ガールズケイリン総選挙2019では14位でアルテミス賞レースを出走。2020、2021ではファン投票6位になった荒川ひかり選手(茨城110期)。
しかし昨年は選考期間中に欠場防止策に係る規程等に抵触したためガールズドリームレースに走ることはかないませんでした。今年の意気込みや現状をお伺いしました。
山口:ガールズケイリン総選挙では6位、おめでとうございます。結果を見ていかがでしたか?
荒川:昨年も今年も6位に選んでいただいてとても嬉しかったです。でも昨年は走ることができませんでした。「今年選んでもらえると良いな」と思って過ごしていたので、結果を知った時はすごく嬉しかったです。
山口:昨年はコロナ禍で中止も続いていた時期の直前欠場が規程を抵触したようでした。走れないと知った時はどのようなお気持ちでしたか?
荒川:伊東温泉の開催中に、「選ばれているけど走れないよ」と記者さんに聞きました。予想もしていなかったのでかなりショックでした。伊東温泉のレースもその気持ちをなんとか切り替えないと、と走っていましたね。
山口:一昨年がファン投票14位でのアルテミス賞レースで、単発レースが初出走でしたが、3着でしたね。
荒川:はい。その経験はかなり自信になっています。走ったという経験もですが、やはり3着で車券に絡めたことが大きいです。強い選手ばかりのレースで一緒に走らせてもらうのが初めてだったので怖かったんですが、どうにか車券に絡めました。それを励みに頑張っています。
山口:その時は、優勝は一度だけで「2回、3回と優勝を重ねていきたい」と仰っていました。優勝を重ねた今はいかがですか?
荒川:他の人の後ろをまずは追走してからのレーススタイルなので、どうしても1着は少ないんですが、でも常に車券には絡めるようには心掛けています。チャンスがあった時に優勝ができているだけですね。
ガールズドリームレースも1着を目指す!というよりは3着以内で車券に貢献できるようなレースをしたいと思っています。
山口:近況を振り返っていきます。6月小倉では7着2着で決勝進出でしたね。2走目への気持ちの切り替えはどうしたんですか?
荒川:1走目に油断している訳ではないんですが、バンクの特性が掴めず大きい着になってしまい、2走目になんとか滑り込みで決勝へということも、特に333バンクではあるかもしれません。
私は気持ちよりも作戦面での修正をしています。「踏み込む位置が遅かったからもっと早くしよう」など何度もレースのVTRを見て修正をします。
自分は踏み込むタイミングを修正したとしても、毎回同じようなレースにはならないので流れを見てなんですが、心づもりをしておくだけで違う気がします。
山口:荒川選手の勝負強さやレース勘の良さを感じます。
荒川:自分で追い込んでる訳ではないんですけどね(笑)。どうにか決勝にいくために必死です。
山口:ここからは先日引退された同期・藤谷はるなさん(元選手・茨城110期)のことをお伺いさせてください。
荒川:藤谷はるなさん、はるなはアマチュア時代から一緒に練習をし、一緒に競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に合格しデビューしました。
山口:今のお気持ちを聞かせてください。
荒川:正直に言うと、すごく寂しいです。最後の半年は彼女の実家である山口県に戻っていて、茨城で一緒に練習ができなかったのが心残りです。
私より点数が上だった時期もあり、その時は私も頑張らなきゃと切磋琢磨していました。最後の方は私も点数のことはわからないので、アドバイスもできず、でした。
山口:川崎が最後のレースでしたね。
荒川:私は同日程の小倉を走っていたんですが、初日に3着をとっていたので凄く応援をしていました。最後の最後まで頑張っていましたが、私の思いは届かず、でも最終日まで走り切っていました。
山口:6月の松戸ミッドナイトが勝負だったと後から聞きました。
荒川:はい。松戸は相性が良いからと意気込んでいましたね。
山口:ご本人からはSNSでファンの皆さんへ引退の報告がありました。荒川選手はどう感じましたか?
荒川:同期で同県で一緒にいる機会も多くあり、寂しいのは事実です。でも改めて「勝負の世界なんだな」というのも強く感じました。「自分がいつそうなるかもわからないからもっと頑張らなきゃな」と。
はるなの分までというと少し違いますが、事実はそれと受け止めて、頑張りたいです。
山口:どんな存在でしたか?
荒川:とても大きい存在でした。でも今後もきっとレースのことで相談にのってもらったり、私が頼ることも多いと思います。
山口:大切な思いを聞かせてくださってありがとうございます。
ではここからはレースの話に戻ります。前回の和歌山は動くタイプの選手が多かったです。その時は作戦の組み立ては変わりますか?
荒川:私のレーススタイルだと動くタイプの選手が多い方が良いのかなと思っていたんですが、新人選手もいてどの選手がどれだけ動くかがわかりにくかったです。
私は自力が無いので、動くタイプの選手の後ろからレースを組み立てようと思っているんですが、その選択が難しかったです。前の動くタイプの選手が仕掛けられなかった時には最後方になる時もあるので、最近は失敗するレースも増えました。
山口:最終日は加藤舞選手(秋田116期)の後ろを選択しましたね。
荒川:はい。加藤選手は先行で強いのは知っていたんです。数日後に伊東温泉競輪で逃げ切って100万オーバーの車券も出ていましたし。
でも毎回先行できるかといえば違います。和歌山の最終日は清水彩那選手(静岡116期)が加藤選手をつっぱって先行しました。
私は他の人の自力に期待してレースを組み立てるので、人任せになってしまいます。前の選手が仕掛けられなくても「私は自力が出せないから自力を出しているだけで凄いな」と思います。
強いと思った選手の後ろを選択し、しっかり取り切ってうまくレースができれば理想的です。
山口:ガールズドリームレースは、荒川選手以外は動けるタイプの選手ですね。
荒川:先輩選手からもガールズドリームレースの展開についてアドバイスをいただきながら、作戦を練っています。皆さん強いので、スピードにおいていかれないように、そこだけは頑張ろうと練習しています。
山口:アルテミス賞レースは3着に入っていますし、期待されている方もいると思います。
荒川:穴をあけられるように頑張ります。
山口:今の調子はいかがですか?
荒川:悪くもなく、ものすごい良くもなく、フラットですね。いつもあんまり波はないです。
山口:この後どんな風に過ごされますか?
荒川:奈良を走ってガールズドリームレースなんですが、そんなに急には変われないと思うので今までと同じレースを心がけて走りたいです。弾みをつけられるレースができたらベストですね。
山口:奈良といわき平はバンクの特徴が全然違うと思いますが、いかがでしょうか?
荒川:はい。奈良は333バンクなので特徴は全く違いますが、私の戦法ではあまり影響は受けないと思います。気にせずいつも通り走って、確定板に入りガールズドリームレースに繋げたいです。
山口:いわき平競輪場の印象は何かありますか?
荒川:落車もしているんですが、それよりもBSから捲って、私の割にはタテ脚で頑張れたレースを覚えているので、印象は悪くないです。(補足;いわき平初出走の2017年12月でした)
山口:単発レースは2年ぶりですが、緊張感はどうですか?
荒川:2年前のアルテミス賞レースの時には、普段の開催では会わないS級S班の選手や男子のトップ選手がたくさんいて圧倒されました。でもその雰囲気は味わえているので、少しは落ち着いて入れると思います。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の方へガールズドリームレースの意気込みをお願いします。
荒川:いつも通り車券に貢献できるようなレースを心がけて、そして投票してもらった5,081票を力にかえて頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA