兵庫から移設された福山牝馬特別に続いて、笠松から同じレース名のまま移ってきた若草賞。JRAオークスのステップ競走代表馬選定レースという位置づけも笠松時代のままだ。
このレースの前哨戦として行われた福山プリンセスカップは、1番人気のマルサンジョイが向正面早め先頭から押し切るという強い内容。2着以下は何度かやれば順番は変わりそうだが、同じメンバーならマルサンジョイ優位はゆるぎそうもない。
ただやはり層の厚さを考えると、福山よりも東海・兵庫の実績馬を上にとるべきだろう。
で、中心は、重賞未勝利ながら前走名古屋・スプリングカップで直線目のさめるような末脚を繰り出して3着に食い込んだトウホクビジン。直線の短い福山で追込みは厳しいが、もともと岩手時代は先行して直線粘るというレースをしていた。展開は、流れ次第で自在に対応できそうだ。
相手は、園田クイーンセレクションの覇者バージンサファイヤ。兵庫ジュニアグランプリJpnIIでも地方最先着の5着で、実績ではメンバー中ナンバーワン。おそらくこの2頭の一騎打ちだと思うが、ちょっと気にかかるのは、主戦の木村健騎手がアルドラゴンで高知・黒船賞に遠征して乗替りになること。
3番手に福山プリンセスカップを勝ったマルサンジョイ。
兵庫のタラリアは、北海道時代にJRA認定未勝利を勝ったのみという実績だが、兵庫の3歳上位クラスで好走歴があり、連下なら十分に可能性はありそう。
福山プリンセスカップで2番人気に推された(5着)ゲンノアイ、同3着のモエロナツコなどはこのメンバーに入って善戦できるかどうか。
◎トウホクビジン
○バージンサファイヤ
▲マルサンジョイ
△タラリア
△モエロナツコ
△ゲンノアイ
年度末恒例の荒尾古馬の大一番。大晦日には肥後の国グランプリという重賞が行われているが、賞金的にもこちらのほうが上で、歴史的にもはるかに長い。
ちなみに昨年末の肥後の国グランプリは、スタートから向正面までほぼ1周、ダイワマックワンとケイウンヘイローが激しくやり合って共倒れとなり、波乱の結果となった。
年が明けてケイウンヘイローはA級特別を4戦して2勝、2着2回。先着を許したのはいずれもダイワマックワンで、そのダイワマックワンが今回不在となれば、やはり中心となるのはケイウンヘイローだろう。2007年1月に中央から再転入して以降、荒尾のみで38戦して3着を外したのは、その肥後の国グランプリを含めて2回だけという安定した実績は断然だ。
相手は肥後の国グランプリを制したタニノウィンザー。昨年秋に転入後、勝ち星はその肥後の国グランプリだけだが、この距離で長く使える脚は魅力。ただこの馬が台頭するには展開次第というところはある。
3番手にはカシノマルス。昨秋転入後、C級からB級まで9戦して3着を外したのは1度だけという上がり馬。重賞初挑戦だが、勢いで上位争いの可能性はある。
肥後の国グランプリで1番人気に推されながら3着に敗れたエランセは、その後いまひとつ精彩を欠いている。着順だけ見れば4、3、4着だが、いずれも勝ち馬から1秒近くかそれ以上離されている。実績的にはケイウンヘイローにもヒケをとらないのだが。
9歳のノースダンシングがここ3戦のC級からB級特別で1、1、2着と好調。2007年には1番人気で九州記念を制し、昨年もオープンで上位争いをしていた。ムラ駆けではあるものの、連下では押さえておきたい。
◎ケイウンヘイロー
○タニノウィンザー
▲カシノマルス
△エランセ
△ノースダンシング
ワンパクメロは佐賀記念JpnIIIこそ6着だったが、九州大賞典と中島記念をともに連覇した実力は、九州では圧倒的。特に今回は、その2番手を争っていたマリットチャージ、オリオンザクロノス、ザオリンポスマンらが不在とあっては、絶対的な存在だ。
しかし気になるのはアルカライズ。中央から転入初戦となった前走の鏡山特別では、3番手追走から向正面で仕掛けると3〜4コーナーで先頭。直線は軽くムチを入れただけで後続を寄せ付けず完勝となった。勝ちタイムは2分9秒4。ちなみにワンパクメロの2000メートルの持ちタイムは2分9秒2だが、これは昨年8着に敗れた佐賀記念JpnIIIのときのもので、強力なメンバーに引っ張られて出たタイム。九州同士のメンバーでは07年中島記念での2分9秒6が最高だ。アルカライズは前走の直線でまだ余裕があったとすれば、ここは一気に逆転して九州の頂点に立つ可能性はある。
この2頭にからんでいける可能性があるとすれば、中島記念3着で、昨年5月から10戦連続で3着を外していない上がり馬カミノチカラくらいだろう。
3頭ボックスでは当たっても儲からないだろうから、ここは思い切って新興勢力のアルカライズを頭で狙ってみたい。
◎アルカライズ
○ワンパクメロ
▲カミノチカラ
定量戦ゆえに実力どおり決まりそうな感じだが、過去5年の結果を見ると、1番人気が2勝2着1回、2番人気が1勝2着1回と、それほど信頼できるわけでもない。まして1、2番人気での決着は07年のみ。昨年も断然人気のホクショウジャパンが第2障害の天板の上でへたりこんでしまい、しんがり負けとなった。
明けて3歳のこの時期で、全馬がはじめて経験する重量、しかもいきなり50キロかそれ以上重くなるだけに、なかなか実績どおりの決着とはいかないのかもしれない。
今回、実績断然なのが、ナナカマド賞、ヤングチャンピオンシップと2歳時の両重賞を制しているホクショウバンク。前走つばき特別でも、他馬より10キロ以上重い重量ながら、勝ったコウドウフジから僅差の2着。まさに負けて強しといった内容で、実力ナンバー1をアピールした。これまで3着を外したのは4回あるが、そのときはいずれもトップハンデ。しかも秋以降3戦の惨敗は、いずれも10キロ以上の差があってのレースだったことからも、断然力は抜けていると見てよいだろう。
相手は、地区別産駒特別の中でももっともレベルの高い十勝産駒特別の覇者、キタノタイショウ。秋に4連勝のあと挑戦したヤングチャンピオンは、ホクショウバンクと差のない2着。10キロ差があっての結果では完敗と言えなくもないが、その後のオープンでの5着、5着もホクショウバンク以外の馬たちよりは重い重量で、勝ち馬から10秒以内はまずまずの結果。逆転できない差ではない。
ヤングチャンピオンシップは7着も、その後力をつけてオープンで好走しているライトアームが3番手。一発があればこの馬だろう。
前走つばき特別で25キロ差があったとはいえホクショウバンクを負かしたコウドウフジや、ナナカマド賞、バレンタインカップともに2着で、一線級相手でも崩れないワタシハスゴイあたりも展開次第ではチャンスはありそうだ。
定量戦とはいえ、人気どおりの決着がそれほど多くない重賞だけに、ホクショウバンクからの馬券はトリガミ覚悟で、キタノタイショウからも流してみたい。
◎ホクショウバンク
○キタノタイショウ
▲ライトアーム
△コウドウフジ
△ワタシハスゴイ
東海地区や兵庫の重賞は、その賞金などにはあまり関係なく、有力馬が他地区のダートグレードや地方交流重賞に遠征するなどでメンバーが薄くなることがよくあるが、ここは一線級のオープン馬が顔を揃え、馬券的にも楽しみな一戦となった。
中心はオグリシルク。大晦日の東海ゴールドカップ勝ちを含め、笠松に再転入後は4戦2勝、2着1回。前走福山牝馬特別は、早めにレースを進めた兵庫勢の前に末脚不発だったが、東海地区限定のここならあらためて期待大。
エーシンアクセランは、東海ゴールドカップではそのオグリシルクの2着で、その後はA3〜A2クラスで目下4連勝中。好位から抜け出す安定したレースぶりで、まだまだ底は見せていない。
実績ナンバー1は重賞9勝のウイニングウインド。5カ月の休み明けが不安材料だが、仕上がっていれば圧勝もある。
北海道では結果を残せなかったクインオブクインは、笠松復帰2戦目となった前走の東海クラウンを逃げ切って2馬身差の完勝。この馬も全盛時の力が出せれば上位。
シルクチャンピオンは、名古屋に移籍後勝ち星こそないものの8戦して2着3回、3着3回と堅実な成績。今回も連下として押さえる必要がありそうだ。
ミツアキタービンは前走こそ2着だが、昨年8月にA2特別を勝って以来あまり見せ場のないレースが続いている。重賞のここでは見送りが賢明だろう。
◎オグリシルク
○エーシンアクセラン
▲ウイニングウインド
△クインオブクイン
△シルクチャンピオン