第39回岩鷲賞(3歳以上オープン 盛岡ダート1200m)
(写真・佐藤到)
1着 ヤマニンエグザルト
道中は4番手インを追走し、3〜4コーナーでは外にウツミジョーダンがいたため一瞬、窮屈なシーンもありながら直線で馬群がばらけた間を割って抜け出す。不意を突かれた格好で最内からダンディキングが伸びてヒヤッとするところもあったが、かえってそれはヤマニンエグザルトには好都合。1頭で先頭に立つとソラを使うタイプなので再び闘志に火がついて競り合いを制した。
前走・早池峰賞はテンショウボスに完敗を喫したが、目の上のたんこぶ的存在が不在の今回、堂々人気に応えて快勝。今後はクラスターカップ(8月15日)を目指して調整を進めていくことになる。
「前回(早池峰賞)、短距離を使ってペースに慣れたのでいい感じの手応えでしたね。直線で内をつくか外に出すかちょっと迷いましたが、ウツミジョーダンが入れさせてくれなかったので馬群が開くのを待つ形になりました。今回、改めて短距離が向いていると思いました」(板垣騎手)
2着 ダンディキング
前走・早池峰賞と同様、後方3番手からの競馬。1600mでは逃げの手に出るが、それほどダッシュ力があるタイプではないし、「馬を怖がるから」(草地騎手)から仕方なしの戦法。
しかし前走と違ったのは直線でラチすれすれを突いて鋭く伸びたこと。「競馬を使いながら覚えてきた。ちょうど前が開いたので、あえてそこを狙った」(草地騎手)のが功を奏し、このメンバーで2着に健闘した。
3着 ケイアイダンシング
ジョリーズジョーが逃げ、その直後2番手につける。前半3ハロンが34秒9と当然だが、ハイペースの流れについて行って直線半ばで先頭。そこから渋太く粘ったが、最後のひと踏ん張りが足りなかった。それでも見せ場を十分に作り、短距離向きを証明した。
「一瞬、勝ったと思ったが、先頭に立ったらソラを使ってしまった。もう少し我慢する競馬だったら違った競馬になったかも」と丸野騎手。
4着 タイキシェンロン
早池峰賞は3番手を追走したが、今回は中団外めからの競馬を強いられ、直線大外から鋭く伸びてきたが、時すでに遅し。勝負付けが済んでからとなったが、ひとまず電光掲示板に入り、適性ぶりは垣間見せた。
6/23 第33回ジューンカップ
1着:ツジジオット
楽にハナを奪えたわけではなかったが、先頭に立ってしまえばあとはマイペース。後続も追って追って追走してくるわりには競りかける形にならず、終始楽な競馬ができていた。2着馬の猛追にはひやりとさせられたものの、結果的には直線入り口で作っておいたリードが生きた。
ツジジオットにとってはこれが盛岡初勝利。鞍上の関本浩司騎手は「いままでも左回りが合わない感じではなかった。相手関係が強かったのと、馬がビジョンとかを気にして集中していなかったのかも」とコメントしたが、考えてみれば盛岡マイルでの持ち時計はこの馬が1番。
2着:ヤマトスピリット
スタートしてしばらくもたつくのはいつもの事。先行争いが激しくなりそうに見え、後方からのレースという判断は間違っていなかったはず。強い前残り傾向のコース状態がこの馬にとって不運となったか。
3着:ゲンパチコジーン
前走1000m戦を使ったおかげか格段に良化。直線はほとんど最後方から、2着馬をも上回る豪快な伸びを見せたが、あと一歩及ばず。
5着:リマンドリーダー
ここまで3着を外した事がない盛岡マイル戦だったが、今回は5着に終わる。とはいえ上位馬は元A級の格上、その力関係が出たのと、この馬も少しイレ込み気味だったのが影響したかも。
6/24 第12回はまなす賞
1着:サイレントステージ 「前走の結果から、使える脚はこちらが上だろうと思っていた。芝ならどこからでも動ける馬だし、安心してレースができました」と板垣騎手。ジャンプ気味のスタートで一瞬包まれかかるが、馬群の中から楽に抜けだして好位を確保。この辺りの動きからすでに力の差を感じさせる。
道中も鞍上の言葉通り、相手の動きに合わせていつでも行ける、という余裕のポジション。着差が少なかったのは「最後になって刺さりかけたので立て直していた」という事。オパールカップが目標になるようだが、そこでは対ボスアミーゴが焦点になりそう。
2着:カネショウエリート
最内枠からのけれんのない逃げ。競られても譲らぬ潔いまでのレースぶりで最後まで闘志を失わなかったが、ここは勝ち馬が一枚上手だった。
3着:シュクジャンヌ
叩き3走目となって型どおり良化。カネショウエリートを追いかけ回しても余力は十分、直線はいったん先頭に立ったのだが・・・。そこからの追い比べで負けるという事は、芝適性の点で上位2頭と差があるのか。
5着:ペニーロイヤル
レースがとにかくやんちゃ。これでは直線一杯一杯なのも仕方ない。ただ、前走よりは落ち着きが出てきており、その点はプラスに評価できる。次走に期待。
6/25第8回緑風賞
1着:トウショウグローズ
粘るウエスタンフォルスを最後の最後できっちり捉えたレースは見事だったが、鞍上・菅原勲騎手にいわせると「狙ったわけではなくてあれで目一杯、ギリギリだったよ」。
「1800mや1400mに比べるとマイルはペースが合わない。今日もコーナーで置かれかかって、その後が辛くなった」との事。とはいえこれで今季6戦3勝2着3回の完全連対をキープ。
2着:ウエスタンフォルス
「距離はね、折り合いがつけば大丈夫。ペースも悪くなかったと思うんだけど。盛岡は直線が長いね!」と沢田盛夫利騎手。前に行った馬がいたのを幸い、番手につけて流れに乗る絶好の位置。直線では楽に差を拡げてセイフティリードに思えたが・・・。
3着:コスモシュクレ
後方からずっと追い通し、最後まで追って追ってかろうじて3着に。力があるのは間違いないが、この距離は短く、ちょっと忙しいようだ。
4着:テンポウキング
勝ち馬と同じような位置取りでレースを進めたが、直線の追い比べで及ばず4着に。マイルがダメではないが、1400mの方がもっと強気に動ける印象。
6月17日(日) 第35回一條記念 みちのく大賞典(盛岡ダート2000m 3歳以上オープン 地方競馬全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
逃げ馬が不在のためコアレスハンターが逃げ、前半3ハロンが36秒9。これは思った以上に速かったが、テンショウボスは不利のない絶好の4番手外をキープする。先陣の隊列は変わらず淀みないペースで進み、3コーナーから各馬がスパート。エアウィード、サイレントエクセルの手は動いていたが、テンショウボスは馬なりでコアレスハンターに並びかけ、ラスト100mで交わしてそのまま押し切る。
「スタートが抜群でしたし、サイレントエクセルが目の前にいたのでレース運びが楽でしたね。枠順が大外だったのも幸いしました。1200m(早池峰賞)で強い勝ち方をした直後だったので、2000mの距離が心配でした。実際、最後は一杯になってしまいましたが、何とか頑張ってくれました」と小林騎手。
レース展望にも書いたが、不安だったのは小林騎手のコメントどおり1200mからいきなりの2000m。 これは今回、勝ったあとでも本質的にはマイラー、もしくはスプリンターだと思っているが、テンショウボスの最大のいい点は折り合い面でまったく苦労しないこと。その素直な性格であるがゆえ、2000mの距離をこなしたと見ている。
今後については白紙。短距離路線を歩むか、中〜長距離路線を使っていくのかはジックリ考えたいと佐々木修一調教師。
2着 エアウィード
前回・あすなろ賞は5ヵ月半ぶりの実戦だったためさすがに動きが重く8着に敗れた。今回はひと叩きされた上積みはあっただろうが、馬体の張りは決して良いとは思えなかった。しかし阿部騎手が2番手につけたのが最大の好走要因。道中、ずっとコアレスハンターの直後につけ、直線でも渋太く粘って2着を確保した。
3着 サイレントエクセル
3番手外につけ、いつでも交わせる態勢かと思ったが、3コーナー過ぎから手応えが怪しくなり、板垣騎手がなんとか遅れを取らないように必死にしごく。外からゴール前でコアレスハンターを捕らえたものの、エアウィードを交わすまでの勢いはなかった。
装鞍所でカリカリしたところを見せ、テンションが明らかに高すぎたし、パドックでも発汗が激しかった。言い訳に聞こえるかもしれないが、通常のサイレントエクセルなら4コーナーまで持ったまま。3コーナーで手を動くのは距離云々より、自身の体調が本物でなかったことを裏付けているのではないか。
4着 コアレスハンター
逃げ馬が不在だっただけではなく、入厩後から入れ込みが激しく大幅に体重が減り、なんとマイナス24キロ。これがあるから競馬は難しい。それでも好枠に入ったこともあって逃げの手に出て道中も絶妙のペースで逃げ、直線でも驚異の粘りを見せたが、ラスト100mで一杯。
馬体重が通常どおりだったら、おそらく勝っていたかもと思わせるほどの渋太さ。改めて怖ろしいまでの底力を垣間見た一戦だった。
