若草賞、福山牝馬特別(旧・兵庫牝馬特別)に続いて、マイル争覇も福山に移ってきた。これで、笠松、兵庫、名古屋からそれぞれ重賞が1つずつ福山に移ったことになる。かつて東北地区(岩手、上山、新潟)などでは地区交流重賞の持ち回り開催というのはあったが、主催者間で重賞を移設するというのはめずらしい。
というわけで福山に替って最初のマイル争覇は、頭数こそ8頭立てとやや寂しいが、名古屋、笠松、兵庫から楽しみな馬が遠征してきた。
東海地区を荒らしまくっているという表現がぴったりくる兵庫のベストタイザンが福山に初見参。08年11月の笠松グランプリで笠松初遠征から、笠松・名古屋で重賞7戦6勝。ただ一度負けたのはダートグレードの名古屋大賞典JpnIIIのみで、それにしても地方馬最先着の4着と好走。かつては1400メートルがベストと言われていたが、そもそも2400メートルの園田金盃も勝っているように、1800メートルあたりでもまったく問題ない。福山でもその勢いを示してくれるかどうか。
おそらく実績馬キングスゾーンとの一騎打ちだろう。そのキングスゾーンだが、最近はダートグレードではちょっと厳しい感じになってきたが、船橋の総の国オープンでもタイム差なしの2着に好走しているように、地方同士ならまだまだやれる。ただ地元東海地区でも取りこぼしが多くなっているだけに、頭はベストタイザンのほう。
昨年9月の瀬戸内賞でイイデケンシンの2着と好走したのが笠松のキャプテンハート。ただ、07年3歳時のスプリングカップ(名古屋)以降重賞勝ちがなく、上記2頭とはやや開きがありそう。
地元福山勢では、大将格のクラマテングが割って入れるかどうか。
◎ベストタイザン
○キングスゾーン
▲キャプテンハート
△クラマテング
牝馬によるヒロインズカップ。今回はちょっと穴を狙ってみたい。今季初戦を勝利して以降、勝ち星から遠ざかっているニシキユウ。一番の見せ場があったのは、夏のばんえいグランプリ。先頭で障害を越えると、さすがにフクイズミやカネサブラックなどの一線級には交わされたが、最後まで食い下がっての4着。9月以降は勝ち馬から10秒以上離される大敗続きでいいところがないが、前走の白馬賞は3番手で障害を越えると、フクイズミには交わされたものの、それほど離れていない5着とまずまずの走り。ばんえいグランプリのときより10キロ軽い780キロで牝馬同士なら、けっこうやれるのではないか。
相手には、やはりフクイズミ。前々走、帯広記念連覇は見事というほかない。他馬と10~40キロのハンデ差は楽ではないが、馬場が乾いて重めの馬場ならこの馬の末脚には有利。
最軽量の760キロは2頭いるが、ニシキエースに期待。近5走は4連対と好調。前々走の天馬賞では4着に負けたとはいえ、勝ったオレワスゴイから1秒4しか離されていない。
5月のカーネーションカップを制したエンジュオウカンや、牝馬限定重賞に強いトカチプリティーにもチャンスは十分。
オープンでそこそこの走りを見せているギャンブラークインは、別定のプラス10キロがちょっと厳しそう。
馬券はニシキユウからなら、矢野吉彦さんの得意技(?)、総流しでもよさそうだ。
◎ニシキユウ
○フクイズミ
▲ニシキエース
△エンジュオウカン
△トカチプリティー
△ギャンブラークイン
昨年のホッカイドウ競馬2歳戦線のレベルも、例年どおりというか、例年以上にというか、とにかく高いもので、シーズン終了後に全国に散らばっていった馬たちが重賞戦線を勝ちまくっている。
大晦日、大井の東京2歳優駿牝馬は、エーデルワイス賞勝ちのオノユウが2着に負けたものの、勝ったのはやはり道営から転入のプリマビスティー。1月2日、水沢の金杯を勝ったのも元道営のモエレデフィニットで、これで転厩後2連勝。21日の園田クイーンセレクションを勝ったのも、元道営のコロニアルペガサス。ちなみにこのレースでは直線を向いて完全に勝ったと思ったエレーヌが急によれて落馬してしまったのだが、幻の勝ち馬となったこの馬もやはり道営出身だった。そして圧巻だったのは同日、大井で行われた準重賞の桃花賞。勝ったのは、道営時代には重賞善戦組だったショウリダバンザイだが、なんと道営出身馬が5着まで掲示板独占という結果だった。
えらく長い前置きになってしまったが、そういうわけでこの花吹雪賞もやはり道営出身のゴールドセントが本命ということになる。転入初戦の2歳1組戦は半馬身差の2着。その後も3戦連続で2着に負けているが、フレーザーハクユウ、ネオアサティスという、九州のこの世代で断然の存在だった2頭に先着されてのもの。ちなみにその2頭とも、すでに大井に移籍している。前走8着大敗は、初めて古馬C1級に格付けされてのもの。今回のメンバーでほかに古馬格付けになっているのはミクロンだけで、これは大井で稼いだ賞金が高かったため。ゴールドセントは、佐賀でまだ勝ち星はないが、フレーザーハクユウが抜けた牝馬同士なら能力最上位だろう。
相手も同じく道営出身のモエレダイヤモンド。転入初戦の前走初夢特別は、直線で勝ち馬に交わされ3着だったが、ゴール前の脚いろはほとんど同じだった。道営時代は1200メートル以下のみを使われていたが、前走で1800メートルを経験しただけに、上積みにも期待したい。
一発があれば、中央から転入初戦の3歳3組戦を勝ったダイヤアストライア。直線ではピンクッションに並びかけられたが、馬体を併せての競り合いになったら、最後は再び伸びて突き放した。
初夢特別でモエレダイヤモンドに1馬身差4着のキミノホホエミ、2歳時のフォーマルハウト賞、シリウス賞で、ともにゴールドセントに続く3着があるマイティウイン、2連勝中のラジアンなども上位を狙えそう。
◎ゴールドセント
○モエレダイヤモンド
▲ダイヤアストライア
△キミノホホエミ
△マイティウイン
△ラジアン
昨年までは2月上旬に準重賞(P)として行われてきたウインター争覇だが、今年からこの時期に移動して重賞に格上げとなった。
ここのところ東海地区の重賞を勝ちまくっている兵庫勢の参戦がないのがちょっと寂しいところだが、ここは名古屋から唯一参戦のマイネルアラバンサが注目を集めそうだ。中央準オープンから転厩し、初戦の東海菊花賞こそ3着に敗れたものの、その後は1600メートルのオープンと、1900メートルの名古屋記念を連勝。特に前走名古屋記念での8馬身差は圧巻だった。中央では芝の中距離のみを使われていたが、地方に転厩してさまざまな環境に適応し、レースにも慣れていくなかで力を発揮するようになったのだろう。
相手はどの馬が来てもおかしくない感じで難解。実績的には、1900メートルの重賞で2勝のほか2着や3着もあるトミノダンディが抜けているが、前走東海ゴールドカップで1秒5も離されての5着が気になるところ。
その東海ゴールドカップでトミノダンディに先着する3着だったのがエーシンアクセラン。A2特別に出走すれば連戦連勝だが、重賞では足りないレースばかりで勝ち星がない。ただ昨年3月のマーチカップ、08年大晦日の東海ゴールドカップでともに2着という成績があり、馬券圏内なら十分に期待できる。
エイシンハンコックは中央1000万から昨年秋に転入。初戦のA2特別は勝ったものの、この馬も重賞では善戦までのタイプ。前走東海ゴールドカップは4着だった。
マイネルアラバンサがどんな勝ち方をするか。そして東海ゴールドカップ3~5着馬による2着争いとなりそうだ。
◎マイネルアラバンサ
○トミノダンディ
▲エーシンアクセラン
△エイシンハンコック
重賞勝ち馬もいるものの、安定した成績を残している馬がなく混戦模様だが、中心は園田プリンセスカップを制したアートオブビーン。その園田プリンセスカップは、3~4コーナーで他馬に競りかけられながらも直線を向くとあっという間に突き放して完勝。続く兵庫ジュニアグランプリJpnIIは度外視として、前走JRA阪神に遠征したダート1200メートルの500万下では、力が抜けていた勝ち馬からは離されたものの、接戦の2着争いにはからんで3着。この経験は生きるはずだ。
相手筆頭は笠松から遠征のコロニアルペガサス。ホッカイドウ競馬時代は1200メートル戦のみを使われ、2歳オープン勝ちもある実績。重賞初挑戦となった前々走の新春ペガサスカップは、ゴールドウィング賞に続く重賞制覇となったパラダイスラビーダから1馬身半差の2着。ラブミーチャンは別格として、東海地区ではこの世代のトップを争える力はありそう。
エレーヌもホッカイドウ競馬出身馬。コロニアルペガサスも同様だが、そのホッカイドウ競馬では、昨年の2歳重賞を総なめにした角川秀樹厩舎の所属だった。こちらはオープン4着までの実績だが、転厩した笠松では1戦1勝。JRA阪神と京都の芝2000メートル戦に出走して7着と8着。重賞初挑戦だが、軽視はできない存在だ。
ジェイドペスカは、前走がデビュー9戦目での初勝利。ただその前走は早め先頭から7馬身差の圧勝。急激に力をつけた可能性はある。
サイバーモールは11月に笠松に遠征し、9番人気ながらプリンセス特別を勝利。前走園田ジュニアカップは逃げて最下位に敗れたが、牝馬同士のここなら再度、アッと言わせる場面があるかもしれない。
◎アートオブビーン
○コロニアルペガサス
▲エレーヌ
△ジェイドペスカ
△サイバーモール