
今年もJBCが終わりました。
佐賀と門別で行われたJBC、どのレースも熱い戦いが繰り広げられましたね。
わたしは初開催だった佐賀競馬場へ行ってきました。たくさんのファンの方々が詰めかけ、場内はとても賑わっていましたが、佐賀の主催者が事前に入念な準備をしていたおかげで大きな混乱もなく、楽しく一日を過ごすことができました。
それでは各レースのレース後コメントをご紹介します。
勝利騎手はインタビューがいろいろなところで流れていますので、勝利調教師と2着以下のコメントを掲載します。
◆JBCクラシック◆
[写真提供:地方競馬全国協会]
1着ウィルソンテソーロ
小手川準調教師
「GIを勝たせていただき、とても感謝しています。本当にすごい馬だなと思っています。
海外遠征に行き、精神的に逞しくなりました。今日はとても堂々としていましたね。今後のことは馬の状態を見て考えます」
2着メイショウハリオ
浜中俊騎手
「今回は調教から気配がよくて、久しぶりにいい手応えをもって競馬に向かえました。結果は負けましたが、よく頑張ってくれたと思います」
3着キリンジ
笹川翼騎手
「前との差はありましたが、最後までよく頑張ってくれました。これまでのレースを全部見て、長くいい脚を使う馬だと思いましたので、前半はいいリズムで進んで3コーナーくらいから動かして行きました。強い相手でもこれだけ頑張れる馬ですし、もしまた乗せていただける機会があれば自信を持って乗りたいと思います」
4着シルトプレ
石川倭騎手
「終いの脚を伸ばすイメージで、ある程度思い通りのレースはできました。ただ3着は欲しかったですね...。輸送が課題でしたが、早めに入って馬体重もマイナス5と大きく減らなかったですし、これだけ大きいレースでよく頑張ってくれました。今後も交流重賞を目標に頑張ります」
◆JBCスプリント◆
[写真提供:地方競馬全国]
1着タガノビューティー
西園正都調教師
「なかなかGIが勝てなかったのですが、この勝利でオーナーに喜んでいただけて涙がでました。馬の頑張りには頭が下がります。
3コーナー手前でマクッて行った時には早い早いと思いましたが、思い切って行ったのが良かったです。石橋騎手の好判断でした。
年齢的なこともありますので、今後のことはオーナーと相談して花道をきれいに飾りたいと思っています」
2着チカッパ
武豊騎手
「雰囲気もよく、状態も良かったです。やりたいレースはできました。
ただ1200mよりも少しキレが鈍るかなというのと、大きな競馬場の方が合っていると思います」
3着アラジンバローズ
下原理騎手
「この馬は佐賀で一番いい脚を使うと思って乗っていました。本当に力をつけていますね。僕自身、とてもいい経験をさせていただいていますので、オーナーや関係者の方々に恩返しできるようなレースがしたいです」
4着イグナイター
笹川翼騎手
「作戦通りでしたし、リズムも悪くなかったです。前回使って状態も上がっていました。
ただ、絶好調の時とは少し差があるかなと...。絶好調の時は抑えきれない手応えで上がっていきますから、今日も悪くはないんですけどお利巧すぎました」
◆JBCレディスクラシック◆
[写真提供:地方競馬全国協会]
1着アンモシエラ
松永幹夫調教師
「強い馬を相手に良く頑張ってくれましたね。佐賀は騎手時代からたびたび乗せていただいて、初めてのJBC開催で勝つことができて感慨深いです。
アンモシエラに関しては状態も良かったですし、前回の負けは展開のあやだと思っていましたので、あの競馬で4着ならば楽しみだなと。
レースはジョッキーに任せていて、いいリズムで逃げていましたが、4コーナーから内が深い馬場で最内を通っていたので大丈夫かな?とは思いましたが、強い競馬を見せてくれました。
まだ完成しているわけではないですが、とてもいいスピードがあってそれが持続する馬です。今後は馬の様子を見て考えます」
2着グランブリッジ
川田将雅騎手
