デビュー戦の四日市・ルーキーシリーズで見事優勝を飾った東美月選手(兵庫124期)にお話を伺いました。スケートからの転身ということで、選手を目指したきっかけやここまでの振り返り、今後の目標を聞いてみました。
山口:まずは選手を目指したきっかけは何ですか?
東美月選手:もともと高校までスピードスケートをしていて、大学進学と同時に違うスポーツをやりたいなと思っていました。高校生の時に、親のすすめでガールズサマーキャンプに参加し、自転車に乗るのは楽しかったと思い出して始めました。
その時点ではプロになりたいとは思っていなかったんですが、父が自転車の練習環境を探してくれている中で、通っていた接骨院の先生に師匠の澤田義和選手(兵庫69期)を紹介していただきました。「自転車競技をやろうかな」という軽い気持ちだったんですが、澤田さんと最初に練習させてもらった時に「選手を目指すなら本気でやらなあかんぞ」と言われて流れのままに選手を目指しました(笑)
山口:急展開!(笑)
東:最初にプロの方を紹介していただいたので、そういう流れになりました。でも練習をしていくうちに強くなっていくのが楽しくて一生懸命練習しました。だんだん「好きな自転車を職業にできたら良いな」と思うようになったので、今となっては良かったです。
山口:流れにのったら良い方向へいったんですね(笑)
東:そうですね。流れにのっていきました(笑)ガールズケイリン選手に絶対なる!という強い気持ちもなく、そもそもそこまで自転車、競輪というものを知らなかったので、勢いもありますね。
山口:それがまだ2年ほど前ということですよね。
東:そうですね。大学1年からアマチュアをやり、2年生の年に試験に合格して、3年生で大学を休学して競輪選手養成所に入りました。
山口:澤田選手と出会ってからすごいスピードで動いていったんですね。
東:はい。高校でスケートをやっていて、ぼんやりと「次は何をしようかな、何がしたいだろう」とあやふやだった時があったので、自転車に出会えて「もっと強くなりたい」と思えました。
一般的に大学生の頃は、たくさんの人が「将来何をしたいか、どう働くか」を迷う時ですが、私も明確に何がしたいかと決められない時期に自転車と出会い、競輪選手という職業があると知り、運命を感じたというか、「競輪に挑戦してみよう」と道が開けたのは嬉しかったです。
山口:プロとしてお金が稼げるというのもやってみようと思った理由の一つですか?
東:はい、そうですね。私は自分が普通の会社員をやっているのは想像ができず、スポーツ関係の仕事をやりたいかなと思っていたので、そこでガールズケイリンと出会えて良かったです。
山口:自転車経験のない中の養成所生活はいかがでしたか?
東:とても楽しかったです。兵庫は今ガールズケイリン選手がいなくて、たくさんの女子と一緒に練習する機会はなかったので楽しかったですね。もちろんきついこともありましたが、練習環境が整っていたので充実した1年間でした。
山口:基礎的なことも訓練できたんですね。デビュー戦のルーキーシリーズ・四日市ではいきなり優勝を手にしました。卒業してデビューまでの間はどんな練習をしたんですか?
東:男子選手に追走してダッシュもがき、というのを中心にしていました。アマチュアの時は男子選手と一緒に練習してもついていけなかったんですが、卒業をしてからは兵庫の練習環境に慣れ、男子選手についていけるくらいスピードを上げられるようにを第一の目標にしていました。徐々についていけるようになり、一緒にもがき合えるようになったので成長しているのかなと思います。
山口:デビュー戦・四日市は(3・2・➊)と優勝されました。振り返っていかがでしたか?
