盛岡のクラスターカップJpnIIIは、やはり実力どおりといおうか中央勢の上位独占となった。そしてちょっと驚かされたのが、地方最先着の5着が高知のリワードパットンだったこと。兵庫から高知への転厩初戦で、兵庫ではオープンクラスとはいえ昨年11月以降勝ち星から遠ざかっていた。何より驚いたのは、先行する中央勢にからんでいって、それでいて地方最先着に入ったということだ。あのペースでいけば、普通は直線ずるずると後退してもおかしくないのだが、この5着という結果は、あらためて高知勢の底力と勢いを感じさせられた。
というわけで、この金杯も単騎高知から遠征のセトノヒットで中心は不動。3月にはファイナルグランプリを1番人気で勝利。前走、園田で行われたオッズパークグランプリ2009でも、マルヨフェニックス、キングスゾーン、アルドラゴンといった、ダートグレードで実績を残している馬たちに続く4着は評価できる。
地元大将格はナムラベンケイ。今年になってから今ひとつ安定感に欠けるレースが続いているが、前々走マイル戦での勝ち星もあり、大一番での信頼度ならこの馬だろう。ただセトノヒットに真っ向勝負を挑んだときに崩れる可能性はある。
ファイナルグランプリの結果と同じ予想になってしまうが、3番手にはやはりクラマテング。安定度なら、ナムラベンケイよりむしろこちらだろう。前々走の西日本グランプリこそ7着だったが、地元同士の対戦では今年2月以降8戦して3着を一度も外していない。ここも堅実に上位争いだろう。
唯一アラブで参戦のフジノコウザンは、5連勝中。今年は9戦9連対とアラブには敵なしの状態。たしかにこの金杯も07年に制しているが、当時とはサラブレッドのレベルが格段にアップした。サラブレッドと同じ57キロでは厳しいかもしれない。
◎セトノヒット
○ナムラベンケイ
▲クラマテング
△フジノコウザン
毎年この時期は、佐賀で1400メートルのサマーチャンピオンJpnIIIが行われるためメンバーが分散して、このクラスターカップJpnIIIも手薄になることが多い。今年もそうした傾向は変わらず、中央勢は5頭のうちダートグレード勝ちがあるのは3頭のみ。とはいうものの、地方勢はダートグレードではちょっと荷が重いというメンバーばかりで、中央勢が上位を占めることになりそうだ。
昨年のJBCスプリントでJpnI制覇を果たしたバンブーエールだが、そのJBC以来勝ち星から遠ざかっている。JpnI勝ちがあるために59キロを背負わされることが多く、前々走のさきたま杯JpnIIIは、1キロ軽いスマートファルコンに直線突き放されて1馬身半差の2着、前走プロキオンステークスGIIIは、56キロのランザローテ、54キロのトーホウドルチェに先着を許し、アタマ+1 3/4馬身差の3着と、なかなか勝ち切れない。
とはいえ、トーセンブライトには今回と同じ斤量差だったさきたま杯JpnIIIで先着しているし、今回1キロ差のタマモホットプレイには、2キロ差があったプロキオンステークスGIIIで先着。となると、相手はメイショウバトラーくらいだが、そのメイショウバトラーにしても牡馬相手の55キロでは楽な競馬にはならないだろう。軸はバンブーエールで堅そうだ。
相手は、やはりダートグレード実績のあるトーセンブライトとメイショウバトラー。
トーセンブライトは、3走前の黒船賞JpnIIIで見せたような爆発力があるので、ハマれば一発逆転の可能性はある。
メイショウバトラーは、昨年の南部杯JpnIでブルーコンコルドをあわや負かしてしまうかという2着。コース適性からこちらも逆転の可能性はある。ただ馬群に包まれるのはよくないので、1枠に入ったのはマイナスかもしれない。
タマモホットプレイはプロキオンステークスGIII5着が初ダート、現在準オープンクラスのコパノオーシャンズはダート実績が未勝利勝ちのみでは、ともに連下までの評価。
◎バンブーエール
○トーセンブライト
▲メイショウバトラー
△タマモホットプレイ
△コパノオーシャンズ
前走マーキュリーカップJpnIIIではマコトスパルビエロの2着に負けたとはいえ、ダートではいまだ連対を外していないスマートファルコン。帝王賞JpnIではヴァーミリアンの2着も、3着以下をちぎっているフリオーソ。新興勢力のアドマイヤスバル。この3頭の争いと見る。