「とてもいい状態で今日を迎えて、返し馬も良かったです。着差の通り勝った馬が強かったですが、この馬も素晴らしい走りができたと思います」
3着テンカジョウ
國分優作騎手
「課題のゲートも出てくれましたし、スローの雰囲気だったので自分から動いて行って、最後までよく頑張ってくれました。勝てなかったのは残念ですが、少しずつどっしりとしてきて、馬は良くなっています」
4着ライオットガール
岩田望来騎手
「好スタートを決めて前々で競馬をしようと思っていました。3番手にはなりましたが、いい雰囲気で走ってくれました。具合は上がっていますし、とてもレースセンスのいい馬です」
5着ドライゼ
石川倭騎手
「いい競馬ができました。3着4着と差がなかったので悔しい気持ちはありますが、今できる最大限の競馬はできたと思いますし、今後また成長してくれればと思います」
*4日(月)佐賀 第11R『第24回JBCクラシック』 2000m 18:30発走*
今年も好メンバーが揃いましたが、本命にしたのはウィリアムバローズです。前走は馬場や展開が向いたとはいえ、ウシュバテソーロに完勝。東海ステークスもそうでしたが、自分のリズムで気分よく運べると相当強いです。
今回は先行有利な小回りの佐賀。どうしても逃げたいという馬がいないので、前走のように先手が取れるのではないでしょうか。
ウィルソンテソーロはしばらく勝ち星がありませんが、強豪相手に安定感抜群のレースを続けています。先行でも差しでも自在にレースができることは大きな強み。コリアカップからのローテーションですが、ここも大崩れなく戦ってくれると思います。
3番手はノットゥルノ。右回りの2000m前後で強さを発揮する馬で、今年の佐賀記念はとにかく強かったです。59キロを背負って早め先頭からのぶっちぎり。今回は休み明け、佐賀記念よりもさらに強いメンバーなので、スムーズに上がって行けるかがカギになりそうです。
高知のヒロイックテイルは名古屋グランプリでノットゥルノの2着と存在感を示し、イヌワシ賞では大差圧勝とさらなるパワーアップを感じさせました。先行集団に混じって競馬ができると思いますし、展開一つでチャンスはあると期待しています。
メイショウハリオは少しリズムが狂ってしまいましたが、前走の日本テレビ盃では休み明けでも3着と力を示しました。小回りの佐賀でどこまで末脚が使えるかがポイントだと思います。
充実期に入っている北海道のシルトプレまで。
◎9、ウィリアムバローズ
〇5、ノットゥルノ
▲10、ウィルソンテソーロ
△4、ヒロイックテイル
△3、メイショウハリオ
△7、シルトプレ
3連単フォーメーション
9,5-9,5,10,4-9,5,10,4,3,7 24点
*4日(月)佐賀 第10R『第24回JBCスプリント』 1400m 17:20発走*
ここはなんといってもイグナイターでしょう。
大外枠に入りましたが、大きな体の馬ですから、1、2コーナーで揉まれる心配がないのはむしろ好材料と捉えています。
前走の東京盃では伸びきれずの6着でしたが、夏を越えての休み明けだったことを考えれば、使った効果に期待したいです。
小回りの1400mは得意な舞台、新子厩舎の佐賀との相性もばっちりですから、ぜひとも連覇を達成して欲しいです。
一番怖いのはシャマル。
小回りの1400mを得意としていて、佐賀1400でも2022年にサマーチャンピオンを勝利。
一時期はスランプでしたが、そこから抜け出すとこれまで以上に強くなった印象です。
スピードを活かした競馬をすると思うので、先行争いがカギになるのでは。
3歳馬チカッパの成長力もものすごいですね。
タフな門別で北海道スプリントカップを勝ち、その勢いのまま東京盃で古馬を撃破しました。
小回りの1400は園田で経験済ですし、この勢いのまま連勝を伸ばすのか注目です。
ヘリオスは前走9着と振るいませんでしたが、休み明けだったので一度使った変わり身がありそう。
安定感のある馬なので、展開一つで上位争いに絡んできそうです。
アラジンバローズは順延となったサマーチャンピオンで見事な差し切り勝ち。
輸送で一度帰るなど難しい調整だったと思いますが、さすが新子厩舎、きっちりと結果を出しました。
タガノビューティーにとっては1400は忙しいイメージですが、さきたま杯でものすごい末脚を見せましたから、久々の右回りをこなせれば馬券圏内もあるかもしれません。
東京盃であわやの2着だった、大井のマックスまで。
◎12、イグナイター
〇4、シャマル
▲11、チカッパ
△6、ヘリオス
△7、アラジンバローズ
△8、タガノビューティー
△5、マックス
3連単フォーメーション
12-4,11-4,11,6,7,8,5 10点
*4日(月)佐賀 第9R『第14回JBCレディスクラシック』 1860m 16:40発走*
混戦模様の牝馬戦線ですが、前走レディスプレリュードで1,2着だった2頭を中心に考えます。
勝ったグランブリッジは久しぶりの勝利でしたが、牡馬に混じったダートグレードでも常に上位争いをしてきて、トップレベルの実力は証明済。
JBCレディスクラシックは2年連続で2着と悔しい思いをしていますから、今年こそはの気持ちは強いでしょう。
ただ、佐賀の小回りを考えるとどうしても先行有利。
台風による大雨もあり、馬場がどのくらい回復するかにもよりますが、先行有利の馬場状態にはなると思います。
レディスプレリュードでタイム差なしの2着だったアイコンテーラーにとっては、グランブリッジより1キロ重かった斤量が同じになり、さらに先行有利のコースになるのは大幅なプラス材料。
こちらを本命にして、連覇を期待しています。
3番手は3歳馬アンモシエラにしました。
マリーンカップは早め失速の4着でしたが、休み明けの上に競り合ってかなりのハイペースになりましたから、自分のリズムで行ければ巻き返しは十分ありそう。
牡馬相手にもヒケを取らない実力の持ち主で、古馬との対戦とはいえ53キロで戦えるのは大きいです。
大井のキャリックアリードはスパーキングレディーカップで僅差2着。
前走は名古屋の小回りで早めに上がっていくレースで完勝。小回り対応もばっちりですから、チャンスはあると思います。
マリーンカップ圧勝のテンカジョウ、先行力のあるライオットガール、ブリーダーズゴールドカップ3着だった大井のドライゼ、地元コスモポポラリタの鬼脚にも注目しています。
◎9、アイコンテーラー
〇7、グランブリッジ
▲11、アンモシエラ
△6、キャリックアリード
△4、テンカジョウ
△3、ライオットガール
△1、ドライゼ
△2、コスモポポラリタ
3連単フォーメーション
9,7-9,7,11-9,7,11,6,4,3,1,2 24点
兵庫の鴨宮祥行騎手が、来年1月から4か月間、オーストラリアへ武者修行に行くそうです!今年は兵庫優駿を勝ってダービージョッキーになり、キャリアハイとなる年間100も達成。9月のインタビュー【ダービージョッキーとなった鴨宮祥行騎手https://blog.oddspark.com/akami/2024/09/post_2068.html】では、「年間100勝を達成したら海外に行ってみたい」と話していましたが、まさに有言実行。通年開催の競馬場で4か月遠征に行くというのは相当勇気が要ると思いますが、どういう経緯で決断したのか語っていただきました。
赤見:まずは目標としていた年間100勝達成おめでとうございます。
鴨宮:ありがとうございます。ここがゴールではないので、あまり大きなことは言えないですけど、達成できて嬉しいです。頑張ってくれた馬たちや、周りの方々に感謝しています。僕は今までずっと数字を気にして来なかったんですけど、成績を上げていないのに「数字を気にしない」って言うのはカッコ悪いなと思うようになって。それで去年の年始から年間100勝というのを目標にして、今まで以上に勝ちにこだわる競馬をしていこうと。ただ去年は96勝で達成できなくて、今年こそはと思っていました。
赤見:飛躍のきっかけはマルカイグアスとの出会いですか?
鴨宮:それはありますね。ただそれだけではなくて、去年から数字を意識して乗るようになって、少しずつ成績が伸びてきた中で出会えたことも良かったと思います。それに、ずっと尊敬してきた田中学騎手が離脱した、ということも大きいです。マルカイグアスもそうですし、学さんのお手馬が回って来て、その中で結果を出せたことが繋がっていきました。
【マルカイグアスとのコンビで兵庫優駿を勝利】
赤見:前回のインタビューでもお聞きしましたが、兵庫優駿を勝ってから、思い切ったレースや攻めのレースが増えた印象です。
鴨宮:まだまだ迷いますし、下手なレースもしますけど...。でも兵庫優駿のあとから成績がかなり伸びましたし、以前よりは焦らなくなったなと思います。
赤見:さて、海外遠征のお話ですけれども、9月に取材させていただいた時にはもうすぐ100勝という状況で、達成したらどこか海外に行きたいんですというフワッとした感じでしたが、あれから2か月も経たないうちにオーストラリア遠征が決定!今は準備も忙しいんじゃないですか?
鴨宮:あの時に競馬評論家の須田鷹雄さんを紹介していただいて、須田さんからオーストラリアで活動している元騎手でRSS代表の川上鉱介さんを紹介していただく、というご縁が繋がって、漠然としていたことが一気に現実になりました。ワーキングホリデーのビザで行くんですけど、30歳までしか申請ができないビザなんです。僕は11月2日で31歳になるので、本当にギリギリでした。他にもいろいろな手続きがありましたが、須田さんや川上さんに教えていただいているのですごく助かっています。
赤見:英語は得意ですか?
鴨宮:それは全然(苦笑)。せっかく行っても英語がわからないと話にならないので、今猛勉強中です。競馬がない日に週2,3日英会話のレッスンをして、自分でもテキストを買って勉強して。もっと前から英語を勉強しておけば良かったとも思いますが、とにかく今できることを必死にやっています。
赤見:遠征での目標は?
鴨宮:右回りで小回りダートの園田と左回りの芝コースでは競馬自体が全然違いますし、英語も大して話せない僕が行って、すぐに乗せてもらえるとは思っていません。レースに乗れるかどうかも分からないですけど、目標は勝つことです。ただ今回の遠征は、いろいろな経験を積む、ということに意味があるので、初めての環境でたくさんのことを吸収できればと思っています。
赤見:周りの方々は驚いたんじゃないですか?
鴨宮:そうですね。年始から100勝したいというのは公言していて、達成したら海外に行きたいということもチャージ(兵庫競馬の情報誌)のインタビューで言っているんですけど、実際に行くことが決まったら「本当に行くの?」と驚かれました。所属の栗林徹治調教師からは、「上手くなるために行ってこい!」と快く送り出していただき、本当に感謝しています。成績を上げてから行きたかったので、僕にとってはご褒美ですね。
赤見:武者修行がご褒美とは、ずいぶん厳しいご褒美ですね。
鴨宮:ここまで12年同じ環境でやらせていただいて、毎日とても充実していますが、その中でまた新しい環境にチャレンジできるというのはご褒美だと感じています。それに、後輩たちにもこういう選択肢があるよというのを見せられることもモチベーションになっています。
赤見:では、ファンの方々にメッセージをお願いいたします。
鴨宮:まずは年末まで、園田で精一杯頑張ります。明日は金沢に遠征(北國王冠にてサンビュート騎乗)するので、応援していただけたら嬉しいです。そして年明けからはオーストラリアに行きますが、変わらず兵庫競馬もよろしくお願いします。成長して帰ってこられるよう頑張ります!