7月いわき平競輪場で行われた『ガールズケイリンフェスティバル』で約3年ぶりにビッグレースを優勝した高木真備選手(東京106期)。
その時の心境やそれまでの思い、そして今後の意気込みなどをお伺いしました。
山口:ガールズケイリンフェスティバル、優勝おめでとうございます!
高木:ありがとうございます。
山口:率直なお気持ちはいかがですか?
高木:約3年ぶりのビッグレースでの優勝だったのですごく嬉しかったですし、それまで私の優勝を待ってくださっていたファンの皆様への感謝の気持ちでいっぱいでした。
山口:私は、当日現地にいたのですが、その時のインタビューでも「もうビッグレースでは勝てないかもしれないと思った」と仰っていたのが印象的でした。その思いはずっと感じていたんですか?
高木:毎年、オールスター競輪でのガールズドリームレースなどビッグレースには出させてもらっていたんですが、全然思うようなレースができませんでした。ビッグレースになると緊張やプレッシャーを自分でかけていたんです。結果も残せない時期が続いていたので「もう大舞台では、前みたいに優勝はできないのかもしれない」という思いがよぎったり、自信が持てない時期が続いていました。
山口:2月にお話を伺った時も「昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリに出られなかったのが悔しかった」とお話されていましたね。
高木:昨年出られなかった分、今年こそは絶対に出場して優勝したいです。ただ出るだけではなく、過程でもガールズコレクションや今回のガールズケイリンフェスティバルなどのビッグレースを優勝しての出場を目標にしていたので、今回優勝できて良かったです。
山口:今年ここまでのビッグレースは2月福井でのガールズケイリンコレクションがありましたが、そこでのご自身の走りはどうでしたか?
高木:もちろん勝つつもりで参加をしましたが、いつものように空回りしてしまって結果は7着でした。それにはかなり落ち込んだんですが、その後に新型コロナウィルスの影響で中止・自粛の期間がありました。
その時に気持ちを一旦リセットすることができ、自分なりにその時にできる練習をしっかりやったことで「この期間にしっかり成長できたんだ」と自信をつけることができたと思います。
山口:今年に入って、通常の開催では何度も優勝をされて結果を出されていますが、ビッグレースでは以前とは違う雰囲気だったんですか?
高木:自分でもまだはっきりとはわからないんですが、ビッグレースは何度出ても雰囲気にのまれてしまいます。自信を持って挑めない自分が心のどこかでいるので、思い切った仕掛けができないでいたんでしょうね。
山口:今回のガールズケイリンフェスティバルでは完全優勝という素晴らしい結果となりましたが、今回は自信を持って臨めましたか?
高木:はい。自粛期間のトレーニングが私にとってかなり自信に繋がりました。やることは全部やって、誰よりも練習をしたぞと思えたんです。レースが無くて大変な時期でもありましたが、私にとってはプラスの期間だったと思いました。
山口:今までと違うトレーニングもしたんですか?
高木:全く違うトレーニングではなく、集中して練習ができたという感じですね。スピード練習をたくさんしたのでそこが強化されたと思います。
どうしてもレースがあると、きつめのトレーニングをたくさんすることはできません。この自粛期間でセッティングなども見直してガラッと変え、更にそれをレースに使える状態までじっくり取り組めたのが良かったです。
山口:前検日から「たくさん練習したことを自信に繋げて頑張りたい」と仰っていましたが、まさにですね。
高木:そうですね。そうできて良かったです。
レースが再開して地区内斡旋がメインになった時、今まではコレクションなどの常連メンバーの選手が私ともう一人で、予選では対戦せず決勝でだけ一緒に走るというパターンが多かったんですが、地区内斡旋になったことで一開催に強い選手が3、4人いることも多くなった気がします。そこで優勝できたりすると「このメンバーで私が優勝できたんだ」と自信が生まれました。
なので、ガールズケイリンフェスティバルでも「いつも通り走れば勝てる」と思って落ち着いて走れたと思います。
山口:同期の106期の選手たちも多かったですよね。それも気持ちの面では違いましたか?
高木:そうですね!私たち106期はもともとの人数も少ないので、普段の開催では一人もいないこともよくあります。なので大舞台でたくさんの人数で参加できるのはすごく嬉しかったです。
山口:見ていても、レース以外のところでは同期で行動されることが多いのかなと思いました。
高木:はい、普段の開催で同期がいないと一人で行動することもよくあるんですが、今回はたくさんいたので一緒に行動していました。レースではもちろんお互い真剣勝負ですけど、私生活では楽しく話せる人がいるのはリラックスもできるし良いなと、改めて思いました。
山口:レースの振り返りもしていきたいと思います。初日の1着スタートはポイントでも有利なのかなと思いましたが、どうでした?
高木:昨年のガールズケイリンフェスティバル(別府)では初日に1着が取れたんですが、2日目に落車してしまい3日間走りきることができなかったんです。その経験があったので、初日が1着でも気を引き締めて、全部1着を取るつもりでいました。
山口:そうだったんですね。連勝で勝ち上がった決勝ですが、スタートの牽制がありました。いかがでしたか?
