2月22日に行われた福山牝馬特別は兵庫で行われていた兵庫牝馬特別から、3月20日に行われる若草賞は笠松から、そして来年1月に行われる予定のマイル争覇は名古屋から。
いずれも主催者をまたいで移設されてきた重賞で、これはきわめてめずらしい。そしていずれもが、JRAGIステップ競走代表馬選定レースとなっていて、福山でのサラブレッドのレースが定着してきたことの証しでもある。
とはいえ、さすがにこの時期の3歳牝馬限定重賞ともなると、まだまだ層は厚くないようで、フルゲート10頭中、未勝利馬が3頭というメンバー構成となった。
中心となるのはマルサンジョイ。勝ち星はデビュー2戦目の1勝のみだが、重賞はここまで3戦して3、3、6着。すべて同世代の牡馬との混合重賞で、いずれのレースでも牝馬最先着という結果を残している。近2走の3歳1組戦はともに2着で、先着されたのはいずれも牝馬だが、その2頭ともがここに出てきていないとなれば、やはりこの馬の実績が最上位と考えざるをえない。
相手は、メンバー中単独最多の3勝を挙げているモエロナツコ。2歳時に3連勝して以降勝ち星から遠ざかっているものの、前々走の3歳1組戦では、勝ち馬および2着のマルサンジョイから0秒5差の4着と、まずまずの好走を見せた。復調気配とみていいだろう。
3番手にはゲンノアイ。重賞はこれが初挑戦となるが、3走前の3歳1組戦では3着ながら1600メートル1分49秒0と好タイムを出した。今回のメンバー中1600メートルの持ちタイムではナンバー1だ。
ちなみに今回の1800メートルは全馬初挑戦で、1600メートルの持ちタイムで1分50秒を切っているのはここまでの3頭のみ。おそらくこの3頭の勝負となるだろう。
連下候補としては、重賞に2度出走し、前走3歳2組戦で2着のウィスパートゥハー。それから2戦1勝と経験は浅いものの未知の魅力があるユノレベッカまで。
◎マルサンジョイ
○モエロナツコ
▲ゲンノアイ
△ウィスパートゥハー
△ユノレベッカ
今年の東海・兵庫の3歳世代はここまで大混戦。
笠松ではニュースターガールが2歳時に重賞3勝を挙げ、名古屋ではダイナマイトボディがデビューから新春ペガサスまで重賞2勝を含む8戦連続連対で、この2頭が東海地区の3歳戦線を引っぱっていくものと思われた。しかし、2頭が揃って遠征した園田クイーンセレクション(1月14日)では、1番人気となったニュースターガールが3着、ダイナマイトボディは7着に沈んだ。勝ったのは地元兵庫、3番人気のバージンサファイヤだった。
2月11日の園田ユースカップは、1番人気に推された地元兵庫のカラテチョップが直線前をとらえられず3着。勝ったのは、単勝30.7倍という伏兵のミナミノヒリュウだった。アタマ差2着に入った笠松のブラックポイントは、笠松ではニュースターガールには歯が立たなかった馬。それが、園田ユースカップではバージンサファイヤ(4着)に先着ししている。
なお、園田クイーンセレクションを制したバージンサファイヤは、7日に阪神競馬場で行われる桜花賞トライアルのチューリップ賞GIIIに出走予定となっている。
ここは、園田ユースカップで、そのバージンサファイヤに先着したブラックポイントから。2歳時はたしかにニュースターガールに決定的な差をつけられていたが、明けて3歳となったここ2戦は確実に力をつけていると見る。
カラテチョップは、園田ジュニアカップ、園田ユースカップと、ともに1番人気に推されて惜しい負け方をしているが、このメンバーなら能力は確実に上位。
バージンサファイヤとの比較なら、ニュースターガールも差はない。
気になるのが岩手から移籍してきたトウホクビジン。前走差のある4着は、古馬A2特別だけに仕方ない。むしろ、3走前で古馬B7特別を勝って、3歳のこの時期にA2に格付けされていること自体がすごい。水沢の金杯では、逃げ粘ってワタリシンセイキの2着という成績も評価できる。
シルバーウインドはデビューから9戦して連対を外したのが1度だけという堅実派。すでに古馬B6でも2着があり、3歳馬同士なら上位争いだろう。
そのほか、ブルーベリー、キングハーモニー、オキナワニキセキヲなど印がまわらなかった馬たちにも可能性はありそう。
地方競馬の重賞というと、ある程度力関係がはっきしている場合が多いが、東海ダービーや兵庫ダービーに向けて興味深い一戦となりそうだ。
◎ブラックポイント
○カラテチョップ
▲ニュースターガール
△トウホクビジン
△シルバーウインド
園田競馬場で行われる古馬2400メートルの重賞は3レースあるが、そのうちのひとつ。
笠松、金沢、福山から1頭ずつの遠征があるが、いずれも条件級。また、兵庫の一線級は他地区への遠征や、調整一息などで不在。今年は8頭立てとやや寂しいメンバー構成となった。重賞タイトルのある馬はモエレトレジャーだけで、それとて昨年、摂津盃と姫山菊花賞を制したものの近走は不振。
中心にするのはタマモアーチスト。兵庫では2400メートルの重賞を4戦して3、5、4、4着。勝ち負けまではいかないものの、堅実には走っている。今回は、それらの重賞で先着された強豪が不在となれば、9歳になっての重賞初制覇があってもおかしくない。
まだ底を見せていないマイエンブレムが人気になりそうだが、明け4歳でこのメンバーに入ってどうだろう。新春賞ではタマモアーチストに先着はしているものの、このときはハンデ51キロで3着。54キロのタマモアーチストは1馬身半差の4着だった。それが今回56キロの同重量となれば、タマモアーチストのほうが有利と見るべきだろう。
A1とS1を行ったり来たりのシンボリピレネーは、前走ゴールデンジョッキーカップの第3戦を川原正一騎手で逃げ切った。今回も長丁場でペースが落ち着けば、格付的にも勝負になる力はある。
モエレトレジャーは近走不振とはいえ、こちらもマイペースの逃げに持ち込めれば粘れる可能性はある。ハナに行けるかどうかはシンボリピレネーの出方次第ということになりそうだが。
◎タマモアーチスト
○マイエンブレム
▲シンボリピレネー
△モエレトレジャー