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競輪界を代表する男子選手、ガールズケイリン選手にインタビューを実施します。他では聞けない素顔や本音、競輪にまつわるエピソード、今後の抱負などをご紹介します!

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単騎で掴んだ、確かな成長の証。│脇本 勇希選手

豊橋GIIIで待望のGIII初優勝を手にした脇本勇希選手(福井・115期)。
単騎で挑んだ決勝戦を制し、自らの力でつかみ取った栄冠でした。
その初優勝の舞台裏と今後への思い、そして気になる兄・雄太選手との関係は。
様々なお話を伺いました。

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ナッツ:まずは豊橋競輪場でのGIII初優勝おめでとうございます。今の率直なお気持ちはいかがですか。

脇本:S級で自力で優勝できたのは初めてなんです。FIでも嬉しかったんですけど、まさかGIIIを自力で獲れるとは思ってなかったですね。

ナッツ:優勝インタビューでも「自力で」というところを強調されていましたが、その点がご自身の中で大きいのですか。

脇本:そうですね。やっぱり自分の力だけでというのが大きいです。今回の決勝は単騎で、ラインの力を使わずに獲れたので、番手から獲れるのとは全然嬉しさが違いましたね。

ナッツ:やはり自力選手として戦ってきた分、そのあたりの想いがあるわけですね。デビューから約6年でのGIII初優勝ということになりましたが、ご自身では少し遅かった、あるいはちょうど良い時期だったなど、どう捉えていますか。

脇本:そうですね......獲るだけで言えば、いずれ人の後ろを回るようになった時に獲れるのかなって思ってたんです。後輩も強いですし。でもそれももうちょっと先かなと。あと4~5年くらいはかかるかなって感じてました。だから、想定より少し早かったですね。

ナッツ:意外でした。つまりご自身の中ではまだ優勝するにはもう少し力を付けないと、というか番手戦でないと、というイメージだったんですね。

脇本:そうですね。やっぱり自力で獲るとなると簡単じゃないですし。今回は単騎でしたけど、自力でやり合う展開になれば後ろを回る人の方がチャンスになるんで、本当に難しいですよね。

ナッツ:今回のGIIIに臨むにあたっての状態面はどうだったんでしょうか。

脇本:特にGIIIだからっていう調整は全くしてなかったです。とにかくGIに出るために点数を上げなきゃいけなかったんで、GIIIに向けてというよりも、少しでも勝つために疲れを取るくらいでしたね。特別な練習をしたわけではなかったです。豊橋に行く前くらいにはもう福井のバンクが使えなくなっちゃってたんですよね。だから本当にいつも通りの練習ができなかったんです。でも、もともと分かってたことなんで、対応するしかなかったですね。

ナッツ:思うような練習ができない分、難しさもあったのでは。

脇本:そうですね。ただ、前検日の練習はバンクが使えない分、普段よりもがきを入れたりしてたんで、それはそれで良い刺激になったと思います。いつもは周回だけなので。このバンクはこういう感じなんだなっていうのが分かるのも収穫でしたね。

ナッツ:その中で迎えた初日の特選レース。吉田有希選手(茨城・119期)が仕掛けてきた時も簡単には出させないようなレースをされていましたが、振り返ってみていかがですか。

脇本:後ろは九州勢に付いてもらっていたので引いて中団でも良かったんですけど、吉田選手が押さえに来た時に出させてくれるだろうみたいな雰囲気があったんですよ。なんか甘く見られている感じというか(笑)。

ナッツ:そうなると、そんなに簡単には出せないぞとなったのですね。

脇本:はい、そこでスイッチ入りましたね。やっぱりこういうことって今後競輪をする上で、相手に「こうする」って分かられてるとすんなりそういう展開を持っていかれちゃうんで、分からないくらいがちょうどいいのかなっていう自分なりの解釈です。あの初日は、それがうまくハマった感じでした。

ナッツ:そこから勝ち上がって迎えた決勝は単騎でのレースになりましたね。単騎での戦いは、脇本選手にとってどんなイメージでしたか。

脇本:単騎はそこまで悪くないと思ってます。今年の8月のオールスター(GI)でも3日目4日目は単騎で走ったんですけど、警戒されない分、いい位置を回れたりすることも多かったんです。もちろんラインがあったほうがいい時もあるんですけど、今回みたいな展開だと単騎のほうが良かったかもしれません。同期の小原丈一郎選手(青森・115期)も付いてくれる気はあったんですけど、ちょっと僕に気を遣ってくれたみたいで。単騎のほうが気楽に走れるっていうのもありますし、ラインの先頭になると責任感も出てくるので。展開も2分戦と3分戦では全然違うんですよね。

ナッツ:そういう理由があっての小原選手とは別での戦いだったのですね。その決勝では序盤戦、中団を主張することもできたかと思いますが、あえて最後方からという形を取りました。あの位置取りにはどんな意図があったのですか。

脇本:中部勢が絶対前を取ると思ってたんですよ。しかも動くラインが吉田選手だけだったんで、単騎が中団に入っちゃうと前との距離が長くなって動き辛くなるんです。だからあえて一番後ろからにしました。二分戦なんでやり合いがないとチャンスが生まれないし、自分の横に人がいる状況も嫌だったので一番後ろからを選択したんです。

ナッツ:それでフリーで動ける位置でもある最後方を選んだのですね。

脇本:はい。それに、豊橋の前の佐世保の決勝での走りで、1周くらいのちょっと長い感じの捲りをした時の感じがすごく良かったんですよ。だから今回はそのイメージを出したいなと思ってました。佐世保でのあの感覚を再現できるのは、あの位置からだなと思っていました。

ナッツ:展開的には、前がやり合ってイメージ通りのレースになりましたね。

脇本:そうですね。こういう展開になるかな、っていう予想はしていました。中部は2段駆け体制でしたし、事前に頭の中で3パターンくらいは考えていて、一番理想の展開になりましたね。

ナッツ:そのもがき合いをホーム過ぎに仕掛けましたが、踏み出した時に「これはいけるな」と感じましたか。

脇本:いや、3コーナーに入った時に内に纐纈洸翔選手(愛知・121期)がいて、ちょっとまずいなとは思ったんです。でも4コーナーが回ってきた時に踏み勝って、あ、これはいけるなって感じました。

ナッツ:纐纈選手も番手から出てインコースで粘ってましたよね。

脇本:そうですね。少し締める形にはなったんですけど、優勝を目指す気持ちで負けないようにと。

ナッツ:最後は外から笠松信幸選手(愛知・84期)も来てましたが、それは見えてましたか。

脇本:いや、外は気にしてなかったです。内しか見てなかったですね。ゴール前で1着だなとは思いましたけど、ちょっと纐纈くんを締めてしまっていたので審議になるんじゃないかって不安もありました。だから、すぐには喜べなかったです。

ナッツ:その後、表彰台でファンの皆さんからの声援もすごかったですよね。

脇本:はい、本当に嬉しかったです。福井記念はまた別として、お客さんの前に行ってあんなに声をかけてもらえたのは初めてでした。「おめでとう!」って言ってもらえるのは本当に嬉しいですね。

ナッツ:周囲の選手からの反応はいかがでしたか。

脇本:先日近畿の地区プロがあったんですけど、ほとんどの選手からおめでとうって言われました。GIII優勝って、こんなに声をかけてもらえるんだなって実感しましたね。

ナッツ:S級初優勝の時とはまた違う感じでしたか。

脇本:全然違いましたね。FIでの優勝の時も同県の人たちからは言ってもらえましたけど、今回はもう、すれ違う選手ほぼ全員に言われました(笑)。GIIIってすごいんだなって改めて思いました。

ナッツ:最近、近畿の勢いもさらにすごいですよね。その中で、脇本選手のご自身の役割や使命はどう感じていますか。

脇本:うーん、なかなか役割というのは難しいんですけど...本当はもっと先行できたら嬉しいですね。今は捲りが多くなってますし、やっぱり近畿のGIメンバーってここ数年あまり変わらないじゃないですか。そこに自分も参戦して勝ち上がったり、活躍ができるようになりたいですね。その上で自分だけのレースじゃなくて、仲間を連れていける選手になれたら一番いいですね。

ナッツ:そのためには先行の決まり手も増やしていきたいということなんですね。

脇本:そうですね。やっぱり先行で勝つっていうのが一番カッコいいと思うんです。兄貴(脇本雄太選手・福井・94期)を見てきた影響なのか、やっぱりそういう勝ち方が一番「競輪」って感じがしますよね。番手は先行する人のために仕事をしたり、ラインでワンツースリーが決まる競輪っていうのが、僕の中では理想ですね。

ナッツ:その中でご自身としては捲りの方が得意という現状なんですか。

脇本:そうですね。もちろん先行したい気持ちはあるのですが、GIに出るためには勝たないといけないし、その気持ちを抑えて勝ちにいくレースをする時があります。でも、いざって時に腹をくくって先行できる選手になるのが理想です。

ナッツ:その中で目標にしている選手はいますか。

脇本:やっぱり古性優作選手(大阪・100期)ですね。人の後ろも回れて自在性もある。ああいうタイプの選手にも憧れます。自分が先行で勝つのも理想ですけど、そうやってラインを支える側にもなれるように、いろんな走りをできるようになりたいです。

ナッツ:とはいえ、まだマークや追い込みへの転向は考えていないということですね。

脇本:はい、今のところは考えてないですね。少なくとも兄貴が現役のうちは、僕は自力でいたいと思っていますね。

ナッツ:自在性という意味では勇希選手は横の動きにもすごく強い印象があります。ご自身ではどう捉えていますか。

脇本:競輪って縦だけじゃないと思っていて、使えるものは全部使って戦う競技だと感じています。もちろん最強の縦足があれば横なんて使わなくてもいいんでしょうけど、僕には兄貴みたいな足はないので(笑)。だから、自分は横も使ってへばりついていくスタイルですね。

ナッツ:そういう部分は古性選手の自在性にも通じるものがありますね。

脇本:そうですね。位置取りもうまいし、技術も高い。僕の中で絶対着に絡んでくるっていう印象がある選手です。本当にすごいです。

ナッツ:そして先ほどからお話にも出ていますが、脇本選手といえば、やっぱり兄・雄太選手の存在があります。ファンからもよく比較されたりすると思いますが、そのあたりはぶっちゃけどう感じていますか。

脇本:もう慣れました、というか比較されるのはしょうがないですし、何とも思ってないです。もし比較するならこっちも比較しますけどね。「兄貴は横の動きができないぞ!」って(笑)。そういうところで勝てる部分もあると思ってます。でも仲は悪くないです。お互いに認め合っている部分もありますし、俺は俺、って感じですね。向こうがしたいこととか考えていることは大体わかるって感じですし、大体わかんないことが大体わかるって感じです。もう人間というか宇宙人かなにかだと思ってますから(笑)。

ナッツ:いや~それは勇希選手しか言えないことですね!(笑)。普段一緒に練習もされてるんですよね。

脇本:兄貴がオリンピックから帰ってきた時ぐらいからはずっと一緒にしてますね。今、兄貴はケガしてますけど、基本はいつも一緒に練習してます。合宿とかも兄貴が主催してくれて、ここ行くぞ、って感じで。兄貴は結構新しい刺激を求めるタイプで、県外の選手と練習することで刺激を受けているみたいです。

ナッツ:それで必然的に勇希選手も刺激を受けるのですね。

脇本:そうですね。最近すごいなと思ったのは深谷知広選手(静岡・96期)ですね。共同通信社杯(GII)の前に福井で一緒に練習したんですけど、やっぱりすごかったです。普段は寺崎浩平選手(福井・117期)がダントツで強くて、付いていくのがやっとな感じで、自分は練習でも絶対抜けないんですよ。でもその寺崎さんを深谷さんが余裕で差してて(笑)。この人、どれだけすごいんだろうって思いましたね。

ナッツ:それは見ているだけで刺激を受けそうですね。

脇本:うちの兄貴でも結構ギリギリなくらいなので、びっくりしましたね。

ナッツ:そんな環境の中、今回勇希選手はGIIIを獲りました。今後の目標はどういうところに置いていますか。

脇本:今年出られるGIはもうないので、来年はまずGIで結果を残したいです。来年の全日本選抜競輪(GI)の権利も狙っていきたいですし、やっぱり一番の夢は兄弟連係ですね。過去に1回だけ実現して、それだけでも嬉しかったんですが、やっぱり大舞台でもう一度、兄弟でラインを組めたら嬉しいです。兄弟連係はやっぱり生きている内に数回しか出来ないと思うんです。

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ナッツ:ファンもそれは絶対に待ち望んでますよ。そのためにもまずはGIで勝ち上がらないといけないですね。

脇本:そうですね。今まではGIに出ても予選敗退だったので、ちょっと高い目標だったのかなと思いましたが、今年オールスター(GI)で準決勝に乗れたので、その勢いを殺さずにそのくらいの目標を掲げていないと落ちていくと思っています。なので、そこを目指して走っていきたいです。あとはやっぱりGIはお客さんの数も凄いですし、賞金も桁違いなので、それも大きなモチベーションになりますね。特に日本選手権競輪(GI)は一番賞金の高いGIなので、今の選考期間中に良い成績を積み上げて、出場権利を勝ち取りたいですね。

ナッツ:今後の走りにも期待しています。では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。

脇本:いつも応援ありがとうございます。これからも高い目標を持って頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。

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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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2025/11/12

楽しく苦しむ│吉本 卓仁選手

41歳にしてGIII初制覇となった吉本卓仁選手(福岡・89期)。
苦しい時期を乗り越えるキッカケとなった意外な出来事とは。
番手戦の難しさ。そしてこれからの目標は。様々なお話を伺いました。

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ナッツ:まずは松阪ミッドナイト競輪でGIII初優勝おめでとうございます。
お気持ちとしてはいかがですか。

吉本:うーん、そうですね。嬉しいのは嬉しいんですけど、9車立てのGIIIを勝ちたかったなというのが本音ですね。
正直少しメンバーの良いFIを勝った感じです。

ナッツ:やはりそのあたりはグレードレースだぞ、というような気持ちの入り方ではなかったですか。

吉本:そうですね。レベルの高いFIっていう感覚だったので、逆に気負いもなく臨んでいました。

ナッツ:もしこれが9車だったら多少は気持ちも違った可能性も。

吉本:そうですね。9車で競輪祭(GI)出場の権利もかかっていたら、優勝できてすごく嬉しかったと思うんですけどね。

ナッツ:レース後のインタビュー記事でも「複雑」という言葉が出ていましたけど、その理由はそういうところなんですね。

吉本:そうですね。昔は3日制GIIIもなかったし、自分が若い頃は4日制の記念を獲りたいっていう思いが強かったんです。
だから3日制で7車か~...みたいな感覚ですよね。

ナッツ:それでもGIII初優勝ということで、周りの反応はどうでしたか。

吉本:やっぱりそこは違いましたね。GIII優勝おめでとう、という連絡は結構ありました。

ナッツ:ミッドナイトの出走経験自体は今までありましたか。

吉本:1年前くらいに玉野のミッドナイトを走ったのが一番新しくて、今回が3回目だったと思います。

ナッツ:それであれば、ミッドナイトの過ごし方や対策はご自身の中である程度は固まっていましたか。

吉本:そこに関しては、僕は若い時に夜練習してた時期もあったんで、夜があまり苦にならないんですよ。
普段から結構遅くまで起きているので特に問題はなかったですね。むしろ午前中にゆっくりできるので楽は楽です。
身体のコンディション的に、走ってる最中は気にならないですけど、終わった後にちょっと戻すのが大変なくらいですね。

ナッツ:では少しレースを振り返っていきたいのですが、準決勝・決勝と立部楓真選手(佐賀・115期)マークでした。連日立部選手に付いていかがでしたか。

吉本:立部は最近力をつけてきたのも知ってましたし、安心して任せてました。

ナッツ:準決勝は新田祐大選手(福島・90期)相手でしたが、作戦はしっかり立てていたんですか。

吉本:自分はそんなに作戦を練るタイプじゃないですけど、立部が勝てるように、って話はしていましたね。
むしろ立部自身が結構自信のある雰囲気で、「相手にも隙があると思います」と言っていたので、調子の良さもあったんだと思います。

ナッツ:勝ち上がって決勝は4車ラインの番手というチャンスのある位置でしたが、心境としてはいかがでしたか。

吉本:作戦会議から立部が自信満々で、「行きます!」って感じでした。岩津さん(岩津裕介選手・岡山・87期)が3番手、その後ろ4番手まで固めてくれて立部も燃えてたので、その気持ちが岩津さんにも伝わってましたね。岩津さんが「めちゃくちゃ嬉しい」ってずっと言ってました。

ナッツ:岩津さんがそんな風に思うくらいの熱量だったんですね。

吉本:そうですね。なかなかこれだけ熱く言ってくれる若い子は少ないですもんね。
自分は普通通りだったんですけど、自分よりも本当に岩津さんが立部の気持ちを感じていましたね。

ナッツ:その決勝戦は2分戦で相手は小原太樹選手(神奈川・95期)のラインでした。小原選手は自力型じゃないだけに吉本選手は狙われる位置でしたよね。

吉本:そうですね。それは覚悟していました。もし粘られたら、立部にはしっかり勝ちに行けって言っていましたね。
自分は我慢して、技術は持ってない分、小原に少しでも脚を使わせられればいいかなって思ってました。

ナッツ:作戦としてはやはり前からだったんですか。

吉本:いや、小原はスタートがめちゃくちゃ早いんで前は取れないと思ってました。だから作戦会議では後ろからだろうね、と話をしてたんです。8割くらいは後ろからの感じで。
あとはどこで仕掛けるか、って。でも岩津さんが立部の気合を受け取って、スタートからすごい勢いで出たんですよ。自分もびっくりしました。多分みんな驚いたと思います。

ナッツ:おお!あの岩津選手のスタート取りは、立部選手の想いが伝わってのものだったのですね。まさしく競輪という感じですね。
レースでは吉本選手は最終ホームあたりでは小原選手に外から競られる場面もありましたが、振り返っていかがですか。

吉本:あそこは余裕ありましたね。どうやって走るかっていうのはずっと考えていて、ちょっと遅れ気味で走った方が小原が内に入ってくれるかなと思っていましたね。
外並走されて外に差し込まれちゃって2コーナーまで長引くと、そこで叩き込まれて内が重くて対応できなくなるので、逆に少し遅れた方が楽になるかもって考えもありました。

ナッツ:傍から見るとちょっと遅れたのかなと感じてしまいましたが、あの走りは狙い通りだったのですね。

吉本:もちろん本当は、追い込みなら綺麗にピタッとついて、1コーナーで飛ばすのが正解なんでしょうけど、自分はそこまで技量がないんです。
だから考えた結果のあの走りでした。レースが上に行けば行くほどそういうのは通用しないんですけどね。甘いと言われれば甘いです。
自分はもともと横ができるタイプじゃないんです。だから自力で戦ってきた部分もあったんですけど、今は若手の先行が増えてきて別線になるわけにはいかないし、自力の力もそこまでない。任せる子がいるなら、後ろをどうにか守るっていうのを、ひとつひとつやっている感じです。

ナッツ:横の技術が不足している分、違う部分でカバーしているわけですね。

吉本:そうですね。でも今回の決勝のレース自体は立部が頑張ってくれたおかげで余裕がありました。小原が後ろに入ったのも確認できて、すぐには仕掛けてこないと思いましたし、次に来るのは永澤(永澤剛選手・青森・91期)だろうなと。その時は内に香川さん(香川雄介選手・香川・76期)もいたし、そういうのを見ながら考えてましたね。

ナッツ:レース中、そこまで色々なことをずっと考えてるんですね。

吉本:考えてるというか、見てるんです。もともと先行してた時期から後ろを見てました。自分は"狸先行"のタイプで、無理やり飛ばしていくんじゃなくて相手を見ながら仕掛ける。それが自分のスタイルだったんです。今も目標がいて後ろを見るのは自然なことですね。
走りながら、その時その時に「誰が落車した」「後ろに誰がいる」「ここ突っ込んでくるな」というのを見ちゃうんですよ。

ナッツ:それは追い込みとしては素晴らしいことではないのですか。

吉本:いや、やっぱり本当の追い込み選手は、体が先に動くんだと思います。考えてる時点でワンテンポ遅れてるんですよね。

ナッツ:なるほど。考えているから良いというわけでもないんですね。

吉本:そうですね。先のことを考えすぎて動けなくなることもありますし、その場で捌いた方がいい時もあります。本当は体が勝手に動くのが理想です。
見えすぎてビビっちゃうこともあるんですよね。先行選手との勝負なのに、相手の番手に競りが強い選手がいるとやっぱり怖いなと思って体が動かなくなる。
若い頃はイケイケでそんなことなかったんですけど、年齢を重ねて弱くなってくると、考えすぎるようになりました。

ナッツ:年齢を重ねてくるにつれて、吉本選手にも苦しい時期はあったのですね。

吉本:はい。34歳ぐらいから弱ってきて、GIに出られなくなった時期がありました。6~7年前ぐらいですかね。

ナッツ:そこから復調のきっかけはなにかあったんでしょうか。

吉本:娘を迎えに行った時ですね。娘がバレーボールのクラブに入っていて、お迎えに行って一緒に自転車で帰った時、娘が勝負を仕掛けてきたんですよね。
だんだんスピード上げてくるんですよ。あ、これは勝負しようとしているなと。結果はもちろん自分が勝ったんですけど。笑
その時「あ、そういえば自転車って楽しかったよな」って思い出したんです。

ナッツ:娘さんとの何気ない日常から、自転車の楽しさを思い出したのですね。

吉本:そうですね。それまでは練習も「苦しい、苦しい」で終わってたんですけど、本当はずっとワクワクしてやっていたはずなんですよ。なんで自分が選手始めたのかというのも、やっぱり自転車が好きで、楽しいなって、それが原動力になっていたんですよね。自力でバンバンやってた頃は練習も苦じゃなかった。それを思い出して、もっと楽しく苦しもうって思えるようになったのが大きかったです。娘に気づかされてから、点数も少しずつ上がっていきました。

ナッツ:いやーすごい。やっぱり気持ちの変化ひとつで全然違うんですね。

吉本:そうですね。やる気があってやるのと、ただ苦しいと思いながらやるのとでは全然違いますから。

ナッツ:年を重ねてから体力の部分はいかがですか。

吉本:やっぱり40歳を過ぎてからまた違う感覚があります。楽しいですけど、体力と相談しながらですね。思ってる以上に体の方にガタが来てます。
朝起きた時の疲労感なんかも全然違います。
先輩たちに聞いてた話ではあるんですけど、その時は聞き流してたんですよね。でもいざ自分がこの年齢になると本当にそうなんだなって実感しています。

ナッツ:練習は毎日されているんですか。

吉本:毎日ですね。街道か、マシンが多いです。ウエイトやジムもやってます。
バンクには月に1~2回くらいは入りますね。最近は弟子もできたので、たまには行かないといけないんです。
もともとバンクに入るタイプじゃなくて、昔から8割は街道練習でした。バンクに入る時でも、その前に街道で脚を使って、バンクでは2~3本もがいて終わりという調整ですね。

ナッツ:体力の衰えはどうカバーしていますか。

吉本:練習のボリュームより質ですね。今はデータを取って数値化してます。自分の体力の限界をギリギリ攻めるというのが面白いんです。自分のHP(ヒットポイント)を出して、その日で使い切らないように調整してます。自分は見よう見まねですけど、後輩の角(角令央奈選手・福岡・98期)が詳しいんで聞きながらやってます。ウエイトも1年前から始めましたし、これから結果が出てくればいいなと思います。

ナッツ:今年は松山競輪場で400勝も達成されましたが、そのあたりはいかがですか。

吉本:やっぱり先輩や師匠のおかげでここまでやってこれましたし、これからも頑張っていきたいなと思いますね。

ナッツ:やはり自力で久留米を引っ張ってきた存在として、9車の記念やタイトルを待ち望むファンも多いと思います。

吉本:やっぱり記念は獲りたいですね。本当は自力で獲りたかったんですけど、今まで何度も取り損ねて...。この歳で自力はよっぽどハマらないと無理ですけどね。

ナッツ:これからは後輩に任せて、ということになりますか。

吉本:そうですね。頑張ると言ってくれる後輩がいるなら、喜んで付いてワンツーを決めたいです。

ナッツ:今後の目標としてはいかがですか。

吉本:やっぱり地元の久留米記念を獲りたいですね。そのために追い込みとしての技術をひとつひとつ積み上げたいです。
60歳まで選手を続けたいと思っていますし、そのあたりはまだまだ頑張っていきたいです。

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ナッツ:60歳!それは楽しみです。

吉本:ただ、追い込みは難しいですね。横は技術が必要だし、3番手のことまで考えないといけない。
前も後ろも警戒して、前を残しつつ3番手も勝負権があるようにしないといけないし、先行の方がよっぽど楽ですよ。笑

ナッツ:でも縦のある吉本選手が横を身につけたら、本当にすごい追い込みになりますね。

吉本:簡単にはいかないですけど、少しでも先輩たちに近づければいいなと思ってます。

ナッツ:今後の走りに期待しています。では最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。

吉本:これからもしっかり練習して頑張ります。応援よろしくお願いします。

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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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2025/10/09

姉を超えるその日まで|當銘 沙恵美選手

―女子オールスター競輪(GI)ガールズ決勝Bの優勝おめでとうございます。

ありがとうございます。久しぶりにシリーズリーダーだったので、すごく緊張しました。

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―最後は五味田奈穂選手(千葉・124期)をかわしましたが、レースを振り返っていかがですか?

併走する時間が長くて必死で最後まで抜けるか不安もありましたが、なんとか抜けて良かったです。

―初優勝は同じく500バンクの高知でしたが、宇都宮バンクには良いイメージはありましたか?

いえ、宇都宮は決勝に乗った経験がなかったので、決勝に行けるか不安な気持ちも大きかったです。レース前は結構不安になることが多いんです。

―2020年のデビューから、最近特に成績が安定してきていますが、ご自身ではどう感じていますか?

確定板に乗る回数が増えた実感はあります。ただ、今でも毎回どう走ろうかなと考えて緊張しますね。走る前にメンバーを見て、どういう展開になるかを予想して組み立てますが、やっぱりなかなかその通りにはいかないです。予想外の展開になった時は都度流れを見て対応しています。

―昨年は2場所以外全て決勝進出、さらに11月には2度の連続優勝もありました。かなり充実していたと思いますが、そのあたりはいかがですか?

2回優勝できたのは良かったですが、賞金を積み上げられなくてGIに出場できなかったのが悔しかったです。

―今年のオールガールズクラシックが初めてのGI出場でしたよね。走ってみていかがでしたか?

まだまだだなと思いました。やっぱり周りがみんな本当に強くて、自力では全然通用しない人達だなと改めて思いました。でもそれでもっと強くなりたいという気持ちが強まりました。GIはいつも以上に緊張しますし、みんなが強いので戦法としても自分ができることが少なくなってしまって、どう上手く立ち回ればいいんだろうってすごく考えました。何でもできる人達が多いのでどう戦うかが難しかったですが、今回はできるだけ前々に、というのを意識して走りました。

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―最終日は自動番組で初めてお姉さんの當銘直美選手(愛知・114期)と同じレースで走りましたよね。初めて一緒に走ってみていかがでしたか?

はい、初めてでした。最初は前を取りたくてSを狙いに行ったんですけど、姉の方が速くてSを取られてしまいました。結局姉の後ろになりましたけど、改めて強いなと感じました。練習で一緒に走っているのとは違う感じでしたね。私が踏み遅れてしまうところを、姉はもっと速いタイミングで踏んでいて、自分とレースの見えている感じが違うのかなと感じました。

―お姉さんとはレース前に何か話しましたか?

初日は自分の方が運良く着が良かったので、あまり指摘とかアドバイスはなかったです。練習してきたことをやればいいっていうようなことは言われましたね。最終日に関しては、姉が絶対負けないから!って感じで怖いなって思いました(笑)多分一緒に確定板に乗れたらいいとは思ってくれてたんでしょうけど、姉はそれよりも負けたくないって感じが出てました。私ももちろん勝ちたかったですけど、まだまだでした。普段は良い時もちゃんとすごかったねって言ってくれますし、反省点がある時はアドバイスもくれるので頼もしいです。

―お姉さんが自転車競技をやっていたのをきっかけに、自転車を始めたんですよね。

はい、自転車ってスポーツは姉が始めるまで知らなくて、自転車だったら自分もやれそうかなって思って始めました。学校も自転車で通っていましたし、楽しかったです。

―日本競輪選手養成所は3回目で合格とのことでしたが、受ける前はお姉さんのアドバイスで豊橋競輪にも行かれていたんですよね。環境は良かったですか?