高木:意外でしたが、自分の考えていた作戦があったので妥協せずに勝負に徹しようと思っていました。あまり具体的には言えませんが、決勝は、Sは必要ないと思ったので初手は真ん中くらいを取りたかったです。
山口:決勝後に他の選手にお話を聞くと「スタートから想定とは違った」と仰った選手が何人かいました。高木選手もですか?
高木:はい、誰かがSを取りに行くと思っていたので、まさか児玉(碧衣 福岡108期)選手がいくことになるとは思わなかったです。一瞬びっくりしましたね。
山口:打鐘過ぎに梅川風子選手(東京112期)が一気に先行体制に入りレースが動きました。その時はどうでした?
高木:私は児玉選手の後ろにいたので梅川選手に飛びつく等は考えずに、そのままの位置で脚を溜めようと思っていました。いわき平は直線が長いので最後の最後までチャンスはあると思い、自分の中では4コーナーから思い切りいこうと決め、最後の勝負に賭けました。最後は大外だったので「差したかな?どうかな?」と思ったんですが、すぐに1着だとわかったので喜びがこみ上げてきました。
3年前、いわき平オールスターでのガールズドリームレースの時も直線接戦だったんですが、その時よりは差した感覚はありました。
山口:それ以来の優勝ですが、いわき平の好相性というのは感じていましたか?
高木:それもありました。
でもそれ以上に「いわき平でビッグレースを優勝して、ここからまた大きいレースでも結果を出せる自分をスタートできたらいいな」と思って参加していたので、その思いの方が大きかったかもしれません。
山口:完全優勝という結果は、周りの方、ファンの皆様からはどんな反応がありましたか?
高木:たくさんの方が「おめでとう」と言ってくださって喜んでくれて、本当に嬉しかったです。
山口:サマーナイトフェスティバルを優勝した清水裕友選手(山口105期)とは同期だったんですね。
高木:そうなんです。同期でしかも同級生なので、「お互い頑張ろうね」と話していたんですが、まさか一緒に優勝できるとは思いませんでした。それが実現できたのも嬉しかったです。
山口:次走はまたビッグレース、オールスター競輪でのガールズドリームレースです。今の調子はどうですか?
高木:今回の決勝での、全員がSを取りに行かなかったことで新しい課題が見つかりました。自分がSを取らされることもあると、今までは全く考えていなかったけどいざそうなった時の想定しておかないと対処できない。どんなパターンにも対応できるように、脚力をつけるのはもちろんですが、たくさん戦法も考えないとと思って取り組んでいます。
山口:決勝のレースは、そんなに大きなポイントだったんですね。
高木:はい。私も思いましたし、きっとみんなもそうだったと思います。想定しておかないと動けないと思うので、とても勉強になったレースでした。
山口:ガールズケイリン総選挙の2位という結果はどう感じましたか?
高木:すごく嬉しかったです。ビッグレースでは最近結果が残せていなかったので「ドリームレースに選ばれないかもしれない」という不安はありましたが、結果が出ていなくてもファンの皆様はチャンスをくださったので、すごく嬉しかったです。
昨年はドリームレースでもアクシデントがあり、その前のガールズケイリンフェスティバルでもアクシデントと、落車が続き残念な結果ばかりでした。
でも今回のフェスティバルで優勝して、昨年の嫌な思い出にリベンジできたので、ドリームレースもこの調子でリベンジしたいです。開催地もちょうど昨年と同じ名古屋なのでしっかり結果を残したいです。
山口:戦うメンバーはいかがですか?
高木:毎回コレクションなどのビッグレース、単発レースはみんな強いので、その中でもしっかり自分の力を出したいです。誰かを意識して走るとまた駄目になる気がするので、自分の力を発揮することに集中して残りのコレクションを頑張りたいです。
山口:今年も後半戦になりますが、今後へ向けてはいかがですか?
高木:5月の日本選手権競輪が中止になったため、9月の共同通信社杯(伊東温泉競輪場)で、同じメンバーでコレクションを開催してもらえることになりました。そこでも結果を残したいですし、どんどん年末へ向けてパワーアップしていきたいです。
山口:7月末の段階では、賞金ランキング1位です。少し有利になった実感はありますか?
高木:そうですね。でもまだ決定ではなく油断はできませんが、気持ちの面で少し余裕は出たと思います。
今後は練習などもパワーアップするためにチャレンジしたり、普段のレースも攻めた走りをできると思うので、いろんなことに取り組んでいきたいです。
山口:今後の目標は何ですか?
高木:ガールズグランプリで優勝したいというのが一番強いです。でもまず出場を確実にすること、出場を決められたら今年こそ絶対優勝したいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
高木:いつも応援ありがとうございます。3年間結果が出ず長かったですが、その間もたくさんの方が応援してくださったおかげで諦めないで走ることができました。
ガールズグランプリで優勝することが最大の恩返しだと思うので、年末へ向けてたくさん練習して頑張ります。これからも応援お願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA