2022年5月に和歌山競輪場で開催された『オッズパーク杯』で見事デビュー初優勝をされた青木美保選手(埼玉118期)。初優勝の喜びとレースの振り返り、またデビューからここまでなどを振り返っていただきました。
山口:まずは和歌山での初優勝、おめでとうございます。
青木:ありがとうございました。
山口:初優勝をした率直なお気持ちを教えてください。
青木:まさか優勝できるとは思ってはいませんでした。びっくりです。
山口:予選の2日間は振り返っていかがでしたか?
青木:自転車のスピードが出ていたので、調子は良いのかなと思っていました。
山口:続いて決勝を振り返っていきます。戦法としては前々を意識されているように思いますが、ご自身ではいかがでしょう。
青木:そうですね。前の方にはいられるように意識しています。後ろから一気に捲れる脚はまだないので、前々を心掛けています。
山口:では先行した石井貴子選手(東京104期)の2番手は良い位置でしたね。そこからはどう組み立てようと思いましたか?
青木:後ろの選手の仕掛けに合わせて出ていこうと思っていたんですが、石井選手の先行が強すぎて、最後なんとか差せた感じでした。
山口:そうでしたか。石井選手も2着でしたもんね。
青木:何とか抜きたい!と必死に踏みました。
山口:後方の選手とはかなり車間が空いていましたが、把握されていましたか?
青木:いいえ、それは気づいていませんでした。久米選手が日野選手をおさえているな、くらいでその後は全く見えていませんでした。なかなか捲りにこないなあとは思っていたんですが、最後は前だけを見ていました。
山口:これまで何度か決勝2着がありました。1月の大垣では写真判定タイヤ差で2着でしたね。
青木:そのレースはすごく悔しくてよく覚えています。
山口:接戦でした。
青木:はい、でも最後は差されたのがわかったので、思わず「あぁ~」と声が漏れてしまいました。
山口:初優勝、というのはどのあたりから意識していましたか?
青木:優勝したいとはずっと思っていましたが、「和歌山で今回こそ優勝するぞ!」という気持ちはありませんでした。まだ先だろうな、と。
山口:そうでしたか。優勝して周囲の皆さんの反応はいかがでしたか?
青木:いろんな方から「おめでとう」と言っていただけて、すごく嬉しいです!
山口:SNSでもいろんなガールズ選手が「初優勝おめでとう」と投稿しているのを拝見しましたよ。
青木:そうだったんですね!それは知らなかったので、嬉しいです。
山口:では、ここで選手を目指したきっかけなどもお伺いします。青木選手はお父様、お祖父様が選手だったんですね。
青木:はい。でも「普通よりは競輪を知っている」くらいで、選手になりたいとは思っていなかったです。
山口:きっかけは何だったんですか?
青木:ずっとバレーボールをしていたんですが、ガールズサマーキャンプ(自転車初心者でも気軽に参加できる夏合宿、プロ選手を何人も輩出)で初めて競技用の自転車に乗りました。その時に「楽しい!」と思ったのがきっかけです。
山口:初めて乗った時はいかがでしたか?
青木:自分の想像以上にスピードが出て、とても楽しかったです。そこから父に「ガールズケイリンをやってみたい」と話しました。最初は反対されたんですが、いつの間にか「適性試験受けてみたら?」と許可してくれて合格できました。
山口:師匠の茨木基成さん(元選手・東京所属)との出会いはどんな形でしたか?
青木:父の練習仲間で、その縁で面倒を見てもらうようになりました。
山口:師匠と同じく東京登録にしよう、とは考えていなかったんですか?
青木:それは全く思っていなかったです。父も埼玉でしたし、茨木さんは東京登録ですが西武園で練習をされていたんです。
山口:どんな師匠ですか?
青木:私が自転車初心者だったので、1から全部教えていただきました。すごく優しい師匠です。何もわからない私の面倒を見てくれて、茨木さんは引退されましたが、今でもバイク誘導など練習を見てもらっています。感謝しかないです。
山口:良い報告ができましたね。
青木:はい。「ありがとうございます、やっと優勝できました」とお伝えしたら喜んでくれました。
山口:適性出身ということですが、卒業記念レースでは決勝進出でした。養成所での手ごたえはいかがでしたか?
青木:結果は出ていたかもしれませんが「これからやっていけるな」という自信はなく、不安の方が大きかったです。同期で一緒にいた方も自転車経験のある選手が多く、自転車のいろんなことを聞いて教わり、入所時よりは成長できたなとは思いました。
山口:デビュー戦のルーキーシリーズ(広島)では連勝で決勝に勝ち上がりましたね。
青木:自分でもびっくりでした。思っていた以上に成績が出ました。決勝は7着でだめでしたけどね。
山口:ルーキーシリーズだと同期たちとのレースですから、デビュー初日に1着を取れる選手は限られている中での1着は素晴らしいと思います。
青木:同期たちだけだったので、「あの選手はこう組み立てるかな」という予想はつきやすかったのもあると思います。走りやすかったです。
山口:本デビューをして丸2年ですが、ここまでを振り返っていかがですか?