そうですね、すごく良い環境でした。豊橋競輪ではガールズ選手の育成プロジェクト(T-GUP=豊橋ガールズケイリン育成プロジェクト)をやっていて、元選手の方に練習メニューも組んでもらいました。合格タイムを出せるようにサポートもしてもらいました。かなりキツい練習でハードでしたが、色んな選手からいっぱいアドバイスを頂いて結果に繋がったので、頑張って良かったと思いました。

―118期だと日本競輪学校から日本競輪選手養成所に変わったタイミングだったと思いますが、違いは感じましたか?コロナ禍でのデビューで大変でしたね。

姉からは厳しいと聞いていたのですが、髪の毛を伸ばしても大丈夫だったりと昔よりルールが緩和されていて、思ったほど厳しい感じではなかったので安心しました。コロナ禍という部分では、開催に行く度にPCR検査をしないといけなくて大変でした。でもデビューした時からその状態だったのでギャップを感じたりすることがなく、先輩方に比べたら逆に楽だったのかもしれません。体調に気を使わなきゃいけない感じはすごく大変でした。リモートでのインタビューや観客のいない開催も多かったですね。

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―競輪選手としてのやりがいや将来の目標を教えてください。

やっぱり練習はキツいですが、頑張れば結果に繋がるので頑張れます。まずは目標としてたくさん優勝したいです。姉ともまた走る機会が増えたらいいなと思いますし、いつか倒したいです!

―今年の残りのレースへの意気込みと、これからの目標をお願いします。

1着の回数を増やしたいですし、自力で戦えるようになりたいです。自力に強いこだわりがあるわけではないんですけど、良くても悪くても自分で納得できる方が良いと思っているので、それならそういう戦法を増やしても良いのかなと思っています。

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※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。

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2025/09/12

ケイリンも、推し活も|小坂 知子選手

―女子オールスター競輪(GI)ガールズ決勝Aの優勝おめでとうございます。
中野選手(中野咲選手・愛知・110期)が人気でしたが、好位置から差しましたね。

ありがとうございます。
誰かしら動くとは思っていましたけど、良い位置が取れて良かったです。

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―途中で併走になった時はどんな心境でしたか?

早くタレてくれ!って思いながら、(先行していた)咲ちゃん頑張れ!と思っていました。

―最後は抜けるだろうという感触はありましたか?

意外に脚は溜まっていましたし、こういう時じゃないと優勝はできないと思って頑張りました!

―連日いつも通りSを取ってのレースでしたね。S取りがかなり多いですが、その組み立てがご自身の戦略ですか?

そうですね。自分が1番戦いやすい戦法なんです。Sを取って誰かを迎え入れて追走するか、誰も来なければ腹をくくって自分で行くかのどっちかですね。デビュー当時から上手いことSが取れて、自分でも「出れちゃった」みたいな感じだったんです。最初は学校(日本競輪選手養成所)の競輪の練習で色々試しましたし何をして良いか分からなかったんですけど、結果的に今の戦法に辿りつきました。

―勝率や連対率も上がってきていますね。
今年は6月の静岡に続き2回目の優勝ですが、心境はいかがですか?

裏開催が多かったり、メンバーが薄かったりして運が良かったのもあると思います。
でも年に2回優勝するのは初めてなので、すごく嬉しいです!

―個人的には6月の防府の2日目に、五味田選手(五味田奈穂選手・千葉・124期)相手に飛びつくかと思ったら突っ張って押し切ったレースが印象的でした!

ありがとうございます。五味田さんはダッシュが苦手って聞いていたので、あそこで出させたら逆に内に詰まって終わっちゃうと思いました。突っ張れるところまで頑張ろうと。33バンクだし何とかなるだろうと思って走りました。

―かっこよかったです。今後もチャンスがあれば自力で戦いたいですか?

いえ、正直そこまで出したくないです(笑)
誰かに頑張ってもらって良い位置を取りたいですね。いつも通りのスタイルで、でも自力もいつでも出せるように準備はしておいて、出せるところでは出して、良い着を獲りたいですね。

―レース以外の休日はどんな風に過ごすことが多いですか?

趣味はあまりないので、たまに飲みに行くことを生きがいに頑張ってますね(笑)
本当に丸1日空いている時でないとできませんが、お昼から飲むのも好きです!

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―小学校から陸上をやっていたそうですが、卒業後は講師としても働かれていたんですよね。

はい、陸上は趣味でやっていて正直あまりやりがいはなかったです。でも体力はあったので、どこかで活かせないかと思い、競輪にたまたま出会ったので挑戦してみました。

―選手を目指した時の周囲の反応はいかがでしたか?

あまり競輪に馴染みのない地域だったので、「へ~そうなんだ、頑張れ~」といった感じでした。目指した頃はもう大人でしたし、両親は競輪の危なさもあまり知らなかったようなので、反対や心配はありませんでした。自分で目指す前に下調べをしたら、競技人口も少なくて、選手の層も薄めで、挑戦できるなって軽い気持ちでした。始めてみたらキツかったですけどね(笑)

―デビューした2013年からガールズケイリンの変化は感じますか?

女子のレベルがすごく上がっていて、ついていくのに必死です。振り落とされないよう頑張るしかないです。新人選手も増えているので、過去の映像を見て研究しています。
レースの戦い方はあまり変えていないですが、ウエイトを前よりしっかりやるようになりました。あとは自転車に力を伝える方法が少しずつ分かってきたのは大きいですね。もともとモチベーションはあまり上下がない方なので特に意識せず、淡々と仕事だと思ってやってるイメージですね。

―小坂選手と言えば柴崎淳選手(三重・91期)の応援のイメージも強いです!応援しようと思ったきっかけや好きなところを教えてください!

最初はあまり競輪界や選手のことを知らずに競輪界に入って、岐阜の開催の時に初めて見たらビビッと来て調べたら「柴崎あっちゃん」でした。
好きなところは見た目も含めて全てです!

―同じ競輪選手同士で応援するというのは珍しいですよね。

そうですね、でも最近でもやっと周りでも増えてきましたね!
競輪界はイイ男がいっぱいいますからね(笑)

―SNSで大きな横断幕を用意して応援しているのを見ました。

ファンの方って結構色んなことにお金をかけてるじゃないですか。私は同業者なので車券も買えなくて見ることしかできないので、そういうところしかないなって思って自分が貢献できることを考えました。

―ご主人(元競輪選手の吉田将成さん)公認での応援とのことですが、ご主人とはレースの話はされますか?

