名古屋競輪場で行われた共同通信社杯を優勝し、年末のグランプリ出場に向け弾みをつけた郡司浩平選手(神奈川99期)にお話を伺いました。
大津:共同通信社杯優勝おめでとうございます。
郡司:ありがとうございます。
大津:完全優勝を達成しました。お気持ちはいかがですか。
郡司:優勝できたことはうれしいですし、やっぱりかなりグランプリにも近づいたということで、本当にここがかなり大きな分かれ道になるんだろうなって思ってます。
大津:賞金ランキングの意識というのは、郡司さんの中では結構ありましたでしょうか。
郡司:自分自身ではまだGIも2つ残されてましたし、そこまで気にはしなかったんですけど、やっぱり周りの方からも言われることも多くて、共同通信社杯はGIIですけど、獲ればかなり賞金的には変わってくると思ってたので、優勝したことでかなり大きく前進できた気がします。
大津:青森記念から中3日での参戦でした。
郡司:ちょっと調整部分は疲れだったり難しいところがあったんですけど、その前の段階から共同に目標を置いてやっていたところもあったので、そこら辺の不安というのはなかったです。
大津:共同通信社杯は、郡司さんは相性がいいように思うのですがいかがですか。
郡司:そこまでは気にはしないんですけど、やっぱり自分の中でも何となくちょっとそういう相性いいなっていうのは競輪場とかによってもそうですけど、多少はなんかやっぱり頭のどこかにそういう意識はあるので、そういう面でいえば相性がいいという大会だなと思います。
大津:初日は自動番組の中で眞杉選手(眞杉匠選手・栃木113期)の後ろを選択されましたが、どのような経緯があったのでしょうか。
郡司:後ろに付いてくれる鈴木裕さん(鈴木裕選手・千葉92期)と話をして、空いてるなら全然付いてもいいんじゃないっていう風にも言ってくださいましたし、自分自身もちょっと行きたいなっていう気持ちもあったので、そういう話し合いの中で眞杉とも話をして、空いているようであれば付かせてもらっていいかなって眞杉に頼んで付くことになりました。
大津:眞杉さんからではなく、郡司さんからアプローチをされたのですね。
郡司:そうですね。周りの選手のコメントとかも、ちょっと気になってたところだったんですけど、そんな中で眞杉の後ろも空いてましたし、ちょっと自分自身も多少は悩んだ部分もあったんですけど、メンバーをパッとみた中で、自分自身が付いてみたいなって思ったので、そういう中での判断でした。
大津:この時の眞杉選手のリアクションとかっていうのは何かありましたか。
郡司:「ホントっすか」みたいな感じで「付いてもらえるなら嬉しいです。頑張ります。」っていう風な感じで対応してくれたので、僕もその中で何かスイッチが入ったっていうか、ラインとして決めたいなっていう気持ちが強くなりました。
大津:普段は敵として戦う眞杉選手ですが、どのような所に魅力を感じていたのでしょうか。
郡司:対戦は割と少ない方だったんですけど、先行選手としては本当にもうトップの魅力的な選手で、最後まで垂れないとかスピードが落ちないので、どういうペースで行けばああいうスピードが維持できるのかとか、先行の考え方だったりとか、そういうところは気になっていたので、聞いてみたかったり感じてみたかった選手だったので付いてみてプラスでしかなかったです。
大津:こういう連携の時はどちらが作戦を決めるんでしょうか。
郡司:基本的には前の選手の意見を聞いて尊重したい部分もありますし、自分が言えることっていうかアドバイスできることがあれば、こういう展開だったらこうしたほうが良いよとか、こうしたほうが多分もっとやりやすいんじゃないっていうような意見っていうのは伝えてはいます。
大津:レースは眞杉選手がしっかりと主導権を握っていきましたね。
郡司:もう本当に強いの一言でした。やっぱりかなりいい先行するなっていうか、自分じゃ真似できないような先行力でしたし最後のゴール前でもスピードが落ちないし、バックでかなりスピードも踏み上がっていく感覚があったんで、後ろに付いている選手からすると安心して付いていけました。
それにプラスして、後ろの選手も仕事をしやすいような先行だったんで、本当に何か残しやすいとか、ラインで決めやすいような先行力だなって感じでしたね。
大津:二次予選では脇本選手(脇本雄太選手・福井94期)を始め、かなり強力なメンバーとの対戦になりました。
郡司:やっぱり今は脇本さんがレースにいると、脇本さんを中心としたレースの組み立てになってますからね。二次予選であたるのは「早えなぁ」って思いましたけど(笑)
でもいつかは倒さないと勝たないと優勝とか上のレースに行けないですし、遅かれ早かれ戦って勝たなければいけない相手ですから。その前のオールスターでも対戦があったんですけど、あの時は完敗してしまったので、いかに対抗出来るかっていうところのメンバーでした。
大津:レースを振り返ってはいかがですか。
郡司:太田(太田竜馬選手・徳島109期)がかなり気っ風良くというか、もう腹をくくって、あの脇本さんが来る前に掛けてくれたっていうのもそうですし、ちょうど僕が行きたいタイミングで宿口さん(宿口陽一選手・埼玉91期)も仕掛けたので、そこで僕が無理やり、その外へ行ってもちょっと脇本さんの展開になってしまうなって思ったので、ちょっと我慢して、最後ゴール前勝負ってなってしまったんですけど、それが結果としてはうまく脇本さんを引きつけられて1着になれた勝因だったのかなって感じています。
大津:太田選手の掛かりも見極めないといけないですし、後ろの脇本選手の動向も警戒しなければいけない中で、かなりタフなレースにも思えるんですが。
郡司:勝つためには自分のことを考えて、なるべく脚力だったり、脚を削らないようにとかっていう部分で正直他の人のことを考えてる余裕はないんですけど、でもその中で脇本さんだったり、相手を倒すためにはどうしたらいいかっていうところで少し足を削られながらも、後ろを気にしたり、前の掛かり具合を気にしながらレース運びをしなきゃいけないレースでしたね。
大津:準決勝も快勝で無傷での決勝進出となりました。脚の感触としてはいかがだったんでしょうか。
郡司:状態としては、8月に落車があって不安を抱えながらの小田原記念だったんですけど、そこからちょっとフレームとかを変えてみて、今回3場所目だったんですけど、ちょっとずつ良くなっている所もありながら、もうちょっとだなっていう部分もありながら、ずっと迷いながらレースをしてたんですけど、今回の2日目にやっとなんか身体と自転車がしっくりきて、ちょっと踏む距離は短かったんですけど、これだったら3日目、4日目と長い距離も行けそうだなっていう手応えをかなり掴めたので、その中で準決勝を捲りで勝てたっていうのは大きかったです。
大津:心と体もマッチしてというような感覚ですか。
郡司:そうですね、自転車の面も不安なく、体もずっといい状態は続いてたので、かなり自信を持って決勝戦には臨めました。
大津:その決勝戦ですが、郡司選手、平原選手(平原康多選手・埼玉87期)、松浦選手(松浦悠士選手・広島98期)とレースの中で何でも出来る選手が揃いました。
郡司:いや、本当にみんな多分考えるようなことは同じだったと思うんです。
あとは僕が外枠っていうところもあったので、内枠の二人がかなり攻めやすいような組み立てになってしまうのかなっていうところで決勝戦は考えたレース運びをしました。
大津:最終日は台風の影響もありまして、かなりコンディションも良くはない中だったんですけれども、決勝戦を迎えるまでにレースを見ながら郡司さんの中でプランの変更などはあったんですか。
郡司:多少はありました。でも選手紹介でバンクを走った時に、先行して全然無理だっていう感じのバンクコンディションとは思わなかったので、これだったら先行してもいいところまで行けるなって感じました。台風云々というよりは、ああいう作戦っていうのは走る前からある程度自分の中では固まっていましたね。
大津:初手は後ろ攻めになって郡司さんからレースを動かしていったんですが、いつもより仕掛けが遅かったように見えたのですが振り返っていただけますか。
郡司:自分の中ではそこの切るタイミングだったり、切るスピードが一番の肝になってくるなと思ったので、ゆっくり切ってを出させてその上をもしかしたらカマされちゃうかもしれないとかって考えた時に、やっぱりああいう仕掛けの方が自分にチャンスあるんじゃないかなと思ってました。前へ出てからは、その時の自分の判断に任せたいなっていうところもあったので、前を切るタイミングやスピードだけを意識していました。
大津:先頭に立ってからは何度も後ろを振り返っていましたが何を確認されていたのですか。
郡司:前に出てからは自分のスピードや相手の動きを見て、ここからだったらゴール前まで勝負できるっていうようなところで掛けたかったので、踏み切れる位置からってのを確認する意味で後ろを見ていました。それでも行かれてしまうようであれば、前々に踏んでしっかり勝負圏のある位置にいたいと思っていたのでホームでは松浦も来ていましたけど自分の中では腹をくくって併せて先行するつもりではいました。
大津:掛かり具合としては、しっかり併せ切れるぞっていう感触はありましたか。
郡司:ある程度自分の中では余裕を持って走れましたし、バックに掛けてかなりスピードのノリも自分の中で踏み上がっていった感じもあったので、バックぐらいではもう少し我慢できるなというところの感覚はありましたね。
大津:最後はアクシデントもありましたが、決勝戦振り返ってはいかがですか。
郡司:アクシデントがあったので残念な面も大きいですけど決勝で南関でとか同県で3人並ぶっていうのはかなり心強くて、だからこそああいう思い切ったレースができたのかなって、本当にラインというものを大切にしていきたいなって思いました。
大津:こういう舞台で郡司さんは先行もあるぞ、と思わせるのは戦う相手にとって与える印象も変わってくるような気がいたします。
郡司:決勝戦もそうですけど、大きい舞台で先行するとなかなか優勝できなかったり、着が取れないっていうようなスピードレースになってきてるんですが、その中で気持ちを出したレースができたっていうのは今後に繋がってくるんじゃないかと思います。
大津:今年はグランプリの舞台が平塚というのも気合いが入るところじゃないですか。
郡司:やっぱりどこかでは、そういうところも意識してますし、現状少し苦しかったんですがその中で優勝できてかなりグランプリ近づけたっていうことは後半戦のレースを気持ち的には余裕を持って自信を持って臨めるかなと思います。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いいたします。
郡司:おかげさまで優勝することができました。まだ残りGIも2つあるので、そこを優勝出来るようしっかり精進していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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