東:決勝は車番も良くて位置取りもうまくいったので、最後まで体力を温存できました。力を出すところで出せて、ゴール前で強い竹野百香さん(三重124期)を差せたのは良かったと思います。優勝というのは良い経験になりましたし、「次は自力を出して勝ちたい」という新たな目標が見え、より頑張ろうと思えました。
山口:最後3コーナーからは狭いコースをいきましたね。
東:自分でも「よくあそこにいけたな」と思います(笑)雨が降っていて、前も見えにくかったのに必死でしたね。先輩方にも「よくあんな狭いとこ通ったな」と言われました。
山口:内も外もいて、真ん中の隙間を追い込みでしたね。あのコースいける方はガールズでは少ないと聞きます。
東:はい、ここしかない!と思って踏み、ギリギリを通り抜けられました。
山口:振り返りをありがとうございます。ではルーキーシリーズを終え、本格デビューまで1か月ありました。その間はどう過ごしましたか?
東:1か月あったので、練習に身が入っている時とそうでない時の差がありました。コンディションを整えるのが難しかったですね。
山口:短期目標があった方が練習がしやすいタイプなんですね。
東:7月からはレースが次々とあって、その方が目標がたくさんあるので頑張れる気がします。練習期間は短いですが、レースも一走一走に学びがあるのでもっとたくさん走っていろんな経験をしたいです。
山口:自転車経験が少ない分、実践でもたくさん学びがあるんですね。
東:ルーキーシリーズと本格デビュー後でレース展開やスピードなど違いもたくさんあるので、まだ苦戦しているんですが、都度反省をしつつ、経験を積み重ねて成長していければなと思います。
山口:ルーキーシリーズと本格デビュー後、どこが一番違うと感じますか?
東:ルーキーシリーズは、1年間一緒に競走訓練をしてきた同期なので、どういう選手なのか知っていて慣れています。先輩たちは走りもわからないし、スピード感覚も全く違います。ルーキーシリーズの方がややゆっくりでしたが、7月からはスピード感覚が違いすぎてレースについていくのもやっとでした。自分でレースを動かしていくこともなかなかできなかったので、少しずつできれば良いなと思います。
山口:いきなりトップ選手との対戦ですもんね。
東:デビュー戦の大垣でいきなり7着・7着を取ってしまい、正直メンタルがやられてしまいました。でも自分はルーキーシリーズでは優勝させてもらいましたが、一気に成長をするタイプではなく地道な積み重ねが結果に繋がっていくタイプだと思うので、一戦一戦、少しでも前へ進んでいきたいです。「7着7着でも最終日は確定版へ」など小さな目標を少しずつクリアしていきたいです。
山口:レース間隔が詰まっている方が良いですか?
東:そうですね。間隔が空くと緊張感も増します。今は数をこなしていくしかないですね。いっぱい走りたいです。
山口:2戦目・前橋の最終日は捲っての本格デビュー後、初1着がありました。自力が出せましたね。
東:自分でも展開がハマったなと思ったレースでした。養成所の訓練でも、捲りは不発になることが多くて、あんなにきれいに捲りきれたのは気持ち良かったです。
山口:かなり後ろを離して(4車身差)の1着でしたもんね。自信になりましたか?
東:はい、今度は予選で出せるようになりたいです。
山口:青森の最終日は五味田奈穂選手(千葉124期)と長い距離のもがき合いがありました。
東:先行をする予定ではなかったんですが、レース後にVTRを見た時に、長い距離を自分が外で踏み合って、2着に残れたので良かったのかなと思いました。前に出られなかったのは反省なんですが、最後まで負けずに踏み合えて残れたのは収穫があったかなと思います。
山口:お話を聞いて本当に一つ一つが力になっているんだなと感じました。今の目標は何ですか?
東:一番の目標は、オッズパーク杯ガールズグランプリに出場することです。直近だとガールズフレッシュクイーンの出場を目指しています。競走得点はまだ低いんですが、少しずつ上げていって出場したいです。
山口:そういう意味では『競輪ルーキーシリーズ2023プラス(京都向日町競輪にて)』へ選出は一歩目標に近づいたのでは?
東:そうですね。選ばれた選手たちはみんな強いので、その中で自分がどんなレースをするか、もう少し時間があるのでじっくり考えたいと思います。
山口:地元地区の京都向日町ですね。走ったことはありますか?
東:昔に走ったことはあります。久しぶりに走れるのも楽しみですし、勝ちたいですね。
山口:他の選手たちの印象はいかがですか?
東:自力が強い選手が多いです。自分も自力なのかそれとも自在なのか、いろいろ考えて臨みたいです。
山口:今後の戦法はどんなイメージですか?
東:なんでもできるようになりたいので、全ての決まり手に数字を付けたいです。レースの展開によって自在に動けるようになりたい、というのもありますし、今はまだ自分に何があっているのかハッキリしていないので、いろいろ試したいです。一番得意なものを見つけていけたらなと思います。
山口:ではレースのお話とは違う話題を伺います。先ほど大学は休学して養成所へということでしたが、復学されたんですね。
東:はい。養成所を卒業して4月からは、練習と大学を両立しています。
山口:忙しいですね!
東:宿題や学校でバタバタしています。先生方と相談して、調整もしてもらっているんですが、行ける時はなるべく行って両立するようにしています。今は8月で夏休みなので、競輪に集中できてほっとしていますが、9月からはまた授業が始まります。忙しいんですが、頑張ろうと思います。
山口:オフの日はどうですかと聞こうと思ったんですが、学校があるんですね。
東:そうですね。大学生なので、学業もしっかり頑張っています。競輪に繋がることを学んでいるので活かしていきたいです。
山口:差し支えなければ、どんなことを学んでいるか教えて欲しいです。
東:スポーツ学部です。ゼミでは競輪のことを研究しているので、練習はもちろん走りに繋がりますが、スポーツ科学のような専門的なものを学びそちらも競輪に繋げていきたいです。
山口:賞金は何に使いましたか?
東:学費ですね(笑)
山口:そうですよね(笑)
東:自分で払っているので、今後の授業費を貯めつつ、それ以外の残った分を服やコスメを買っています。
山口:両立してますね。
東:まだ学生というのは変わらないので、ブランド物とか大きい買い物は卒業してからです(笑)
山口:頑張ってください!では目標とする選手はどなたですか?
東:奥井迪選手(東京106期)や児玉碧衣選手(福岡108期)です。レースを動かせる選手になりたいので、お二人は目標です。児玉選手は先日もガールズドリームレースで逃げて優勝されていて、かっこよかったです。どのレースも自力を出して勝っているので、そういう選手になりたいなと思いました。
山口:今の練習環境はどんな感じですか?
東:師匠や男子選手と一緒に練習させてもらっています。今はガールズがおらず実践的な練習ではないのですが、いずれは他の県のガールズの所へも出稽古へ行けたら良いなと思います。今は兵庫の練習環境に慣れて強くなりたいです。
山口:バンク中心ですか?
東:はい、明石に競技場があるので、そこをメインに練習しています。
山口:フレッシュクイーンへというお話は出ましたが、今後の目標を改めて教えてください。
東:まだまだレースでは自力を出せていなくてビビっているところもあるので、早くレースに慣れて自分で展開を作っていける選手になりたいです。
山口:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
東:確定版にのれるように、自力を出して全力で頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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7月に本格デビューをした124期生。ルーキーシリーズから自力を発揮し、最終戦の福井では見事優勝を飾った熊谷芽緯選手(岩手124期)にお話を伺いました。ここまでの振り返りや、今の目標を聞いてみました。
山口:ガールズケイリン選手を目指したきっかけは何ですか?
熊谷:中学時代はソフトボールをしていたんですが、その時の友達がガールズサマーキャンプに誘ってくれて一緒に参加し、初めてバンクを走りました。それが楽しかったんです。まずは「高校で自転車をやってみよう」と思い、そこから選手を目指しました。
山口:全く違う競技に行くのも勇気が必要ですよね。
熊谷:はい。自転車は落車など危険な部分もあり「怖いかな」というイメージもあったんですが、乗っていて楽しいという気持ちの方が上回りました。「プロになるとお金も稼げるよ」とも言われていたのでそれも魅力でした。その時は「自分を変えたい、大きな夢に向かって頑張りたい」という気持ちもあったり、いろんな理由で選手になりたいなと思いました。
山口:競輪選手という職業があるのは知ってましたか?
