2021年のGP王者としてのぞんだ今年初の大舞台。第37回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」を制した大阪の古性優作選手(大阪100期)に喜びの声を伺いました。
大津:全日本選抜競輪優勝おめでとうございます。
古性:ありがとうございます。
大津:GP王者として走る初めてのGI戦で優勝されたお気持ちはいかがですか。
古性:今年GP王者のユニフォームを着て走る中で、S級S班としての戦いをこの1年で終わりたくないなという気持ちが凄く強かったので一回目のGIで決められて安心したというかホッとしたって感じです。
大津:今までとは立場が違う中でのGI戦。ご自身の心境面で違いはありましたか。
古性:今年の和歌山記念はしんどいと思ったんですが、そこからの高松記念、奈良記念と今回のGIはいつも通りの気持ちで走れたと思います。
大津:高松記念できっちりと立て直しが出来た理由はありますか。
古性:昨年のGPを走るにあたっての調整の仕方で和歌山記念はよくありませんでした。
GPの調整の方法が僕の中では2通りありまして、1つはできなかったんですが、もう1つはグランプリには間に合うけど、その後のレースではしんどくなるかなっていうイメージでした。その影響もあり和歌山記念は成績は落ちてしまったんですが、その後は自分の中で上がってきたので良かったです。
大津:全日本選抜競輪を迎えるにあたっても良い状態でのぞめたのでしょうか。
古性:良い状態で迎えられるはずだったんですが、奈良記念が終わったあとに左足の肉離れを起こしてしまって、そこまで大きい怪我ではなかったのですが、最終仕上げはほとんど出来ずにGIを迎えました。
大津:若干の不安要素を抱えながら迎えたのですね。
古性:そうですね、筋肉を締めきれなかったって感じですね。
大津:初日は特別選抜予選からのスタートでした。振り返っていかがですか。
古性:平原さん(平原康多選手・埼玉87期)よりも先に仕掛けるようにしたかったのですが失敗してしまいました。(太田選手(太田竜馬選手・徳島109期)と離れてしまった)山田さん(山田庸平選手・佐賀94期)の動きが想定外で、そこからの判断が難しかったです。その際にすかさず追い上げてきた平原さんの動きは凄かったですね。
大津:後方から諸橋選手(諸橋愛選手・新潟79期)を捌きながら捲る古性選手もさすがの動きを見せていたように感じます。
古性:かなり苦しくはなったんですが、何とか凌げたので良かったです。最後は2着まで詰め寄ったのですが諸橋さんところで脚は正直一杯でした。
大津:一走してみてご自身の感覚はいかがでしたか。
古性:思ったよりも大丈夫かなって思ったんですが、2日目の発走機に着いた時に肉離れが再発してしまいまして2日目からのほうがしんどい戦いになりました。
大津:レース中にまた肉離れを起こされたんですか。
古性:発走機から出た時に「バンっ」て弾けました。それの影響もありGI後の名古屋記念は欠場してしまいましたが、この大会は最後まで走り切ろうと思いました。
大津:その2日目のスタールビー賞ですが、スタートは郡司選手(郡司浩平選手・神奈川99期)が前を取った南関東勢の後ろからの組み立てになりましたね。
古性:南関東勢の突っ張りもあるかなと思い、まずはそこのラインを追走しました。赤板で山崎さん(山崎賢人・長崎111期)が強引に叩いたので難しい判断ではあったのですが、そこにスイッチしていったって感じです。最後は松浦君(松浦悠士選手・広島98期)が自力で捲っていって、自分の前には平原さんもいたのでどうしようもなかったです。あの展開になってしまうと自分はかなりきつくなりますし、気力的にも周りの選手に負けてました。
大津:準決勝では浅井選手(浅井康太選手・三重90期)と連携でした。
古性:後方から深谷さん(深谷知広選手・静岡96期)がカマシてきて嘉永選手(嘉永泰斗選手・熊本113期)を叩いた時にスイッチしたのですが、スイッチするので一杯一杯でしたね。
大津:そこから古性選手が捲っていきました深谷選手のかかりはいかがでしたか。
古性:めちゃくちゃかかってました。僕自身踏み込んだ感触も悪くはなかったのですが、とにかく深谷さんが強かったです。
大津:決勝戦が決まった瞬間の心境を教えてください。
古性:浅井さんとラインで決まったので、それが嬉しかったです。
大津:ここまで3走してみて状態に変化はありましたか。
古性:ここまでそんなにシビアなレースはしなかったのですが、状態的にやっぱり良くなかったので決勝はシビアに攻めないとダメだなと思いました。勝ち上がりのような走りではいけないと。
大津:決勝戦のメンバー出揃っての印象はどうでしたか。
古性:本当に強い選手ばっかりだったので、GIの決勝って感じのメンバーだなって思いました。
大津:古性選手の中で決勝戦はどういったところがポイントになると読んでいましたか。
古性:太田君も新田さん(新田祐大選手・福島90期)も縦脚が凄いですし、単騎の深谷さんや平原さんも凄いので本当にシビアに走らないと難しいレースになるなと感じてました。
大津:シビアにとは具体的にはどのようなレースなのでしょうか。
古性:捌くまではありませんが、油断が全くできない相手ばかりなので自分がこの位置と決めたら、そこは単騎だろうと一人も入れないなっていうようなイメージです。
大津:そういう意味では理想的な初手の位置はあったのですか。
古性:太田君か平原さんのどちらかが前になるかは分からなかったのですが、スタートを取ったラインの後ろからと思ってました。
大津:初手の隊列が決まった中で、どんな展開を想定されていたのでしょうか。
古性:新田さんが動いて自分が動いてっていうようなレースになるかなと思ったのですが想定外でした。
大津:赤板周回に入っても誰も動きませんでしたもんね。
古性:新田さんはトップスピードがあるので誘導員が残っていても何とも思わないと思うんですけど、僕はトップスピードがないので誘導員が残っている段階でヤバいなって感じてました。
大津:そのまま前受けから太田選手が先行しました。
古性:太田君の出脚のスピードが凄くて強烈でした。僕自身、踏み出しで少し口が空いてしまいましたから。
大津:最終バックあたりの局面はどのように捉えてらっしゃいましたか。
古性:太田君の掛かりが本当に凄くて1センターから行くのが理想でしたが行けませんでした。それなのに前の松浦君は楽そうでしたし、新田さんもこの太田君の掛かりの上を来るのかってビックリしました。
大津:最後はあの内のコースに行こうと考えていたのですか。
古性:いえ、そんなことはないです。中を割るしかないと思ってたのですが、内を空ける挙動が見えたので咄嗟に入りました。最初から内に入ってやろうという選択肢はゼロでしたね。
大津:捉えたという感覚はありましたか。
古性:はい、分かりました。
大津:優勝した時の思いはいかがだったのでしょうか。
古性:いやぁ、なんか嬉しくなかったですね。自分が1センターで行こうと決めていたのが行けなかったですし、最後は内を突いての優勝だったので、なんていうか他の選手との縦脚の違いも感じましたし・・・レースが終わってから、ほとんど決勝戦の映像は観てないですね。
大津:レース後の表情がGPの時とは対照的のように映りました。
古性:GPの時の喜びが100だとしたら今回が1くらいですね。良かったのは結果だけです。
大津:GP王者としてのぞんだ全日本選抜競輪というのは古性選手にとってどのような四日間となりましたか。
古性:なんだろう。脚は上がってないけど自信は持って走れた気はします。もっと縦脚をつけて縦で勝負できるようになっていきたいですね。
大津:前回のオールスターを優勝した時には脱毛器を購入されましたが、今回の賞金でご褒美は買われましたか。
古性:ロードレーサーを買いました。普段はバンクで練習することが多いんですが、たまに街道練習もするので新しいロードレーサーを購入しました。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いします。
古性:今年も応援してもらえるように頑張りたいと思います。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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