ばんえい競馬のルーツ
~ばんば大会を見に行く~
本題に入る前にちょいとおしらせ。
【その1】
北海道限定の話題で恐縮ですが、読売新聞札幌圏版に、7月28日から8月3日まで、「蘇れ!ばんえい競馬」という連載記事が掲載されました。全国のばんえいファンのみなさん、これは必見ですよ! どうでもいい話ですけど、最終日には小生のコメントもあったりして……。
【その2】
これまた北海道限定の話ですが、不肖この私、11日放送のuhbの人気番組『トークでのりゆき』にちょこっと出演しました。実は放送当日は四日市ナイター競輪参戦とそのついでに三重大学大学院の集中講義のため……逆です、集中講義のついでにナイター競輪参戦のため、旅に出てたので自分では見てません。
【その3】
8月4日付け毎日新聞道内版に、北海学園大学経済学部の古林英一教授(ワシやワシや)のコメント記事が出ております。なんでもこの教授のご専門は「公営競技論」だそうで……。おいおい、いつからそんな学問が出来たんや!?と自分で突っ込みをいれたくなりますな。なお、この記事はこちらで見ることができます(早くしないとリンク切れになるよ~)。
さて、本題。
真夏の大一番・ばんえいグランプリはスーパーペガサス、サダエリコの1・2着で決着。小生も勇躍岩見沢競馬場に参戦したのである。小生はアンローズで勝負っ!と思ってたのに、肝心のアンローズは不参加。小生、アンローズ好きなんですよねえ。おっちゃん、そもそも大柄できれいなおねーちゃんが好きなもので……(^_^;) それはともあれ、アンローズが出ないなら、スーパーペガサス→サダエリコの1点勝負かとも思ったのだが、つい頭をもたげるスケベ根性。「そろそろ、ミサキスーパーあたりが」とか「軽量トカチプリティーがさっさと2障害を越えて」とか、果ては「今年度未勝利もこのレースと相性のいいヒカルセンプーも」と妄想は限りなく拡がり、挙げ句に「スーパーペガサスとサダエリコでは面白くないっ!」なんぞという訳のわからん結論に達したのであった。
で、結果はご案内のとおり、強い馬2頭が1・2着。まことにもって常識的な結果におわり、小生の妄想は炎天下の岩見沢の空に陽炎のごとく消え去ったのだった。まあしかし、強い馬が強いレースを見せてくれたわけで、レースとしてはいいレースだったように思う(しかない(T_T))。
さて、グランプリの翌日、長沼町農村広場で第47回長沼町ばんば大会が開催された。夏は大きなばんば大会が全道で開催される季節でもある。
よく知られているように、ばんえい競馬はばんば大会が公営競技となったものだ。ばんば大会は今でも北海道の各地で20以上が開催されているようだ。様々なスポーツのなかで、プロとアマの垣根がこんなに低い競技も少なかろう。全道各地で開催されるばんば大会にはばんえい競馬の馬や騎手が大勢参加する。大会の開催日が日曜日だと、競馬開催日なので、騎手はさすがに参加できないけれど、それでも馬は結構な数がばんば大会に出場する。
この長沼町ばんば大会は毎年火曜日に開催されるとのことで、ここには騎手も馬も大勢参加して、アマチュアの愛好家や馬に混じって熱戦を繰り広げる。昨今はポニーばんば競走も盛んにおこなわれており、この長沼町ばんば大会でも全21競走のうち、ポニーばんばが9レース組まれていた。
(写真:ポニーばんば)
小生が気がついただけでも、山田、尾ケ瀬、皆川、金山、岩本の各調教師、西(弘美)、山本、尾ケ瀬、千葉といったジョッキーたちが参加していた。金山調教師に至ってはレースにも乗っていた。山本騎手などはレース実況までやっていた。他にも騎手が何人か来ていたようだが、なんせ、勝負服を着ているわけではないので、ちょいと見ただけではわからない。山田調教師にうかがったところ、師はムソウリキ以下4頭を連れての参戦だそうな。ムソウリキは前々日の第9レース(550万下)を見事優勝しての参戦だ。さらにいえば、ムソウリキのオーナーは、地元長沼町のかねひろジンギスカンの廣川さん。これは力の入るところだ。
(写真:西弘美騎手(左)と尾ケ瀬騎手)
レースはU字型コースを使っての4頭立て。西騎手によると、長沼はコースが小回りなのでコースどりがなかなか難しいとのこと。馬も人も真剣勝負なのだが、それでもやはりどこかお祭り気分だ。西騎手らも競馬場で騎乗するときに比べると、表情も心なしか柔らかな感じだ。
みなさんご承知かもしれないが、西騎手は岩手県のご出身。かの地も馬力大会が盛んな土地だ。西騎手も子供の時から馬力大会に参加していたとのこと。2000勝ジョッキー西弘美にとって、ばんば大会はふるさとを偲ぶひとときなのかもしれない。
最終第21レースは、アラナミライデン(元競走馬)、ムソウリキ(現役競走馬)、スガノテンリュウ(現役競走馬)の3頭による800キロの高重量戦。さて、このレース、見事に勝ったのは?
常識的に考えれば、現役競走馬2頭のうちのどっちかということになるんだろうが、ところがどっこい、見事に勝ったのはなんと引退馬のアラナミライデン。後で調べてみたら、このアラナミライデン、昨年の2月に600万下のレースを最後に引退したのだが、この引退レースでは7番人気にも関わらず、ライデンガイモン、オーパスワン、シンエイハヤブサ、ガリバーボーイらを負かして見事有終の美を飾っているのだ。現役を退いてもまだまだ負けないというところだろうか。いやあ、たいしたものだ。貴乃花が朝青龍に勝つようなもの?
話は変わる。ポニーばんばの番組表を見ていて気がついたのだが、ポニーばんばは体高100cm以上と100cm未満に区分されて番組が編成されていた。そういえば、かつてのばんえい競馬では馬格でクラス分けがなされていたという。きっとこんな感じだったのだろう。故・内田さんが残された名著『まんが・ばんえい読本』などを見ると、草創期のばんえい競馬では、世話役が馬格などをチェックして出場馬をクラス分けし、番組編成をしていたという。それが体重別になり、そして現行の獲得賞金別になったわけだが、見た目でクラス分けというのも、さぞや侃々諤々の議論があったことだろう。
雲一つない快晴の夏空の下、小生にとってはかつてのばんえい競馬を追体験できた貴重なひとときだった。なお、ばんば大会は、21日には共和町と足寄町で開催され、さらに秋になっても道内各地で開催される。ばんえいファンの皆さんも一度足を運んでみてはいかがだろう? 馬券をはずすことがない(馬券発売がないので当たり前)ので、まことにもって穏やかな気持ちで観戦できますよ~(^^)/