過去7年連続でJRA勢に3着までを独占されているという、地方勢にとってはひじょうにきびしいレース。この盛岡2000メートルは、かつてのダービーグランプリも含めて、大きな着差がつくことが多い。ゴール前に坂があり、そこを2度通過しなければならないため、スタミナを要求されるからだろうか。あくまでも想像だが。
今年は、特に地元岩手の古馬ダート戦線に抜けた馬がない混戦で、他地区からの遠征馬もダートグレードで勝負になるような感じではなく、やはりJRA勢の上位独占は避けられそうもない。唯一、岩手転入2戦目となるクインオブクインがダートグレードでの連対実績があるが、それも牝馬限定戦。牡馬とのダートグレードは4着が最高という成績だ。
やはりここはダートグレード6連勝中のスマートファルコンに注目が集まる。1400〜2000メートルあたりまでの幅広い距離適性に加え、これまでさまざまな競馬場を経験しているだけに死角はなさそうだ。もちろん競馬だから何があるかわからないが、他馬の最近の成績や実績などから考えても、この馬が勝つ可能性はかなり高い。
相手筆頭には昨年の覇者サカラート。盛岡コースのもうひとつの特徴として、このコースが得意な馬はしつこいくらいに走るということがある。マーキュリーカップJpnIIIでは、過去にスナークレイアースが1勝を含め通算4度の3着以内。クーリンガーも3度の連対。いずれも高齢になってからは近走に好走がない状況での2着や3着だっただけに、JRA勢同士の決着でも穴馬券になった。そう意味では今回、馬券的にはサカラートに期待ということになる。
アロンダイトの回避により繰り上がったエスケーカントリーは重賞勝ちがないため56キロは有利。いずれにしても馬券はスマートファルコンを中心にJRA勢をどう絞るか。
◎スマートファルコン
○サカラート
▲エスケーカントリー
△メイショウトウコン
△マコトスパルビエロ
それにしても旭川記念のフクイズミの強さには驚かされた。いや、フクイズミの強さは重々承知だが、まさか先頭で障害を越えるとは誰も思わなかったのではないか。あのタイミングで越えられては、他の馬には手も足も出ない。ただ今回、週間予報を見ると、どうやら日曜日は雨になりそう。雨で軽い馬場になればフクイズミにとっては厳しい競馬になるかもしれない。
そこで浮上するのはナリタボブサップ。定量の800キロで、やや湿った馬場はこの馬にとって絶好の舞台。重賞勝利は昨年のこのレース以来遠ざかっているが、連覇を期待したいところ。
やはり外せないのはフクイズミ。旭川記念くらいの馬場になれば当然この馬の評価を上げるし、仮に大雨でも降って8%以上の馬場になれば△以下に評価を落とす。実力は誰もが認めるところだが馬場状態次第。
微妙なのがカネサブラック。古馬のトップクラスでもっとも安定して力を発揮しているのがこの馬なのは疑いようのないところ。ばんえい十勝オッズパーク杯を3連覇し、その後の旭川記念は重量を背負ったため負けてもしかたないところだが、一昨年はこの定量の北斗賞でも6着と惨敗だった(昨年は不出走)。どうも夏場に弱いのかもしれない。
そして800キロになれば出番がまわってきそうなのがスーパークリントン。ただしこの馬も重い馬場限定。
おそらくここまで4頭の勝負だろうが、今シーズンの充実ぶりはかなりのもので、旭川記念で2着に突っ込んできたホクショウダイヤも押さえておく必要がありそうだ。
◎ナリタボブサップ
○フクイズミ
▲カネサブラック
△スーパークリントン
△ホクショウダイヤ
9頭中7頭が前走黒髪山特別からの出走だが、そこで見事に古馬オープン勝ちとなった3歳牝馬のギオンゴールドが出てこないのはなんとも残念なところ。
ここは、その黒髪山特別をスキップしたアルカライズから。中央から転入後、はがくれ大賞典勝ちを含め、6戦4勝、2着3着各1回という安定感が光る。佐賀の1400メートルが今回初めてというのが不安材料だが、力で押し切ってくれるだろう。
相手は、前走転入初戦の黒髪山特別2着のビッグクラウン。前所属地の笠松では6戦して勝利を挙げられなかったが、黒髪山特別で人気のマイネルマキシマムやエフケーフィルらを抑えて2着に食い込んだのは、この距離に適性があったのだろう。
マイネルマキシマムはオープンで常に上位に食い込む安定勢力。重賞初挑戦となったはがくれ大賞典でも2着だったように、今回も上位争いに食い込んでくるだろう。
黒髪山特別では1番人気に推されながらも4着に沈んだエフケーフィルは、この距離にはやや難があるのかもしれない。
◎アルカライズ
○ビッグクラウン
▲マイネルマキシマム
△エフケーフィル
盛岡芝2400メートルのここにコスモバルクが遠征してきた。さすがに中央のGIでは厳しい感じになってきたが、地方競馬では唯一盛岡に芝コースがあることがこの馬にとってはラッキーだったかもしれない。最近ではあまり注目されることもなくなってきたが、1年ほど前に岡田繁幸さんにお話をうかがったところ、「種牡馬になれる血統でもないし、10歳くらいになっても現役なら、『まだがんばってるのか』と、ファンもまた注目してくれるでしょう」とのことだった。07年9月のOROカップ以来となる先頭でのゴールシーンを見せてほしいところ。今回は小林俊彦騎手で臨む。
地元筆頭は、前走芝のかきつばた賞を僅差で制したボスアミーゴ。07年のOROカップではコスモバルクに4馬身差と完敗の2着だったが、今回はどこまで差を詰められるか。6戦5勝という得意の芝2400メートルの舞台なら逆転もあるかもしれない。
メイセイオペラ産駒ながら、なぜか芝が得意なカネショウエリートもそれほど差はない。かきつばた賞は早め先頭で粘ったが、惜しくもボスアミーゴのハナ差2着だった。
南関東から3頭が遠征してきたが、馬券にからめそうなのはカクテルラウンジだけだろう。昨年3歳時には、盛岡芝のオパールカップを制した経験がある。
ソーユアフロストは、盛岡の芝は今回が初めて。中央時代は芝で準オープン勝ちがあり、昨年の北上川大賞典3着など距離にも実績があるだけに、上位に食い込んでくる可能性は十分。
◎コスモバルク
○ボスアミーゴ
▲カネショウエリート
△カクテルラウンジ
△ソーユアフロスト
これといって抜けた馬がなく、大いに悩むメンバー構成。ならば下級条件戦でも高知で連勝中のファンドリコンドルから狙ってみる。高知は下級条件でも、そのクラス以上の力を持った馬が少なくない。この馬は中央では500万で頭打ちだったが、昨年はメイショウサムソンの帯同馬としてフランスに遠征し、現地のGIIに出走した経験がある。高知に移籍してからは、格上挑戦だった1600メートルのA1特別で惨敗しているが、抜けたメンバーのいないここなら勝負になるだろう。園田に遠征した近畿・中国・四国地区交流でも勝っていて、遠征も問題ない。
迎え撃つ福山勢ではジューシーに期待したい。昨年11月29日にA3特別を制して以降、さすがにダートグレードでは勝負にならなかったが、地元福山では8戦して7連対と安定した成績。中央時代は短距離を中心に使われていただけにこの距離は歓迎だろう。
本来なら福山の大将格であるはずのナムラベンケイだが、そもそも短距離では力を発揮できない上に、他馬より3キロ以上重い58キロではいかにも厳しい。がんばって連下まで。
サムライランボーは、昨年の福山菊花賞を制し、今年の福山大賞典でも2着。福山に来てからは長いところで結果を出しているが、もともと大井では1200〜1400メートルで好走していた馬。一発があるならこの馬。
◎ファンドリコンドル
○ジューシー
▲ナムラベンケイ
△サムライランボー