2018年、安定した成績を残し賞金獲得ランキングでKEIRINグランプリ2018の出場権を獲得した村上博幸選手(京都86期)。 今年の振り返りとグランプリへ向けての意気込みをお伺いしました。
山口:KEIRINグランプリ2018、出場おめでとうございます。
村上:ありがとうございます。
山口:今年を振り返っていかがでしたか?
村上:今年は賞金でグランプリに出場が決まりましたが、自分は一年を通して安定しているという年が今まではなかなか無くて、今まで2回のグランプリ(2010年立川、2014年岸和田)も、どちらもGIを優勝しての出場でした。
なので安定した一年だったという印象が強いですね。この年齢になると調子を上げるという意識をすると、どうしても調子を落とさなくてはならない時期もあるので、そういう意味で3月と7月は集中して追い込んだ練習をしていた分、調子は落ちてしまったんですが、一年を通して計画的に考えて練習もレースも走れたと思います。新しいことにもいろいろチャレンジも出来ましたね。
山口:新しいこと、というのは具体的にお聞きしてもいいですか?
村上:ウェイトトレーニングや練習内容、そして食事面でも気を使うようになりました。ウェイトトレーニングは今までもしていたんですが、する回数を多くしたんです。若い時のように自転車に乗る練習の時間をたくさん取っても、どうしても量は乗れなくなってきますし、質も落ちてきます。自分では追い込んでいるつもりでもなかなか刺激が入らないので、その分ウェイトトレーニングで刺激を入れた方が良いと思い昨年の中旬くらいから多くするようにしました。
山口:ウェイトトレーニングをすると安定はしますか?
村上:安定するために、一度は今までのものを崩さなくてはいけないと思うんですが、そういう風に新しいものを取り入れていく部分が年々難しいと感じます。
山口:良い時期と悪い時期を作る、というのは他の選手もしている事なんでしょうか?
村上:もちろんしていると思います。他のスポーツでは当たり前だと思うんですが、競輪はオフがないのでその辺りを自分で作って調整していかないといけません。
ウェイトトレーニングにしても筋肉も大きくはならないと思います。そのリズムを作らないと、ずっと同じ調子でもだめだと思いますし。
山口:ご自身が目標とするレースに照準を合わせていく、というイメージですか?
村上:そうですね。今はGIやビッグレースががだいたい月に一度あるので、その中でも自分が目標と決めたところに向けて仕上げていくようにしています。
山口:今年のGIは近畿勢が大活躍でしたが、まず5月の日本選手権競輪(平塚)はいかがでしたか?
村上:あの時に脇本(雄太選手・福井94期)の強さを感じました。自分も初日から良いレースが出来ていたので、勝ち上がりとしては理想的でした。決勝は、前の3人(脇本雄太選手、三谷竜生選手、村上義弘選手)の強さを感じましたし、自分ももっと強くなりたいと思いましたね。
山口:その後、高松宮記念杯競輪(岸和田)も近畿3人でした。決勝を振り返っていかがでしょうか。
村上:日本選手権から脇本の強さを感じたので意識して練習もしたんですけど、脇本は更に強くなっているのを感じました。自分自身としては、GIは勝ち上がりがとても大切だと思っているので近畿3人で一緒に決勝を走れたというのは良かったと思います。
山口:近畿は自力の選手がたくさんいらっしゃいます。村上選手は追い込みとして連携をした時に、どの選手が強いなと感じましたか?
村上:どの選手も得意なパターンは違うので、強さも違いますね。その中で自分としても仕事が変わってきます。それぞれが力を発揮してくれているので自分としてはどの選手からも刺激をもらっています。
山口:競輪祭は初のナイターでしたが、いかがでしたか?
村上:6日間ということで長かったですね。自分が万全な状態ではなかったですし、賞金争いもしていましたから。初めてのナイターというのもそうですが、その他にも考える部分がたくさんありました。
山口:賞金面では今年前半でかなり有利な位置にいらっしゃいましたが、それでも最後まで厳しかったですか?
村上:そうですね。可能性のある選手ばかりが勝ち上がっていたので気は抜けなかったです。もちろん自分で勝ち取る(優勝する)のが一番だと思うんですが、準決勝にはいけなかったのでそこからは気になって見ていました。
山口:最終日を終えて、出場が決まった時はいかがでしたか?
村上:自分の周りでは「グランプリ出場決定」と、誰も言ってくれなかったんです(笑)最初から「村上博幸は大丈夫だろう」と思っていたみたいで。でも自分としては最後まで不安もあったので、決まったと思っていても「多分大丈夫だろう」というような感じでした。なので、しっかり確定してからは信じられないくらいの喜びはありましたね。またグランプリに乗れる、というのはやっぱり嬉しかったです。
山口:グランプリまではどう過ごしますか?
村上:自分は出場が3回目なので、これから本番の日までの過ごし方、調子の持っていき方はある程度はわかっていると思っています。しっかり体調面に気を付けて練習をしたいですね。
山口:10月前橋GIでの落車の影響はもう大丈夫ですか?
村上:そこでの怪我のケアも今やっている段階です。11月の青森FIと競輪祭は賞金争いをしていたので無理やり走った部分もありました。それをリセットしていきたいですね。
山口:グランプリまでの約1か月は体調を整える面では貴重な1か月ですね。
村上:それは本当にありがたい期間ですね。もしグランプリに出られなくても、競輪祭が終わったら一度体調を整える期間は設けるつもりでした。
ある程度の年齢になったらそういうリセットの期間を作らないと、そのままズルズル落ちていってしまうと思うので。なので自分としてはグランプリまで1か月空くというのは、本当に貴重な時間です。
山口:前回の2014年岸和田グランプリ以降、ここまではいかがでしたか?
村上:この何年かは自分の中で、すごいスランプだった時期や怪我もあったので、"毎年グランプリを目指す"という目標を見失っていた部分があったんですが、昨年辺りからは吹っ切れたというか、「やれることをやろう」という気持ちで走っていました。気負いがなくなったというか。今まで2度グランプリにも出ていますし2010年は優勝もしているので、グランプリの重みはわかっているつもりでした。「グランプリには絶対出なきゃいけない、そこを目指して走る」とそればかりを気にしていた時は気負いもありました。
逆に吹っ切れて昨年からは、のびのびというか何事も思い切って出来ていたと思います。
山口:今年はそういう意味でも充実していたんですね。
村上:そうですね。自分が思っていたようにはいかない部分もありましたが、それも含めて今年を戦って、結果グランプリの出場権を獲得出来たというのはかえって良かったなと、良い一年だったなと思います。気負っていた時に比べて、トータルして良かったと思います。
山口:静岡のイメージはいかがですか?
村上:2010年にはGI(SSシリーズ風光る)も優勝しているので、走りやすく良いイメージです。しっかり自分が万全な状態で臨むというのが大切だと思うので、しっかり調整したいですね。
山口:他のグランプリメンバーの印象はいかがでしょうか?
村上:やっぱり百戦錬磨の選手もいれば若い選手もいます。最高のメンバーと一緒に走れるので、しっかり整えていきたいですね。
山口:グランプリはどんな走りをしたいですか?
村上:9人の中に入ると、チャンスは本命選手よりは少ないと思うんですけど、可能性がある限りは優勝を目指さないとだめだと思うので頑張りたいです。
山口:最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
村上:4年ぶりにグランプリに出場が決まりました。近畿勢も強いですし、自分もやってきたことを力に変えて全部出せるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター/MC/キャスター/声優。
競輪関係では取手競輪中継司会、松戸競輪リポーターをメインに各競輪場で活動中。
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※写真提供:公益財団法人 JKA