青木:もっともっと脚力をつけてパワーアップしたいですね。
山口:昨年は初めて後輩期もでてきましたが変化はありましたか?
青木:特に大きな変化は感じませんでした。私は相手が誰でも、特に戦法が大きく変わらないので、後輩が出てきても普段通りにレースができていると思います。
山口:その戦法を確立しだしたのはいつ頃ですか?
青木:最近です。
山口:そうなんですか。安定して決勝にのっているイメージがあるので意外です。
青木:以前のよくあるパターンが、初日は着が良くて2日目が悪く、成績が安定していませんでした。予選でも2日間、確定板にのれるようになったのは、本当にここ最近です。自分のやりたいことが徐々にできていると思います。
山口:競走得点も近況はずっと50点を超えていますが、意識はしていますか?
青木:もちろん高い方が良く、上がれば上がるほど良いですが、それよりも目の前の一走という気持ちの方が大きいです。
山口:118期の選手たちは、デビュー時から無観客のレースが多かったと思います。お客様の前で走るのはいかがですか?
青木:名前を呼んで応援をしてくれるのは、力になるし本当に嬉しいです。
山口:優勝インタビューもたくさんのご声援ありましたよね。
青木:慣れていなくて緊張したんですが、たくさんいらっしゃっていました。
山口:優勝を経験されて、次の目標は何ですか?
青木:もっと優勝を積み重ねていきたいです。
山口:今の強化するところはどこですか?
青木:ダッシュ力です。飛びつくレースもイメージはしているんですが、理想はもっと「スッ」といきたいんです。5月弥彦の初日は3番手にいたんですが、自分のスピードより後ろから捲る選手のスピードが速く前にはいけませんでした。
そんなレースを少なくしていきたいです。なのでトップスピードも上げたいです。
山口:狭いコースでも突っ込んでいくイメージがあります。それは大丈夫ですか?
青木:はい。全然怖くはないですね。道が空いていたら「空いてる!」とチャンスに感じるタイプです。
山口:それだけ他の選手の動きが見えているんですね。
青木:そうかもしれません、徐々に落ち着いて見えてきていますね。緊張もしているんですけどね。
山口:そうでしたか。では、選手になっての大きな目標は何ですか?
青木:最近は、競輪祭に出たいと思っています。決勝には進めるんですがそこでの着が大きいので、決勝でしっかり確定板にのれるようになりたいです。
山口:理想の選手はどなたかいらっしゃいますか?
青木:強い選手がたくさんいらっしゃるので、いろんな先輩方の良いところを見習っていきたいです。
山口:バレーボールを長くされていましたが、活かされている部分はありますか?
青木:メンタル面ですかね。小学校からバレーボールを始めたんですが、そこの指導が厳しかったので、メンタルを鍛えられました。プレッシャーがかかる部分でも折れなかったり、叱られた時にも「なにくそ!」と踏ん張れているのはバレーボールのおかげかなと思います。
山口:負けず嫌いなのは大切ですね。
ではここからは少しレースから離れた質問です。オフの日は何をされていますか?
青木:ほとんど家にいます。出かけたい気持ちもありますが、のんびりしているといつの間にか時間がなくなってしまいます(笑)。あとは猫を2匹飼っているので、遊んで癒されて、家でも充実しています。韓国ドラマを見るのも好きです。
山口:レースに持っていくものはありますか?
青木:ケアグッズとDVDは持っていきます。
山口:同期で仲良しはどなたですか?
青木:永塚祐子さん(神奈川)です。落ち着いたら一緒に遊びに行きたいです。
山口:ではまたガールズケイリンの話に戻します。練習はどのようにされていますか?
青木:レースの2日前から調整をするんですが、それまではしっかりと練習をしています。
山口:バンクの周長は気になりますか?
青木:33バンクは展開が早くて仕掛けを迷ったら遅れてしまうから特に注意しています。でも特に周長によって苦手なところはないですね。
山口:理想の戦法は?
青木:現状は前々にいて強い選手よりも先に動くのが成績の良いパターンですが、もっと脚力がついてきたら先行で勝てるようになりたいです。自分でレースを組み立てていけるように、ダッシュなどを磨いていきたいです。
山口:拝見できるのを楽しみにしています。それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
青木:確定板に安定してのれるように頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA