昨年の大晦日に第1回が行われ、これが2回目となる尾張名古屋杯。これまではアラブの重賞として行われていた名古屋杯を引き継いだようで、年末または年始と、この時期と、年に2回ずつ行われることになるようだ。
A級57キロ、B級55キロ、C級53キロ(牝馬2キロ減)というクラス別定戦。
地方競馬は、代わり映えのしないメンバーでのレースが多くてつまらない、というようなこともよく聞くが、この尾張名古屋杯のように普段は対戦しない同士での対戦は、組合せや斤量を工夫するなどしてもっと増やしたほうがいいと思う。そうすれば下級条件で連戦連勝してもなかなか上のクラス上がれないというような馬でも、早いうちに一線級との対戦が実現して楽しみが増える。
このクラスごとによる2キロずつの斤量差がどの程度のものなのだろうか、そのあたりが馬券を予想する上でもポイントになりそうだ。
ここは、A5〜B2混合戦とB1特別を連勝しているアシゲノキラメキに期待してみたい。第1回のこのレースでも、3番人気に推されて4着と健闘した。今回、A2クラスが2頭いるものの、メンバー的には前回よりも楽になっている感じで、さらに上の着順を狙えそう。
相手にはゴールドマジンガー。中央から転入し、今年3月5日のB3戦がなんと約3年ぶりのレース。B級戦で2、1、1着で、ここでいきなり突き抜けても不思議はない。
昨年秋、C級に格付けされてからは9戦7勝、2着3着各1回と安定した成績で勝ち上がってきているベルシャワーも魅了たっぷり。
A2に格付けされているアラブのエムエスオーカンも大崩れはなく安定した成績を残しているが、57キロをどうこなすかだろう。
C級馬からは、昨年秋に中央から転厩して以来、16戦して3着を外したのは1度だけというマジックポーを押さえたい。今年すでに76勝(4/28現在)を挙げ、全国リーディングを突っ走る角田輝也厩舎だけに怖い存在だ。
◎アシゲノキラメキ
○ゴールドマジンガー
▲ベルシャワー
△エムエスオーカン
△マジックポー
いよいよソフトバンクグループとオッズパークが支援する、新生・ばんえい競馬がスタートした。
初日の4月27日は、ぜひとも現地までかけつけたかったのだが、実は笠松にいた。残念ながらダートグレードがなくなってしまった笠松だが、この日のオグリキャップ記念は笠松競馬場での最高賞金のレース。体が2つほしいとは、まさにこのこと。
もともと年末年始やゴールデンウィークは地方競馬の重賞レースが集中するので、体がいくつあっても足りないのは例年のことなのだが、やはり崖っぷちから新たな形でスタートすることになったばんえい競馬は特別だ。
と、言ってはみたものの、ゴールデンウィーク中、ばんえい競馬を生で観戦することはほとんど諦めかけていた。それでもなんとか5月6日の日曜日に都合がつき、帯広まで足を運べることになった。競馬そのものはもちろん、綺麗になったスタンドや、スタンド前に移動したパドックなどを見るのが楽しみだ。
さて、新生・ばんえい競馬で最初に行われる重賞は、新設された「ばんえい十勝オッズパーク杯」。
シーズンがスタートしてすぐに重賞を行うというのは、近年のばんえい競馬では初の試み。とはいうものの、冬季休催期間が3〜4カ月もあったかつてとは異なり、ばんえい記念からはほぼ1カ月。サダエリコ以外はいずれも昨シーズン最後の開催に出走している馬たちで、休み明けという感じでもない。
ばんえい記念を制し、スーパーペガサスに代わる新王者となったトモエパワーをはじめ、2着の古豪シンエイキンカイが出走してきた。さらに楽しみなのは、今後数年間にわたってばんえい競馬を牽引していく存在になるであろう、5歳世代のトップホースが顔を揃えたこと。
最強はトモエパワーで異論はないが、オープンクラス740キロという、このクラスにしてみれば軽量のレースなら、ナリタボブサップのスピードに期待してみたい。
トモエパワーもここであっさり勝ってもおかしくない。昨シーズン終盤の重賞を除くオープン戦では、帯広記念で稼いだ賞金のため負担重量に苦しんだが、他馬と同じ重量のここならはずかしいレースはできないだろう。
昨シーズン後半の早い時期からトップクラスと張り合ったカネサブラックも差がない。
唯一、500万未満クラスからの挑戦で30キロ減に加え、牝馬の20キロ減で690キロで出走するニシキシャープまで押さえておきたい。
◎ナリタボブサップ
○トモエパワー
▲カネサブラック
△ニシキシャープ
Odds Park Web、トピック&ニュースの留守杯日高賞の記事で、「岩手競馬版・桜花賞」という記述があった。今まで気づかなかったのだが、なるほどそう言われるとわかりやすい。そして、5/12(土)のあやめ賞をステップに、5/27(日)のひまわり賞(オークス)へと続く。牝馬による3歳限定戦はここまでで、その後はビューチフル・ドリーマーカップで古馬との対戦となる。
今回は、昨年エーデルワイス賞GIIIを制したパラダイスフラワーで断然。勝ってもらわないと困るという感じだ。
正月の金杯はセイントセーリングに逃げ切りを許し、ゴール前では追い詰めたものの半馬身届かずの2着。3月26日の3歳A1戦では、ハナを奪い逃げ切ろうかというところ、大外からマツリダワルツに差され、またも2着。先行きがやや不安になったが、4月14日の日高賞トライアル、菜の花賞は鮮やかに逃げ切って見せ、存在をアピールした。
今回、他地区からの遠征は川崎のシーベルリーフのみで、もはや同世代の牝馬は相手ではないだろう。
トライアルの菜の花賞は3着だったが、先に挙げた3月26日の3歳A1戦でパラダイスフラワーを豪快に差し切ったマツリダワルツが相手筆頭。
そのほかでは、川崎のシーベルリーフ、菜の花賞2着のシュクジャンヌあたりに可能性がありそう。
◎パラダイスフラワー
○マツリダワルツ
▲シーベルリーフ
△シュクジャンヌ
27日はオグリキャップ記念である。
一昨年から、ダートグレードではなく地区交流の重賞となり、1着賞金もグレードのときより大幅ダウン。とはいえ450万円は笠松での最高賞金レース。日本中を競馬ブームに巻き込んだ名馬・オグリキャップの名がついているというだけで、他の重賞とは格の違いのようなものを感じさせられる。
昨年のこのレースをレッドストーンで制した角田輝也調教師は、レース後のインタビューで「偉大なオグリキャップの名がついたレースを勝つことができてうれしい」と話していたのが印象的だった。
重賞レースは、単に賞金額だけでその価値が決まるものではないということだろう。
さて今回の注目は、やはりミツアキタービン。ダートグレードとして行われた最後の年、04年のこのレースを制し、その後はGIタイトルも期待されたが、脚部不安に悩まされ、思うようにレースが使えていない。昨年11月24日の笠松グランプリを制して以来、約5カ月ぶりの実戦となる。不安材料は、休み明けということだけだろう。ただ、前走の笠松グランプリも約半年の休養明けでの勝利。出してくるからには、今回もそれなりの仕上げをしていると信じたい。このメンバーなら実績は確実に上。本来の力を出すことができれば楽勝もある。
相手にはクインオブクイン。各地に遠征してのダートグレードで揉まれてきているため、地方馬が相手なら負けられないところ。実際に前々走のマーチカップでは、2番手追走から早めに抜け出し、1番人気のウイニングウインドを2馬身差で完封。主戦の濱口楠彦騎手が現在は南関東で期間限定所属として騎乗しているため、今回は名古屋の岡部誠騎手が手綱をとる。どんな経緯で岡部騎手になったのかはわからないが、重賞レースなら他地区の騎手も騎乗可能なため、どうせなら濱口騎手のままでいくという手はなかったのだろうか。
