オグリキャップ記念に向けた古馬による一戦。名古屋からの出走がレッドストーンとストロングライフの2頭のみ。レイナワルツをはじめマコトサンゴ、クルセイズと、牝馬の一線級が5日の船橋・マリーンカップGIIIにまわってしまったのだから、これはしかたない。
狙うのは、ズバリ、エンシェント。2〜3歳時は重賞戦線で好走していたが、その後は条件クラスで勝ったり負けたり。しかし昨年後半から調子を上げ、久々の重賞出走となった大晦日の東海ゴールドカップでは堂々1番人気にこたえて快勝。梅見月杯ではアラブのキジョージャンボに敗れたが、このメンバーに入れば実力は上位だろう。
エンシェントの母カネミボンバーは、実はぼくにとっては思い出の1頭なのだ。
カネミボンバーは、94年のダービーグランプリに出走していた。ダービーグランプリといえば、今でこそ中央と交流のGIだが、当時は地方のみの全国交流で、水沢競馬場で行われていた。
現地まで観戦に行ったぼくは、前夜、普段よりかなり気合を入れて予想をした。その結果、本命は牝馬だがカネミボンバーとした。人気はそれほどなく、最終的には6番人気だったのだが、自信はあった。単勝勝負でガッツリ買い、枠連(当時、馬連はまだない)を何点か流した。
来た!カネミボンバーが直線、内から馬群を割って伸びてきた。しかし、外から伸びてまとめて差し切ったのは、地元岩手、菅原勲騎手のブラッククロスだった。
カネミボンバーは1馬身差の2着。枠連の相手にブラッククロスは……持ってない。
実はこの年、ダービーグランプリの前哨戦、不来方賞も盛岡まで見に行っていた。そこでブラッククロスが勝つのを見ていたのだが、どうにも強さは感じられず、この程度のレースぶりではダービーグランプリではいらないなと決めつけていたのだった。
水沢コースで実績のないブラッククロスは7番人気で、枠連4130円もついた。
「人気薄が本命なら総流しだろう」とか、「交流レースは馬の実力に関係なく地元のトップジョッキーは押さえる」とか、自分なりに経験から得ていたセオリーをつぶやいてみたが後の祭り。
せっかく穴馬に目をつけておきながら、まったく馬券にならなかったという悔しい思いは今でも忘れない。
というわけで、本命エンシェント。
相手には、前々走姫路に遠征して六甲盃をレコード勝ちした名古屋のレッドストーン、正月の名古屋記念でレイナワルツの2着したロングランナー、昨年のオグリキャップ記念でクビ差2着のタワリングドリームを取り上げる。
エンシェントから総流しは、さすがにしない。