荒尾の九州ジュニアグランプリからは5着のエンデバーマンボしか出走してこなかったのはちょっと残念。ちなみに勝ったフレーザーハクユウは、すでに大井に移籍してしまっている。
今回のメンバーではデビューから3連勝のネオアサティスが断然。その3戦とも、2着馬には1秒以上差をつけての圧勝。母のアイディアルクインは、大井でデビューし重賞こそ勝てなかったものの、東京プリンセス賞2着、ゴールデンティアラ賞3着など牝馬同士の重賞戦線を賑わした。6歳になって真島元徳厩舎に移籍し、九州王冠、九州大賞典と牡馬を相手に大レースを勝利。今後距離がさらに延びてよさそうだ。
ネオアサティスに完敗しているメンバーばかりだけに、ここは高知から遠征してきたリワードクラウンを相手に狙ってみたい。中央3戦未勝利で高知に移籍。高知では2歳戦が組めないことから古馬の最下級条件に格付けされて1勝を挙げた。実力比較が難しいが、この時期にわざわざ遠征してくる意気込みを買ってみたい。
3番手には、ネオアサティスとは未対戦という理由でエンデバーマンボを挙げておく。ただし、デビュー2戦目から2連勝したたものの、九州ジュニアグランプリは勝ったフレーザーハクユウから2秒6も差をつけられての5着ではあまりテンションは上がらない。
近4走連続2着なのがゴールドセント。とはいえ、3走前はフレーザーハクユウから1秒差、前々走、前走はネオアサティスから1秒以上の差をつけられていた。2着に善戦というより、強力な勝ち馬とこの馬の間に入ってくる馬がいなかったと考えたほうがよさそう。それゆえ今回も2着というのは難しそうな気がする。
◎ネオアサティス
○リワードクラウン
▲エンデバーマンボ
△ゴールドセント
岩手3冠のかかるマヨノエンゼルは、地元の同世代同士では勝負付けがすんでいる感じで、他地区からの遠征馬との比較ということになる。
船橋のグレードアップは南関東のクラシックには乗れなかったものの、ここまで7戦5勝。クラウンカップでは、その後に東京ダービーを制すサイレントスタメンにちょうど1秒差の5着。前走は中央500万下との条件交流で5馬身差の圧勝。対してマヨノエンゼルは、古馬重賞・青藍賞を勝っているとはいえ、現在の岩手の古馬勢はレベル的にはいまひとつ。ここは秋になって充実を見せたグレードアップを上位にとる。
ただ、マヨノエンゼルにも地の利があり、3冠達成の可能性も捨てきれない。
名古屋から遠征のスギノブライアンは5月の駿蹄賞2着で、8月には金沢に遠征してMRO金賞を制した。前走大荒れの岐阜金賞は5着だったが、東海地区では3歳勢のトップを争う1頭であることは間違いない。父はトーホウエンペラーでもあり、この岩手でも好走に期待したいところ。
トキワノマツカゼは岩手ダービーダイヤモンドカップでマヨノエンゼルにハナ差の2着など、マヨノエンゼルに次ぐ存在。またセンリグランピーは、古馬とのA級や重賞では苦戦が続いているが、3歳馬同士では上位の安定株。ただやはりマヨノエンゼルと比べると差があり、3連複・3連単の連下候補まで。
北海道から遠征のステイトリーマナーは、前走古馬B3戦こそ惨敗だったが、今シーズンは3歳条件戦からスタートして古馬D~C級まで7戦連続で3着以内を確保。馬券圏内に好走しても不思議はない。
◎グレードアップ
○マヨノエンゼル
▲スギノブライアン
△トキワノマツカゼ
△センリグランピー
△ステイトリーマナー
ホッカイドウ競馬のシーズンを締めくくる道営記念は、フルゲート16頭での争いとなった。
今シーズンのホッカイドウ競馬は、角川秀樹厩舎の活躍が話題を独占したといってもいいだろう。エーデルワイス賞と北海道2歳優駿の両2歳グレードを制したのを含め、18日の船橋・平和賞(ナンテカ)まで重賞を11勝。重賞勝ちは特に後半戦に集中していて、9月以降に門別で行われた重賞9レースのうち7戦を制してほぼ独占状態。10月7日にはサンライズカップをビッグバンが、川崎の鎌倉記念をナンテカが制し、2頭による同日重賞制覇という地方競馬ではきわめてめずらしい記録も達成した。
同時に、角川厩舎に所属する桑村真明騎手の活躍も際立つことになった。桑村騎手にとってはオノユウでの栄冠賞が、05年4月にデビューして以来の重賞初制覇。その後も角川厩舎の馬で重賞を勝ちまくり、ここまでに7勝を挙げている。
このコンビが今シーズン最後の大一番も制することになりそうだ。コパノカチドキは、今シーズン中央1000万から転入して、2、3着のあと4連勝。特にここ2戦は、ステイヤーズカップ、瑞穂賞と、道営記念に向けての王道を進んできた。両レースともに5番手あたりを追走して抜け出すという強い勝ち方。堂々のレースで重賞3連勝を飾りたいところ。
コパノカチドキにとって強敵となりそうなのが、未対戦の連勝馬2頭。
3歳のフーガは、北海優駿こそ1番人気に押されながら接戦の2着に敗れたが、その後は王冠賞も含めて3連勝。前走の古馬オープン戦では後方3番手追走から直線外から差し切る余裕とも思えるレースぶり。3歳馬による道営記念制覇となれば、03年のビックネイチャー以来となる。
ヒロアンジェロは、今年8月JRA札幌の500万下を勝って転入し、オープンを3連勝。ここ2戦の1800メートル戦も上記2頭と遜色ない勝ちタイムをマークしているだけに、重賞初挑戦でどんなレースを見せてくれるか楽しみなところ。
そのほか、7月の星雲賞を勝って前走瑞穂賞4着のゴッドセンド、瑞穂賞2着などオープンクラスで堅実な成績を残しているモエレエトワール、ノースクインカップを制したアースファイヤーなども上位を狙う。
◎コパノカチドキ
○フーガ
▲ヒロアンジェロ
△ゴッドセンド
△モエレエトワール
△アースファイヤー
地元兵庫勢だけでも重賞で勝ち負けしているクラスの馬が5頭ほどいて、さらには東海地区からの遠征馬も重賞級で、牝馬限定戦ながらなかなかにレベルの高いメンバーが揃った。
キーポケットは、重賞初挑戦となた昨年2月の兵庫牝馬特別以降、ダートグレードを別とすれば牝馬同士の重賞で4戦全勝。休み明けの前走も5着とはいえ牡馬を相手に勝ち馬から0秒5差はそれほど悪い競馬ではない。牝馬同士ならやはり中心は譲れないところ。
バージンサファイヤは、3歳ながら7月の兵庫サマークイーン賞でキーポケットにハナ差の2着。休み明けのコウノトリ賞を叩いて(3着)、今回も古馬をおびやかしたいところ。
そのバージンサファイヤを3月の若草賞(福山)で4馬身ちぎっているのがトウホクビジン。前走岐阜金賞は最低人気をあざ笑うかのような勝利で、3連単特払い(的中なし)の波乱を演出した。タフに全国行脚を続け、これが今年なんと24戦目。ばんばかと思うようなローテーションだ。それでもダートグレードなど強い相手にもまれて力をつけたのだろう。今回も人気がないようなら狙っておもしろそう。前日の船橋・平和賞を同じスマートボーイ産駒のナンテカが制しているだけに、勢いに乗る手はあるかもしれない。
ボールドグレインは昨年の2着馬だが、今年7月の兵庫サマークイーン賞はやや離された6着。その後3連勝して、前走牡馬相手のA1特別は差のない4着。ここにきて調子を上げてきているようで、昨年の再現の可能性もある。
ダイナマイトボディは、前走岐阜金賞で1番人気に推されながら9着惨敗。前々走古馬相手の秋桜賞2着があり、マイペースで先行して上位争いにからみたい。
ホールドマイラヴは、前々走園田チャレンジカップ、前走A1特別と牡馬を相手に連勝中だが、今回と同距離の兵庫サマークイーン賞でやや離された4着に敗れているだけに、この距離はちょっと長いのかもしれない。
◎キーポケット
○バージンサファイヤ
▲トウホクビジン
△ボールドグレイン
△ダイナマイトボディ
△ホールドマイラヴ
11頭立てで他地区からの遠征は、高知から3頭、福山、兵庫、船橋から各1頭。岩手の地方全国交流には南関東所属馬が遠征することがたまにあるが、西日本まで遠征するのはめずらしい。船橋から遠征のトレノラピドは、ここのところ中央500万クラスとの条件交流に出走していて、勝ち星からは遠ざかっているものの、レースの1着賞金は400万円。今回の東海菊花賞も同じく400万円で、こちらのほうが可能性があるとみて遠征してきたのだろうか。しかし、やや衰えが見えるとはいえダートグレードを勝った実績のあるキングスゾーンや、黒船賞JpnIIIで3着のフサイチバルドルなどは、そのあたりより確実に力は上と見る。
というわけでフサイチバルドルから狙ってみたい。6月の西日本グランプリ(福山)では、名古屋や兵庫のオープンクラスを相手にレコード勝ち。その後日本テレビ盃JpnII(8着)にも挑戦するなど、遠征経験豊富で、ここでも力を発揮するだろう。
キングスゾーンも差はなさそう。ダートグレードではやや力不足の近況だが、水沢のみちのく大賞典を制し、オッズパークグランプリ2009(園田)でもマルヨフェニックスの2着など地方同士の交流ならまだまだやれる。
勝つのはこの2頭のどちらか。
昨年の東海ダービー馬ヒシウォーシイは、今年3月にA1特別勝利の実績あり。上記2頭にどこまで迫れるか。
ウイニングウインドも全盛時の力を望むのは酷だが、このメンバーなら上位争いも可能。
中央から転入初戦となるアラバンサは、休養明けのここ3走は準オープンでやや苦戦。ただ実績的にはこのメンバーが相手なら通用してもおかしくない。
◎フサイチバルドル
○キングスゾーン
▲ヒシウォーシイ
△ウイニングウインド
△マイネルアラバンサ