園田で「楠賞」といえば、古くからのファンなら迷うことなく「全日本アラブ優駿」と続いて口を突くことだろう。しかしアラブの廃止にともない、この楠賞も04年からサラブレッドのレースとなった。
アラブのメッカ・園田を代表するレース名で、その印象があまりに強いため、この楠賞というレース名も永久欠番的な扱いにしてほしかったと思うファンも少なくないのではないか。
今回は7頭立てとやや寂しいメンバー構成で、純粋なオープン馬はジョイーレのみ。実績ではこの馬が断然で、別定重量は上下5キロの差がついた。
とはいうものの、オープン下のクラスや準オープンで連戦連勝という馬がいるわけでもなく、この程度の斤量差ならジョイーレの圧勝となりそうだ。昨年の3歳時はこのレースで1番人気に推されながら、古豪ロードバクシンにクビ差で屈した。昨年10月の姫山菊花賞以来1年以上重賞タイトルから遠ざかっているため、格下メンバー相手のここで確実に勝っておきたいところでもあろう。
相手筆頭はスマイリングフィル。重賞勝ちこそないものの、遠征した昨年の東海ダービーは2着。その昨年後半は休養し、年明けとともに復帰。A2〜A1では一度も掲示板を外さない安定したレースを続けている。
ギャランティビートもこのメンバーなら上位を争えそう。3連勝で臨んだ昨年の楠賞は3着。この馬も今年5月以降はここまで6戦して掲示板を外さない堅実なレースを続けている。ちなみに父はアブクマポーロ。ジョイーレの父メイセイオペラとは、ダートグレード戦線で中央勢を相手にせず、地方の黄金時代を築いた同士。その産駒同士の叩き合いも見てみたい気がする。
あとはドリカムジャガー。格付けでいえば、ジョイーレ以外でオープン(S級)なのはこの馬だけ。今年のはじめ頃はA1で連勝していただけに、ジョイーレ以外のメンバーには楽勝しても不思議はない。しかしオープンに入ってからは3着が1度あるのみで、勝ち負けにはからめていないのが気になるところ。
馬券的には、ジョイーレからではオッズを見て絞る必要がありそうだ。
◎ジョイーレ
○スマイリングフィル
▲ギャランティビート
△ドリカムジャガー
新設された盛岡芝2400メートルのきんもくせい賞。
盛岡芝の2400メートルといえば、サイレントグリーン。1600や1700メートルの芝では一度も勝ったことがないのに、2400メートル限っては9戦7勝、2着3着各1回という抜群の成績。前走のパンジー賞では、4コーナー最後方で外に押し出される不利がありながら、ゴール前猛然と追い込んできっちり差し切り、この舞台での勝負強さを見せつけた。
対するのは3歳のボスアミーゴ。前走OROカップは2着だが、勝ったのがコスモバルクでは仕方ない。今回初めての経験となる2400メートルでどんなレースを見せるか。
どちらをとるかだが、世代交代の期待をこめてボスアミーゴを頭で狙ったみたい。
両馬とも中団からじっくりレースを進めるタイプだけに、互いに牽制しあって伏兵が逃げ残るという展開があるとすれば、9月の桂樹杯で両馬を斥けているナイキアヘッドか。
ただオッズ的には馬単1点で勝負するしかないような気はするが。
◎ボスアミーゴ
○サイレントグリーン
△ナイキアヘッド
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高知では古馬による1900メートルの珊瑚冠賞。
と、その前に、赤岡修次騎手がスーパージョッキーズトライアルで総合優勝。12月1、2日にJRA阪神競馬場で行われるワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)の地方代表騎手となった。
高知では、ここのところエスケープハッチやヒカルサザンクロス、オースミレパードなどの話題もひと段落な感じだっただけに、これは久々に明るい話題。
01年にWSJSで総合優勝を果たした佐賀の鮫島克也騎手は、今でこそ息子さんが中央で活躍していたり、本人もその後中央での騎乗機会が増えるなど、地方のトップジョッキーとして知られる存在になったが、当時WSJSに出場が決まったときは、中央の競馬ファンにはほとんど馴染みがなかった。赤岡騎手にもぜひがんばってもらい、ハルウララだけではない高知競馬をぜひアピールしてほしいところ。
さて、珊瑚冠賞だが、前走オッズパークグランプリ・トライアルのオパール特別を7馬身差で圧勝したサンエムウルフが中心。昨年10月に高知に転入し、いきなり県知事賞制覇。以来、高知では一度も掲示板を外していないという堅実さも光る。
相手は一長一短で難しいが、赤岡騎手のトサローラン。夏に建依別賞を制して以降は3、4、4着と今ひとつの成績だが、復活に期待したい。
オパール特別2着のオリジナルステップ、同3着のマリスブラッシュあたりが押さえになるが、サンエムウルフからではオッズ的にどこまで手を伸ばせるか。
◎サンエムウルフ
○トサローラン
▲オリジナルステップ
△マリスブラッシュ
10月12日に笠松で行われたジュニアクラウンは笠松所属馬のみで争われたが、その後現在では地方・中央ともにインフルエンザの陽性馬がゼロとなり、ゴールドウイング賞は地元名古屋6頭、笠松6頭の対戦となった。
しかし今年は、やはり馬インフルエンザの影響があるのか、出走12頭のうち7頭が未勝利馬というやや寂しいメンバー構成。
そんな中、目をひくのはデビューから2戦2勝のアジュディサクセス。2戦ともにスピードの違いを見せつけての逃げ切りだが、初戦がただがむしゃらに逃げて最後はややバテた感じで差を詰められたのに対し、距離が1400メートルに延びた2戦目は、3〜4コーナーで後続を引きつけ直線で突き放すという余裕のある勝ち方だった。それでも直線では、しっぽを振ったり、頭を振ったりで、子供っぽいところを見せていた。それだけに、まじめに走るのを覚えれば、将来楽しみな存在になるだろう。
相手にはもう1頭の2勝馬、ビガール。ここまで4戦2勝、2着1回。1400メートルを2度経験し、持ちタイムではアジュディサクセスを上まわる。
笠松所属馬ではアイドルメンバーに期待してみたい。ここまで未勝利だが2着は3回。北海道から笠松に移籍し、すでに9戦しているが、掲示板を外したのはデビュー戦のみ(7着)と堅実に走っている。父はダービーグランプリ、川崎記念、第1回のJBCクラシックと、地方ばかりでGIを3勝したレギュラーメンバーということでも注目したい。
◎アジュディサクセス
○ビガール
▲アイドルメンバー
ところで、笠松・ジュニアクラウンのエントリで、「カルラネイチャーの産駒はおそらく毎年一桁だろう」と書いた。が、ちゃんと調べたらこれは大きな間違いだったので、ここでお詫びし、訂正しておく次第。
ジュニアクラウンを勝ったチェイリュイと同じ今年2歳の世代は、なんと39頭に種付けされ、26頭の産駒が生まれ、そのうち23頭もが血統登録されていた。
実はこの世代は突出して産駒が多いのだが、これは99年に生まれた3世代目の産駒から、03年の道営2冠に加え道営記念まで制したビックネイチャーが出たからだ。その03年はカルラネイチャーの種付はゼロになっていたのだが、ビックネイチャーの活躍によって、翌年には種付が39頭まで飛躍的に伸びたというわけだった。
カルラネイチャー産駒は、通算で56頭がデビューし、そのうちなんと47頭もが1勝以上を挙げているというきわめて高い勝ち上がり率(10月15日現在)。質の高い牝馬にコンスタントに種付けがされていれば、もっと活躍馬が出たのではないかと思うのだが。
金沢3歳重賞の最終戦、サラブレッド大賞典。
春の北日本新聞杯を制したフアンノネガイはそれ以来出走がなく、同2着のブルーアロハは9月17日の3歳A1戦で4着に敗れたからなのか、ここには出走してこなかった。
重賞路線を戦ってきた馬たちでは、北日本新聞杯、MRO金賞ともに3着のダブルアーチャーが実績上位で、マルハチヘラクレス、マツノショウマなどが続く。これらに対し、新興勢力がどのくらいの力関係にあるかが予想のカギとなりそうだ。
ただ新興勢力にこれといった目を惹く活躍馬がないため、既成勢力からマツノショウマを中心にする。1月には笠松に遠征したゴールドジュニアでマルヨフェニックスを破って勝利した実力の持ち主。9月3日の3歳A1特別を勝ち、前走古馬A2特別は6着だったものの、サムソンリンリンなどトップクラスの古馬を相手に先行し見せ場をつくった。
相手には、近走勝ちきれないものの金沢勢同士なら常に安定した成績を残しているダブルアーチャーに、MRO金賞6着後、3歳のA2、A1を連勝しているマルハチヘラクレス。
結局、既成勢力組が上位になってしまった。新興勢力からは、中央から移籍後8戦連続連対のテンエイカムカム。前走人気薄ながらダブルアーチャーをハナ差で退けたエバータイムまで押さえる。
◎マツノショウマ
○ダブルアーチャー
▲マルハチヘラクレス
△テンエイカムカム
△エバータイム
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九州大賞典(佐賀)トライアルの九州記念は、前日の九州ジュニアグランプリ同様、馬インフルエンザの影響ということで、荒尾所属馬だけでのレースとなった。それだからなのか、賞金も当初の予定よりも下げられたようだ。
前走、このレースのトライアル、サファイアカップから臨むのが、9頭中8頭。そのトライアルを逃げ切ったのは、中央500万から転入緒戦のエアラニアだった。ただ、父はアグネスワールドで、中央時代は1400メートルを1度使った以外はすべて1200メートル以下。前走勝ったとはいえ、500メートルの距離延長だけに疑ってかかる必要がある。
ここは唯一の別路線組、テイエムデウスを狙う。昨年の九州記念は1番人気ながら7着に敗れ、この馬も距離的に2000メートルは長い印象はあるが、2000メートル戦でも勝利経験がある。2カ月ぶりの実戦だが3連勝中と好調なのを評価する。
相手にはエアラニア。
トライアル3着だったシンボリスナイパーは、これが休み明け叩き2戦目となり、岩手時代の力が戻ればここで勝ってもおかしくない。
勝ち星からは1年以上遠ざかっているが、常に上位を確保する安定した成績のノースダンシングを押さえる。
◎テイエムデウス
○エアラニア
▲シンボリスナイパー
△ノースダンシング
九州ジュニアグランプリは、まだ馬インフルエンザの影響が残っているようで、地元荒尾在籍馬のみで争われることになった。
やはり中心はトライアルの若駒特別で後続を離して勝利を争ったスズナリジッコウとコトブキムーンだろう。その若駒特別では、スズナリジッコウは差のない3番手追走から直線抜け出し。コトブキムーンは後方を追走し、向正面からおっつけどおしも直線よく伸び、勝ったスズナリジッコウに3/4馬身差まで迫った。距離が100メートル伸びる今回、コトブキムーンに逆転の可能性ありと見る。3着以下には6馬身も差をつけていることから、この2頭の力が抜けていると見てよさそうだ。
別路線組では、デビュー3戦目での初勝利が好タイムで7馬身差の圧勝となったテイエムワッゼエ。当初はJRAに入厩し、父テイエムオペラオーと同じ岩本市三厩舎からデビューする予定だった期待馬。ここで素質開花となるか。ちなみに「ワッゼエ」とは、鹿児島弁で「すごく」とか「すごい」という意味らしい。ちなみにもう1頭のテイエム「キバレー」は、「がんばれー」らしい。こっちはなんとなくわかるか。
そしてデビューから2連勝後の若駒特別では1番人気に押されるも見せ場なく7着に敗れたブルーダイマサだが、まだその一戦だけで見限るわけにいかない。
◎コトブキムーン
○スズナリジッコウ
▲テイエムワッゼエ
△ブルーダイマサ