小牧、赤木、岩田と、兵庫から中央に移籍して活躍しているジョッキー3名が、兵庫限定の重賞に顔を揃えた。これだけでも見どころたっぷりだ。
この秋に急激に力をつけたキヨミラクルに期待したい。前々走コウノトリ賞では、兵庫ダービー馬カラテチョップを6馬身ちぎっての圧勝。前走楠賞は、3頭の接戦でチャンストウライにハナ差屈しての2着。ダートグレード実績のあるチャンストウライと互角の勝負なら、キヨミラクルにチャンス到来だ。
相手には、昨年秋から東海地区の重賞を勝ちまくっているベストタイザン。こちらも5月の兵庫大賞典でチャンストウライの2馬身差2着に好走。アルドラゴンには先着している。実力、実績的にはキヨミラクルよりこちらのほうが上だが、半年の休み明けとなるだけに対抗に落とした。ここに向けて仕上げてきていれば、圧勝があってもおかしくはない。
2年前だが中央でダートオープン勝ちがあるハスフェルも好勝負が期待できそう。兵庫に転入して今回が4戦目。前走兵庫A1特別での初勝利は、オープン善戦組のツルマルメジャーや、カラテチョップを相手に完勝だった。
正月の新春賞以降勝ち星がないバンバンバンクだが、前々走A1特別は3着、そして前走楠賞は積極的な競馬で、チャンストウライ、キヨミラクルとタイム差なしの3着。復調したと見てよさそうだ。
人気になりそうなコスモトノはどうだろう。前走は中央の500万クラスが相手で2着。たとえばチャンストウライと好勝負しているキヨミラクルやベストタイザンなら、500万クラスが相手なら楽に勝てると思うのだが。姫山菊花賞での2着という成績もあるが、圧勝のマルヨフェニックスから5馬身差の2着。抜けた馬がいるレースでの2着以下の着順は、必ずしも実力どおりでないことが多い。コスモトノは押さえまで。
◎キヨミラクル
○ベストタイザン
▲ハスフェル
△バンバンバンク
△コスモトノ
賞金別定で、プラス20キロが課されるカネサブラックの取捨がポイントとなりそう。ほかに増量となっているのは、フクイズミとナリタボブサップがそれぞれプラス10キロ。
とにかくカネサブラックの重賞での安定感は抜群で、07年の岩見沢記念以降は重賞に16回出走して連対を外したのはたった3回。堅い連軸といえそうだ。ただし、ハンデ差が大きいチャンピオンカップを別とすれば、重賞で別定がプラス20キロとなるのは今回が初めてのこと。これまでのように楽な競馬にはならないように思う。
で、今回はナリタボブサップの出番。今シーズンは重賞に4回出走してまだ勝ち星はないものの、2着2回、3着2回。重賞以外のレースを含めても、今シーズン3着を外したのはたった一度だけときわめて安定した成績。岩見沢記念ではカネサブラックにひと腰で行かれてしまい、そのまま逃げ切られてしまったが、その後の前々走、前走はやや格下相手とはいえ、ともに第2障害先頭から押し切った。以前のような末の甘さもあまり気にならず、好調でここに臨む。
相手にはフクイズミ。今シーズンは最初の2戦こそ今ひとつのレースぶりだったが、旭川記念以降は7戦4勝ですべて4着以内という安定ぶり。しかも、馬場水分5%未満では4戦全勝で、5%以上では勝ち星なしというあまりにもわかりやすい成績。前日土曜日の馬場水分量は、第9レースで4.7%まで下がり、ピンポイント予報を見るとレース当日は晴れ。さらに乾いた馬場になりそうで、フクイズミにとっても舞台が整ったと見てよさそうだ。
カネサブラックにしても今シーズン連対を外したのは旭川記念の4着のみという安定した成績。ナリタボブサップとは、岩見沢記念と同じ10キロ差だけに、崩れることはないだろう。
昨年の覇者スーパークリントン、ばんえい記念3連覇のトモエパワーは、なかなか勝ち星には恵まれないが、このくらいの高重量戦になれば勝負に加わってくる可能性も高い。
◎ナリタボブサップ
○フクイズミ
▲カネサブラック
△スーパークリントン
△トモエパワー
デビューから連続連対を続けるハヤテカムイオーとマンリョウの勝負と見る。
デビュー2戦目の兼六園ジュニアカップが初勝利で、距離が1500メートルに延びたここ2戦を連勝しているハヤテカムイオーを中心にする。全馬1700メートルには初出走となるだけに、距離延長はこの馬にはプラスになりそう。
対するマンリョウは、デビューから2連勝も、その後1500メートルに距離が延びた2戦はともに2着。とはいえ前々走は逃げてハヤテカムイオーのハナ差2着に粘っているだけに差はない。
一発があればファインスター。ここ2戦の1500メートル戦を好タイムで連勝。特に前走は、3コーナーで早め先頭に立つと、直線では単独で抜け出しマンリョウに2馬身差をつける完勝だった。平均ペースで好位につけられれば今回もチャンスはありそう。
クラピカンハマーは、遠征した園田プリンセスカップで2着と好走。続く地元の2歳戦ではマンリョウに2馬身差の2着。中団よりうしろからマクってくるタイプだけに、展開次第では上位争いに。
スパイシーターボは、1番人気に推された兼六園ジュニアカップは4着に敗れたものの、前走は4馬身差で認定未勝利勝ちとなった。デビューから3戦は期間限定騎乗で金沢に来ていた江川伸幸騎手が手綱をとっていたが、今回はこの馬のために再び江川騎手がピンポイントで騎乗すというのも楽しみなところ。
ただ、ここ2年は4番人気以内が1頭も馬券にからんでいないというのはちょっと気になるデータ。
◎ハヤテカムイオー
○マンリョウ
▲ファインスター
△クラピカンハマー
△スパイシーターボ
10月のスプリントでの1~3着、ハードインパルス、マサアンビション、エイシンハンコックによる再度の争いと見る。
そのスプリントでは1番人気ながら最後の一押しが足りずに半馬身差の2着に敗れたマサアンビションに再度期待する。前走はJBCスプリントJpnIに挑戦。好走とまでは言えないものの、勝ったスーニから2秒1差の7着はまずまずの成績。6月のサマーカップでは、1400メートルでは圧倒的に強い兵庫のベストタイザンにアタマ差で食い下がるなど、今年10歳ながらこの距離ではきわめて安定した成績を残している。やはり連軸ならこの馬だろう。
ハードインパルスが2番手。スプリントでは3番手から抜け出してマサアンビションを抑えたが、前走、JBCの最終レースに行われた1600メートル戦は直線伸びずに4着。まだ底を見せているとはいえず、今回は巻き返したいところ。
エイシンハンコックは中央から転入して今回が4戦目。転入初戦のA2特別は逃げ切り4馬身差の完勝だったが、オープンや重賞ではややカベがある感じ。
上記3頭に割って入れるかどうかというのがケイアイカルディナとエーシンアクセラン。
昨年のスプリントの覇者ケイアイカルディナは、その後1勝したのみで、大崩れは少ないものの勝ちきれないレースが続いている。
エーシンアクセランは、前々走1800メートル戦でエイシンハンコックを負かし、前走1600メートル戦でケイアイカルディナを負かして4連勝と好調。しかし、重賞に限ると1600メートル以上では5戦して2着2回と好走があるのに対し、1400メートルでは2戦していずれも掲示板外と分が悪い。
兵庫から遠征のイイデケンシンは、実績から人気先行になりやすいのに加え、この2戦は今ひとつのレースぶり。またラガーリーダーは今年勝ち星がなく、金沢のオータムスプリントカップでも2着のハードインパルスから大きく離されての8着だけに、このメンバーに入ると厳しそう。
◎マサアンビション
○ハードインパルス
▲エイシンハンコック
△ケイアイカルディナ
△エーシンアクセラン
デビュー2戦目から2連勝で前走東京ダート1300メートルをレコード勝ちのアースサウンド、京都ダート1200メートルをレコード勝ちした笠松のラブミーチャン、ダート1400メートル戦で2連勝のナリタスプリング、いずれもダートでの実績十分で、この3頭の争いとなりそう。
ここはアースサウンドのスピード能力に賭ける。前走はレコード勝ちだが、直線で後続を大きく離しながら、ゴール前では脚が上がったようで、2着馬に3/4馬身差まで迫られた。今回さらに100メートルの距離延長がどうかだが、東京とは違ってコーナーを4回まわる小回りの園田競馬場。よほど他馬が無理に競りかけてこないかぎり、ペースはそれほど速くはならないだろう。折り合いさえつけばスピードでは断然なだけに押し切れると見る。
ラブミーチャンはデビュー勝ちに続いて重賞のジュニアクラウンを3馬身差で完勝。そして挑戦した京都ダート1200メートル戦は、なんとレコード勝ち。後続を引きつけての逃げから、直線後続を突き放す強い勝ち方だった。兵庫ジュニアグランプリでは、例年初めて小回りを経験する中央馬の中にはコーナーで外に膨れてしまうような馬もいるが、その点、ラブミーチャンは同じ右回りで小回りの笠松1400メートル戦を経験しているだけにアドバンテージがある。
ナリタスプリングの2連勝は、いずれも好位からの差し。アースサウンドとラブミーチャンが競り合う展開になれば、この馬が突き抜ける可能性もある。
地元勢では、タガノバロットとハイパーフォルテがデビューから2連勝。ここ3年、このレースの勝ちタイムは1分28秒台で、この2頭が勝ち負けにからむには持ちタイムを2秒かそれ以上縮める必要がある。上位3頭のいずれかが崩れたときの3着争いまでだろう。
タマモコントラバスの前走5着は、アースサウンドのレコード勝ちから2秒1の差をつけられた。能力的には、地元のタガノバロット、ハイパーフォルテらとの勝負。
◎アースサウンド
○ラブミーチャン
▲ナリタスプリング
△タガノバロット
△タマモコントラバス
△ハイパーフォルテ