いよいよばんえい記念。今年はドバイワールドCと日程が重なってしまい、ばんえい記念を現地で観戦できないのがなんとも残念。スーパーペガサス4連覇のときも同じ状況で残念な思いをしたのだが、こればかりはしかたない。
今シーズン勝ち星のないトモエパワーだが、3連覇達成の可能性はかなり高いと見る。
史上初の4連覇を果たしたスーパーペガサスは重賞通算20勝というとてつもない成績を残したが、これは700キロ台のそれほど重くない重賞のレースから1トンのばんえい記念までこなせるというオールマイティーな能力があってのもの。
対してトモエパワーは、一昨年のばんえい記念初勝利以降はどんどんとズブくなり、700キロ台のレースではほとんど勝てなくなってしまった。昨シーズンもばんえい記念までは岩見沢記念を勝ったのみ。2度目のばんえい記念では、1トンを意識した特別な調教を重ね、砂埃の上がる乾いた馬場で、史上もっとも遅いタイムでの圧勝となった。
今年もその特別な調教を積んでいるらしい。普通の調教では重り(コンクリートの塊)をソリの上に乗せるのだが、トモエパワーのばんえい記念に備えた調教では、その重りをソリに縛りつけてずるずると引きずるのだという。ばんえい競馬のソリは、通常ならスキー板のような部分が地面と接しているだけだが、コンクリートの塊を引きずることでその重さ以上の負担となる。1トンのレースに特化した強さを発揮するのがトモエパワーなのだ。
7歳の3強がトモエパワーを負かせるかどうかだが、スーパークリントンが最右翼と見る。今シーズンは北見記念を制覇。カネサブラック、ナリタボブサップより10キロ軽かったとはいえ、その後も帯広記念4着、チャンピオンカップ2着と好走。同期の2頭より、高重量戦の安定度は上と見る。
展開次第で一発がありそうなのはナリタボブサップ。昨年は帯広記念を勝って臨み、かなり期待していたのだが6着。今年の帯広記念は7着だったが、その後調子を上げているだけに昨年の雪辱といきたいところ。
昨年2着のミサイルテンリュウも年齢を重ねてズブくなってきているのだが、ばんえい記念というレースを考えれば、それはむしろプラス材料。
トモエパワーと同厩舎のカネサブラックは昨年のばんえい記念は温存。今年はチャンピオンカップを制したあと、1トンにそなえて調教をつんでいるらしい。ただチャンピオンカップを勝ったときの松井調教師は「800キロくらいで力を出す馬」と言っていたので、初の1トンがどうか。
3連複・3連単のないばんえい記念だけに、馬連複・馬連単ならこの5頭の勝負だろう。
◎トモエパワー
○スーパークリントン
▲ナリタボブサップ
△ミサイルテンリュウ
△カネサブラック
GI(JpnI)級のレースで好走しているJRA勢3頭の争い。
スマートファルコンのダートグレード3連勝はいずれも楽勝で強いレースを続けているが、ほとんどが格下馬相手のもの。対してワンダースピードは、名古屋グランプリで振り切ったメイショウトウコンがその前走JCダートでカネヒキリと接戦の2着。平安ステークスでは、その後フェブラリーステークスで接戦の4着と好勝負を演じるエスポワールシチーを差し切っての勝利。厳しいレースを勝ち抜いてきているという点では、スマートファルコンよりワンダースピードのほうが上。今回はワンダースピードを本命とする。
黒船賞では安藤勝己騎手→岩田康誠騎手の決着だったが、今度は小牧太騎手→岩田康誠騎手と、元地方騎手同士で決着という流れを期待したい。
メイショウトウコンは、後方追走でどのタイミングでまくってくるか。展開次第ではこのレース連覇のチャンスはある。
笠松・名古屋に遠征して重賞3連勝のベストタイザン、9歳となって全盛時の力は期待しにくいサカラート、昨年の佐賀記念以来勝ち星から遠ざかっているチャンストウライは3連複・3連単の3着まで。
◎ワンダースピード
○スマートファルコン
▲メイショウトウコン
△ベストタイザン
△サカラート
△チャンストウライ
昨年新設された、年度末に行われるファン投票のファイナルグランプリ。
ナムラベンケイにとっては、当面のライバルであるムサシボーやサムライランボーが不在で楽なメンバーになった。重賞勝ちは昨年4月の福山桜花賞以来遠ざかっているだけに、ここは勝たなければならない一戦。
相手はちょっと難解。A2あたりなら好勝負だがA1特別や重賞だと苦戦というメンバーばかりで迷うところだが、前走桃の花特別(A1)で3着のアナザースターが相手筆頭。中央時代も福山に移籍してからも勝ち星がないが、常に好走はするタイプ。正月の福山大賞典でもレコード勝ちのムサシボーから0秒3差の3着があり、このときはナムラベンケイ(5着)に先着している。一発があってもおかしくない。
クラマテングは、昨年3歳時に鞆の浦賞と福山王冠を制した2冠馬。古馬一線級相手の福山大賞典はさすがに厳しかったが、2月にはA1A2特別を勝った。ナムラベンケイ以外の相手なら十分勝負になりそうだ。
ブラックパワーは昨年の金杯を8番人気で勝ってあっといわせた。今年は重賞やA1特別でいずれも勝ち馬から1秒以上の差をつけられているが、兵庫所属時代から人気がアテにならない穴馬だけに、押さえておく必要はあるかもしれない。
◎ナムラベンケイ
○アナザースター
▲クラマテング
△ブラックパワー
福山競馬場重賞3連闘の中日は、3歳牡馬セン馬によるキングカップ。
目だった新興勢力の台頭もなく、人気どおり順当に決まった若駒賞の上位馬がここでも有力。
その若駒賞は、アグリヤングがムツミイングランドをクビ差でしりぞける接戦で、ここもアグリヤングが中心。ここ2戦は古馬B1特別で完敗だが、このクラスに格付けされているのはアグリヤングだけ。重賞は2歳時から3戦全勝。3歳馬同士となれば力は抜けている。
ムツミイングランドは、前走C2の一般戦で7着に負けているとはいえ、勝ち馬からは0秒8差。古馬相手でもこのクラスなら好走できる実力はあり、アグリヤングに土をつけられる可能性があるとすればこの馬だけだろう。
これといった上がり馬はいないものの、期待してみたいのはヴァルトブルック。この世代の上位クラスとは対戦がないものの、2連勝中。若駒賞では上記2頭が接戦だったものの、3着のダンディーホークは4馬身離されていた。上がり馬が割ってはいるとすればこのあたりだろう。
若駒賞3、4着のダンディーホーク、ビクトリージャパンは連下の押さえまで。ダンディーホークはヤングチャンピオンで2着、若駒賞で3着と好走はしているが、逆転までは難しそうだ。
◎アグリヤング
○ムツミイングランド
▲ヴァルトブルック
△ダンディーホーク
△ビクトリージャパン
JpnIIIの黒船賞だが、過去の勝ち馬を見ると、ノボジャック、サウスヴィグラス、マイネルセレクト、ブルーコンコルドと、GI(JpnI)勝ち馬がずらり。残念ながら昨年は休止されたが、ダート短距離路線では重要なレースとなっていることは間違いない。
原因不明の顔面神経痛から復活したフェラーリピサが、このメンバーでは実力最上位。根岸ステークスGIIIでは好位3番手から直線絶好の手ごたえで抜け出した。続くフェブラリーステークスGIは並み居るGI馬に混じって、勝ったサクセスブロッケンの驚異のコースレコードから0秒4差の5着。ヴァーミリアン(6着)には先着した。高知競馬場は小回りでレースがしやすい競馬場ではないが、実力が出せれば負けることはないだろう。
相手はアルドラゴン。兵庫に移籍してからは惜しいところでダートグレードのタイトルに手が届いていないが、JBCスプリントJpnI3着以降は好調持続。フェラーリピサは手ごわいが一矢報いたいところ。
ヴァンクルタテヤマは東京盃JpnIIで1番人気に期待されながら3着に敗れて以来の実戦。休み明けでどうかだが、まだまだ底を見せていない楽しみはある。
前回(07年)の覇者リミットレスビッドは、10歳となってさすがに全盛時の力を期待するのは酷だろう。
トーセンブライトは、昨年のマリーンステークスでフェラーリピサをしりぞけ、エルムステークスGIIIでは同馬の1 1/4馬身差の2着。人気がないようなら一発を警戒したい。
◎フェラーリピサ
○アルドラゴン
▲ヴァンクルタテヤマ
△リミットレスビッド
△トーセンブライト