6月9日 第8回ガーベラ賞(3歳オープン 盛岡芝1600m)
(写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
スタートから2コーナー過ぎまで後方4番手を追走し、向正面から徐々に前に進出し、4コーナー手前では早くも先陣を射程圏に入れる。直線を向いてからは能力の違いは明白で、楽に抜け出しを決めて2着に2馬身半差。それでも単騎先頭に立つととぼけるクセを知っている菅原勲騎手は、気を緩めず最後まで追った。
次走は地元重賞・オパールカップ(7月22日)、福島1000万下、ラジオNIKKEI賞と選択肢が多くあるため、これからじっくり考えたいと鈴木七郎調教師。
6月10日 第27回岩手ダービー ダイヤモンドカップ(3歳オープン 盛岡ダート2000m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
セイントセーリングの機先を制してオーナーズスキャンが逃げ、無理をせず2番手に控える。1コーナー過ぎからペースがガクンと落ち、3ハロンほど14秒台のスローペースとなったが、まったく掛かるそぶりを見せずうまく折り合いがつく。
ラスト800mから12秒台へペースが上がり、3〜4コーナー中ほどで先頭。「スタートゲートが気になったようで4コーナーで物見。それでモタモタしたが、直線に入ったらまた真面目に走ってくれた」と菅原勲騎手。
その4コーナーではマツリダワルツが馬なりで並びかけられ、交わされそうな場面もあったかに見えたが、「並ばれたらまた伸びてくれた。だから交わさせるとは思わなかった」(菅原勲騎手)そうで着差はクビだったが、内容的には完勝と言っていいだろう。
「逃げようかとも思ったが、スタートがあまり良くなかった。それでも逃げなければダメという馬でもないので、2番手でもいいかな、と。2000mはちょっと長い気がするが、折り合いがつくから何とか持ってくれた。この馬の良さは素直さと並んでからの勝負根性ですね」と菅原勲騎手。
気になる今後だが、ジャパンダートダービーも視界には入れているが、最終目標は地元のJpn?・ダービーグランプリ。鈴木七郎調教師はそれをにらんだローテーションを組みたいそうで、途中で古馬に挑戦して流れを経験させたいという。
2着 マツリダワルツ
スローの流れだったため、いつもより前の6番手を追走し、3コーナー手前から徐々に進出。4コーナーでは馬なりでセイントセーリングに並びかけるほど手応えが良く、2頭のマッチレースに持ち込み、直線入り口で一旦、先頭に立つ瞬間もあったが、最後の叩き合いでクビ差敗れる。
「スムーズに競馬を運べたし、直線では交わす勢いもあったが、馬体を併せられたのが痛かった。体を離していたら、もっと差を詰めていたかも」と南郷騎手。
牝馬路線でパラダイスフラワー相手に2連勝。今回は久々の牡馬相手だったが、惜しい2着。輸送のない地元競馬もあって馬体重が405キロまで増えたのも好走要因だろうが、自身の成長も目覚しい。今後も楽しみ。
3着 ハルサンヒコ
例によって終始インで脚をためて直線も最内を突いて伸びる。2着から1馬身差をつけられたが、ここで3着にまとめたら上々。
「手応えに余裕があって内から交わせるかなと思ったが、脚色がいっしょになってしまった」と阿部騎手。
4着 モエレターボ
1周目スタンド前は最後方を進み、向正面でスローに落とされると掛かり気味になる。3コーナー手前からスパートをかけて先陣に取り付けようとし、実際に伸びてきたが、直線ではいつもの豪快な末脚を見せることができなかった。これは初のオープン挑戦だったことが大きく、セイントセーリングから0・4秒差なら今後のメドが立った。
「スローだったので、どこで仕掛けていいか分からなかった。まだ格下だし、今日はこんな感じでしょう」と佐々木忍騎手。
6月2日 第1回あじさい賞(オープン 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 タイキリオン
「前回(シアンモア記念)、前に行ったら末をなくしたので最初から後方からの競馬を考えていたが、スタートで出遅れてよけい後ろになってしまった」(村松騎手)。それもあって後方3番手の位置取りから直線勝負に賭ける。直線でナイキアヘッドが先頭に立ったところ、その内から鋭く伸びてアッサリ突き抜ける。