熊谷:漠然とは知ってましたが、女子があるのは知らなかったです。
山口:高校の自転車部では成績も残されましたね。
熊谷:頑張りました(笑)
山口:ぐんぐん伸びてくのは楽しかったですか?
熊谷:自分の成長を感じるのは楽しかったです。選手を目指したらもっと成長を実感できるかもしれない、と思いました。今も、良い感じだなと思う時もあれば駄目な時もある、少しずつ伸びていっているのかなと思います。
山口:師匠(小泉俊也選手・岩手77期)との出会いは?
熊谷:高校の時にもバンクでお会いする機会があり、私から師匠になってくださいとお願いしました。私の先輩も小泉さんが師匠なので、その繋がりもあります。小泉さんも自力で戦っているので、私も見習って頑張らないとなと思います。
山口:小泉選手と一緒に練習しているんですか?
熊谷:師匠はいろんな所で練習をされているようで最近はお会いできてないです。私はその時バンクにいる皆さんやガールズの高木香帆さん(岩手120期)と一緒に楽しく練習させてもらっています。
山口:競輪選手養成所時代はいかがでしたか?
熊谷:今思うと楽しく過ごせたと思います。キツい時もありましたが、みんなが同じ目標を掲げて頑張っていたので充実した日々を過ごせました。
山口:キツい部分、というのは何でしたか?
熊谷:練習の中でうまくいかない時が多々あり、どうしたら良いのかわからなくなった時がありました。そんな時に、すぐに話を聞いてくれるお友達や先生方がたくさんいて乗り切れました。
山口:みんなで頑張れたんですね。
熊谷:はい、同じ目標へ向かっていたので存在が励みになったし頑張れました。
山口:養成所で、自分ではどこが伸びたと思いますか?
熊谷:持久力と、最後の伸びが出たのかなと思いました。高校時代は最初のダッシュしか自信がなかったんですが、養成所を出た後は、まだまだですが、持久力は少しついたのかなと思います。
山口:その時から戦法は自力を基本としていたんですか?
熊谷:はい。先生方も先行をして脚をつけた方がいい、という感じだったので競走訓練は先行主体にしていました。
山口:先行にこだわっている方も他にもいましたよね。
熊谷:とにかく自分が先行するぞ、という気持ちで競走訓練は走りました。
山口:その前々の気持ちがルーキーシリーズにも出てましたね。
熊谷:はい、とにかく前々を心がけていたら最終的には優勝もできたので良かったです。
山口:一走ずつ力になっていきましたか?
熊谷:はい、前に踏むごとに力になっていき、成長しているなと感じられるので、これからも前々で頑張りたいです。
山口:福井のルーキーシリーズ最終戦は見事優勝でした。目標にはしていましたか?
熊谷:はい、一度は優勝をしたいと思っていて、まさか最後にできると思っていなかったので嬉しかったです。
山口:決勝は一度は内につまる展開でしたよね。
熊谷:そうですね。そこから無理矢理仕掛けたので重注がついてしまい、それは反省点なんですが、なんとか前の松井さん(優佳選手・大阪124期)に追いつけて良かったです。
山口:結果を出したルーキーシリーズでした。本格デビュー後、先輩たちと走ってみていかがですか?
熊谷:ルーキーシリーズとは違う緊張感があります。
山口:何が一番違うと感じますか?
