世代限定戦の重賞を勝ってきた4~5歳馬が5頭と、古馬のトップクラスで常に上位争いをしている8歳以上の世代が5頭と、いかにもチャンピオンカップらしいメンバー構成となった。ハンデ差は最大70キロあるが、実績的に下の世代が逆転というのは難しいのではないか。
実績にまさるベテラン勢で中心にするのはナリタボブサップ。昨シーズンは善戦しながらも重賞未勝利に終わったが、今シーズンは重賞2勝と復活。トップハンデで臨んだ帯広記念は、20キロ軽いニシキダイジンと競り合い、最後は惜しくもゴール線上で止まって2着。しかし差はほとんどなかった。以前のように、先行してゴール前で急激に勢いをなくすということもなくなってきた。前2走の特別戦は惨敗だったが、基礎重量が重くなる重賞なら底力を発揮する。
相手筆頭には、これも一時期の不振から完全に抜け出したフクイズミ。昨年秋から帯広記念までは障害に苦しむレースが続き、得意の末脚をまったく生かせずにいた。しかし前々走白馬賞、前走ヒロインズカップの連勝で、その不安を解消。今回は、07年にこのレースを制したときと同じ800キロ。当時より遥かに高重量戦の経験を重ねているだけにチャンスは十分だろう。
安定感で断然なのはカネサブラック。今シーズンも3着を外したのは北見記念の4着のみ。とはいえ、その北見記念以降は8戦して勝ったのが2度だけと、やや勝ち切れないレースが続いているだけに、軸としては狙いにくい。
若い世代で勝負になるのはキタノタイショウだろう。昨年12月のドリームエイジカップでは、4歳ながらナリタボブサップ、カネサブラックとわずか20キロ差でほとんど互角の勝負の3着と大健闘。この時期に、すでにオープンのトップクラスと差のない実力を示したことには驚かされた。今回、ナリタボブサップ、カネサブラックとは10キロ差とさらに重量差が縮まったが、3連勝中の勢いもあり、展開次第では逆転の可能性もある。
北見記念、帯広記念を制し、いよいよばんえい記念連覇に向けて調子を上げてきたニシキダイジンも当然軽視はできない存在だ。
◎ナリタボブサップ
○フクイズミ
▲カネサブラック
△キタノタイショウ
△ニシキダイジン
実績的に重賞4勝のエンタノメガミが最上位。昨年後半も名古屋の秋桜賞と、兵庫クイーンカップを勝利。ここ3走でも牡馬のトップクラスに入ってそれほど差のない勝負をしている。牝馬同士の今回のメンバーなら負けられないところ。
地元の意地を示したいのがビービーバイラ。前哨戦のクイーンカップを連覇して臨む一戦。昨年は兵庫のキーポケットに4馬身ちぎられての2着。エンタノメガミとキーポケットの比較では、実績的にキーポケットのほうが上だが、9月の秋桜賞ではハナ差ながらエンタノメガミがキーポケットを破っている。昨年の4馬身という差を考えれば、ビービーバイラがエンタノメガミを負かすという場面は考えにくい。
逆転の可能性ならゴールドピアース。重賞初挑戦だった兵庫クイーンカップでは、着順こそ5着だが、勝ったエンタノメガミからはコンマ3秒しか離されていない。続く園田金杯では、牡馬の一線級に混じっての定量戦ながら、スマイリングフィル、アルドラゴンの一騎打ちから2馬身半差の3着と好走した。3走前には、3キロ軽かったとはいえエンタノメガミにも勝っている。展開ひとつで重賞初制覇という場面もありそうだ。
中央1000万下から名古屋に転厩してこれが3戦目となるカツヨトワイニングも牝馬同士のここなら上位に食い込む可能性あり。
フェミニンワイルドは、前走クイーンカップが重賞初挑戦だったが、逃げてビービーバイラの半馬身差2着に粘った。今回もすんなりとハナを奪えそうなメンバー構成だが、今度は相手がビービーバイラだけではないので、前走のようにいくかどうか。
◎エンタノメガミ
○ビービーバイラ
▲ゴールドピアース
△カツヨトワイニング
△フェミニンワイルド
ヒシウォーシイの12連勝なるかに注目が集まる。昨年3月のマーチカップから負けなしの11連勝。福山遠征なども含め、そのうち重賞8勝というのにも驚かされる。前走予定していた2月11日のオープン戦は雪のため中止。調整過程に問題がなければ、勝負付けが済んだ相手ばかりであり、ここも問題なく通過してくれるだろう。そろそろ名古屋大賞典JpnIIIあたりで久々に中央馬との対戦も見てみたいところ。
