9頭立てだが、実績馬に新興勢力に遠征馬と、興味深い対戦となった。
ここは北日本新聞杯に続いて地元2冠のかかるアルドラから。北日本新聞杯を勝って以降、勝ち星がないとはいえ、A4特別で僅差の2着は、この時期の3歳馬にしては価値がある。東海ダービー(5着)、ジャパンダートダービーJpnI(8着)など、他地区の一線級と戦ってきた経験は大きい。
まだ底を見せていないのがケイアイプリンス。JRAでは未勝利を5戦したがいずれも2秒以上の差をつけられての大敗で、しかし金沢に転入後は4連勝。前走の3歳A1特別は、やはり中央未勝利から転入してこの世代の上位を争っているナムラプラトーンをゴール前で半馬身とらえての勝利。
生え抜きか、転入馬か。この世代の雌雄を決する一戦といえそうだ。
東海地区からの遠征馬では、牝馬重賞2勝のスズカウインダー。強いレースをするときもあれば、期待されながらの大敗もある。たとえば園田への遠征でも1月の園田クイーンセレクションは快勝だが、5月ののじぎく賞は最下位に大敗と、いまひとつつかみどころのないタイプ。前走クイーンカップは陣営としてはかなり自信を持って臨んだ一戦だったようなので、ここまでその調子を持続しているかどうか。古馬とのA3B1特別やA4の一般戦も勝っているだけに実力では世代トップクラス。ただし今回は牡馬との対戦でもあり、中心としては狙いにくい。
ナムラプラトーンは、2番人気に支持された北日本新聞杯で8着と大敗し、前走の3歳A1特別は直線先頭に立ちながら、ゴール前でケイアイプリンスに交わされた。現状では◎◯の一角を崩せるかどうか。ただ◎◯がともにうしろからというタイプだけに、その2頭が牽制しあうような展開になれば、この馬が早め先頭から粘りこむというパターンも考えられなくもない。
不気味なのがリズムディヴァイン。これも中央未勝利からの転入で、前走はまだ3歳A3だが早め先頭から大差の圧勝。1400メートル戦だったがタイム的にもまずまずで、一発の可能性は捨て切れない。
◎アルドラ
◯ケイアイプリンス
▲スズカウインダー
△ナムラプラトーン
△リズムディヴァイン
高知の松木啓助厩舎がこのレース3連覇中で、しかも毎年馬は違うという高知勢が強力。今年は田中守厩舎のコスモワッチミーが遠征してきた。転入6戦目の重賞初挑戦が福永洋一記念の勝利で、その次のレースで惨敗はあったものの、その後4連勝で今度はトレノ賞を制した。オープンクラスの実力比較ではやはり高知のほうが上で、地元福山勢に重賞線戦で活躍中という馬がいない近況では、高知勢の4連覇が濃厚だ。
地元勢では、重賞初挑戦のグラスブラストが最上位だろうか。中央1000万から転入して2連勝のあと、前走は9着惨敗。スタートからずっと追い通しで、先の2戦とは明らかにレースぶりが違っていた。前々走の走りが戻れば、コスモワッチミーを迎え撃つ筆頭格。
安定感ではサマースピード。重賞初挑戦となった福山桜花賞を制し、その後は3戦連続2着。福山では7戦して連対を外していない。前走もきっちり自分の走りをしているだけに、グラスブラストとも互角の勝負。
シルクブレストは、昨年の金杯で勝ったマルハチゲティにコンマ2秒差の3着。近走惨敗が続いたが、前走のA2特別逃げ切り圧勝で調子を取り戻したかどうか。
◎コスモワッチミー
◯グラスブラスト
▲サマースピード
△シルクブレスト
昨年はこの時期に佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIに遠征(4着)したエーシンクールディだが、さすがに負担が大きかったようで、今年は無難に地元重賞を狙ってきた。南関東以外の地方馬では、数少ないダートグレードでも互角に戦えるレベルの馬、条件設定は別定となっているようだが事実上の定量戦で、このメンバーなら普通に走れば負ける要素は見当たらない。前走兵庫サマークイーン賞はスタートでトモを滑らせて出遅れ厳しいレースになったが、おそらくこのあとも昨年と同じようなローテーションでグランダム・ジャパンのタイトルを狙うのだろう。
相手はミヤジメーテル。2番人気と期待されて臨んだ兵庫サマークイーン賞は10着と惨敗。とはいえ名港盃の内容は圧巻だっただけに、巻き返しに期待したい。ただ転入初戦に笠松で惨敗していたのが気になるところ。
バンダムミュートスは、前走のサマーカップこそ8着だったが、笠松のマイル戦では10戦して8勝という成績。4走前の東海クラウンでもエーシンクールディの2着があり、ここでも当然上位争い。
重賞入着級のマルヨシロワイン、重賞初出走もA2・A3で常に勝ち負けのエスデイブレイク、やや衰えが見えてきたが重賞上位の常連だったエーシンアクセランあたりが連下争い。
◎エーシンクールディ
◯ミヤジメーテル
▲バンダムミュートス
△マルヨシロワイン
△エスデイブレイク
△エーシンアクセラン
フェブラリーステークスGIで久々に強いレースを見せたテスタマッタか、このレース連覇を狙うシビルウォーかという対戦だが、ここまでダートのオープン以上で直接対決が6度あり、いずれもテスタマッタが先着。特にテスタマッタは、昨年の東京大賞典GIから久々に岩田康誠騎手が手綱をとるようになって、すべて3着以内という安定した成績。対戦成績からも、実績からも、テスタマッタが上位だ。
シビルウォーに逆転の余地がないわけではない。夏に活躍しているように、暖かくなってきて調子を上げ、前走マーキュリーカップJpnIIIのレースぶりからは、さらに力をつけたように見える。グレード別定の今回はテスタマッタより1キロ軽くなるのもプラス。
ピイラニハイウェイは、昨年はかなり離されての4着だったが、今年になって佐賀記念JpnIIIで重賞初制覇を果たし、ダイオライト記念JpnIIでは一線級相手にハイペースを控えて接戦の2着に持ち込んだ。ここ一番での勝負強さがある。
JRA勢で唯一重賞タイトルがないのがメイショウタメトモだが、昨年は川崎記念JpnI2着にこのレースでも2着。有力2頭が中団で牽制し合えば、この馬の粘りこみという可能性も。
ダイシンオレンジは近走のレースぶりがいまひとつ。調子次第で連下があるかどうか。
◎テスタマッタ
◯シビルウォー
▲ピイラニハイウェイ
△メイショウタメトモ
△ダイシンオレンジ
昨年までとJRA認定競走のシステムが変わり、新馬戦や未勝利戦ではなく、2歳オープンクラスのレースがJRA認定競走として指定されることになった。
ここはやはり芝で2連勝のハカタドンタクだろう。前走は8頭立て7番手という位置取りから、直線を向いてムチを入れられると、外から前の馬たちを並ぶ間もなく交わし去った。2歳のこの時期で上がり3ハロン35秒1は速い。ここまでの2戦ともに芝1000メートルで、今回は1600メートルに距離が伸びるが、父フレンチデピュティ、母父ダンスインザダークという血統から、また直線で前をまとめて交わしたというレースぶりからも、むしろ距離が伸びて力を発揮するだろう。
ダートで2連勝がマイケイボス。前走盛岡ダート1200メートルは、後続を引きつけての逃げから、直線追い出されるとあっという間に突き放した。素質馬であることは間違いなく、あとは初めての芝がどうか。レースぶりから距離延長は心配なさそう。
マンセイグレネードは芝で1戦して2着のみという成績だが、ダッシュよく飛び出して逃げると、直線ではオールマイウェイにとらえられて6馬身離されたものの、上がり36秒台をマークしているのでそれほどばてているわけではない。タイム的にも盛岡芝1000メートルで1分を切っているのはハカタドンタクとこの馬だけ。2戦目の上積みがあれば好勝負だが、距離適性としては父サクラバクシンオー、母父リアルシャダイのどちらに出るのかが気になるところ。
ドクトルバロンは、前走でハカタドンタクに2馬身半差2着と食い下がった。ダートは3戦していずれも1秒以上の差をつけられての敗戦だが、デビュー戦以来となった芝で好走を見せただけに、ここでも上位争いに加わりそう。
芝のデビュー戦をまずまずのタイムで2着に入ったラブミーマックスにも可能性はありそう。
◎ハカタドンタク
◯マルケイボス
▲マンセイグレネード
△ドクトルバロン
△ラブミーマックス