当初、水沢で行われていたマーキュリーカップが盛岡に移って以降、ダートグレードが水沢で行われることはもうないのかも、と思っていた。それにつれて水沢競馬場に取材に行く回数も極端に減っていたのだが、第1回から盛岡で行われていたクラスターカップが水沢で行われることになるとは。
1200メートルと1400メートルでは、距離が200メートルしか違わないものの、レースの性格はかなり違うように思う。1200メートルあたりまでは、道中ほとんど息を入れず、展開もほとんど関係なく、単なるスピード勝負になるのだが、これが1400メートルになると流れがガラリと変わる。
そのあたりが今回の見どころになると思うのだが、まさに1400メートルからマイルあたりまでがベストというメイショウバトラーが出走してきた。前走、7月4日の川崎・スパーキングレディーカップJpnIIIを勝ったときから高橋成忠調教師は「今年は佐賀ではなく水沢へ」と明言していた。
どちらかといえば1200メートル以下のほうがいいアグネスジェダイが58キロ、11歳のノボトゥルーが59キロなのに対し、メイショウバトラーは55キロ。その上昨年もこの夏の時期に調子を上げて連勝しているとくれば、メイショウバトラーに死角はない感じだ。地方競馬もさまざまなコースを経験しているだけに、初コースだからという心配もないだろう。
前日に行われる同じ距離の佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIに出走する中央勢が、ディバインシルバー以外はダートグレードでの勝ち星がない、やや格落ちのメンバーなのに対し、こちらには3頭とはいえダートグレードでの活躍馬が集まった。
さらに対照的なのは、サマーチャンピオンのほうにはもう少しでダートグレードのタイトルに手が届きそうな東海勢が遠征したのに対し、こちらに遠征してきた東海勢は、勝ち負けにはかなり厳しい感じだ。
というわけで馬券は、メイショウバトラーとアグネスジェダイの馬連複と、メイショウバトラー頭の馬単がいくらつくだろうかと悩むところ。
地元勢ではやはりテンショウボスだが、1200メートルの早池峰賞を勝っているとはいえ、1400メートル以下の経験がそれほどなく、いきなり中央勢のペースについていくのは厳しいだろう。△は3頭挙げたが、あくまでも3連単の3着候補。
今年の夏もかなり暑いだけに、よほど体調を崩しているとか、落馬や大きな不利などのアクシデントでもない限り、上位2頭の決着は動かしがたい。
◎メイショウバトラー
○アグネスジェダイ
△テンショウボス
△ノボトゥルー
△ケイアイダンシング
昨年の船橋・クイーン賞GIII(JpnIII)に続く、地方のダートグレードとしては2つ目のハンデ戦。今年はさらに12月26日の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIもハンデ戦となっている。
JpnIIIならもう少しハンデ戦が増えてもいいように思う。地方馬が勝てる可能性が大きくなるという贔屓目もあるが、それ以上に馬券の妙味が増す。これまでだと地方で行われるダートグレードでは、中央馬に、地方馬1〜2頭くらいしか馬券の対象にならないというようなことも少なくなかったが、ハンデ戦なら多くの馬にチャンスが広がる。
今回のサマーチャンピオンは上が56キロのディバインシルバーで、下は地方馬4頭が52キロ。もうちょっとハンデ差がつかないと馬券的にはおもしろくないような気もするがどうだろう。
たとえば仮にGI馬とかが出てくれば、58キロとか59キロになるだろうからGIII勝ちのあるディバインシルバーが56キロなのは仕方ないとして、下は50キロくらいにしてもいいと思うのだが。
ダートグレード勝ちがあるのは、中央勢でもディバインシルバーのみ。ピークは過ぎた感じで、04年11月の笠松・全日本サラブレッドカップGIII以来勝ち星がない。連対したのもちょうど1年前の盛岡・クラスターカップGIIIがいちばん最近のもの。
ならば中心は名古屋のキングスゾーン。昨年の彩の国浦和記念GIIも、今年のさきたま杯JpnIIIも、もうちょっとのところで勝てたというレース。そろそろこの馬に順番がまわってきてもいいだろう。
中央勢ではオフィサーとライラプスに可能性がありそう。ディバインシルバーもいつ走るかわからないようなところがある上に、今回のメンバーなら勝負になってもおかしくないので一応押さえておく。フサイチホクトセイは、これまで芝のレースしか使っていないため切る。
◎キングスゾーン
○オフィサー
▲ライラプス
△ムーンバレイ
△ディバインシルバー
△ザオリンポスマン
ところで、ライラプスの鞍上は鮫島良太騎手。佐賀でも親子対決かと思ったところ、残念ながらサマーチャンピオンには父の鮫島克也騎手に騎乗馬がない。なんとも残念なところではある。