最近はあまりないですね。自分が比較的いい感じで走れているから特にないんですかね?
着外のレースとか変なレースをすると「やっぱりあそこは」とか言われて話すぐらいです。たまに相談することもありますが、レースというより練習の内容を聞いて参考にしたりアドバイスをもらうことが多いです。

―現在の練習環境はいかがですか?

環境は良いと思います。慎平さん(元競輪選手の加藤慎平さん)のジムを自由に使えて、岐阜はウエイトルームやバンクも使えますし不自由はしていません。ジムでは1人だけですけどトレーナーとして見たり、元陸上部なので中学校の陸上部を見ています。教えることで勉強になりますし、自分でも考えさせられることもあります。講師の時とはまた別の感覚ですね。

―やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

練習で上手く漕げた時や、追走でも捲りでもちゃんと決めた内容ができた時はやってて楽しいです。女子が少ないので基本男子と一緒に練習することが多くて、ちゃんとついていけた時はやっぱり嬉しいです。キツいですけど、男子と練習をやることで、レベルは上がると思います。ただ脚力って意味では男子選手とやって強化はできるんですけど、たまに自力を出す練習もしないとって感じです。

―ガールズは男子ではルールが違いますが、そのあたりはレースになったらご自身の戦略で対応できていますか?

ここで横をやれたらいいのになって思う場面は多々あります。併走されて詰まりそうな時に横ができれば良いだろうなとか。

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―レース中に併走になりそうな時は、どう考えて走っていますか?

併走していてタレてきそうな子であれば我慢(して併走)することもあります。相手がカマしてくる場合は、その番手の選手がついてきそうだったら前に踏んで千切れるようにしたり飛びついたりと、考えながらやっています。上手くいく時といかない時がありますが、相手を見ながら特性や過去のレースを見て対応しています。

―今年の残りのレースへの意気込みと、これからの目標をお願いします。

地元に貢献できる走りをしたいので、地元の岐阜競輪で1着を獲って優勝もできるよう頑張ります!
まだ完全優勝をしたことがないので、今後の目標は完全優勝をしてみたいです!

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※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。

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2025/09/09

未来の近畿を先頭で引っ張る|寺崎 浩平選手

ついにGIのタイトルを獲得した寺崎浩平選手(福井・117期)。
これまで近畿勢の先頭で積み重ねてきたその走りが、今回ついに報われました。
決勝で番手を回ると決まった時の想いは。そして今後の目標は。様々なお話をうかがいました。

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―オールスター競輪(GI)優勝おめでとうございます。

寺崎:ありがとうございます。

―優勝直後は実感がないというようなお話もされていましたが、1週間経っていかがですか。

寺崎:優勝の実感は湧きました。でも今はもう先を見据えています。地元での共同通信社杯(GII)もありますしレースは続くので、それに向けてしっかりトレーニングをしなきゃな、と取り組んでいるところです。

―優勝してから、周りからの祝福はいかがでしたか。

寺崎:たくさんの人におめでとうって言ってもらえて嬉しいですし、ちゃんと近畿でやってきたことが認められた嬉しさもありました。
自分がやってきたことが間違いじゃなかった、っていうことを実感しました。

―今回のオールスターに関してはファン投票15位でした。年々順位も上がって、今回はオリオン賞からのスタートでした。ファンからの評価はどう感じていらっしゃいましたか。

寺崎:やっぱりそれは嬉しかったです。ただ更に上を目指して、もっとファンに認められるような走りをしていきたいと感じましたね。

―今回、最初の2走は大きな着が続き、3走目からは1着を並べました。何か開催中に修正できた部分があったのでしょうか。

寺崎:もともと僕はナイターが得意じゃないんです。それでちょっと函館への移動の疲れもあって、最初の2走は思ったような走りができなかったんですけど、3走目からはその部分が整ってきました。あとは最初の2走と違って3走目はそこで負けちゃうと勝ち上がれない番組だったので、そういう意味でも3走目は気持ちが更に入りました。

―となると状態自体は入る前から問題はなかったんですね。

寺崎:はい、仕上がりとしてはすごく良かったと思います。

―準決勝を終えて近畿勢が4人勝ち上がりを決めました。改めて並びはどのように決まったんでしょうか。

寺崎:準決勝を勝ち上がった時に脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)が「番手を回れ」って言ってくださって。その後古性さん(古性優作選手・大阪100期)も同じことを言ってくださいました。話す前は自分が前で頑張るという気持ちだったんですけど、そういう風に言ってもらえたことで番手を回ろうっていう気持ちになりました。

―仮に脇本選手から番手を回れと言われなかった場合、自分から「番手を回らせてください」ということを言うつもりはなかったんでしょうか。

寺崎:はい、それはなかったです。実は高松宮記念杯競輪(GI)の時も脇本さんが番手を回れって言ってくださったんですけど、その時は断ったんです。

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―おお、その時もそういうお話があったのですね。ではその時は断って今回は受け入れたという判断には、どのような気持ちの違いがあったのでしょうか。

寺崎:うーん...これはなんと言ったらいいのか凄く難しいのですが、前回の時と脇本さんの真剣度合いというか、脇本さんの圧というかなんというか、そういうものが違う気がしましたね。今回言われるのが2回目で、「今回はお前が獲る番だぞ」という感じが、脇本さんから伝わってきたのもありました。今まで決勝でやってきたことが認められたなって僕は思いましたし、そのチャンスをものにしたいと感じたんです。

―寺崎選手自身の中では、近畿は脇本選手や古性選手をはじめ層が厚い中で、どこかで「そろそろ自分もGIを」という気持ちはありましたか。

寺崎:やっぱりGIを獲りたいという気持ちはずっとありましたし、自分の後ろにつく人が一番強いので、そこを振り切らなきゃって思いもありました。
その中で自分のレースをして、いざ勝てるかってなるとすごく難しいですし、葛藤もあったりはしました。

―やはり理想としては自力で戦っての優勝という感じではあったのですね。

寺崎:そうですね。理想は自力で勝ちたいですし、勝っていけるような選手にならないといけないと思っています。

―ただ今回はそういう経緯があっての番手戦となったわけですね。番手回りが決まってからの精神状態はどうでしたか。

寺崎:思ったよりもすんなりとリラックスできていましたね。先頭でやるときの方が失敗できないというか、後ろに脇本さんや古性さんが付いているので、自分のミスで失敗できない緊張感があります。今回は意外と冷静でした。もちろん違う緊張感はありましたけど、もう腹を括ったという感じです。

―その決勝戦は古性選手がS取りをしました。近畿勢の作戦としては、前からのプランだったんですか。

寺崎:前のパターンもあったのですが、元々は中団になる予定だったんです。でもどの並びでも脇本さんが先手を取って仕掛ける作戦ではあったので、僕はそれを落ち着いて見ていました。

―結果的に前が取れてからの脇本選手のツッパリ先行となりました。後ろに付いていてどう感じましたか。

寺崎:もう赤板から感じたことないようなスピードでした。独特のピッチでどんどん踏み上がっていく感じで、どこまで踏み上がっていくんだろうと思いましたね。

―今までにない経験だったのですね。

寺崎:はい。練習を一緒にして後ろに付かせてもらうこともあるのですが、その時とレースとでは全然違いました。本当にすごいピッチだなと。

―その脇本選手の気持ちに応えてバックでは自力に転じました。そこからゴールにかけてはどんな気持ちで走りましたか。

寺崎:残り2周から全然緩むところがなかったので脚はきつかったですし、直線も物凄く長く感じました。
ゴールした瞬間はホッとしたのが一番強かったです。GIを獲れた、というよりもホッとですね。近畿の番手を任されてそこでしっかり決められた安心感もありました。

―脇本選手とゴール後、肩を組むシーンもありました。その時はどんな言葉を。

寺崎:いや~もう覚えてないですね。笑 でもとにかく僕が脇本さんに「ありがとうございます!」ってのを、めちゃくちゃ伝えました。
敢闘門で古性さんからもおめでとう、と言ってもらえましたし、南さん(南修二選手・大阪88期)も含めてのワンツースリーで、近畿としてベストな走りができたと思います。

―表彰式の時では函館のファンから寺崎コールも起きていました。その光景を目にしてどうでしたか。

寺崎:すごく嬉しいですし、こんなに応援してもらえるんだ、って本当に嬉しかったです。

―それはやっぱり今まで寺崎選手が近畿の先頭で頑張ってきたからこそだと思います。

寺崎:今までの自分の頑張りを認めてもらえたんだなと感じましたね。

―その後は近畿勢での胴上げもありました。いかがでしたか。

寺崎:いつも僕は胴上げする側なので初めてでしたね。笑
こんなに上がるんだって思いました。体感的には思った以上にかなり高く上がった気がしてちょっと怖かったですね。

―寺崎選手といえば昨年はGIの決勝では大きな着が続いていた中で、今年に入ってはGIの表彰台にも乗っていました。どんなところに目標を置いていたんでしょうか。

寺崎:やはりGIを獲得することが目標でしたね。昨年末くらいから良い流れのまま今年に入って結果もついてきて自信もありましたし、GIの制覇を狙っていました。
毎回獲るぞ、という気持ちで臨んでいましたね。

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―その中での制覇ですが、意外にもGIIIの制覇がないんですね。初めてのグレード優勝がGIというのはいかがですか。

寺崎:今までGIIIや記念を獲ったこともなかったですし、自分としてもまずは記念を獲りたいという気持ちだったので、それよりも先にGIを勝つことができてびっくりしています。あと今回獲れなかったら、もう二度と獲れないだろうという気持ちでもいました。このワンチャンスをものに出来て本当に良かったなと思います。

―そのチャンスが来た時にものに出来る自信はあったんですよね。

寺崎:はい、普段からしっかり練習をしている自負はありましたし、脇本さんや古性さんからも練習でめちゃくちゃ強いと言われていました。
練習の力を出せていないとずっと言われてきていて、まだ全部は出せてないですが、今は8割ぐらいまで出せるようになったのも大きいですね。

―あとは寺崎選手は約2年前に競技を引退されました。それから競輪への向き合い方はなにか変わりましたか。

寺崎:めちゃめちゃ変わりました。セッティングやフォーム、乗り方まで全部変えました。その中で去年ぐらいから自分の中で「これだ」というのが見つかったんです。
やっぱり「競輪」は捲りだけでも先行だけでも勝てないですし、そこをうまくミックスしながら、位置を取る時は取らないといけないし、やっぱり古性さんのように何でもできるようにならないと、今の競輪は厳しいと思うのでそのあたりを意識するようになりました。

―今後はタイトルホルダーとしてファンから見られます。

寺崎:タイトルホルダーだからと言って、僕がやることは何も変わらないですね。一戦一戦、目の前のレースでしっかりと内容が伴った良いレースをして、結果を出せるようにすることです。次は自力でもGIを獲りたいですし、挑戦者というのは変わらないので、自分がしっかりとレースをしていればまたチャンスが巡ってくると思うので、その時にまたそのチャンスを掴めるようにしていきたいです。

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―グランプリ出場も決まりましたがいかがですか。

寺崎:まだ全然そこに関しては何も考えていません。
まずは地元のビッグレースもありますし、今後もGIは続くので、まずはしっかりと目の前のレースに集中します。

―今後近畿勢の中ではどのような存在を目指したいですか。

寺崎:やっぱり近畿といえば脇本選手と古性選手なので、その間に割って入る存在になりたいですし、近畿を先頭で引っ張っていける選手になりたいです。

―今後も期待しています。では最後に、オッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。

寺崎:オールスターは皆さんの投票のおかげで、オリオン賞に乗せていただきありがとうございます。そのおかげで優勝まですることができました。
本当にありがとうございました。今後も応援よろしくお願いします。

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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。

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2025/09/01

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