12月16日 社台SS協賛・デュランダル賞「第17回白嶺賞」(3歳以上オープン 水沢1600m)
(白嶺賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 ダイワフォーチュン
外枠からジュリアが先手を奪ってスローペースに落とす。ダイワフォーチュンは例によってポツンと最後方でジックリ待機策を採る。さすがにペースが遅く1周目スタンド前ではやや掛かり気味となったが、それをうまくなだめて向正面から満を持してスパート。しかし4コーナーを回っても先頭から10馬身ほどの差が開いていたため、とても届かない感じだったが、大外からグイグイ伸びて直線ごぼう抜き。先に抜け出したサイレントエクセル、タイキリオンをアッサリ交わしてゴール。脅威の上がり35秒8の脚を駆使して初の岩手オープンタイトルを手に入れた。
「腰が悪い馬なので、スタートに気をつけて道中は折り合いをつけることに専念した。距離は短い方が合うタイプなので今回はチャンスがあるかもと思っていた」と草地騎手。
3走前のA1級戦(盛岡ダート1600m)でもポツンと最後方から直線一気を決めて周囲の度肝を抜いたが、赤松杯7着、オッズパークグランプリ9着と凡走。そのため今回は7番人気と低評価だったが、メンバーが甘くなったことと草地騎手の思い切った最後方待機策がズバリはまった。
2着 タイキリオン
終始、不利を受けない中団外めを追走して3コーナーから徐々に先陣に接近。3コーナーで早くも先行2頭ジュリア、セイントセーリングを捉える態勢ができ直線半ばで先頭に立ったが、その外ダイワフォーチュンの勢いには勝てなかった。
「寒い季節になって本来のシャープな動きを取り戻してきた。それと芝に似たような今のコース状態があったのでは」と村松騎手。
道中の位置取り、仕掛けどころも文句なく手応えも抜群だったが、これで負けたのなら仕方なしだろう。1月14日、同じ水沢1600mで行われる重賞・トウケイニセイ記念でも好勝負に持ち込めるに違いない。
3着 サイレントエクセル
オッズパークGPで馬体重が減っていたため、北上川大賞典を自重。その結果、今回はプラス5キロの450キロで出走できたが、5番手インの馬群に入れてレースを進めたが、勝負どころで前走(オッズパークGP)と同様、3、4コーナーでもたついてスムーズなレース運びができない。このロスが大きく直線では底力で盛り返したものの、決着のついた3着に終わった。元々、体が堅いタイプなので、寒い時期になると本来の爆発力が影を潜めてしまうが、敗因はそれに尽きるだろう。
4着 エアウィード
終始3番手インをキープして直線も最内に進路を取る。昨年までならそこから鋭く伸びてくるのだが、今季の成績どおり4着確保がやっとだった。
5着 セイントセーリング
ジュリアが逃げ、2番手外を追走。スローに落とされたため何度も掛かる仕草を見せて鞍上を苦労させたが、4コーナーではジュリアに並びマズマズの粘りを見せる。これで今後のメドが立った模様。
<次走へのメモ>
12月2日 社台SS協賛・スニッツェル賞「第6回寒菊賞」(2歳オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 シェロ
大外からエイプリルボーイが逃げ、2番手リュウノフリーダム、外リザルトがハイラップを刻んで先頭集団を形成。シュロはそこから5馬身ほど後ろの4番手を追走し、エイプリルボーイが快調に飛ばしているのを見て3コーナーから早めスパート。直線は2頭のマッチレースとなったが、ラスト50mでエイプリルボーイを突き放して快勝。待望の特別タイトルを手に入れた。
「最近、ゲート出が悪そうだったので、スタートに気をつけた。今回、ブリンカーを外した影響か反応がひと息だったが、行き脚がついてからはいい伸びを見せてくれた。デビュー当時は馬っ気が強かったり、レースに集中しなかったり幼い面があったが、今回は成長確かなことを実感した。まだ伸びる馬なので今後も楽しみ」と小林騎手。
シュロは新馬戦4着に敗れたが、2戦目から2連勝。若駒賞、南部駒賞はいずれも4着だったが、小林騎手のコメントどおり荒削りの分、今後に期待を抱かせる内容を披露し、今回は人気に応えて快勝した。均整の取れた馬体、いい脚を長く使えるのが特長で年明けの金杯でも好走の予感。
2着 エイプリルボーイ
大外に入ったが、構わず果敢に先行。「ハイペースは分かっていたが、行きたがったので無理して抑えなかった」(阿部騎手)エイプリルボーイは2、3番手の馬が一杯になってもスピードは衰えず直線でも先頭。シュロが馬体を併せると再び内から伸びてきたが、最後は力尽きて2着。
「速いラップでも自分のペースで逃げれば渋太い」の阿部騎手コメントでもはっきり。エイプリルボーイはたとえハイペースでも強引に行った方が持ち味を生かせる。
デビュー戦・水沢850mを50秒9の今季一番時計で逃げ切り、2戦目・りんどう賞ではアイリッシュクインとの超人的ハイペースがたたって6着。そして前回は一転、控える競馬に徹して6着だったが、やはり現状は先行策がベストの印象。
3着 ゴールデンクリーク
シュロの直後につけたが、勝負どころで同馬に置かれてしまう。それでも直線で盛り返したが、2着からも0・5秒差3着確保が一杯だった。
4着 リザルト
旭川・エーデルワイス賞前後から調子を落として今回は2ヶ月ぶりの実戦。正直、本来の動きとは言えなかったが、ハイペースの3番手を追走して4着に粘れば上々。特別勝ち(若鮎賞)はダテではなかった。次走はもっと状態がアップするはず。
5着 フジプライド
前走・南部駒賞ではバトルアイの失速で前が詰まる不利があって7着。例によって前半は後方2番手に待機したが、3コーナーから早めにスパート。一瞬はいい感じで伸びてきたが、直線は案外の結果に終わった。小回り水沢では苦戦を強いられそう。
11月25日 第30回北上川大賞典(3歳以上オープン 水沢2500m)
(北上川大賞典ゴール 写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
1周目1コーナーまでサンシャインヘイロが逃げたが、ハルサンヒコが交わして先頭。そこまでは平均ペースで進んだが、向正面からガクンとペースダウン。テンショウボスは終始4、5番手の外目を馬なりで追走し、折り合いもまったく問題なかった。
ハルサンヒコが快調に飛ばし、小林騎手は相手をその1頭と判断し、3コーナーからスパート。直線は逃げるハルサンヒコ、それを捉えにかかったテンショウボス、大外サンシャインヘイロの叩き合いとなったが、中テンショウボスの勢いが一番良く順当勝ちを収めた。走破タイム2分44秒2は1979年、スリーパレードのレコードにわずかコンマ1秒だっただけに、それが残念だったと言えば残念だった。
「内枠だったし、最近は出遅れ気味が多かったのでスタートだけを気をつけた。位置取りも出たなり。他がいかなければ自分が行こうとも考えていたが、レースを引っ張る馬がいたので、道中は折り合い重視で乗った。レース前は距離が若干心配だったが、テンに行かなくなった分、最後でも脚を使うようになった。最後は余裕があったので着差以上に強いレースをしてくれた」と小林騎手。
「秋以降はずっと連闘できて腰に疲れが残っているので、一息入れたい。次走はファン投票・桐花賞へ直行する」と佐々木修一調教師。
2着 ハルサンヒコ
1周目2コーナー手前から先頭に立ち、ガクンと減速。マイペースの逃げに持ち込み、ラスト4コーナーでも手応え十分。そのまま押し切るかとも思ったが、最後はテンショウボスとの力差が出て半馬身差2着に敗れた。
「逃げは流れが遅かったら逃げてもいいと鈴木調教師に指示されたからだが、距離が長い方が良さそうだし、軽いコースも合うのでは」と阿部騎手。
地元重賞で実施したダービーグランプリを強いレースで勝ち、待望の重賞制覇を果たしたが、その後の古馬挑戦・パンジー賞4着、前哨戦・赤松杯は6着に沈み、古馬オープンではまだ力不足の印象だったが、今回は得意の重馬場、長丁場適性、そして阿部騎手の好プレーもあって持ち味を存分に生かした。
3着 サンシャインヘイロ
好スタートから積極的に逃げの手に出たが、ハルサンヒコが前に出たので3番手インに控える。2周目スタンド前では掛かり気味になったが、関本淳騎手が必死になだめ、3コーナーでテンショウボスがスパートをかけたのを見てエンジン全開。4コーナーでは内から外へ持ち出していい感じで伸びてきたが、あと一押しが足りず3着惜敗した。
「折り合いにちょっと苦労したが、よく走ってくれた。これでオープンでも通用のメドが立ったのでは」と関本淳騎手。
初の一線級相手が、いきなり重賞でしかも未知の2500mなど不利な条件がそろったが、それを見事に跳ね返して3着は価値がある。毎年、この時期に好実績を残している馬だが、それにしても今回の善戦は評価でき、選ばれれば桐花賞にも挑戦してみたいと晴山調教師。
7着 ボスアミーゴ
きんもくせい賞優勝と3歳の若さを買われて2番人気の支持。道中はいつもどおり後方でジックリ待機し、2周目テンショウボスが動いたのと同時にスパート。3コーナーではマズマズの伸びを見せたが、直線ではさすがに苦しくなって馬群に沈んでしまった。これはダート適性と距離の壁だろう。
11月18日 社台SS協賛・フジキセキ賞「第35回南部駒賞」(2歳・地方競馬全国交流 水沢1600m)
(南部駒賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 トーホウノゾミ
バトルアイが逃げ2番手にテンショウベスト、その外にジェベルロバーツ。トーホウノゾミは終始4番手インをキープし、道中の手応えも申し分なし。バトルアイが向正面で失速、替わってテンショウベストが先頭に立つと各馬がスパート。
ジェベルロバーツの手応えが怪しくなって3コーナーで一杯となったところ、トーホウノゾミは外に出そうとしたが、若干前が詰まったため内で再度我慢。4コーナーではテンショウベストの外に持ち出して内テンショウベスト、中トーホウノゾミ、外から強襲ライトオブマリアの叩き合いとなったが、クビ差制して快勝。待望のビッグタイトルを手に入れた。
「テン乗りだったが、非常に乗りやすい馬だったし、1枠も幸いした。道中は前の2頭(テンショウベスト、ジェベルロバーツ)を交わせれば勝てると思って乗ったが、直線でいい脚を使ってくれた。自分自身、久々の重賞制覇なのでとても嬉しい」と沢田騎手。
トーホウノゾミはトーホウエンペラーの2年目産駒。芝では振るわなかったが、ダートに替わって徐々に頭角。4走前の特別・りんどう賞で2着に入り高配当を演出し、続くプリンセスカップは3着に敗れたが、牝馬限定の前回・水沢1400m戦を快勝して今回に臨んだ。岩手が生んだG?ホース、トーホウエンペラーは産駒二世代目で初重賞制覇を誕生させた。
2着 ライトオブマリア
前半は無理をせず7番手を追走。向正面からジワジワとスパートをかけて先陣に接近。4コーナーで外に持ち出したときには勝てそうな勢いだったが、インから伸びられてしまっては仕方なし。
「いいスタートを切れた。1、2コーナーでごちゃついたが、馬はリラックスしていたので心配なかった。テン乗りだったので慎重にならざるを得なかったが、思い切って攻めていけば着順が換わったかも。乗った感触ではもっと距離が長くてもいいでは」と山口竜一騎手。
これまでの2歳戦線は総じてハイペース傾向が強かったが、今回は戦前から落ち着いた流れが予想され、追い込みタイプのライトオブマリアには向かない見方もあった。しかし山口騎手はそれを見込んで道中は離されずに3コーナー手前からスパート。さすがハイレベル北海道で揉まれてきただけあり、反応鋭く伸びてきた。エーデルワイス賞12番人気4着をどう評価するか難しかったが、今回の結果は地区レベルと見るべきだろう。
3着 テンショウベスト
前回は出遅れを喫したが、今回は好ダッシュを決めてバトルアイの2番手を追走。3コーナーでバトルアイが失速して早め先頭に立ち、あとはそのまま緩めずセーフティリードを取り脚色も衰えなかったが、ゴール寸前で内と外から交わされて3着。
「1ハロン勝負でこれまで負けていたので、早めスパートをかけた。結果、負けたけれど内容には納得」の村松騎手のコメントどおり、持ち味を出し切って3着なら仕方なし。
4着 シュロ
若干出負けして若干前が詰まったため6番手を追走。「向正面で外に出したらガーッと行ってしまった」(阿部騎手)が、最後まで気力は衰えず4着に入線した。「この馬はまだまだ強くなります」と阿部騎手。