「どれぐらい脚を使ってくれるか半信半疑だったが、仕掛けたらいい反応をしてくれた。阿部君の馬(ナイキアヘッド)を交わしたけど、後ろの馬が気になりましたが、来ませんでしたから余裕がありましたね」と村松騎手。そのコメントどおり待機策に徹したのがズバリはまり、直線一気に抜け出しを決め、G?・ニュージーランドトロフィー優勝の底力を見せつけた。
タイキリオンは今年3月、障害オープンから転入したが、初戦は9ヵ月半ぶりと久々の実戦が影響して7着。しかし一度叩かれて気配が一変し、2戦目を快勝。シアンモア記念は先にも記したとおり好位を追走したが、末をなくして9着に敗れていた。
今後は芝を中心にローテーションを組んでいくそうだが、今回のような脚を使えるならこれからも芝では主役を演じていくに違いない。
2着 ナイキアヘッド
オウシュウクラウンが逃げ、ローランボスコの直後外につける。3コーナーでオウシュウクラウンの手応えが怪しくなり、4コーナーでは馬なりで先頭。最後は決め手の差で負けたが、中央6勝すべてが芝という適性ぶりを発揮する。
「芝はやはり適性がありますね。1700mは気持ち長いかも知れませんが、小回りですから乗り方次第で克服できると思います」と阿部騎手。
3着 マルタカキラリー
昨年転入し、6戦とも凡走し、今回は4ヵ月半ぶりの出走。いかに中央芝で4勝をマークしていたとは言え、これでは狙いが立たなかったが、インからジワジワ伸びて3着。今回の好走要因は判断付きかねるが、有力馬がもたつくところ無欲に乗ったら頑張ったということか。次走で真価が問われるだろう。
8着 ニューベリー
シアンモア記念で逃げ切りを決め、中央オープンで3勝の実績から断然の1番人気に支持され、芝でどんな戦法に出るか興味深かったが、出たなりで7番手を追走。道中の手応えは悪くなかったが、追い出してからの反応がひと息で直線でもモタモタして8着に敗れる。
栗駒賞でもそうだったが、控える競馬だとピリッとした感じがない印象。中央時も難しいところがあったと聞いているが、今回はその悪い面が出たか。次走でどんな競馬をするのか、注目してみたい。
11着 オウシュウクラウン
あすなろ賞と同様、逃げの積極策。しかし道中は余裕がなく、3コーナーで早くも手が動き、直線でも粘りなく失速しんがり負けを喫した。前回に復活の兆しが窺えたと思ったが、依然スランプから脱していないようだ。
6月3日 第33回早池峰賞(オープン 盛岡ダート1200m)
(写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
前半3ハロン、35秒を切るハイペースとなったが、楽に2番手を追走。直線で追い出してからも反応がすばらしく、もたつく後続を尻目にアッサリ3馬身も突き放す。前回、あすなろ賞1900mから一気に距離が短縮されて1200m。ペースに戸惑うことを心配したが、むしろ1200mが適性ありそうな手応え。走破タイム1分12秒1は馬場を考慮しても非常に優秀。
また村上忍騎手も「まだ余力があった。本気で追っていたら楽に12秒を切ったと思う」と語ったように、スプリント適性が高そう。
次走は盛岡2000mを舞台に行われる重賞・みちのく大賞典(6月17日)だが、ここにはあすなろ賞を快勝サイレントエクセルも進む予定で、テンショウボスが中〜長距離もこなしていくのか、ちょっと興味深い。
2着 ヤマニンエグザルト
終始5、6番手を追走し、直線は最内にコースを選び、混戦の2着争いから抜け出す。今回、テンショウボスには水を開けられてしまったが、2着確保でスプリント適性を証明した。今後も短距離では目が離せない存在となりそう。
3着 カシマハヤト
スタートダッシュがきかず7番手を追走。直線で馬群を割って3着に食い込み、往時をほうふつさせるシャープな切れを披露した。「調子も良かったが、短距離なら勝ち負けに持ち込めそうですね」と村松騎手。
4着 マツリダブロッコ
後方2番手を進み、3コーナーから徐々にスパート。直線は外に持ち出して伸びてきたが、瞬発力勝負に負けた。自分はスプリント適性があるだろうと踏んだが、前半で置かれるのが痛い。自身の最高タイムは0・7秒更新したが、この速い時計での決着になると苦しいか。
5着 タイキシェンロン
3番手外をキープし、一瞬2着を確保かと思ったが、最後の競り合いで遅れを取って5着。しかし今回は馬体重が529キロまで回復して見せ場もマズマズ。9歳馬だが、短距離戦なら計算ができそう。