6月27日に通算100勝を達成した佐賀の飛田愛斗騎手が、地方競馬におけるデビューから最速での100勝達成の記録を更新。従来の記録は、吉原寛人騎手(金沢)が2002年1月6日に達成した275日で、飛田騎手はこれを7日短縮する268日での達成となった(以下、いずれも地方競馬のみの記録。6月28日現在)。
昨年10月3日にデビューした飛田騎手だが、初勝利を挙げたのは、佐賀競馬の開催日にしてデビューから6日目、35戦目のこと。その後の快進撃を思えば、初勝利まで意外にかかっていた。
しかし年明けからは、佐賀では不動のリーディング山口勲騎手を脅かすほどのペースで勝ち星を重ねて注目となった。ただ51勝を超え減量が1kgになって以降はやや差をつけらるようになって、6月28日現在の2021年佐賀リーディングでは、山口騎手101勝に対して、飛田騎手は78勝。とはいえ3位の倉富隆一郎騎手が58勝だから、3位以下にはまだまだ差をつけている。今年の勝率16.2%、連対率25.8%という数字もすばらしい。
101勝目を挙げると、その次の開催から減量がなくなり、山口騎手をはじめ他の騎手たちと差のない条件で争うことになる。そのときに同じようなペースで勝ち星を上げ続けられるかどうか、あらためて注目となる。
ちなみに、100勝達成時の騎乗数では飛田騎手の697戦目に対して、吉原騎手は591戦目。さらにデビューから358日での100勝達成だった御神本訓史騎手(大井、当時益田)が550戦目と、飛田騎手より少ない騎乗数で100勝に到達していた。
飛田騎手は重賞もすでに3勝。重賞初制覇となったのは、中央所属のイロエンピツに騎乗したたんぽぽ賞で、1番人気にこたえ2着に大差をつける圧勝だった。その後、ドラゴンゲートで2月28日のウインターチャンピオン、6月6日の佐賀がばいダッシュを制した。
ドラゴンゲートは2019年7月に大井から、のちに飛田騎手が所属することになる三小田幸人厩舎に移籍して11連勝の快進撃。昨年7月の吉野ヶ里記念では3着と佐賀で初の敗戦を喫したが、その後3カ月の休み明けとなった10月31日の準重賞・五ヶ瀬川賞に、デビュー間もない飛田騎手が騎乗して勝利を収めた。11月の佐賀オータムスプリントでは田中純騎手に戻ったが、年明けからは再び飛田騎手が騎乗し、前述の重賞2勝を含め飛田騎手では6戦5勝、2着1回という成績を残している。
また三小田厩舎には今年になって中央オープンからノーフィアーが移籍。ここまで4戦すべて飛田騎手の手綱で4連勝となっている。
所属厩舎にこうしたチャンピオン級の馬がいることも、飛田騎手には幸運だった。とはいえ、そうした有力馬に騎乗させてもらい、それでしっかり結果を出していることこそが飛田騎手の実力なのだろう。
飛田騎手だけでなく、近年は地方・中央ともに、デビュー間もない若手騎手の活躍が目覚ましい。
今年4月には兵庫から3名の新人騎手がデビューしたが、4月14〜16日のデビュー週に3名とも初勝利を挙げた。中でも大山龍太郎騎手は6月17日まで10週連続勝利という記録をつくり、約2カ月で20勝。ただ残念なことに「騎乗法に適切を欠き、競馬の公正を害した」ことで、8月4日まで開催20日間の騎乗停止となってしまった。
そしてすぐにその20勝に並んだのが、同じ兵庫の佐々木世麗騎手。6月16日、25日にはそれぞれ1日3勝。6月だけで10勝と、ここに来て一気に勝ち星を伸ばしている。
また、ばんえい競馬では、12月12日にデビューした金田利貴騎手がここまで56勝。平地以上に新人・若手の活躍が難しいばんえい競馬においては、異例ともいえる活躍。勝率12.0%、連対率25.0%も優秀だ。
地方競馬の年度表彰、NARグランプリでは、デビュー2年以内の騎手から優秀新人騎手賞が毎年1人だけ選ばれている。優秀女性騎手賞は2人ないし3人選ばれた年もあったように、優秀新人騎手賞も"最優秀"とはしていないので、複数名が選ばれることがあってもいいのではないか。そう思えるほど、近年は新人騎手の活躍が目立っている。