相手筆頭はマルカハンニバル。昨年夏に中央から転入後、9戦して7連対という堅実な成績。連対を外したのは、名古屋グランプリJpnIIでの5着と、名古屋記念での6着のみ。東海菊花賞では今回と同じ定量57キロでヒシウォーシイに半馬身差まで迫っており、逆転できる可能性があるとすればこの馬だけ。重賞初制覇の期待もかかる。
3番手にはマイネルアラバンサ。前走クリスタルオープンはマルカハンニバルに半馬身差の2着。ただそのときはマルカハンニバルより2キロ軽い55キロで、同斤量となる今回はやや分が悪いか。ただこの馬も09年秋に中央から転入して以降、10戦5勝、2着2回、3着2回という堅実な成績。昨年のこのレースではキングスゾーン、ヒシウォーシイらをまとめて負かした経験があるが、ここ3戦連続でヒシウォーシイ、マルカハンニバルの後塵を拝しているだけに、逆転までは難しいか。
そのほかで馬券圏内の可能性があるのはノゾミカイザー。1年近く勝ち星から遠ざかっているものの、ここ3戦の重賞やオープンで連続3着。ただ前走クリスタルオープンでは、54キロでマルカハンニバル、マイネルアラバンサからやや離れての3着だけに、よほど展開が味方すればというところだろう。
◎ヒシウォーシイ
○マルカハンニバル
▲マイネルアラバンサ
△ノゾミカイザー
4シーズンぶりに2歳シーズン終盤の牝馬重賞重賞として行われる黒ユリ賞。
5勝馬が2頭に4勝馬が8頭と、この世代の牝馬は大混戦。メンバー中9頭が出走したトライアルのかぐや姫賞を別とすれば、2歳時にA-1勝ちはあっても、3歳になってからA-1で連対した馬が1頭もいないというのを見ても、いかに混戦かというのがわかる。
しかしその中で、唯一3歳A-1で3、5着と掲示板を確保しているヤマトホマレが一応の中心。かぐや姫賞では、先に障害を越えたブラックパールにゴール前で迫って5秒6差の2着。この馬のほうが5キロ重かったことを考えれば、定量のここなら十分逆転可能。全馬にとって負担重量が一気に増加する今回、前走馬体重が1トンを超えていたのがこの馬だけということでも有利。
ブラックパールは9番人気で臨んだかぐや姫賞では大河原騎手への乗り替りで、第2障害をすんなりひと腰でクリアすると、最後はやや一杯になったものの、そのまま押し切って勝利。前走、一線級が揃った3歳A-1戦の8着を度外視すれば、昨年12月ごろから堅実な成績で、確実に力をつけてきている。
トモエウンカイは、昨年8月の白菊賞で2着、9月のいちい賞で勝利と、2歳の早い時期の牝馬限定の特別で活躍。さらに12月には、レベルの高い十勝産駒特別で軽ハンデとはいえオイドンの2着(同着)という成績も立派だ。ただ早い時期に賞金を稼いだことで、その後はA-1の一線級との対戦で苦戦を強いられたが、ここ2戦で復調気配を見せている。
かぐや姫賞3、4着のマリンチャンス、アグリコトブキに、近走いまひとつも2歳時の成績が光るヘイセイオトメなどにもチャンスはありそう。
◎ヤマトホマレ
○ブラックパール
▲トモエウンカイ
△マリンチャンス
△アグリコトブキ
△ヘイセイオトメ
JRA小倉のくすのき賞を勝ったウルトラカイザーが回避してしまったのはなんとも残念。中2週のここで無理せず、目標の九州ダービー栄城賞にじっくり備えるということだろうか。
3歳1組戦で上位を争ってきた馬が少ないメンバー構成だけに、花吹雪賞上位馬が中心。
その花吹雪賞を勝ったヒシダイアナは、中団追走から3~4コーナーで外からまくり、直線でも逃げ粘っていた1番人気のリリーを並ぶ間もなく交わすと4馬身差をつけた。まさに完勝といえる内容だっただけに、ここでも中心は堅い。
リリーは道営からの転入初戦となった12月のカペラ賞逃げ切って5馬身差の圧勝。前走花吹雪賞はヒシダイアナに完敗の2着だったとはいえ、佐賀ではそれがまだ2戦目。コース慣れが見込める今回は巻き返しも期待できる。
コスモノーズアートは中央未勝利から転入後、5戦3勝ですべて3着以内。今回が重賞初挑戦とはいえ、連勝の勢いで一発の可能性も。
キャンベルも中央未勝利からの転入だが、中央時は4着2回、5着2回の入着賞金があり、佐賀ではいきなり古馬C1級に格付けされて8着。花吹雪賞は2着リリーから1馬身半差の3着だった。展開ひとつで上位に食い込む可能性も十分。
シーオブスプリットは道営未勝利で、シーズン終了前に佐賀に転入。そして佐賀では7戦して3着を外したのが1回のみと堅実な成績。重賞は今回が初めてだが、近2走は3歳1組特別でともに3着だけに、連下争いなら絡んでくるかもしれない。
◎ヒシダイアナ
○リリー
▲コスモノーズアート
△キャンベル
△シーオブスプリット