以下は、名古屋・笠松では安定した成績を残しているウイニングウインド、近5走は南関東や園田への遠征競馬をしているゲットゥザサミット、昨年末の東海ゴールドカップを制したニッシングリンなど。
レースとはまったく関係ない話だが、ゲットゥザサミットの成績を見ていて気づいたことがある。船橋には「ふさのくにオープン」という地方全国交流レースがあるのだが、同じ「ふさのくに」でも、12月にやったのが「総の国オープン」で、4月にやったのが「房の国オープン」と、2つの「ふさのくに」があることに初めて気づかされた。
◎ミツアキタービン
○クインオブクイン
▲ウイニングウインド
△ゲットゥザサミット
△ニッシングリン
15日(日)には、いずれも西のほうで3重賞が行われる。福山桜花賞、高知の南国桜花賞、佐賀のル・プランタン(フランス語で「春」)賞と、レース名はまさに春まっさかりという感じだ。
福山桜花賞は、バクシンオーの出走がなく8頭立て。前走ローゼンホーマ記念出走組が3頭と、A1A2の弥生特別組が4頭。そして前々走(または前走)2月のマイラーズカップで対戦している馬が5頭いて、相手関係ははっきりしている。残念なことだが、福山でもそれだけアラブの層が薄くなっているということだろう。
別定重量はユキノホマレのみが55キロでそれ以外はすべて53キロなら、中心は3連勝中のユノフォーティーンだろう。
相手には、福山マイラーズカップ、ローゼンホーマ記念で、ともにユノフォーティーンの3着だったヤスキノショウキ。両レースで2着に割って入ったのは、バクシンオーと名古屋のモナクカバキチで、ともに今回は出走がない。
おそらくこの2頭でガチガチの人気になるだろうが、展開などが壊れたときに割って入るとすれば長距離得意のユキノホマレと、ローゼンホーマ記念4着のアトムビクトリーまで。
ユノフォーティーンが連対をはずすことは考えづらく、穴になるとすればヤスキノショウキが飛んだときだと思う。
◎ユノフォーティーン
○ヤスキノショウキ
△ユキノホマレ
△アトムビクトリー
高知の南国桜花賞には、自身が持つ最多勝記録の更新がかかるエスケープハッチが出てきた。新記録の47勝目を達成したのが昨年10月1日のことで、あれから半年以上も経過した。その間、3戦して3、3、2着という成績。前走、脚部不安での取消しもあり、なかなか順調には使えていない。その勝てなかった3走で先着されているのが、ファルコンパンチ、ムサシボウルビー、キープサイレントの3頭。
このうち今回出走してきたのは、ファルコンパンチとムサシボウルビー。やはりこの2頭とエスケープハッチの争いとなりそうだ。
先に挙げたエスケープハッチの前3走では、ファルコンパンチ、ムサシボウルビーともにエスケープハッチよりかなり軽い斤量だった。しかし今回は全馬57キロ(牝馬55キロ)だけに、斤量面ではエスケープハッチにとってはかなり有利。不安は休み明け。
◎エスケープハッチ
○ムサシボウルビー
▲ファルコンパンチ
3歳牝馬による佐賀のル・プランタン賞は、花吹雪賞を制したナンブラッキーワンの実績が断然。牝馬として唯一挑んだ飛燕賞でもそれほど差のない3着。前走は8着に敗れているが、これは古馬B2級に編入されてのものだから、同世代の牝馬が相手なら参考外。
花吹雪賞3着でその後も2連勝の荒尾ピンクサイレンスの実績も目につくが、花吹雪賞ではナンブラッキーワンから7+半馬身も離されていた。それならば、北海道や岩手からの転入組のほうが可能性がある。ウィンスプレンダー、カフェー、マイティノバあたりだが、直接対決がなく力関係の比較が難しい。
◎ナンブラッキーワン
○ウィンスプレンダー
▲カフェー
△ピンクサイレンス
△マイティノバ