしているのは、そうした効果かもしれない。
今年の遠征馬は名古屋から1頭のみ。デビューから2戦2勝で、強力な相手となりそうだが、地元スパイシーターボのスピードが上回りそうだ。
スパイシーターボはデビューから3戦、船橋から期間限定騎乗で金沢に来ていた江川伸幸騎手が手綱をとっていた。圧巻だったのは距離が1400メートルに延びた前走のアンタレス特別。2番手集団につけ、3コーナーで先頭に立つとあとは後続を突き放すばかり。重馬場だったとはいえ、1分31秒5という勝ちタイムはかなり優秀なもの。過去の兼六園ジュニアカップの勝ちタイムを見ると、01年以前はかなり速いタイムが出ていたが、02年以降での最速は05年メイホウホップの1分31秒5。すでにこれと同じタイムで走っているだけに、かなり能力は高いといえそうだ。江川騎手はすでに船橋に戻っているため、今回は吉田晃浩騎手の手綱となる。
名古屋のパラダイスラビーダも潜在能力は高そう。デビュー戦は7馬身差の圧勝。同じ800メートルの2戦目は、スタートでふらつく若いところを見せ、一旦3番手に下げながら、直線ではしっかり伸びて勝利。まだまだレースをまともにしていない感じだ。1400メートルに距離が延びて、どう折り合いをつけるかだろう。
地元2番手はサカイチハナミズキ。デビュー2戦目のアンタレス特別は、スパイシーターボから6馬身離されての2着。ただこのときはスタートで出遅れ後方からの苦しい展開。にもかかわらず3着以下には大差をつけた。実際にその後のアンタレス特別でも最後方から徐々に位置取りを上げて差し切っている。
そのほかはほとんど勝負付けが済んでいるメンバーで、1戦1勝のファインスターがどこまでやれるか。
◎スパイシーターボ
○パラダイスラビーダ
▲サカイチハナミズキ
△ファインスター
いよいよ今開催でアラブ単独での格付けが日本から消える。27日の重賞・アラブ特別レジェンド賞を別とすれば、この日の最終レースに組まれているローゼンホーマメモリアルがA1級の最後のレースということになるのだろう。
福山でもすでにほとんどの在厩馬がサラブレッドになったが、さすがに3歳牝馬に限定するとまだまだ層はそれほど厚くない。
マルサンジョイの力が抜けている。福山プリンセスカップを制し、若草賞でも地元最先着の3着。福山ダービー、福山チャンピオンシップは、ともに牝馬では最先着。目立った上がり馬もなく、同斤量のここは負けられない一戦。
古馬C級から前走B8まで連勝中のヒメキミが2番手。福山チャンピオンシップは5着だったが、牝馬ではマルサンジョイに続く5着。そのときのマルサンジョイとの着差は1/2+アタマという僅差で、好調が続いているだけに逆転があるとすればこの馬か。
古馬C級でそこそこ善戦しているボーソレイユが3番手。福山チャンピオンシップではヒメキミからやや離されているだけに、この馬になると逆転までは難しそう。ここまで福山チャンピオンシップの着順どおりだが、それだけ力関係がはっきりしてるということ。
新興勢力はテンテンコール。4月以降は4着を外さない安定したレースぶりで、3歳2組、1組と連勝中。ただ1250メートルまでしか経験がないのが不安材料。
モエロナツコも古馬C級での善戦組だが、福山チャンピオンシップではかなり離されていて、勝ち負けまでは難しそう。ただそのときは後ろからの厳しい競馬になった。先行してどこまで我慢できるかだろう。
3歳条件で常に上位に食い込んでいるユノレベッカは馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎マルサンジョイ
○ヒメキミ
▲ボーソレイユ
△テンテンコール
△モエロナツコ
△ユノレベッカ
岩手の古馬戦線は低迷が続いている。
シアンモア記念やみちのく大賞典など伝統の重賞を他地区からの遠征馬に上位を独占されていること、笠松から転入のクインオブクインに完全に覇権を握られてしまったこと、3歳馬マヨノエンゼルがオープンクラスで連勝していることなどを見ればそれは明らか。
で、今回の遠征馬は船橋のリュウノケンシロウのみ。近走南関東B2で勝ち負けという馬で、シアンモア記念で1、2着の2頭よりは格下。ならばここは地元勢に踏ん張ってほしいところ。3歳のこの時期にA一組とすずらん賞を連勝したマヨノエンゼルに期待するしかない。
相手にはソフトパワー。転入して2戦、まだ底が割れていない。前走不良馬場のすずらん賞は3着だったが、もともと中央時代からダートのみを使われ、重・不良での連対が一度もなかった。そのすずらん賞では、勝ち馬と同じような位置を追走し、泥をかぶりながらの3着はむしろ健闘といえる。土日は雨の予報もあるが、それほど多くは降らないようで、なんとか稍重程度でもってほしいところ。重より馬場が悪化するようであれば、狙いを下げるしかない。
そして今回唯一、他地区からの遠征となった船橋のリュウノケンシロウ。今年春は南関東B級で苦戦が続いていたが、6月以降は4戦2勝と調子を上げてきた。菅原勲騎手を起用してきただけに一発の可能性は十分に考えたい。
岩鷲賞を勝ったダンストンリアルは、前走JpnIIIのクラスターカップを別とすれば、今シーズンまだ4着を外していない安定した走りが目立つ。
前走すずらん賞で久々に見せ場をつくったグッドストーン。今の岩手のオープンクラスなら展開次第では上位争いも可能。
早池峰賞を制したフリーモアはマイル以上での実績がないのが不安なところ。マイペースの逃げに持ち込んで粘れるかどうか。
◎マヨノエンゼル
○ソフトパワー
▲リュウノケンシロウ
△ダンストンリアル
△グッドストーン
△フリーモア