11着 ジェベルロバーツ
圧倒的な1番人気に支持され、3番手外の理想的な展開に持ち込んだと思ったが、3コーナーで早くも手応えが怪しくなって失速11着。これまでのレースぶりからは考えられないような大敗。中間の調教も順調そのものだったが、初の水沢1600m(前2走は1600m、1700mだったが、芝が舞台)が響いたか、一息入れたローテーションが裏目に出たのか…。これまで連対パーフェクトと抜群の安定感を誇っていたが、その片りんすら窺えなかった。
<次走へのメモ>
11月12日 オッズパークグランプリ2007(3歳以上オープン・地方競馬全国交流 水沢1600m)
(オッズパークグランプリ・ゴール 写真/佐藤到)
1着 テンショウボス
ミツアキタービンが果敢に逃げ、前半3ハロンが36秒2。大幅レコード更新の予兆はこの時点ですでにできていた。テンショウボスは「最近はスタートがもう一つ」(小林騎手)だったこともあって後方4番手を進んだが、これで力を出せるタイプなのでジックリ待機策を採る。
向正面、最後方にいたダイワフォーチュンが一気にまくって2番手まで台頭し、先陣の隊列が崩れたが、テンショウボスはそれからワンテンポ遅らせてスパート。3コーナーでは4番手まで進出し、4コーナーで早々とミツアキタービンを射程圏に入れる。直線ラスト200mは内ミツアキタービン、外テンショウボスとの叩き合いとなり、内のミツアキタービンが渋太く粘ったが、ラスト50mでテンショウボスが徐々に突き放して快勝。従来のレコード(02年 トーヨーリンカーン1分39秒3)をコンマ8秒も短縮、1分38秒5の驚異レコードを樹立した。
「今回は連闘の疲れが残っていないかだけが心配だったが、返し馬の感触で行けるなと思った。夏場の頃は並んでも踏ん張りが利かなかったが、今回は最後までしっかり伸びてくれた。全体のペースが速いとは思っていたが、まさかレコードが出るとは思わなかった」と小林騎手。
次走は馬の状態を見ながらだが、問題がなければ当初の予定どおり北上川大賞典(11月25日 水沢2500m)へ向かいたいと佐々木修一調教師。
2着 ミツアキタービン
メンバーに逃げ馬が不在と陣営が判断し、果敢に先手を奪う。2番手エフテークリニック、外にニシノグレイシャ、内にサイレントエクセル。流れは先にも記したとおり、ダイワフォーチュンの早めまくりもあってペースは落ち着かず、12秒台のハイラップが刻まれる。その影響で3コーナーから東川騎手の手は動いていたが、ミツアキタービンもその期待に反応。4コーナーを回っても脚色は鈍ることはなかった。
直線は内ミツアキタービン、外テンショウボスとの激しい叩き合いとなり、一旦テンショウボスが抜け出したが、内からミツアキタービンが再び差し返して根性を発揮。しかしラスト50mではさすがに力が尽き、0・2秒差に敗れる。こちらも従来の水沢マイルレコードを0・6秒短縮、ハイレベルの戦いを証明した。
「予定どおりのレースができたが、調子が良かった時のようにスッとしていける脚がない。それで3コーナーから追いどおしとなったが、自分の競馬はできたのでこれで負けたのなら仕方がない。ここ3戦ともスタートで後手を踏んでいたが、今回はいいスタートを切れたし、レース内容にも納得。これで今後のメドも立った」と東川騎手。
3着 タイキリオン
終始、サイレントエクセルの直後につけて3コーナーからスパート。馬群の中で我慢させたのと芝並みの速い時計勝負になったのが功を奏し、2頭から4馬身離されたが、3着に大健闘。3連単86860円の高配当を演出した。
「2戦(盛岡芝2400m)は距離の壁だったが、今回は距離が合ったし、芝向きの馬が走るコースだったことも幸いした」と村松騎手。
4着 サイレントエクセル
1枠に入り、3番手インを追走。これは想定どおりだと思うが、向正面から手応えが怪しくなってジリジリ下がる一方。それでも直線で盛り返して4着に入ったが、勝った馬とは1・2秒差。
毎年のことだが、どうも寒い時期に入ると動きがひと息。当日の馬体重も地元競馬ながらマイナス9キロ。冬毛が出てきたことも敗因に挙げられるかもしれない。