124期の卒業記念クイーンとしてデビューした松井優佳選手(大阪124期)。注目を集める中でのここまでのレースの振り返りと、この後に行われる『ガールズフレッシュクイーン』へ向けての意気込みを中心に伺いました。
山口みのり:松井選手は自転車経験が長いそうですが、いつから始めたんですか?
松井優佳選手:初めて自転車に乗ったのは小学校4年生でトライアスロンを始めたときでした。私は走るのが遅かったのでそこまでトライアスロンは頑張ってはいなかったんですが、それをきっかけに自転車の大会に出るようになりました。
山口:プロフィールには、中学時代に自転車競技をしていたと記載がありましたが部活でやっていたんですか?
松井:いえ、トライアスロン教室で自転車をメインに、その時は水泳も走りもやっていました。
山口:ガールズケイリンとの出会いはいつ頃ですか?
松井:私が中学校1年生の時にガールズケイリンが復活し、京都向日町競輪場に見に行きました。そこでガールズケイリンと出会い、そこから存在はずっと知っていました。
山口:高校は自転車留学で、鹿児島へ行かれていたんですね。
松井:はい、下宿先もあり環境の整っている学校があったので、3年間鹿児島にいました。鹿児島は田舎なので、自転車以外なにもすることがなくて(笑)高校3年間はひたすら自転車を頑張っていました。
山口:そこからすぐプロの道へ、とはならなかったんですね。
松井:自転車へのやる気は高校3年間で全部出し切ってしまい、すぐプロへ行く覚悟がなかったんです。なので大学へ行って他の道も考えてみよう、それでも選手になりたいと思ったらまた目指そうと思って大学へ進学しました。
山口:大学時代は、どの辺りからプロを意識しましたか?
松井:1、2年生の時はほとんど自転車には乗っていませんでした。「このまま自転車をやめるかもな」と考えていた時期もあったんですが、3年生になる春休みにコロナ禍に突入しました。そんな中、鹿児島国体の開催が2020年に決定していたのを思い出し、そこへ向けて再度自転車の練習を再開し、国体で引退しようかなと鹿児島に戻り練習を始めました。でも結局は国体が延期になってしまい、自転車をやめるタイミングがなくなってしまいました。でもガールズケイリン選手になれば、延期になった鹿児島国体に出場できるかなと思い、選手になろうと思いました。
山口:お話を伺っていると、やめるタイミングを探していたように思えました。
松井:そうですね、鹿児島国体は高校時代から意識はしていたので延期になった時は「どうしよう」と思ったんですが、選手になれば同じ練習をしつつ職業としてお金を稼ぎながら鹿児島国体にも出られると、自分の中で「しっくりきた」ので、目指そうと思いました。
山口:いろんな選手になりたいと思う形があるんですね。では養成所時代はどんな意識で過ごしていましたか?
松井:プロになったら鹿児島国体で活躍できるかなと思って養成所に入ったんですが、養成所時代は毎日が練習でいっぱいいっぱいになってしまい、正直、鹿児島国体のことまで頭が回らないくらい練習に一生懸命でした。なのでどちらも中途半端にならないように、まずはプロの選手としてきちんとデビューできるように頑張ろうと練習をしていました。
山口:一旦、養成所の訓練に集中したんですね。
松井:はい。でも自転車に乗って練習をすることは、プロへ向けても鹿児島国体へ向けても一緒なので、競輪選手として強くなってデビューできれば、国体でも活躍できると切り替えていきました。
山口:卒業記念レースで完全優勝されたので、デビュー前から松井選手は注目されていたと思います。周りの反応やご自身の思いはどんな感じだったんですか?
松井:プレッシャーがありました。完全優勝は嬉しいんですが、それを達成したことが自分にとってプラスにならなかったかもしれません。
山口:自分の思った以上に注目されてしまったんでしょうか。
松井:そうですね。今までも大学でインカレ優勝やインターハイ優勝をしたことはあるんですが、卒業記念レースの件は、新聞に大きく掲載してもらったり注目のされ方が今までとレベルが違って驚きました。それでびっくりして荷が重かったですね。
山口:オッズにも反映されますもんね。
松井:デビューしてすぐでも、ルーキーシリーズの競走得点が高かったこともあり、私よりも強い選手が他にいるのに、私が人気になっていたりするとすごいプレッシャーがありました。
山口:そこで「絶対勝つんだ」ではなく「大丈夫かな......」と思うタイプなんですね。
松井:そうですね。「負けたらどうしよう」という思いが最初は強かったです。最近は少し吹っ切れて走れているんですが、最初はきつかったです。
山口:レース内容や戦法もその気持ちがあらわれていたんでしょうか、最初は捲りや追い込みが多かったですが、最近は先行が主体でのびのび走れていますか?
松井:そうですね。最近は脚を使って自分でレースを組み立てるのを意識しています。ただ点数はデビュー当時よりはだいぶ落としてしまいました。すぐに結果が出せないかもしれませんが、長い目で見た時には今の戦法の方が良いのかなと思います。
山口:トップの選手を見ると「強い自力」というのは意識するんでしょうか。
松井:石井寛子選手(東京104期)や小林莉子選手(東京102期)の自在でとても強い選手も、実際、自力で走ったらめちゃくちゃ強いと思うんです。うまく走るだけではこの世界ではやっていけないと思うので、まずは脚をしっかりつけて、今後は幅広い戦法で走れるようにしたいです。
山口:デビューしてからここまで決勝にはコンスタントにはのっていますが、ご自身ではどうですか?
松井:決勝には上がれているんですが、なかなか決勝で確定版(3着以内)や優勝が遠いですね。まずは、決勝で先行して3着以内にコンスタントに入れたらなと思います。
山口:持ち味はなんでしょうか?
松井:大学までは、先行ではなく自在の走りで成績を残してきたので、今のような戦法ではなかったです。自分の気持ちの中では「自在でうまく走りたい」という気持ちはあるんですが、それは後からいくらでもできるので今はしっかり脚力をつけていきたいです。
山口:意識の変化は何かきっかけがあったんですか?
松井:師匠(陶器一馬選手・大阪86期)には、実はデビュー当時から「先行した方が良い」とずっと言われていました。でもなかなか実行できずに、500回くらい言われて(笑)ようやく今、ちょっとだけできるレースが増えてきたかなと思います。
山口:内容面で厳しく指導いただいてるんですね。
松井:レースで1着を取るのも重要ですが、着が悪くても自分でレースを作った方が褒めてくれます。なので、今は自分でレースを作っていくことを目標にしています。
山口:近況では逃げて確定版というのも増えていますよね。
松井:最近は最後に差されて2着というのが、ものすごく多いんですよ。負けず嫌いなので「やっぱり1着が欲しい」と思うんですが、今までは逃げて4、5着だったのが、今は逃げて2、3着とだんだん残れるようになってきたので、これを続けたら逃げ切れるかなと思って頑張っています。1着はものすごく取りたいんですけどね。でもここで前みたいな走りに戻すのではなく、今の走りで1着を取りたいので頑張っています。
山口:選手になっての一番の目標は何ですか?
松井:もちろんガールズグランプリも出場したいですし、地元の岸和田ではGIパールカップもあるのでそれに出場し優勝したいという目標もあります。でも私はすごく買い物が好きなので、たくさん稼いで自分の欲しいものをいっぱい買えるようにしたいです。
山口:プロですから賞金というのは魅力ですよね。以前もオッズパークプレゼンツのトークショーが立川競輪場で行われ松井選手も参加されましたが、その時も都内でお買い物をしたと仰っていましたよね。
松井:そうですね。自分の欲しいものが買えるように、たくさん稼ぎたいです。
山口:今の練習環境はどのような感じですか?
松井:岸和田は練習グループがある訳ではないので、その日バンクにいらっしゃった選手と一緒に練習はさせてもらっています。毎日来る選手は違いますし、脚質のタイプも違うのでいろんな選手に話が聞けて恵まれた環境だなと思います。
山口:男女関係なく、いる選手と一緒にするんですか?
松井:ガールズの選手はなかなかバンクには練習に来ないので、基本的には男子選手と一緒にさせてもらっています。
山口:今の強化ポイントはどこですか?
松井:もともとはダッシュが持ち味でそれをいかしてレースをしていたんですが、最近は先行をしているので地脚は強化をしたいです。ダッシュも練習をしているのでどちらも伸ばしていきたいですね。
山口:この後4月の高知記念最終日には『ガールズフレッシュクイーン』がありますね。立川のトークショーの時にはそこの出場を目標にしたいと仰っていましたが、選出された時はいかがでしたか?
