年間100勝が見えてきた鈴木圭一郎
『2024スーパースターガールズ王座決定戦』の出場権を争うべく5月の第1戦から繰り広げられてきたトライアルの最終戦となる第6戦が、今節『G2若獅子杯争奪戦』初日に実施される。第5戦を終えての選考順位トップは佐藤摩弥。ただ佐藤摩は『スーパースター王座決定戦トライアル』への出場が有望な情勢であり、ガールズ王座トライアル得点2位の松尾彩や4位の西翔子は、この第6戦で好成績を挙げて得点上位をキープするとともに、開催の本編である若獅子杯の勝ち上がりにもつなげたいところ。
先週の飯塚デイレースを5戦5勝の完全Vで駆け抜けた鈴木圭一郎は、昨年の大みそかに青山周平が更新したばかりの『年間最多勝利数』記録を大幅に塗り替える見込みが極めて濃厚。今年の山陽には全てデイレースの6節へ出場して、G1プレミアムカップ(春)、G1令和グランドチャンピオンカップ、G2小林啓二杯、8月の一般開催と、出場機会4節に連続優勝。加えて2月には前回大会の若獅子杯を準優勝し、先月のG1プレミアムカップ(秋)は優出3着と、成績が全く崩れていない。若獅子杯は3年前の11月に1度制している。
前回若獅子杯を制したのが黒川京介。過去に獲得したグレードタイトル6つのうち3つが山陽でのもので、外来勢としての山陽との相性の良さは鈴木圭にも劣らない。先月のG1プレミアムカップ決勝戦は鈴木圭の追撃を振り切る形で準優勝している。
前々回(2022年)若獅子杯の覇者は佐藤励。昨年暮れには『G1スピード王決定戦』も制して、獲得タイトル2つとも山陽デイレースであり、今年3月の山陽デイレース一般開催では良走路の競走は全勝してV。先月のG1プレミアムカップは初日・2日目を連勝して準決勝戦へ進みながら、4・5日目はスタートが決まらなかったが、その最終日の4日後に開幕した地元川口のデイレースは4戦4勝の無敗で優勝し、再び勢いを増してきた印象だ。
佐藤摩弥も若獅子杯の歴代覇者に名を連ねる。過去に4度制したグレードタイトルのうち3つは夜開催で、唯一デイレースで実施されたのが2020年の若獅子杯だった。2年連続でSGオールスター(飯塚ナイター)準優勝、7月G2ミッドナイトチャンピオンカップ制覇など、今年も夜開催での活躍が目立っているが、デイレースでも『SG全日本選抜』(川口)などグレード3節に優出しており、オールラウンダーといえる。
鈴木宏和は前回大会で通算2度目の若獅子杯優出。初回の2018年はいきなり準優勝。ちなみに勝った中村杏亮は自身の初優勝がグレード大会という快挙だった。
今年2月の若獅子杯は決勝戦5着だったが、この夏は7月の伊勢崎ナイターから前々節まで6節連続で優出し、長らく好機力をキープできている。その6節にはSGオートレースグランプリやG1プレミアムカップが含まれる。連続優出が途切れた前節、先週の飯塚デイレース5日制でも、準決勝戦と最終日はそれぞれ地元車の激しい抵抗に遭って厳しい位置取りをしいられたが、3日目にはハンデ単独30メートルの最後方から雨走路で追い込み勝ちを決めており、機力は良かったことと雨の乗り方に進境がうかがえることは留意しておきたい。
鈴木宏と同様に初タイトルを狙える雰囲気が出てきたのが森本優佑。ここ数か月の傾向として、スタートが遅れる場面の減少が挙げられる。最近のレーススタイルは最重ハンから1~2周目で4~5番手くらいまで上がり、後半の周回は先頭争いに加わる展開が増えている。今年の山陽は2月のナイターに優出し、5月のデイレースを3戦3勝でV。8月にはオートレースグランプリで初めてのSG優出も果たし、ランキングは2023年の上期・下期A級から今期はS級へ復帰しての昇格と、さまざまな角度から流れが上向いている。
今年も女子レーサーの躍進は止まらない。パイオニア佐藤摩が昨年までと比較してレベルアップしている他、小椋華恋が5月に『G2川口記念』でグレード初制覇。その前節と前々節は山陽デイレースとミッドナイトで上位着順を数多く取った。2月の前回若獅子杯5日間も2・3・4・4・1着と好走し、山陽走路への適性は高い。
新井日和が先月プレミアムカップでG1初優出。決勝戦は0ハンデオープン戦の大外8枠に置かれて、ゴール入線は8着だったが、発走してスタートラインの通過は1枠の青山周や4枠の鈴木圭より早い3番手発進。3月の前回プレミアムカップでは本走タイム3.376秒で1勝を挙げた。山陽デイレースにおけるスピードの上げ方やスタートの感覚を掴めていることは強みとなりそう。
松尾彩は2023年の上期以降、ランキングがA級上位に定着しつつある。今年は2月の若獅子杯~SG全日本選抜~3月の山陽ミッドナイトチャンピオンカップと好走を続けた。加えて例年を越える3度もSGに挑戦し、その全てで勝利を挙げているのが成長の証しだ。
8月1日の飯塚ナイターにおいて『36期新人王決定戦』が実施されて、11名いる36期の中でもスピードが抜きん出ている栗原佳祐・村瀬月乃丞・吉林直都が同ハンに並んで直接対決し栗原佳が快勝した。
栗原佳の直近の山陽デイレースは2月の若獅子杯、3月のプレミアムカップ、4月の令和グラチャン。まず、デビュー2年目でこれらの大レースへあっせんされること自体が凄いのだが、この3節すべてで車券に絡む走りをできたことがまた非凡さを表している。
村瀬はもう半年以上、飯塚でしか実戦を走っていない点が気がかりだが、3節前の飯塚ミッドナイトで優勝して勢いは十分。前回若獅子杯では2着と3着を1度ずつ獲っている。
吉林は昨年の晩秋あたりからエンジンがハイパワーを維持した数か月間があり、2月の若獅子杯は初日から3連勝。3日目の選抜予選では20メートル後ろの鈴木圭一郎・青山周平を振り切って勝利した。そして、ミッドナイトとはいえ先月末に山陽走路で実戦を経験できているのは好材料といえそう。
37期は今年のデビュー当初は浅倉樹良・福岡鷹・森下輝が大活躍して37期3強のように称されたが、夏前ごろから田中崇太・丹下昂紀・村田光希の山陽3車が足並みを揃えて急速に成長してきた。ハンデが重くなってから勝ち星をなかなか増やせないでいる浅倉の通算勝利数に10月9日の時点で、田中崇は同数で並び、村田は追い抜いている。
36・37期は1級車よりパワーの劣る2級車で戦うため、優勝戦線をリードするほど活躍できるかは不透明だが、それは未知の可能性を秘めているということ。将来の伸びしろを発見できるかも知れず、連日の走りに注目していきたい。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-11(31期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
森本 優佑〔飯塚 S-46(31期)〕
浅倉 樹良〔伊勢崎 A-32(37期)〕
松尾 彩〔山陽 A-56(34期)〕
新井 日和〔伊勢崎 A-65(35期)〕
栗原 佳祐〔浜松 A-117(36期)〕
文/鈴木
加賀谷建明の夢を永井大介が打ち砕く!
今年7月の昼夜同日開催で佐藤摩弥がナイトレース微差の2着(優勝・山田真弘)で1日2優勝を逃したのは記憶に新しいが、今回は加賀谷建明が雨走路の昼を制しており、ナイトレースも雨走路で期待が高まっていた。試走終わって3.53の永井大介が一番時計、加賀谷は3.57と水をあけられた格好に。それでも雨巧者の加賀谷に人気集中し、オッズも2連単5-6が2倍を切る1.6倍、裏目の6-5は3.6倍だった。3連単は5-6-7で2.5倍、以下6-5-7、5-7-6と続く。
スタート出たのは加賀谷だったが永井がその外から伸びて行き、まず小原望をパス。次に先頭の間中大輔をインから抜き去る。このとき加賀谷はまだ3番手。加賀谷は間中を差したが残り周回は『2』。外コースをうまく使って伸びて行った永井に対し、加賀谷は中コースが伸びず無念の2着に。3連単6-5-1は1930円、2連単6-5は360円で1日20Rは閉幕。
たかが試走、されど試走である。機力の差とコース取りの差が如実に現れたナイトレースだった。