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競輪界を代表する男子選手、ガールズケイリン選手にインタビューを実施します。他では聞けない素顔や本音、競輪にまつわるエピソード、今後の抱負などをご紹介します!

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"無"で頂点へ―地元でつかんだ悲願のグランプリ初制覇|郡司 浩平選手

地元・平塚で悲願のKEIRINグランプリ初制覇となった郡司浩平選手(神奈川・99期)。 「無」をテーマに臨み、南関勢の想いを背負って走り切った頂点の舞台と、その先に見据える未来について、さまざまなお話を伺いました。

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ナッツ:郡司選手、まずはKEIRINグランプリ2025優勝おめでとうございます。

郡司:ありがとうございます。

ナッツ:2週間くらい時間が経ちましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか。

郡司:優勝してその次の日は、ちょっとふわふわした感じはありましたね。でも年が明けてからは、逆になんだか遠い昔のような記憶というか、気持ちが新たになっている感じですね。そんなに余韻が残っている感じでもないですね。年が明けてレースも始まっちゃえば、もうまたゼロからなので。

ナッツ:少し聞いたお話だと、グランプリの次の日からもう練習もされていたと。

郡司:そうですね。いつも次のレースまでの計画を立てているんですけど、その計画の中で、グランプリの次の日は元々練習をしたい日だったんです。

ナッツ:その計画を遂行するのが凄いです。1年の集大成であるグランプリを獲ると、ちょっとゆっくりしたいな、という感覚になりそうなところですが。

郡司:そこは計画を崩さず、という感じですね。でも1月1日は何もせずゆっくり過ごしましたよ。それもあらかじめ自分の中で計画していたんです。

ナッツ:レースの斡旋が出た時から逆算して、いつもそういった計画を組まれているのですか。

郡司:そうですね。次のレースまでの1か月分くらいの練習計画は、ざっくりですけど立てているので、その中で、という感じです。オフも含めて計画的に、そのあたりはやっていますね。

ナッツ:さすがトップ選手だなと感じます。今回、地元神奈川の平塚バンクでグランプリを獲った、というところについては、どう感じていらっしゃいますか。

郡司:本当にそういうチャンスってなかなかないと思いますし、その中で平塚グランプリを今まで2回走らせてもらっていて、もう今回は3回目だったので、落ち着いて走れた感じはありましたね。

ナッツ:今回のグランプリにあたっては、ご自身でのテーマがあったとお聞きしました。

郡司:そうですね。「無」というのをテーマとして持っていました。それがパッと出てきたのが12月の初めくらいだったかな。競輪祭(GI)が終わった後に、「どういう気持ちでグランプリを走るのか」と誰かに聞かれた時に、自分の中で今回はこれ(無)だな、というそういう感覚があって。今までは、「気合いを入れて」とか、「気持ちを強く持って」とか、そういう部分を意識していたんですけど、今年に関してはそこまで気負わずに、平常心みたいなものをイメージできて、その感覚で臨めたんです。

ナッツ:12月頭にテーマを決めてから、練習などを含めてそれを意識していた、という感じですか。

郡司:まあ変に無理やり意識して「そうしよう、そうしよう」と思ってやっていたわけではないんですけど、なんとなくその感覚が自分の中であったというか。その感じでグランプリに臨みたいな、という気持ちがありつつ過ごしていました。あと今年は平塚でダービー(日本選手権競輪)もあるんですよね。だからそこに向けてもしっかりとやりたいな、という気持ちもあったので、グランプリだけでなくその先の目標も見据えながら過ごせた、というのが良かったのかもしれないですね。もちろんグランプリに向けて仕上げていこう、という気持ちもありましたけど。

ナッツ:どうしてもグランプリが一番大きな目標になりがちなところを、意識をせずに過ごせたのですね。

郡司:例年はグランプリ出場が決まってから、どうそこに(良い状態を)持っていくかというところを試行錯誤していましたけど、今年に関しては、ちょっとその先を見て、その過程の中にグランプリがある、くらいの感覚で臨めたのが、いい結果につながりました。

ナッツ:その感覚で挑んだ地元のグランプリですが、過去2回の平塚グランプリと比べて、発走機に付く際や、走っている時の感覚に変化はありましたか。

郡司:もちろん走る前は緊張感もありますけど、その緊張感が普段のレースと変わらない感覚でしたね。前回の平塚のグランプリの時はコロナ禍でファンの人数も絞られていましたけど、今回はお客さんも多くて声援もすごかったんですよね。もちろん応援は励みになりましたけど、それに飲まれなかったというか。自分の中では平常心を保って走れた感覚はありましたね。

ナッツ:グランプリは独特の雰囲気で、普段のGIともまた違う、というお話も聞きますが。

郡司:そうですね。やはりそこはGIの決勝とも違うものは感じていましたけど、テーマ通りに、今回は本当にいつも通り走れました。

ナッツ:レースについてですが、今回は単騎が3人という構成でした。どういう考えで臨んでいましたか。

郡司:なんとなくイメージとしては、ああいう並びで、ああいう展開になるんじゃないかな、という大方の予想はしていました。ただ、その中でもタイミングだったり、レースの中で考えながら事を運ぼうとは思っていたので、結果的に自分のタイミングで仕掛ける順番が来た、という感じですね。

ナッツ:勝負どころとしては、打鐘4コーナー付近くらいでしょうか。嘉永泰斗選手(熊本・113期)がまず仕掛けていく形になりましたが、あの辺りは仮に嘉永選手が来ていなくても、仕掛けようという考えはありましたか。

郡司:いや~、本当は嘉永選手が行ったタイミングは、自分も仕掛けられるタイミングではあったんです。ただ、今回は単騎というのもありましたし、ラインがあれば、もう少し早めに仕掛ける選択もあったと思いますけど、そこは我慢しましたね。その判断が良い方に転ぶか悪い方に転ぶかは分からなかったですけど、結果的に嘉永選手が仕掛けたので、そこからはスイッチして、自分が行けるタイミングで、という感じで身体が自然と動いていましたね。

ナッツ:そこから捲って、最終の3コーナー付近で前を捉える形になりました。先頭に立ってからは、どんな気持ちでしたか。

郡司:もう本当に無我夢中でしたね。今回のテーマの「無」の「無」我夢中じゃないですけど(笑)。捲り切るまでは、もう必死で。その後も、後ろに阿部拓真選手(宮城・107期)がいるのは分かっていましたし、その時点で「勝てた」とか、そういう感覚は全くなかったです。いま冷静に考えれば後ろに阿部拓真選手がいて、吉田拓矢選手(茨城・107期)がスイッチしているんだろうな、と考えられますけど、走っている時はもう必死に踏んでいた感じです。

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ナッツ:そして1着でゴールを駆け抜けました。その瞬間の気持ちはいかがでしたか。

郡司:ゴールした瞬間に、先頭でゴールできたという感覚はありました。その瞬間に気が抜けたというか、ホッとしたというか、一気に周りの大歓声が聞こえてきて、そこで勝利を確信できましたし、ファンに向かって優勝アピールもできましたね。

ナッツ:改めて地元のお客さんの声援というのはいかがでしたか。

郡司:本当に嬉しかったですね。やっぱりこれまでの平塚のグランプリはコロナ禍で制限があった分、どこか寂しさもありましたし、これだけたくさんのお客さんの前で走れたのは、すごく幸せな時間でした。

ナッツ:その後の表彰式まで、ずっと郡司選手は笑顔でいる姿が印象的でしたが、南関勢での胴上げの後、一気に気持ちが込み上げるような場面もありましたね。

郡司:正直、僕自身も優勝した直後からボロボロ泣けるかなと思ってたんです(笑)。でもそれ以上に嬉しさの方が強かったんですよね。お客さんからの声にも応えていましたし、自然とずっと笑顔でいられて。その後に南関の仲間が待ってくれていた時に、フッと自分の中での緊張の糸というか、そういうのが切れた感じがしたんです。やっぱりグランプリに向けてもそうですし、グランプリの時も、周りの仲間が自分が走りやすくなるようにサポートもしてくれていましたし、そういう思いも嬉しかったんです。自分ももちろん嬉しいんですけど、それ以上に、周りの仲間やお客さんも喜んでくれている姿が嬉しくて、仲間に迎えられた時にそれを感じて、気持ちが込み上げてきたんですよね。

ナッツ:やっぱり普段から郡司選手は南関勢の結束だったり、仲間を大切にしているのが言動から伝わってきますし、きっと仲間にもそれは伝わっていると思います。

郡司:でもこうやって言っておきながら、結局、南関地区としてのグランプリは1人になってしまったことに対する責任感はありましたし、周りの仲間の為にも良い結果を残したいという気持ちがありました。そういうものをレースで表現できたことは、南関勢にとってはプラスになったのかなと感じています。

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ナッツ:レースで表現した上に結果も出して、グランプリ王者としての立場になったわけですが、これからのご自身の中での南関勢の中での役割というのは何か変化はありますか。

郡司:そこは変わらないですね。自分自身がまずGIの優勝を目指して走るというのはもちろんですし、グランプリにまた乗る、というところも目指していきます。まずは自分が結果を残さないと意味がないと思っています。その上で、南関勢として、1人でも多くGIで優勝できる選手を南関から出したいですし、グランプリに乗れる選手を増やしたい。それは自分も含めて、南関勢全体の底上げとして考えていかなきゃいけない1年になるかなとは思っています。

ナッツ:ファンからもこの1年間はまた今までとは違う、王者としての見方をされると思います。そのあたりの責任感というのはどうですか。

郡司:あんまり自分の中では、「責任感を持たなきゃいけない」と思い過ぎないようにはしています。変に意識しすぎると、それがプレッシャーになってしまうので。まだ今年は和歌山の1場所しか走っていませんが、今のところはいつも通り走れているな、という感覚ですね。特別に意識はしていないです。

ナッツ:郡司選手は安定した成績を常に残す中で、SS班でない時期もありました。そういう時の気持ちはいかがでしたか。

郡司:やっぱり周りがどんどん強くなってきて、GIでなかなか成績を残せていなかった時期がありました。その時は、まだまだ足りないな、このままじゃダメだな、というのは、ずっと感じながら過ごしていました。でもそこで厳しいなと感じるというよりは、前向きに、どうやって変えていくか、どうやってもっと上を目指していくか、という過程の中にいる感覚でしたね。

ナッツ:その中で、練習や取り組みもいろいろ試しながら、上を目指していったということですね。

郡司:そうですね。今は川崎で若い選手たちと一緒に練習することも多いですし、正直自分1人だけだと、練習にも限界があるなと感じています。だからこそ、周りと一緒にやっていく中で、自分もそうですし若い選手たちも含めて、全体的に強くなっていけたらいいなと思っています。みんなで切磋琢磨しながら、強くなっていきたいですね。

ナッツ:まさに南関勢全体の底上げ、というところですね。

郡司:はい。1人だけじゃなくて、仲間全員で強くなっていく、という意識でこれからも取り組んでいきたいと感じていますね。

ナッツ:35歳という年齢でのグランプリ制覇はどう感じていますか。

郡司:デビューしてからもう15年くらい経ちますけど、正直、長かったなという感覚は特にないですね。でも、あっという間だった、という感じでもないですけど(笑)。日々、少しずつ積み重ねてきた結果が今につながっている、という感覚です。この年齢で結果として形になったのは嬉しいですけど、この先、何歳までできるかは分からないですし、それでも選手として走れる限りは、少しでも積み重ねていきたいなと思っています。

ナッツ:この15年間、自分を律して積み重ねているのがさすがです。少し自分に甘くしたり、ちょっと休みたいな、という気持ちになる時はないですか。

郡司:自分を甘やかす、という感覚はあまりないですね。ただ、リフレッシュは必要だと思っているので、気持ちの切り替えは大事にしています。オンとオフをしっかりと切り替えることで、普段の練習やレースでは、自分を甘やかさずにいられると思っています。

ナッツ:では最後に、オッズパーク会員の皆様に向けて、今後の目標を教えてください。

郡司:今はまず5月の平塚のダービーですね。そこを獲りたい、という気持ちが一番強いです。とりあえずそこが終わるまでは、その先のことはあまり考えていません。残り半年もないくらいですけど、やれることはすべてやりたいなと思っています。そして今年はGIで結果を残したいですね。もちろんGIIIも大切なんですけど、去年はGIで全然結果が出ていなかったので、今年はGIでの戦い方をしっかり突き詰めていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。

インタビュー:ナッツ山本

※写真提供:©公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki

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2026/01/22

ヤンググランプリ制覇、視線は次の戦いに。|中石 湊選手

見事ヤンググランプリ2025を制覇した中石湊選手(北海道・125期)。 単騎でも揺るがなかった冷静な判断と、展開を読み切った決断力が光りました。 そのレースの舞台裏を紐解きます。

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ナッツ:ヤンググランプリ2025の優勝、おめでとうございます。

中石:ありがとうございます。

ナッツ:少しお時間が経ちましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか。

中石:ヤンググランプリを獲ってから、そんなに余韻みたいなものはないですね。次に向けてまたすぐ練習をしている感じです。もちろんその時は優勝して嬉しかったんですけど、今はもうヤングのことをずっと喜んでいるというわけではなくて、ちゃんと切り替えて、という感じですね。

ナッツ:そこは意識して切り替えているんでしょうか。

中石:いや、もう普段ナショナルチームで練習させてもらっていて、自分より強い人が毎回練習にいるんですよね。今日なら今日で、自分より強い選手との差をどうやって縮めていくかを、今後の試合に向けて準備していかないといけない。それを考えていると、ヤングを獲ったということも、「そんなことあったな」くらいの感覚で、いつも通りに戻りましたね。

ナッツ:ただ、周りの反響は結構あったんじゃないですか。

中石:それはやっぱり大きかったですね。いろんな人に知ってもらえた開催だったな、と思います。優勝したことで、伊豆のお店に入ると「テレビに出ていたよね」って言われることも多かったですし。多分、ヤンググランプリのテレビ中継の影響ですかね。いろんな人に祝福してもらえたので、そこはすごく良かったなと思いました。

ナッツ:それは嬉しいですね。ではレースについて聞かせてください。開催に臨むにあたっての状態面はいかがでしたか。

中石:2開催前の四日市を単騎で優勝していたので、単騎戦だったら自分の力で勝ちにいける競走はしっかりできる、という自信はありました。だから変に構えずに、自信を持って臨む準備はできていました。

ナッツ:気持ちも体も、不安はなかったということですね。

中石:そうですね。ナショナルチームの先輩方が強すぎて、「めちゃくちゃ調子いいな」とまでは思わなかったですけど、「悪くはないな」「本番だったらどうにかなるだろうな」とは思っていました。

ナッツ:先ほどお話にあった単騎という点については、中石選手にとって苦になることはなかったですか。

中石:はい。普段は先輩が付いてくださって走ることが多いので、背負うものも大きいんですけど、単騎だと自分の競技みたいな感覚になるので。テンポが違う分、気持ちの変化はありましたけど、それも四日市で一回試せていたので、そこまで緊張はしなかったですね。

ナッツ:いい意味で気楽、という感じですか。

中石:そうですね。作戦も全然違ってくるので。

ナッツ:その作戦ですが、ラインが2つ、単騎が4人というレースでしたが、どんなイメージでしたか。

中石:単騎だったので、ライン同士がレースを動かしてくれれば位置をしっかり取って、あとはいいところで行くだけ、というイメージでした。ただ、関東ラインと広島ラインが前を固めて、単騎の4人はみんな後ろという形になり、単騎が切りに行かないといけない展開になったのは想定外でしたね。そこで梶原さん(梶原海斗選手・福岡・123期)が動いてくれたのが、単騎としては一番大きかったですね。自分がそれをやれと言われたら、できなかったかもしれないです。

ナッツ:もし梶原選手が動かなかったら、単騎勢はそのまま後ろになってしまう可能性もありましたよね。

中石:そうですね。セオリーとしては、単騎勢が3番手くらいで広島勢の後ろに入って、関東が切りに行く、みたいな展開を予想していたんですけど、それがなかったのは予想外でした。英斗(阿部英斗選手・福岡・125期)も、「梶原さんが切れなかったら自分が切っていた」とレース後に言っていたので、誰も動かなかったら、誰かが切りに行くことにはなっていたと思います。でも、そこでしっかり切りに行ける梶原さんは、やっぱりすごいなと思いました。

ナッツ:あれがあったことで、一気にレースが動きましたもんね。

中石:自分が予想してたのは、森田さん(森田一郎選手・埼玉・125期)と西田さん(西田優大選手・広島・123期)のラインが出させて切って、という展開でした。その中で単騎勢も勝ちたいですし、ラインの選手も勝ちにいかないといけない。短くなったところを上から一気に行こうと思っていたんですけど、森田さんもなかなか動かなかったですし、一本棒になりました。なので、落ち着いて行けばいいかな、と。あと、平塚バンクは結構重かったんですよね。前で先行している人も、そんなにめちゃくちゃ掛からないだろうな、と思ってました。その中で牽制があって、どこに誰がいるかわからない感じでごちゃついてくるだろうし、そのさらに外を捲っていけば、自分にはあまり影響がないはずだと思っていました。

ナッツ:かなり細かく展開を読んでいたんですね。

中石:そうですね。ちょっと上がってはしまいますが、イエローライン付近の外々を踏み続ければ、勝てるなとは思っていました。

ナッツ:ただ実際は、最終ホームは一本棒の8番手でした。少し想定とは違ったと思いますが、焦りはなかったですか。

中石:なかったですね。1周半のところで梶原さんが切ったことで、ラスト1周の並びはそこまでイレギュラーにはならなかったんです。西田さんが絶好の位置になっていましたけど、自分の中では英斗の位置がレースの鍵を握ると思ってました。みんな多分、「英斗が何かしてくるんじゃないか」っていう怖さがあったと思います。内から捌いたり、横の動きをしたり。普段は徹底先行でも、こういうレースは勝ちに行くタイプの選手なので、そこは警戒していました。でも逆に、思ったより正攻法の走りだったな、という印象でしたね。

ナッツ:それだけ阿部選手のことを、みんな意識していたのではないかと。

中石:そうですね。今回のヤンググランプリとか、ルーキーチャンピオンって、結構"内"が空きがちになるんですけど、英斗がいたことでみんな内を締めて走っていたんですよね。だから英斗も外しかなくて、外に持ち出して捲っていったんだと思います。英斗は最終バックで必死な感じで前に集中しているのが見えたので、横には来ないなと思って、自分は結構スレスレに行きました。僕が上から来ているのも、英斗は気づいてなかったと思います。英斗からすれば西田さんを捲れば1着か2着はある展開だったんですよね。森田さんも英斗の内に差し込んでしまっている場面もあって、なかなか仕掛けどころが難しかったと思いますし、結果的に、英斗が周りに警戒されていたおかげで、自分に展開が向いた気がしています。

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ナッツ:仕掛けるタイミングとしては、いかがだったんでしょうか。

中石:ホーム過ぎですね。梶原さんが叩いて、西田さんが飛びついて、西田さんは車間を切って待ってる感じだったと思います。行くと西田さんに合わされるな、という感じがあって、なかなかみんな行けなかったと思います。その時、僕は8番手で、ホーム過ぎに一瞬緩んだんですよ。前を走る松崎さん(松崎広太選手・茨城・123期)との車間が縮まった瞬間があって。僕の後ろには栗山さん(栗山和樹選手・岐阜・125期)もいましたけど、勝利に一番近いのは、自分の後ろを回って差してくる形だろうなと感じていて、変に内をすくってくるようなことはしないだろうなと。なので、その一瞬緩んだ時に「今やな」って思って踏み込みました。そのタイミングで英斗も捲りに行って、みんなそれについていきました。その英斗の後ろで森田さんや篠田さん(篠田幸希選手・群馬・123期)の位置が、最終バックではちょっと"斜め"になってたんですよね。

ナッツ:斜め、ですか。

中石:そうなんです。英斗の後ろに一本で付いているというよりは、ちょっと横に広がる感じで、みんな斜めに付いていた感じなんです。壁になっているような感じで、だからそこを目掛けても風がこなくて。そこを狙って、思いっきり加速しました。残り1周半まで、ただ前に付いているだけで完全に脚が溜まっていたので、もう飲み込む感じで行きました。踏み出した瞬間の感触も良かったですし、出はかなり良かったですね。横に誰かが来るとか、考える余裕もなかったです。

ナッツ:とにかく前だけを見て、ということですね。

中石:そうですね。最終バックの感じで、これを飲み込めたら1着あるなって思いました。あとは、栗山さんが後ろに付いているのは分かっていたので、直線では差されないように、本気で踏みました。

ナッツ:見事1着でゴールとなりました。すぐに右手でガッツポーズが出ましたね。

中石:絶対に獲れると思っていたわけじゃなかったんですよね。展開がもっとぐちゃぐちゃになると思っていたので、勝ち切れたのが嬉しかったですね。それが、そのままガッツポーズに出ました。ルーキーチャンピオンで負けていた分もあったので。

ナッツ:平塚のグランプリシリーズということで、声援もすごかったんじゃないですか。

中石:雰囲気は全然違いましたね。でも、気持ちが上がりすぎないように、いつも通り走ることを意識していました。声援を聞いてテンションが上がりすぎると、逆にダメなので。周回中は、正直ほとんど聞こえてなかったです。

ナッツ:相当集中していたんですね。

中石:松崎さんの後輪だけに集中して、ペースが緩むかどうか、それしか見てなかったです。ゴールしてから、ようやく声援が聞こえてきて、そこでガッツポーズを返しました。

ナッツ:シャンパンファイトもありましたね。少し慣れていない感じが出ていましたが、いかがでしたか。

中石:養成所では習わないので、難しかったですね(笑)。守澤さん(守澤太志選手・秋田・96期)や慎詞さん(中野慎詞選手・岩手・121期)に「やり方わかるか?」って言われて、「わからないです」って答えて、エアで練習していたんです。やり方は教えてもらっていたんですけど、実際にやると全然違いました。あれはあれでよかったんじゃないかと思います(笑)。

ナッツ:その後、北日本勢での胴上げも印象的でした。

中石:北日本の選手は人数も多いし、パワーもあって、めちゃくちゃ高く上がりました(笑)。初めて、ああやって胴上げされて動画も撮ってもらって、素直に嬉しかったですね。その時に、ヤンググランプリを獲って良かったなって思いました。

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ナッツ:さあ、このヤンググランプリ優勝を経て、今後の目標としてはいかがですか。

中石:今年は競技の大会も多くて、競輪に出る本数は少なくなるかもしれないですけど、GIII以上のグレードレースでしっかり勝ち切れる選手になりたいです。予選、準決勝とちゃんと上がって、少しでもいい成績を残せる1年にしたいですね。去年はいろんな経験ができましたし、迷惑をかけた部分もあるので、それを踏まえた上で去年したミスをしないように走っていきたいです。

ナッツ:GIでいうと、去年はオールスター競輪(GI)に推薦で出場しましたが、今年は全日本選抜競輪(GI)にも出場されますよね。

中石:はい。そこは実力で取れた出場権なので、すごく嬉しいです。

ナッツ:競技の面では、2028年のロス五輪を見据えて、ということになりますか。

中石:そうですね。あと2年しかないので、自分がどこまで強くなれるか、挑戦したいです。ナショナルでもAチームとの差は大きいので、今年中にしっかり埋めて、1対1で戦える力を付けたいです。

ナッツ:今後も期待しています。では最後に、オッズパーク会員の皆様へ、メッセージをお願いします。

中石:北日本の番手選手や、先輩方に信頼してもらえる先行選手になるのが目標です。今までの経験やミスを無駄にせず、ミスのないレースを心がけて、少しでも目標に近づけるように頑張っていきます。これからも応援をよろしくお願いします。

インタビュー:ナッツ山本

※写真提供:©公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki

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2026/01/22

競輪祭でGI初優勝!その裏には、同期の絆も...。|阿部 拓真選手

今年の競輪祭(GI)を制し年末のKEIRINグランプリ出場を決めた、宮城・107期の阿部拓真選手に、競輪祭やグランプリに向けてのお話を伺いました。

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大津:まずは、競輪祭(GI)優勝おめでとうございます。

阿部:ありがとうございます。

大津:この1ヶ月でかなり生活が変わったんじゃないですか?

阿部:そうですね。本当にありがたいことに、こんなにも反響があるのかと。本当に忙しくやらせてもらっていますね。

大津:具体的にはどのような反響がありましたか。

阿部:取材の依頼であったり、優勝報告会であったり、先日は県庁の方に表敬訪問もさせていただきました。

大津:すごいですね!

阿部:まさか、こんなことになるとは思ってもいませんでした。

大津:なかなか県知事の方と会うことなんてないですもんね。

阿部:そうですね。自分がそういう実績がある選手で、それを積み重ねて、こういう舞台に立てるような感じであれば想像できるんでしょうけど...。こんなにも急にジャンプアップしてしまったもんですから、本当に驚いています。

大津:菅田壱道選手(宮城・91期)が「拓真は"持ってる"よ」って言ってましたよ。

阿部:いや、今まで「持ってない」人生だったんで...。もうなんか、一気にそれを回収してしまったというか...。逆に嫌なことが起きてしまうんじゃないか、とか考えてしまいます。

大津:「タイトル取ったんだな」という実感はありますか?

阿部:S級S班になるっていう実感はないんですけど、いろんな反響があって、「取っちゃったんだな」「取ってしまったんだな」みたいな感じはありますね。

大津:「取ってやったぞ!」という感じより、「取ってしまった」という感じですか?

阿部:いやー、まあ表現的に悪いかもしれないけど...。だってずっと6番車ですよ。緑(6)・ピンク(8)のユニフォームしか着てないですもん。ピンクから4連チャン緑で、よくここまで来てしまったな、と。嬉しいけど、そんな感じですね。

大津:決勝を迎えるまで、ターニングポイントとなったレースはありましたか?

阿部:2次予選、準決勝で単騎になったっていうことが、自分の中ではプラスになったのかな、と思います。自分で位置を選択するというか、レースの中でどう付いていこうっていうところで、自分で言うのもなんですけど、いろいろハマったなぁ、と。たまたまですけど、これで良かったんだなって思いますね。

大津:"たまたま"とおっしゃいましたけど、阿部選手はレースの位置取りがすごく上手いイメージがあります。ご自身ではいかがですか?

阿部:他の人より脚がない分、そういうところを突き詰めていかなきゃ、とは思っています。いつも一生懸命やっていますけど、「まだまだだな」って思うところもあります。競輪祭の舞台で、突き詰めていた部分が出せたのは大きいですね。

大津:レースの作戦は綿密に考えるタイプですか?

阿部:「最初の位置がここだったらいいな」とかは考えています。ただ、本当にレースは生き物で、誰がどう動くかって実際わからない部分もあります。その中で瞬時の判断をしていきたいとは考えていますね。

大津:決勝進出が決まったときの心境は覚えていますか?

阿部:いやもう、2次予選を勝ち上がって、準決勝に乗っただけで結構お腹いっぱいでした。ちょっとヘラヘラしすぎて「これ、やばいな」って思うくらい、ニヤニヤが止まらなかったです。

大津:それが正直なお気持ちですよね。

阿部:そうですね。決勝は無事に走り切りたいなと思って、まず9着の賞金を見てましたから。優勝の「何千万」という賞金のことではなく、無事に完走できれば良いと思っていました。

大津:平常心で欲を出さずに、というのが良かったんですかね?

阿部:なぜかは自分でも分からないですけど、準決勝、決勝って、すごくリラックスして臨んで、楽しめたっていうのが大きいですね。

大津:普段はそんなに緊張されるタイプじゃないんですか?

阿部:する時はするし、しない時はリラックスして臨めます。その時その時のレースで違うというか、今回の競輪祭の準決勝と決勝に関しては、なぜかすごくリラックスして臨めましたね。

大津:決勝は同期の吉田拓矢選手(茨城・107期)との連携になりました。メンバーを見た時に"吉田選手の後ろ"というのはすぐに決まったんですか?

阿部:いや、けっこう悩みましたね。やっぱり幸訓さん(渡部幸訓選手・福島・89期)もいましたし。今までラインができる時は、自分が前で動いてきたりもしたんですけど、中途半端な自力だし、この大舞台で自分が動いて、別戦も強力で...。「自分に何ができるんだろう」って思って、本当に迷いました。幸訓さんとしっかり話し合って出した結果でしたね。

大津:実際に吉田選手に「後ろつきます」と伝えた時、反応はいかがでしたか?

阿部:近づいていったら、先にニヤニヤしてて、"もしかして俺の後ろ来るんじゃない?"みたいな感じでした。それで、「明日ついてもいいですか?」って聞いたら、「いいんですか?後ろについて欲しかったです」って答えてくれて。同期だし同班で、同じ部屋で過ごしてきた仲間だったので嬉しかったです。

大津:これまで吉田選手との連係はあったんですか。

阿部:今回が初めてでした。GIの決勝で同期同班の選手と一緒に組むっていうのも、凄い縁だと思います。本当に感慨深かったです。

大津:阿部選手もかなり気合いが入ったんじゃないですか?

阿部:みんな強いし、自分が圧倒的に"挑戦者"の立場だったんで、まずはレースにしっかりと絡むことに集中していました。

大津:阿部選手のスタートの位置取りは、決勝でも大きなポイントになりました。

阿部:あの位置を自分で取れたのは、優勝できる確率をグッと上げてくれたと思います。タイミングよく出られて、本当に良かったですね

大津:吉田選手と阿部選手は外枠の車番でしたもんね。

阿部:拓矢が「まず前が欲しい」っていうことだったんで、なんとか出て、一番前は取れなかったんですけど、結果的に良い位置に入れて...。本当にチャンスが巡ってきましたね。

大津:周回中はどのようなことを考えていましたか?

阿部:本来ならソワソワしたりすると思うんですけど、ああいう大きい舞台だと逆に冷静に回れて、呼吸もいい感じでした。リラックスしているけど、抜けすぎているわけじゃない。ちょうどいいバランスが取れていたと思いますね。

大津:良い精神状態で走れていたんですね。

阿部:あと、前日に守澤さん(守澤太志選手・秋田・96期)がやってきて、響平(新山響平選手・青森・107期)に「SSを張ってきたお前からアドバイスしてやれ」って言ったときに、響平が「うーん...、周回は6周です」って言ったんですよね。それで「え、そうなの?」って言って、「マジで今知った?」みたいなやり取りがありました(笑)

大津:さて、ジャン周回のホームで好位置に入りましたよね。吉田選手が3番手で、阿部選手がその後ろで。どういうところに気をつけていましたか?

阿部:まずは追走で離れないことに集中していました。貴治(松本貴治選手・愛媛・111期)がかましてきて、拓矢の前まで入った時に、結構ピッチがキツく感じました。「これ、捲りに行ったらヤバいな」と思って、踏み出しでちょっと離れちゃったんですよ。「ダメだ...うーっ」って苦しくて。でもそこから、なぜかちゃんと良いコースを選べました。

大津:あの苦しい状況で、あのコース取りですよね。

阿部:そうですね。

大津:ゴール直前はどうですか? "ここから伸びる"という確信はありましたか?

阿部:いや、全然確信はなかったです。内から一回ドンって山田ヒデさん(山田英明選手・佐賀・89期)にもらったんですよ。そこでうまく返せた時に、荒井さん(荒井崇博選手・長崎・82期)が前に踏んでいて、それを差せる感じはあって。そこからもう無我夢中で踏んだら1着入線していた、みたいな感じでしたね。

大津:ゴールの瞬間に「荒井選手を捉えた」という確信は?

阿部:それは確信できましたね

大津:阿部選手を買っていたファンの方からすると、最終バックでは「阿部!阿部!阿部!」って叫んでいたと思いますよ。

阿部:いやもう、それは本当に拓矢が「すごい選手」ってことです。あの展開になって、すかさず行けるっていうのが、やっぱり素晴らしい選手だなって改めて思いました。

大津:レースの後は、吉田選手とは何か会話はされたんですか?

阿部:レース直後はバタバタしていたり、取材の対応もあって会話はまったく出来なかったんですが、北日本の打ち上げタイミングで、その場所に拓矢が来てくれたんです。そこで話して、感謝の気持ちを伝えて...、「ありがとう」と言いました。記念に新山と拓矢と3人で写真も撮ってもらったりして...。この2人と肩を並べたわけじゃないですけど、同じタイトル(競輪祭)を3人が取れたっていうのはすごいことだな、と。なんか"すごいことをやってしまったな"って思いました。本当にその瞬間、すごく嬉しかったですね。

大津:確かにそうですよね。107期の3人がそれぞれ競輪祭のタイトルを取って、その3人で写真を撮るっていうのは、すごい確率ですよね。

阿部:そうですね。もう高揚しましたね、その瞬間。

大津:打ち上げもかなり盛り上がったんじゃないですか?

阿部:やっぱりみんな本当に祝福してくれました。北日本のほとんどの人が最後まで残ってくれて、胴上げもしてくれて、本当になんか嬉しいですね。

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大津:ゴール後に敢闘門へ戻ってきたときも、周りの選手から熱い祝福を受けていましたよね?

阿部:和田圭さん(宮城・92期)に、めっちゃポンポンってされました。あの和田圭さんがですよ!そういうタイプでもないのに熱い抱擁をいただきました。(笑)

大津:ヘルメットも投げていましたよね? お客様から言われたんですか?

阿部:いや、もう"こういう時ってこうやるもんだよな"と思って、やっちゃいました。

大津:新田祐大選手(福島・90期)からは、戻ってきて笑われたというお話も聞きました。

阿部:普通は優勝者が出たときには"おお〜"ってなるのに、こんな大爆笑が起きたのは初めてだぞって言われましたね。

大津:それぐらい、阿部選手がみんなに愛されているということですね。

阿部:いやいやいや...。サプライズすぎて、みんな声も出なかったんでしょうね。

大津:ご家族の反応はいかがでしたか?

阿部:いやもう、本当にみんな喜んでくれました。うちの兄とかも、普段はそういうタイプでは全然ないのに、感動して泣いてたって話も聞きました。こうやって家族を感動させられて、自身のこういう姿を見せられて、自分のことなんですけど、それ以上に周りが喜んでくれたってことが嬉しいです。

大津:周りの人が自分のことで喜んでくれるって、なかなかないことですもんね。

阿部:そうですね。かなり反響があって、いろんな方からも連絡いただいて、「嬉しかった」「感動した」って言葉をもらうと、自分の走りで人を感動させられるんだ、喜んでもらえるんだっていうのが、本当に何より嬉しかったです。

大津:携帯電話に着信とかメールとか大変だったんじゃないですか?

阿部:えぐかったですね。ありがたいことに「この人、競輪見てるんだ」っていう人からも来ていたりして、本当にみんな見てくれていたんだな、と思えてありがたかったです。

大津:自分へのご褒美は何か買いましたか?

阿部:いや、特にまだ何も買ってないんですよね。ちょっと今バタバタしていて、いろいろ買い物に行く時間もなくて、まあ欲しいものも特にないんですが。

大津:年末にもう1つ、大事な一戦が控えていますもんね。

阿部:そうですね、そこまでしっかり頑張らないと。まずレースにならないといけないんで。気を抜かずに、ここからまたしっかり練習を頑張ります。

大津:KEIRINグランプリに向けて、現在の仕上がりはどうですか?

阿部:いや、相変わらず"仕上がってる"って感覚はないです。いつもなんですけどね。

大津:相変わらず、ですか。

阿部:相変わらずです。昔からA級の先輩たちにも言われていました。
「拓真と練習すると本当に自信がつく」
「S級1班の選手相手にオレらが勝てるんだから」って。
最近は、僕が弱すぎて「さらに自信つく」って言われていますね。(笑)

大津:KEIRINグランプリは普段とは違って一発勝負です。何か"秘策"というか"対策"みたいなものはありますか?

阿部:そうですね、つまり初日にピークを迎えないといけないですよね。初日が1番大事で、前検日はその2日前じゃないですか。そこに向けて、どう考えるか、どう仕上げるかっていうのは考えていますね。

大津:KEIRINグランプリは、普段競輪を見ない方からも注目されるレースだと思いますが、こんな走りを見てもらいたい、っていうイメージはありますか?

阿部:そうですね、やっぱり最後まで諦めないところですかね。それが武器というか、性格なのか...。だからこそ落車が多くて、逆に「抑えなきゃいけないな」と思う部分でもあるんですけどね。最後まで諦めない姿勢は武器なのかもしれないです。

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大津:来年は今年以上に注目される存在になると思います。これから、どんな選手を目指しますか?

阿部:基本的には"信頼される選手"になりたいです。そのためには、今までみたいに落車して迷惑をかける、っていうのは少なくしたいですね。前でも後ろでも信頼される選手です。そして安定して、ファンの皆さんにも信頼して買っていただける選手になること。それが目標です。

大津:来年は、いわき平競輪場でKEIRINグランプリもあります。

阿部:せっかくS班になってGIもシードから走れる、っていう状態の中で、チャンスはいただけたと思います。そこに向けてしっかり一歩一歩、地に足つけて他のS班の方や、そういう大舞台で常に戦っている選手たちに、肩を並べられるように頑張っていかないとな、と思ってます。

大津:最後に、KEIRINグランプリに向けての意気込みを一言、お願いします。

阿部:まずは本当にレースに参加できるように、ここからしっかりまた気を引き締めて練習して頑張ります。
「阿部から買うよ」っていう声も、いわき平の優勝報告会でファンの方から言っていただきました。競輪は何が起こるか分からないってことを、競輪祭で証明できたと思います。"自信があるか"と言われたら、そういうことではないんですけど、何があるか分からないと思うので、そういったレースにしっかり貢献できるように、その可能性を増やすためにも、頑張っていきたいなと思います。

インタビュー:大津尚之

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2025/12/26

デビュー約16年でGIII初優勝!これからレースに挑む想い。│塚本 大樹選手

デビュー16年4ヶ月で初GIIIタイトルを掴んだ塚本大樹選手(熊本・96期)。
周囲の成長に刺激を受け、練習法も意識も根本から見直して歩んだ30代。
これまでの道のりは。そして来年、地元の全日本選抜競輪(GI)へ挑む思いは。様々なお話を伺いました。

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ナッツ:小田原GIII優勝おめでとうございます。お気持ちはいかがでしょうか。

塚本:やっぱり初めてGIIIが獲れたので嬉しいですね。

ナッツ:デビューして16年4ヶ月で初のGIIIのタイトルです。

塚本:ここ最近ちゃんとやる気を出してしっかり競輪に向き合ったので、その結果が出たのは良かったなと感じます。

ナッツ:塚本選手は2019年あたりまではS級とA級を行き来するような時代もありました。
そこからまたS級に復帰して、30代になってから一気に活躍している印象ですが、そのあたりは何か意識の変化があったんでしょうか。

塚本:そうですね。熊本競輪も復活しましたし、周りの熊本の選手が強くなってきたっていうのが一番ですかね。そこで向き合い方を変えて良くなりました。

ナッツ:今回の小田原GIIIではシリーズリーダーという立場でしたが、そのあたりの意識はいかがでしたか。

塚本:最近ちょこちょこシリーズリーダーになることがあって、そういう時は負けられないという気持ちが強くなっていますね。

ナッツ:今回は連日、若手の先行選手に前を任せるレースが続きました。

塚本:そうですね。競輪にやる気が戻ってからは、横では負けないようにしっかりと仕事をすることを強く意識していたんですけど、それが段々と実ってきて、今は安心して後ろを回れるようになりました。横から来られても勝てるという自信があるので、その安心感が結果につながったのかなと思います。

ナッツ:決勝では九州3人で、阿部将大選手(大分・117期)や宮本隼輔選手(熊本・113期)との連係でした。
特に同県の宮本選手と一緒に決勝へ上がったお気持ちはいかがでしたか。

塚本:準決勝では自分が先にレースを走ったんですけど、隼輔が決勝に乗った時はめっちゃ嬉しかったです。
そのまますぐ「明日頑張れよ!」という感じで話しましたね。

ナッツ:決勝は3分戦で単騎が1名の構成でしたね。レースは阿部選手の突っ張り先行になりましたが、作戦はどう考えていましたか。

塚本:阿部ちゃんは取れたところから絶対に主導権を取る、っていう感じでしたね。ただ無茶駆けはせずに、みんなで決まるように、って話でした。

ナッツ:初手がどうなろうと、「主導権は絶対取るぞ」ということだったのですね。
勝負所では松坂洋平選手(神奈川・89期)が内に来るシーンもありましたが、対応としてはいかがでしたか。

塚本:自分はもう、ああいう動きが来ても大丈夫なように走ってるんで、全然問題なかったです。
ただ宮本はちょっと力が抜けちゃってるな、って感じましたね。

ナッツ:その宮本選手が縦に踏んでいきました。どんな気持ちで追走していましたか。

塚本:踏み込んだ時点で1着か2着の争いはできるな、と思っていました。僕は終始余裕があったので、「交わせたらいいな」と踏み込みましたね。

ナッツ:ゴール前はきっちり差しましたが、差したのは分かりましたか。

塚本:はい、分かりました。

ナッツ:その後、バンクを一周する中で右手を上げるシーンもありましたが、あの時のお気持ちは。

塚本:小田原競輪場はモニターがないんですよね。交わした自信はあったんですけど、本当に1着かどうか確認できなくて笑。
でもファンの声援的に「1着っぽいぞ」って感じて。それで手を上げましたね。

ナッツ:画面越しに見ていても、ファンの声援がすごく伝わってきました。

塚本:いや~盛り上がってましたね。

ナッツ:表彰式後には九州勢での胴上げもありましたね。

塚本:みんな来てくれるとは思わなかったんで、嬉しかったですね。

ナッツ:胴上げ自体初めてかと思いますが、宙に舞った感触はどうでしたか。

塚本:今まで強い選手たちが胴上げされてきたのはずっと見てきたし、自分も中本匠栄選手(熊本・97期)とか松岡貴久選手(熊本・90期)が優勝した時に持ち上げたことがあったんです。
今回は自分が持ち上げられる立場になってよかったです。

ナッツ:その立場になるまでの道のりについてお聞きしたいと思います。
先ほど、周りの熊本勢が強くなったのがきっかけで意識が変わったというお話がありました。ご自身の若い頃は、競輪への向き合い方が甘かったという自覚があったのでしょうか。

塚本:そうですね。自分たちが20代の時は、競輪界自体が厳しい状況に陥っていましたから、そこまで競輪に全力で挑めなかったんです。でも売上が上がると共に、競輪界の活気が出てきて、「自分も遅れちゃいけない」って気持ちが強くなりましたね。熊本競輪場が復活っていうのもあったので、それに向けて目標を決めて取り組んできた結果でもあります。

ナッツ:それはここ何年かで意識が変わってきたんですか。

塚本:うーん...5年前くらいですかね。ちょっと一回落ちて、また上がってきて、競争得点も110点近くまで行ったんですよね。今まで熊本記念に呼んでもらったことなかったんですけど、成績が上がってきても呼ばれなかったんです。「結果を出しても呼ばれないんだ...」っていうモヤモヤがありました。まだ自分はそこまで認められている選手じゃないんだな、って感じたんです。他のレースでも、決勝でも、点数があっても前を回れないっていうこともあったので、そこで「しっかり周りにも認められる選手になって、責任ある位置を回れるようになろう」って気持ちが強くなったんです。練習は試行錯誤しながらやっていましたが、今は決まったメニューを毎日やると決めて、それがいい方向にいってますね。

ナッツ:その中でこうして成績が上がってきて、去年はGIにも何度か出場されましたね。
実際走ってみて、GIというのはどうですか。

塚本:やっぱりレベルは高いし、緊張感もすごいですね。でも、今までGIを"調子のいい状態"で出たことがないんですよ。体調を崩したり怪我したり...。だから今のこの良い流れでGIに行ければ、いい戦いができるんじゃないかなって思っています。

ナッツ:GIを万全の状態で迎えたことがなかったんですね。

塚本:そうなんです。落車もありましたし、去年の全日本選抜(GI)を走る時には、落車しすぎてフレームもダメになっちゃって...間に合わなかったんですよ。
今年は地元の全日本選抜用に、多めに自転車を作って、絶対に乗れるフレームがある状態で走るようにしてます。

ナッツ:そういう意味でも、来年の地元のGIはすごく楽しみですね。

塚本:そうですね。来年はいくつかGIが走れそうですし、1年間しっかり仕上げていこうと思ってます。

ナッツ:熊本勢といえば、嘉永泰斗選手(熊本・113期)がGIを制覇しました。そのあたり、先輩としてどう見ていますか。

塚本:よく話す後輩だし、素直にめちゃくちゃ嬉しかったですね。励みにもなりました。泰斗の後ろは今まであまり回ったことがなかったので、その位置をしっかり回れるくらいになりたいな、って思いました。

ナッツ:塚本選手は年齢的にもベテランに差し掛かっていますが、若手の熊本勢が育っていく中で、ご自身はどういう存在でありたいと思いますか。

塚本:熊本の中でもそうなんですけど、やっぱり「九州勢は横が甘い」って言われがちなんで、しっかりサポートしながら戦える選手になりたいですね。
みんなが安心して走れる存在を目指したいです。

ナッツ:レースだけじゃなくて、普段のコミュニケーションでも、ということですよね。
胴上げのシーンを見ても、塚本選手が周りに好かれているのが分かりました。

塚本:そうですね。みんなとワイワイやるのが好きなんで。好かれてるなら、それは嬉しいことですよね。

ナッツ:ご自身の中で、年齢を重ねて身体のケアやトレーニングはどう意識されていますか。

塚本:身体のケアはめちゃくちゃ気にしてますね。今年は週3~4は整体に行ってます。

ナッツ:え、そんなに行ってるんですね。

塚本:そうですね。僕の場合は、しっかりと練習する以上に身体を丁寧に仕上げた方が自転車が進むなって感じがあって。
身体の使い方をすごく意識しています。それで成績も全然違うんです。

ナッツ:まだまだご自身の伸び代も感じますか。

塚本:感じますね。年齢重ねても強い選手はたくさんいるし、自分の憧れは南さん(南修二選手・大阪・88期)みたいな、動けて横もできる追い込み選手ですね。
ああいう選手になりたいです。

ナッツ:最近は追い込みでも、縦脚がないと戦えない、という話をよく聞きます。

塚本:そうですね。縦も横も必要です。突っ込んだ時に勝負できる脚があると自信にもなりますし、横は経験していきながら、勉強していくしかないですね。でも少しずつ身になってきています。

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ナッツ:これからの目標はどこに置いていますか。

塚本:来年はビッグレースを結構走れそうなので、頑張っていきたいなと思います。あとは阿部拓真(宮城・107期)が夢を作ってくれたんで...(笑)。
自分もあわよくば、くらいの感じで頑張りたいですね。ビッグレースでの初勝利も、今の状態なら自信はあるので目指したいですね。

ナッツ:期待しています。では最後にオッズパーク会員の皆様へ、メッセージをお願いします。

塚本:今の一番の目標は、来年の地元のGIである全日本選抜競輪です。嘉永と連係もしたいです。決勝に乗るという目標で頑張っていくので、今後も応援お願いします。

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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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2025/12/17

「0.1歩ずつ」の先に、掴んだ完全優勝│神山 拓弥選手

四日市記念で約6年10か月ぶりに記念優勝を果たした神山拓弥選手(栃木・91期)。
「0.1歩ずつ」の積み重ねが生んだ完全優勝。
マーク選手として長く戦ってきた神山選手に、競輪への向き合い方を伺いました。

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ナッツ:まずは四日市記念でのGIII優勝おめでとうございます。

神山:ありがとうございます。

ナッツ:記念の優勝は2019年の大宮以来ということで、約6年10か月ぶりになります。そのあたりのお気持ちはいかがですか。

神山:素直にうれしかったですね。連日、関東の若手が前で一生懸命頑張ってくれたおかげで、展開がすべて向いてくれました。とても良い形でした。

ナッツ:寛仁親王牌からほとんど間隔が空いていない中での開催でしたが、状態面や調整はどうでしたか。

神山:中3日しかなかったので、脚力自体が上がることはないんですけど、普段通りの練習をして良い感じで入れました。

ナッツ:今シリーズはSS班も5人いて、"スーパー記念"とも言われるGIIIでしたが、優勝のイメージはありましたか。

神山:全くなくて、本当に一戦一戦積み重ねたら優勝できた、という感じですね。

ナッツ:決勝に関しては眞杉匠選手(栃木・113期)のほぼ先行一車という構成でした。後ろからの組み立ては想定通りでしたか。

神山:車番も悪く、後ろ攻めになるとは思っていました。前を取りに行って突っ張るという話も少し出たんですけど、後ろから組み立てた方が前がごちゃつく可能性もあるという話になって、結果的に後ろからの組み立てになりました。

ナッツ:勝負どころでは古性優作選手(大阪・100期)が飛びついてくるのでは、という見方も多かったですが。

神山:古性君は横も縦も強いので警戒していました。特に横の動きが勝負だなと思っていたので、そこは対処する意識を持って走りました。結果的に速度差もあったので、飛びつかれる形にはなりませんでした。

ナッツ:眞杉選手がジャン前で一気に仕掛けましたが、踏み出した時はいかがでしたか。

神山:眞杉はダッシュも掛かりも強いですし、今回は4車だったので、そのあたりを考えて走ってくれていました。さすがタイトルホルダーの動きだったと思います。

ナッツ:出切ってからは最終バックで古性選手も捲ってきましたが、対応はいかがでしたか。

神山:スピード差がそれほど大きくなかったので、一度外に持ち出して牽制しました。その後戻るときに眞杉の後輪に差し込んでしまったので、あとはもう縦に踏むしかない、という状況でした。

ナッツ:そこからの直線はどんな気持ちで。

神山:いっぱいいっぱいでしたし、「誰も来ないでくれ!」と思いながら必死で踏んでいました。

ナッツ:四日市は直線も長いので、余計にそう感じそうですね。

神山:そうですね。ただ結果的にしっかり踏み切れたので、そのあたりは練習の成果が出たのかなと思います。

ナッツ:今回は完全優勝という結果で、グレードを問わず完全優勝は2013年6月のいわき平以来になります。そのあたりはいかがですか。

神山:いや~、完全優勝はなかなかできるものではないので、今回のメンバーでできたのは本当にうれしかったです。

ナッツ:先ほど「練習の成果」というお話もありましたが、今の競輪はスピード化が進んで縦脚がより必要な時代になっています。ご自身ではどのように意識されていますか。

神山:まず縦脚がないと横の対応もできないので、そこは意識して取り組んでいます。ただ、レース本数が増えてまとまった練習時間が取れないこともあるので、中3日とかの中で少しずつ積み上げていくしかないと思っています。脚力は簡単には付かないので、本当に「0.1歩ずつ」、下手したらもっと小さい歩みで進むしかないですね。

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ナッツ:0.1歩ずつ、ですか。本当に積み重ねですね。

神山:そうですね。強くなる近道なんて多分ないですよ。もしあるなら自分も知りたいです(笑)。結局は小さな積み重ねを続けるしかないですね。

ナッツ:そのためにも、練習はしっかりと計画的に取り組んでいるんですね。

神山:斡旋が1か月前に出て、中何日空くかが分かるので、それに合わせてやるべきことを決めています。脚力を付けるというより、不安を取り除く意識ですね。それをやってきたから今回は大丈夫なんじゃないか、という気持ちで臨めます。不安がなくなればレースで気持ちよく走れる、というのを意識しています。

ナッツ:気持ちの部分でも万全で臨めるように、ということですね。

神山:そうですね、でもみんなやってると思いますよ。今回の記念前も中3日でしたが、午前中はバンクに行って、午後は眞杉と街道でもがきました。久々に連係する可能性があったので、その対策も兼ねて、できることをやりました。

ナッツ:眞杉選手の話も出ましたが、ここ数年関東の若手もどんどん強くなっています。今は若手を支える立場という見られ方もありますが、その点はどう考えていますか。

神山:いや、自分に支える余裕なんてないです。むしろしがみついていかないといけない立場ですね。自分の脚力を上げて、若い選手に食らいついていく。その上でできることがあればやるというスタンスです。

ナッツ:若い選手にもしっかりアドバイスしている印象がありますが、そのあたりは。

神山:やっぱり、それぞれの選手の特性を生かすことを伝えられればいいなと思っています。レース後にあれこれ言っても仕方ないので、聞かれたら必要なことを伝える感じです。

ナッツ:神山選手は長くマーク選手として戦ってこられた印象です。マーク選手は自力選手ほど注目されない部分もありますが、日々のモチベーションはどう保っていますか。

神山:注目されるかどうかは関係ないです。目の前の一戦に全力を尽くして車券に貢献する、それが自分の仕事です。一戦一戦、全力で走るだけですね。

ナッツ:ファンからすると頼もしい言葉です。マーク選手として大切にしていることはありますか。

神山:できないことはできないので、できることをしっかりやる、それだけです。無理に背伸びすると事故や落車につながるので、自分ができることを100%やるようにしています。

ナッツ:できることをされた結果、6年ぶりにGIIIを優勝されました。この6年間をどう感じていますか。

神山:今は競輪全体のレベルが上がっています。GIで結果を出したい気持ちはありますが、正直きついと感じる場面もあります。今回の優勝はうまく積み重ねが結びついたという感じです。努力しているのは自分だけじゃないですが、考えながら続けてきたことが、こういう"たまたま"の優勝を生むんだと思います。でも、その"たまたま"を起こすのが日々の準備です。

ナッツ:年齢的にもベテランの域に入ってきていますが、競輪への考え方は若い頃から変わりましたか。

神山:若い時は先行で走っていましたし、自力選手の気持ちも分かります。その経験を後ろで生かせている部分もあります。自力とマークでは見える景色は違いますが、どちらも経験したからこそ、今の考えにつながっていると思います。自力でも番手でも、やるべきことをやるというのは同じなので。今回は関東の選手のおかげで展開もできましたし、本当に感謝しています。

ナッツ:まさに今回の四日市記念も、普段仕事をしている神山選手が報われたといいますか、積み重ねてきたからこその優勝という結果で、見ていて本当に痺れる走りでした。「支えているつもりはない」とおっしゃりますが、自力選手からすれば心強い味方ですし、信頼関係があるからこそですよね。"たまたま"ではなく、本当に積み重ねてきた結果だと、私は感じました。

神山:そう言ってもらえるのは選手冥利につきますね。
大したことじゃないんですけど、一応いつも自分なりに一生懸命考えてやってはいるんですよ。その中で、「なんだこれ、全然意味がないな」と思うような練習もあります。でも、それはやってみなきゃ分からないことで、1日2日で答えが出るものでもない。
無駄な時間って言ったら言い方はあれですけど、「ためにならなかったな」って思う練習もたくさんしてきたと思います。でも、それが結局は「あ、これは今、必要ないんだな」「これは自分には合わないんだな」って分かることができれば、それはそれでプラスなんですよね。それも一歩前進しているんだと思います。
だから、自分の考えでは、結局「失敗はない」んです。正直、意味のない練習って言ったら意味のない練習なんですけど、意味がないって気づけた時点で、それはもう失敗じゃない。分からないままやらないんじゃなくて、やってみた結果「やらない」と判断できる方が、一歩進んでいると思うんです。
無駄なことでも一歩進んでいる。だから結果的に全部無駄なことじゃない。そういう風に思っています。

ナッツ:意味がなかったと分かること自体が収穫なんですね。

神山:そう思います。そうした積み重ねが、今の考え方や競輪への向き合い方につながっていると思っています。

ナッツ:神山選手は当たり前とおっしゃっていますが、そういう考え方に辿り着ける人って、実際どれだけいるのかな、とも思います。

神山:今は養成所のトレーニングもナショナルチームの要素が入っていますし、ウェイトトレーニングの精度も昔より確実に上がっていて、科学的な答えが出ている練習をみんなやっていると思うんです。だから、デビューした瞬間から"即戦力"みたいな選手も増えていますよね。
でも、競輪って独特な部分があって。横の動きや駆け引き、展開の読み、脚だけではない勝負がある。もちろん、ナショナルチームの若手みたいに脚で全部ねじ伏せられるぐらい抜けてしまえば、それはそれでひとつの答えですけど。でも、それが毎回、全部のレースで通用するかと言うと、そうじゃない。それが競輪の面白さであり、奥深さだと思います。
もし脚力だけが全てなら、年齢が上がった選手は絶対に勝てないですよね。でも今、50代で特別競輪を走っている選手もいますよね。ああいう人たちは脚以外の強さがあるから走れているんだと思うんです。だから競輪にはいろんな要素が必要なんだと思っていて、どの要素を鍛えるか、どう考えるか、どう練習に落とし込むかが大事なんじゃないかなと思います。

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ナッツ:そこをしっかりと考えた上で積み重ねていくということが大切なのですね。神山選手も、50代まで現役を続けたいという気持ちはありますか。

神山:50歳までやりたい気持ちはあります。ただ惰性で続けると気持ちがダレてしまうので、そこに向けて本気でやりたいです。40代半ばになった時に、また感じるものも絶対にあると思いますし、50歳で特別競輪に乗っていたら最高です。S級にいられたら自分でもすごいなと思います。A級でも50歳で走っていたら、それはそれで立派だと思います。ただ、結局は自分がその時どうなっているか、やってみないと分からない。
毎年ダービーに出続けたい、GIに出続けたい、とか、そういう目標の積み重ねですね。1年単位で今年はこれって感じではなくて、特別競輪から逆算してここを強くしたい、数字を少しでも上げたい、と積み重ねる感じです。そしてその間にもレースがありますが、レースでしか分からないこともあるので、不安を感じたらそこを取り除く。それを繰り返すだけです。

ナッツ:今日は神山選手に、競輪に対する考えも聞かせていただきました。最後に、オッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。

神山:応援してくださる皆さんに感謝しています。これからも一戦一戦、しっかり走りますので、応援よろしくお願いします。

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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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2025/11/25

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