牝馬による東海・北陸・近畿・中国地区交流の重賞、読売レディス杯。JRAエリザベス女王杯のステップレース代表馬選定競走ともなっている。
ここ5年は東海勢に優勝をさらわれていて、地元金沢勢は苦戦。連対馬を見ても、地元勢は昨年2着のカゴヤコスモス、02年2着のトゥインチアズしかいない。勝利となると、01年のシズノサンデーまで遡らなければならない。
ただ今年は、他地区からの遠征が名古屋からの2頭のみ。地元金沢勢にもチャンスがありそうだ。
その筆頭格は、今回が中央から転入3戦目となるリュウヨウ。中央時代は1000万クラス勝ちの実績。転入初戦のA2特別を楽勝すると、続くA1特別では好スタートから好位に控え、4コーナーで先頭に立つと危なげのない勝利。サムソンリンリンやケンゴウザンなど、牡馬も含めた金沢のトップクラスを問題にしていないだけに、牝馬だけの今回はかなり相手が楽になった。
地元金沢勢で連下候補は、ここ5戦A2特別で2勝2着1回のケイティクラシー。それから目下8連勝中のマリンペガサスは格上挑戦となるが、まだ底を見せていないだけに楽しみはある。昨年の3着馬ルスナイパラダイスは、近走A1特別で入着級だが、昨年10月以来勝ち星に見放されていて、今シーズンはいずれも勝ち馬から1秒以上離されているだけに、ここでは狙いにくい。
あとは名古屋勢との比較となる。
マイネフォクシーは昨年1番人気で6着だったが、その昨年は名古屋・笠松で重賞3勝と活躍した。しかし今年は3月にA1特別を1勝したのみ。ただ、常に東海地区の牡馬一線級との争いで、近走不振でもここは自力でカバーできると見る。
マグマエンジェルは今年2月の兵庫牝馬特別で3着。先着されたのがチヨノドラゴンとニッシングリンで、そのときと同じくらいの力を出せれば、このメンバーなら連下は十分いある。
いずれにしてもリュウヨウからの流し。
◎リュウヨウ
○マイネフォクシー
▲ケイティクラシー
△マリンペガサス
△マグマエンジェル
ばんえい競馬は難しい。
馬券も難しいのだが、重賞クラスのオープン馬を持っている馬主や調教師にとっては、使い方が難しいのだ。
勝てるからといってどんどん使っていると、その賞金ゆえに上のクラスに格付けされたり、負担重量を課されたりで勝てなくなってしまう。
97年に3冠馬となったウンカイは、その後はその賞金ゆえに勝てない時期が長く続き、ばんえい菊花賞以来の重賞勝ちは、6歳(旧7歳)のばんえいグランプリまで待たなければならなかった。
それゆえ、トップクラスの馬の中には、狙ったレースだけに照準を合わせて使う馬もいる。今でいえば、6月の柏林賞を制したマルミシュンキだ。これが今シーズンの初出走だったが、ここに向けて調教は十分に積まれていたようだ。
サカノタイソンも、ばん馬としては出走回数はそれほど多くない馬だった。普通の条件馬なら、開催ごとに(2週に1回)使うのが常だが、サカノタイソンの場合はだいたい月1回のペース。サラブレッドと同じようなローテーションだった。
さて、3歳3冠の第1弾、ばんえい大賞典。
残りの2冠、ばんえい菊花賞とばんえいダービーが定量なのに対し、ここだけは別定戦。ゆえに賞金を稼いでいる馬は重量を課されることになる。
トップハンデは、ホクレン賞とイレネー記念を制しているカネサリュウ。今シーズン初出走となった特別・ばんえいダービーはトップハンデに苦しみ9着。そしてこの時期の3歳馬としてはきわめて高い500万クラスに格付けされているため、勝負にならないレースが続く。今シーズンは、馬齢限定の定量戦以外では苦戦が続くことだろう。
というわけで、今回のばんえい大賞典も蚊帳の外。過去5年の結果を見ても、トップパンデの馬は1頭も連対していない。
狙うのは格下で軽ハンデの上がり馬。今回は、牝馬のエリザベスライデンから。
6月17日の黒ユリ賞を勝ち、そのときはニシキガールより30キロ、プリンセスモモより20キロ軽い重量だったのが、今回はニシキガールとは5キロ差まで縮まり、プリンセスモモとは同重量となった。エリザベスライデンにとっては不利と考えるのが普通だが、その重量差を克服して余りある成長をしていると見る。前々走の200万未満を勝利、そして前走の同条件は6着に敗れたものの、着順ほどは負けていなかった。
牝馬3頭は近走確実に力をつけているようで、いずれにもチャンスがありそう。
牡馬では、定量戦のイレネー記念でカネサリュウと好勝負をしながら、重量的に楽になっているアローファイター、シベチャタイガーの2頭が勝負になりそうだ。
◎エリザベスライデン
○プリンセスモモ
▲ニシキガール
△アローファイター
△シベチャタイガー
キングスゾーンとムーンバレイ、笠松からもミツアキタービンとオグリホットが、2日前の川崎・スパーキングサマーカップに遠征してしまったため、名港盃はやや手薄なメンバーになった。
このレースの1着賞金が240万円なのに対し、スパーキングサマーカップがその5倍の1200万円では、それも仕方ないだろう。
ここで狙ってみたいのは、川崎から転入初戦となるアスターバジル。5カ月ぶりの実戦だが、南関東時代の力を発揮できれば、ダートグレード入着級の馬たちが抜けたここでは能力は一枚上。
アスターバジルは、昨年5連勝後に重賞初挑戦となった黒潮盃で1番人気にこたえて5馬身差圧勝。JBCクラシックはさすがに相手が強く9着に敗れたものの、大晦日のオープン戦は、その後東京シティ盃とマイルグランプリを連勝するフジノウェーブにクビ差2着まで詰め寄った。
角田輝也厩舎といえば、中央からの転入で下級条件から連戦連勝する馬が目立つが、南関東からの移籍というのはめずらしいのではないだろうか。それだけ期待しての転厩なのかもしれない。
相手筆頭には、応援の意味も込めて金沢から遠征のマヤノオスカー。昨年のこのレースでは、タカラアジュディとの一騎打ちでアタマ差の2着と惜敗。今シーズンは、勝ちに等しいレース内容で2着の百万石賞から余裕をもったローテーションでここに臨むだけに、昨年以上の結果を期待したいところ。
既成勢力での筆頭格はウイニングウインドだろう。昨年は1番人気で3着に敗れたが、それ以降、東海地区では3着以内を一度も外していないという堅実さが光る。
あとはやや離れて、中央から転入2戦目となるケイアイフウジン、昨年4月の転入初戦でいきなり重賞(東海桜花賞)制覇を果たしたマヤノモーリスあたり。
ただ、やはり上位とは差がありそうで、3連単の3着ならともかく、馬連複、馬連単は3頭の争いになると思う。
◎アスターバジル
○マヤノオスカー
▲ウイニングウインド
△ケイアイフウジン
△マヤノモーリス
3歳牝馬によるのじぎく賞。
地区交流ではなく、兵庫限定で牝馬のみとなると、やはり層が薄くなるのは否めないが、それにしてもここはエンタノメガミの実績が抜けている。
昨年9月の姫路プリンセスカップこそ8着に敗れたものの、12月の園田ジュニアカップでは5番人気の低評価ながら2着に好走。以来、兵庫のトップクラスにすっかり定着している。
重賞タイトルこそ1月のクイーンセレクションのみだが、その後はいずれも牡馬との対戦。園田ユースカップは笠松・マルヨフェニックスの2着で、地元馬最先着。3冠戦線に入り、菊水賞は4着だったが、兵庫チャンピオンシップJpnIIでは地方勢最先着の3着と大健闘。3冠目の園田ダービーではユキノアラシから3馬身離されたものの、3着以下は7馬身も突き放す堂々の2着。なにしろ昨年の11月以降は牝馬に一度も先着されたことがないのだ。
競馬に絶対はないというが、落馬だとか、他馬に進路をふさがれるだとか、そういうアクシデントでもない限り実績から見てエンタノメガミで間違いないだろう。
相手には、トーホウエンペラー産駒のワイケイリズム。昨年10月のT1・2歳特別でエンタノメガミに3/4馬身先着して勝利した経験がある。しかしその後はエンタノメガミが急激に力をつけ、園田クイーンセレクションでは7馬身もの差をつけられての2着と、完全に力関係は逆転されてしまった。
問題は、この2頭の組合せで馬連複がいくらつくのかということ。おそらく100円台なのではないだろうか。馬券はちょっと買いにくい。
そのほか連下では、これが重賞初挑戦も近走力をつけているハナカンムリ、ここ3戦はJRAとの条件交流戦で常に上位を確保しているサンペールウルトラなど。
いずれにしてもエンタノメガミがどんな勝ち方をするか見るレースとなりそうだ。
◎エンタノメガミ
○ワイケイリズム
△ハナカンムリ
△サンペールウルトラ
赤見さんもブログに書いているが、高知のヒカルサザンクロスが、益田のウズシオタロー(牝馬ですよ)が1987年に引退するまでに走った最多出走記録、250戦を越えるまであと3戦と迫っている。
ちなみにこの地方競馬の記録というのは、地方競馬全国協会が設立された1962年(昭和37年)以降のもの。それ以前についてはきちんとした成績が残されてはいないのだが、今は無き春木競馬(大阪)に所属し、昭和28年〜38年にかけて平地と障害で476戦したコガネマルというアラブがいたそうだ。
ただ、当時と今では馬の扱いや競馬の質そのものが違っているだろうから、近代の地方競馬(平地)での記録としては、やはりウズシオタローの250戦が最多出走といっていいだろう。
高知には、ヒカルサザンクロスのほかにも記録を更新し続けている馬がいる。
7月15日のE3戦(1400メートル)を勝ったオースミレパードは、最高年齢出走と、最高年齢勝利となる自身の記録を更新し続けている。
1991年生まれで、現在16歳。
91年生まれと言えば、3冠馬ナリタブライアンと同期になる。デビューは中央で、クラシックには乗れなかったが、平安ステークスGIIIで2着になるなどダートのオープン戦線で活躍した。その後98年の7歳(旧8歳)時に高知に移籍し、通算では214戦32勝となっている。
そしてもう1頭、地方競馬での平地勝利数記録を更新し続けているのがアラブのエスケープハッチで、現在49勝。
これに続くのが、現役ではおそらく荒尾・ハイメーカーの39勝(違ってたらごめんなさい)。エスケープハッチはまだ7歳と若いだけに、トップの座が安泰なのはもちろん、まだまだ記録も伸ばせそうだ。
エスケープハッチで驚くのが、そのレースぶりだ。最強馬というのは、だいたいにおいて好位につけて直線で差しきるというレースぶりが多いが、このエスケープハッチは、道中は縦長の後方を進み、直線だけで追い込むという大胆なレースをする。
ただし、必ず差しきれるというわけではなく、ときどきゴール前で届かずということもあるから、見ていていつもハラハラさせられる。それゆえに2着とか3着もけっこう多い。
そのエスケープハッチが、22日(日)の高知第11レース「ひまわり特別」で区切りの50勝目に挑む。
ぜひとも馬券を勝って、ハラハラ度倍増でレースをご覧になってはいかがだろうか。
もちろんライブ映像はオッズパークで見ることができる。