松井:122期、124期と強い選手がたくさんいるので、私が優勝できるかはわからないですが、精一杯自分のできることをやって優勝できたら良いなと思います。
山口:メンバーを見ていかがでしょうか?
松井:畠山ひすい選手(北海道122期)も自力で強いですし、戦法も似ているのでもがき合いになるかもしれないですが、そこで怯まず自分も脚を使って魅せる走りができるように頑張りたいです。
山口:単発レースは昨年『ルーキーシリーズプラス』で走っていますが、いかがでしたか?
松井:あの時は優勝を狙いすぎて、しょうもない走りをしてしまいました。あの走りをしてしまうと結局後悔しか残らないので、今回はまずは出し切って、終わった後に納得できる走りをしたいです。
山口:500バンクは、デビューした宇都宮以来ですがその辺りは気になりますか?
松井:難しいです。実際にデビュー戦でも「500バンクは難しいな」と思いました。それからはレースで1回も走ってなくていきなり単発レースなので不安はありますが、レースの映像を見て研究し頑張りたいです。
山口:他の選手の映像やレースは見て対策しますか?
松井:そこまで詳しく見るわけではないです。地元の岸和田は400バンクなので、400バンクを走る時はそこまで映像をしっかり見ませんが、33バンクを走る時は見るようにしています。なので高知に向けては、どういうレースをしたら勝てるのか、他の選手のレースを見て研究をしたいです。
山口:アマチュア時代も500バンクはあまり走った経験はないですか?
松井:高校時代は以前の熊本競輪場の500バンクを走った事があります。でもガールズケイリンとは全く違いますし、それは全然プラスにはならないです。なので1から研究して頑張りたいです。
山口:ありがとうございます。では少しレース以外の話も伺います。先ほどから出ている立川競輪場でのトークショーはいかがでしたか?
松井:たくさんのお客様がいらっしゃって嬉しかったです。最近はミッドナイトが続いてお客さんがいない開催が多かったのでより感じました。実際に直接目の前に行くと、このお客さんたちが賭けてくれて競輪が成り立っているんだなと感じますし、応援してくれる人がいるのもすごく嬉しいです。私の車券を買ってくださっている方に、少しでもプラスになってもらえるように頑張りたいなと思います。
山口:地元の岸和田でもトークショーなどはありますか?
松井:はい、結構させてもらっています。お客さんはたくさん来てくれているので嬉しいですね。
山口:メディア取材などもガールズの選手は多いと思いますが、それは慣れてきましたか?
松井:そうですね。先日は密着取材があったので「プロのガールズ選手になったな」と感じました。
山口:先ほども新聞の記事の話も出ていましたもんね。
松井:はい、やっぱり全然違いますね。
山口:同期以外でも仲の良い選手はいますか?
松井:はい、同級生の藤田まりあ選手(埼玉116期)や山口伊吹選手(長崎116期)は高校時代から知っていて仲の良い選手です。先日も京王閣の後に藤田選手とはテーマパークへ遊びに行きました。
山口:同級生の二人は高校卒業で選手になったんですね。
松井:はい、二人が先にデビューして走っているのを見て、私もやってみようと思ったのもあり、今は一緒に走れてすごく嬉しいです。
山口:経験はお二人の方が積み重ねていますが「負けないぞ」という気持ちもありますか?
松井:そうですね。二人とも高校の時からライバルだったので、その気持ちはあります。二人とは経験が違うし強いので、今はライバルとは言えないかもしれないですが、負けないように頑張りたいです。
山口:今年の目標は何ですか?
松井:まず優勝をしたいです。あと、車券に貢献できる選手になれるように、です。
山口:ビッグレースへの意識はいかがですか?
松井:今年はまだ点数的には厳しいと思うので、一歩ずつかなと思って焦らず頑張りたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
松井:いつも応援ありがとうございます。昼間やナイターの開催でたくさん応援してもらえるのは凄く嬉しいです。SNSでも応援メッセージをたくさんいただけるのもいつも嬉しいです。これからも車券に貢献できるように、精一杯練習を頑張りますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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