応援したいのはフリオーソだが、スマートファルコンを中心にとった。前走マコトスパルビエロにちぎられたとはいえ、2キロ重い58キロ。これまで58キロで何度も勝った実績があり、今回は58キロのフリオーソより1キロ軽い57キロは有利。門別コースは初めてだが、これまでどこに遠征しても堅実な結果を残してきた安定度は抜群だ。
実績的にはGI・JpnIを3勝のフリオーソが断然だが、遠征競馬で結果を残していないのが気にかかるところ。58キロは、昨年の日本テレビ盃JpnIIで経験しているが、ボンネビルレコードの2着に敗れている。スマートファルコンとの比較では、不安点がやや目につく。
アドマイヤスバルは、オアシスステークスと大沼ステークスを連勝。今回の56キロは有利だが、ここ2戦で負かしてきた相手が、重賞実績に乏しい馬たちでは、上記2頭より実績的に劣る。勢いでどこまで迫れるか。
サカラートは前走マーキュリーカップJpnIIIでスマートファルコンからクビ差3着と善戦。ただ近走の成績からやはり衰えは否めず、好走には展開の助けが必要となりそう。
アロンダイトは復帰後5戦して、東海ステークスGIIこそ2着に入ったが、それ以外はいまひとつの成績。勝ち負けまでは厳しい。
◎スマートファルコン
○フリオーソ
▲アドマイヤスバル
△サカラート
△アロンダイト
2勝馬は2頭のみだが、1勝馬でもまだ底を見せていない馬が多く、まことに楽しみな一戦となった。
リリーカップの予想でも書いたが、7月8日に大雨で中止になって以降、日によってタイムにバラつきが多く、単純なタイム比較はあまりアテにならない。
そんななか、1000メートルのアタックチャレンジでレコードが出るなど特にスピードの出やすい日だったとはいえ、1200メートルのフレッシュチャレンジで能力を感じさせたのがポシビリテだ。ゲートが開いた瞬間、他馬より1馬身ほどリードしていたほどの絶好のスタートからハナを奪うと、終始1番人気のショウブハコレカラにつつかれながらも、直線楽々と4馬身差。追えばまだまだ伸びるようなレースぶりだった。
ミラクルエースは1200メートルのフレッシュチャレンジ、オープンと2連勝。そのオープン戦は、好位3番手追走から直線を向いて追い出されると、鞍上のムチにこえたえるかのようにぐいぐいと伸びて4馬身差の快勝となった。
栄冠賞2着のウイニングリーダーは、前走ラベンダー賞は大雨の芝で参考外。この馬がここでどんなレースをするかで、栄冠賞組との力量比較となりそうだ。
5頭立てながら上位3頭接戦のレベルの高いオープン戦で2着だったロゼワイン、ポシビリテの2着に敗れたあとのルーキーチャレンジをきっちり勝ったショウブハコレカラ、キングカメハメハ産駒のアントワープなどが連下候補。
◎ポシビリテ
○ミラクルエース
▲ウイニングリーダー
△ロゼワイン
△ショウブハコレカラ
△アントワープ
笠松のクイーンカップで好位3番手追走から、直線力強く抜け出したニュースターガールが復活と見る。3歳時は金沢の兼六園ジュニアカップや、年末のライデンリーダー記念など重賞3勝。今年の3歳戦線はこの馬を中心に展開されるのかと期待され、年明け初戦の園田クイーンセレクションでは堂々1番人気に支持されたが、まさかの3着。これで歯車が狂ったのか、その後は見せ場なく敗戦というレースが続いた。しかし前走の笠松・クイーンカップは、それまでの鬱憤を晴らすかのように鮮やかな勝ち方。笠松、名古屋双方のの「クイーンカップ」連勝濃厚と見る。
東海ダービー逃げ切り圧勝のダイナマイトボディだが、追い込んできたトウホクビジンに3馬身という差は、大雨の道悪に恵まれた面も否定できない。今回、ニュースターガールにぴたりとマークされて、同じようなレースができるかどうか。ただ台風の影響が残り、極端な不良馬場のままなら再度の逃げ切りも考えられる。
兵庫のミスカンナは、年明けのデビューから7戦6勝、2着1回。前走の条件交流でも中央馬相手に完勝。コースを熟知した名古屋の戸部尚実騎手を鞍上に迎え、重賞初挑戦となる今回が試金石となりそう。
園田クイーンセレクションでニュースターガールに先着する2着だったのがプリンセスジュディ。中央から戻って2戦目となった前走、古馬B1戦を完勝。確実に力をつけている。
笠松・クイーンカップ3着のブルーベリー、オッズパークファンセレクションin笠松で重賞2勝目を挙げたシルバーウインドなど、印をつけた馬ならどの馬が勝ってもおかしくない感じの混戦。
◎ニュースターガール
○ダイナマイトボディ
▲ミスカンナ
△プリンセスジュディ
△ブルーベリー
△シルバーウインド