奈良競輪場で行われた大阪・関西万博協賛競輪GIIIで優勝をした大矢崇弘選手(東京107期)にお話を伺いました。
大津:奈良GIII優勝おめでとうございます。
大矢:ありがとうございます。
大津:少しお日にちが経ちましたがお気持ちはいかがですか。
大矢:直後は実感が湧かなかったのですが、地元に帰った時やレースに行った時に周りの方々から「おめでとう」って声をけっこうかけてもらって嬉しかったです。
大津:やはり反響は凄かったですか。
大矢:そうですね、色々と連絡がきたし、他の人たちから褒められすぎたので居心地が悪かったです。
大津:先日まで取手記念(GIII)を走っていましたが、そこでの周りの反応はどうだったんですか。
大矢:記者さんから話も聞かれるしけっこうプレッシャーにもなりました。
大津:ご自身も走る中で変化はありましたか。
大矢:レースもそうですし、練習の中でも普段とは違う緊張感が出るようになりましたね。競輪選手ってオフシーズンもなくずっと走っているので、どうしてもマンネリの部分が出てきてしまうのですが、その中でピリッとした部分が出てきたので良かったと思います。
大津:奈良GIIIは追加でしたが連絡はいつ来たのでしょうか。
大矢:伊東を走ってた最終日です。その辺りで追加は入るかなぁって思っていたので、そんなに急だなって感じはなかったです。
大津:奈良は過去優勝もしていましたが印象はありましたか。
大矢:奈良っていうよりも333が嫌いではないので苦手意識とかはなかったです。333のほうがなんとなく成績が良い感じがするんですよね。
大津:それは大矢さんの戦法が、ハマるということなんですか。
大矢:うーん、単純に333は自力型が有利なんだと思います。昔はあまり考えていませんでしたが、最近は後手に回らないレースを心掛けています。
大津:7車と9車で違いを感じる部分はありますか。
大矢:9車のほうが走りやすいですね。凄く縦足のある選手は7車のほうが良いのでしょうが僕はそういうタイプではないので9車で色々と動きがあるレースのほうが僕は得意です。
大津:7車立ての二分戦とかですと、どっちかが逃げてどっちかが捲って、のレースになってしまいますもんね。
大矢:そうですね、ちょっとどうしようもないなって時もありますね。
大津:初日から細切れ戦で大矢さんの前々の意識を感じたレースでした。
大矢:とにかく勝ち上がらないといけませんからね。5着権利というのもあって、前に前にという思いでいました。
大津:(大矢さんは初日5着)5着と6着じゃ全然違いますもんね。
大矢:はい、危なかったです。それは周りにもけっこう言われました。「良かったなぁ、5で」って。
大津:振り返ると初日が一番ギリギリでしたもんね。
大矢:そうですね、あそこで負けてたら何もなかったですからね。
大津:走ってみて感触はどうだったんですか。
大矢:最近はずっと調子は悪くないなって思ってました。そのままの調子だったんで悪くなく踏めたかなって感じました。
大津:調子が悪くないっていうのは思い当たる節はあったのですか。
大矢:練習の感覚も良かったですし、レースでも調子が悪い時は勝負所じゃないのにしんどくなってきたりしてたんですが、すごい楽に走れていたので調子いいなって思いました。
大津:2走目もそうでしたが、準決勝戦の走りが特に印象的でした。
大矢:あれは佐藤一伸さん(佐藤一伸選手・福島94期)が仕掛けてくれたからっていうのもあるんですけどね。それに釣られて自分も仕掛けることが出来ました。佐藤さんが良い目標になって、それを追いかけることが出来たので展開的にも良かったです。本当は自分が仕掛けた時に、どこか前々の位置に入れたらって思ったのですが、どこも入れるところがなかったので、もういいや行ってやれって感じで行ったら結果的に良かったって感じです。
大津:道中、中井俊亮さん(中井俊亮選手・奈良103期)と絡まなければ頭まで突き抜けていたんでしょうか。
大矢:あの一発も痛かったですし、今期一回失格してるんです。最後佐藤さんを捲るときに本来だったらもうちょっとグッと内側に押し込みたかったんですが、もう一回失格してしまったらヤバいなって頭によぎって、あまり厳しくいけずに2着になったってのもありますね。失格しちゃうとA級になってしまうので、ほんとは内側に佐藤さんを下す感じで捲って行きたかったんですが、それが出来なかったですね。
大津:準決勝戦、決勝戦と単騎でしたが一人でやることは特に苦にはされてないのでしょうか。
大矢:嫌いではないです。でも、単騎の成績が良いかって言われたらそんなことはないです。
大津:決勝進出が決まった瞬間はどんな思いでしたか。
大矢:すごい嬉しかったです。FI含めて決勝戦は数年乗ってなかったので。
大津:メンバー出揃った時はどのような印象を受けましたか。
大矢:まぁ、チャンスは無くはないかなって感じでした。単騎というのはすぐに決めました。
大津:僕らは「誰が逃げるんだろう」と悩んでいたのですが、大矢さんはどのように考えていたんですか。
大矢:僕もあんまりイメージが出来なかったので作戦とかもそんな考えてなかったんです。レースが始まった時は、松岡君(松岡辰泰選手・熊本117期)が行くのかなぁとは思ったんですが、すかさず先行するって感じではなかったので内をしゃくって中団まで行きました。
大津:では、初手の位置などは特にこだわってはいなかったんですね。
大矢:考えてなかったです。その時々の展開で後ろにならないようにって考えていました。
大津:まさに流れの中で中井選手(中井太祐選手・奈良97期)の後ろを上手く追走する場面がありました。
大矢:あれも結果的に中井さんが行ってくれたから自分も付いていけたっていう感じです。流れは見えていましたし、身体も勝手に動いてくれました。
大津:それは先ほど仰った調子が良かったっていうお話に繋がってくるんでしょうか。
大矢:それは間違いないですね。身体が勝手に反応出来るっていうのは調子が良いってことだと思います。
大津:最後の2コーナー辺りから捲っていった感触はいかがでしたか。
大矢:これは捲り切れるなってなって、頭の中で「あれ?優勝?いやいや、でも2着3着はあるかな」って意外と冷静に考えてました。
大津:松岡選手も粘っていましたし、最後は真後ろに元砂選手(元砂勇雪選手・奈良103期)もいましたが全部見えていましたか。
大矢:元砂が内にいるのは分かってなかったです。
大津:ゴール前はいかがでしたか。
大矢:「あっ、いける、これ優勝だ」って思いました。
大津:S級初優勝のゴールでしたが、ゴールの瞬間は覚えていらっしゃいますか。
大矢:よっしゃあ!っていうよりも、うわぁ優勝しちゃったわぁみたいな感じで信じられないというか、良いのかなぁみたいな感じでした。
大津:喜びが大爆発とかじゃないんですね。
大矢:競輪祭(GI)も出られるなとか色々考えて、むしろ焦るというかそんな感じでした。
大津:優勝インタビューでも落ち着いていたように感じます。
大矢:意外と冷静でした。競輪祭にも出られることになったのに、今のままじゃまずいよなぁとか。喜びよりも先にこの後に待ち受けることに対しての現実的なことを考えてました。次の開催行っても色んな人に色々言われるの嫌だなぁとか、帰りのタクシー呼んじゃってるけど間に合わなくて迷惑かけちゃうけどどうしようとか変な心配事ばかりしていました。
大津:帰りの車内とかで一人になった時に喜びに浸ったりとかもなかったですか。
大矢:それはありましたね。スマホに沢山連絡が来てて、「優勝って良いな」ってなりました。これを機にまた色々と頑張れるなって思いました。
大津:優勝したご褒美や打ち上げなどはされましたか。
大矢:打ち上げはこのあとする予定です。周りの人にも言われるんですが、ご褒美とかも買ってなくて、これから考えようかなって思ってます。
大津:大矢さんはご家族はいらっしゃいますか。
大矢:はい、結婚してて子供もいます。実は優勝した一週間後に2人目の子供が生まれたんです。なので終わったあともかなりバタバタしていて忙しかったです。
大津:大矢家としては嬉しさが重なり合った6月ですね。
大矢:そうですね、色々と良いことが起き過ぎていて逆に心配です。
大津:GIも決まりましたし、パパとしてもこれからもっともっと頑張っていかないとという思いもあるんじゃないでしょうか。
大矢:先ほども言いましたが競輪選手ってモチベーションを維持し続けるのってなかなか難しいものがあるんです。それが今回のことで一層高いモチベーションでやれるような気がします。
大津:今後の目標を教えてください。
大矢:S級1班を取ることです。
大津:話は変わるのですが、大矢さんピアノもお得意なんですか。
大矢:そうですね、今もたまに弾きます。
大津:どういう経緯でピアノを始めたんですか。
大矢:兄と姉がいるんですが、その二人がやってて小学校一年生の時に僕もやりたいって言ったみたいです。小学校までしかやっていなかったんですが中学校の時は合唱コンクールとか卒業式とかで弾いたりしていました。
大津:それでいて野球では甲子園に出場されていて凄い方ですね。
大矢:まぁ、そこそこは出来るほうだと思います(笑)
大津:ピアノと競輪が結びつく部分などはありますか。
大矢:リズム感ですかね。スポーツ全般に言えることだと思いますが色んな場面で役には立っています。
大津:では最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いいたします。
大矢:今後も車券にどんどん貢献できるよう一生懸命頑張るので応援してください。インパクトを残せるように頑張ります。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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