岩手からはコンスタントにダートのチャンピオンホースが出ているが、不思議と地元のダートグレードでの勝ち鞍が少ない。
マーキュリーカップGIIIはメイセイオペラのみ。クラスターカップGIIIは岩手勢の勝ち馬がなく、地方勢では名古屋のゴールデンチェリーが勝っているのみ。中央との交流になって以降のダービーグランプリGIは中央馬が全勝。メイセイオペラとトーホウエンペラーが勝って唯一岩手勢2勝がGIの南部杯だというのも興味深い。
こうして並べてみて気づいたのだが、4つもダートグレードがありながら、地方他地区の勝利はなんとゴールデンチェリーただ1頭しかいない。
今年のマーキュリーカップGIIIもご多分にもれず中央勢が優勢だ。5頭いずれもがダートグレードの常連で、少なくともダートグレードで2勝を挙げている。スナークレイアースに至ってはダートグレードの常連どころかこのマーキュリーカップにはこれが5度目の出走となる。
今回は抜けた人気になりそうな馬はなく、どれも一長一短。
GI馬スターキングマンは59キロが微妙で、03年の東京大賞典GI以来勝ち星から遠ざかっている。
クーリンガーも昨年のマーチステークスGIIIを勝って以来1年以上勝ち星がない。そのうえ今年は3戦して掲示板にすら届いていない。
牝馬2頭は牡馬との混合では分が悪い。レマーズガールは昨年の名古屋大賞典GIIIでクーリンガーと半馬身差の2着があるのみ。グラッブユアハートは昨年の白山大賞典GIIIからダートグレード3連勝したときはかなり強くなった印象だったが、前走スパーキングレディーカップGIIIでまったく走る気を見せなかった。
昨年3着のスナークレイアースは11歳になった今年、2戦とも大敗している。
どれを中心にするか難しいところだが、過去4戦してすべて3着以内という適性を重視してスナークレイアースを本命にする。昨年3着、一昨年1着のときも、そこに至る過程では必ずしもいい成績は残していない。単勝や連単の頭ではなく、あくまでも連勝の軸ということで。
2番手にはグラッブユアハートを指名する。前走スパーキングレディーカップGIII・7着は、「馬場入りしたときから走る気がなくダメだと思った」と安藤勝己騎手が言っていたとおり、この結果は例外として目をつぶる。
地方他地区からも興味深いメンバーが挑戦してきた。金沢のビッグゴールド、ビッグドンは、いずれも中央から移籍後これが3戦目となる。天皇賞・春2着などがあるビッグゴールドのほうが注目度は高い感じだが、ダートでの実績に乏しい。むしろここでは移籍前のアンタレスステークスGIIIで5着したビッグドンのほうが勝負になりそうだ。みちのく大賞典を勝った大井のコアレスハンターにも可能性がある。
◎スナークレイアース
○グラッブユアハート
▲スターキングマン
△ビッグドン
△コアレスハンター
16日に佐賀競馬場で行われる吉野ヶ里記念(1400メートル)は、8月15日に同じ舞台で争われるサマーチャンピオンGIIIの地元九州地区の前哨戦となる。
そのサマーチャンピオンで3着までに入った九州地区の馬はこれまでのべ2頭。03年2着のカシノオウサマと、04年3着の同じくカシノオウサマだ。
そのカシノオウサマの吉野ヶ里記念での成績はというと、03年は優勝で04年は2着だった。前哨戦としての役割を果たしているともいえるが、地元九州勢にとっては、過去5年で3着までに入っているのがカシノオウサマの2回のみというのは寂しい気もする。
さて吉野ヶ里記念だが、2500メートルで行われていた時代も含め、04年の第6回までは単勝1倍台の圧倒的人気馬が勝っていたが、昨年はこの流れが変わり、4番人気(単勝17.8倍)のオーミヤボレロが勝った。
今年は大井の帝王賞GIに遠征した(9着)ヤマノブリザードが人気になりそうだが、6月11日の国見岳特別(2000メートル)ではタイキシリウスにハナ差で敗れているだけに断然人気とはならないだろう。しかもそのタイキシリウスは、6月25日の黒髪山特別(1400メートル)でイカルガに半馬身及ばず2着に敗れている。
1400メートルの距離適性を考えると、タイキシリウスよりもむしろイカルガのほうに分がありそうだ。
ヤマノブリザードもデビュー地のホッカイドウ競馬に所属した2歳時を除けば、中央時代は一貫して芝を使われ、1400メートル戦への出走は1度あるのみでマイル以上を中心に使われてきた。
イカルガとヤマノブリザードの直接対決はまだないが、昨年のサマーチャンピオンで地元最先着の4着と健闘したイカルガを本命にしたい。ただしヤマノブリザードも佐賀に移籍してからのレースぶりを見れば圧勝があっても不思議はなく、印は対抗だが馬券的にはこの2頭が中心となる。そして3番手には当然タイキシリウス。
荒尾からは5連勝で九州王冠を制したテイエムデウスが挑戦してくるが、3月のはがくれ大賞典(佐賀)で6着に敗れていることや、荒尾での相手関係を見ると勝ち負けまでは厳しそうだ。
昨年の覇者オーミヤボレロは、それ以来1年間勝ち星から見放され、成績が冴えない。
連下で可能性がありそうなのは、5月の祖母山特別(2000メートル)でヤマノブリザードに1馬身差まで迫ったザオリンポスマンと、ランノホシまでだろう。
◎イカルガ
○ヤマノブリザード
▲タイキシリウス
△ザオリンポスマン
△ランノホシ