熊谷:雰囲気もピリッとして違いますし、ずっとプロで戦っている皆さんの気迫も感じます。でも目標としている走りが先行逃げきりなので負けずにいきたいです。
山口:本デビューの弥彦で予選1は先行できましたね。
熊谷:はい、ただ力の差を感じました。真後ろから(石井寛子選手に)いかれてしまったので・・・・・・。その負けから何走かは慎重にいきすぎて消極的になっていました。その後、平塚で加瀬加奈子さん(新潟102期)が逃げきるレースをテレビで見て(2023/8/3・第7レース)、気持ちが切り替わり「やっぱり先行逃げきりがかっこいい」とまた頑張ろうと思いました。
山口:あのレースはかっこよかったですね!
熊谷:そうなんです!見てて絶叫してしまいました。かっこよくて憧れです。
山口:本格デビュー戦は加瀬選手も一緒の参加でしたね。
熊谷:はい、実際にお会いしても明るく話してくれました。でもレースだとかっこよくて、素敵でした。2走目は一緒に走りましたが、加瀬さんが先行で、私は仕掛けを見てしまったレースでした。私もいかなきゃ駄目だったなと終わってから思いました。
山口:レース後に加瀬選手とは話しましたか?
熊谷:「もっと先行しよう!」と言ってくれました。あのレースで私が仕掛けて、モガキ合うのを構えて待っててくれたのかな、と今は勝手に思っています。
山口:やり合うのを待っててくれたように感じたんですね。
熊谷:はい。モガキ合ったり仕掛けていけば、もっと学ぶことはあったのかなと感じます。
山口:最終日には本格デビュー後の初1着もありました。いかがでしたか?
熊谷:勝ちたいと思っていたので、初めての1着は嬉しかったです。
山口:前の高木佑真選手(神奈川116期)はかなり遠かったですが捕まえられる、という感覚はありましたか?
熊谷:一気にいかれて瞬時の反応が苦手なので、結構遅れてしました。だいぶ離されてしまいましたが、自力を出せた1着だったので良かったです。
山口:次が青森・地元戦でした。決勝に乗りましたね。
熊谷:アクシデントのあったレースだったんですが、なんとかギリギリで決勝に行けました。
山口:決勝はオッズパーク杯ガールズグランプリを走った山原さくら選手もいましたね。いかがでした?
熊谷:もう、すごかったです。この一言ですね。
山口:スピードとかも違いますか?
熊谷:はい、ちょっとどうしていいかわからないくらい強かったです。私もついていけるのかな、と少しは思っていたんですけど、全然でした。
山口:熊谷選手と板根茜弥選手(東京110期)がもがき合ったタイミングでの山原選手の仕掛けでしたよね。
熊谷:はい、かなり踏み合っていたので脚も使っていました。でもそこからまだいけるのが、先行で強い選手なのかなと思います。もっと脚力を付けて頑張りたいです。
山口:理想の戦法は先行ですか?
熊谷:はい、逃げきれる選手になりたいです。
山口:憧れの選手はどなたですか?
熊谷:先ほどから話している加瀬さんと、小林優香さん(福岡106期)は高校生の時に目標にしていた選手です。お二人のようになれるよう頑張りたいです。
山口:今の強化したい部分はどこですか?
熊谷:瞬発力ですね。先ほど話に出た弥彦の最終日のレースのように、瞬時の反応が苦手なので、瞬発力をつけて素早く反応できるようにしたいです。
山口:先行を目標だと、持久力もダッシュも必要なんですね。
熊谷:はい!やることがたくさんですが、頑張りたいです。
山口:『競輪ルーキーシリーズ2023プラス(京都向日町競輪にて)』にも選出されましたね。
熊谷:はい、単発レースに選ばれたのは嬉しいです。優勝を目指しているので、逃げきりで優勝できるように頑張りたいです。
山口:記念のレースの最終日ですから、男子のトップ選手もたくさんいます。
熊谷:ドキドキします!学ぶことが多いと思うので頑張ります。
山口:頑張ってください!それでは少しレースの話からは離れて、本格デビューして生活のルーティンなどはできてきましたか?
熊谷:いや、まだ全然できてなくて探っている状態です。オフの日は家でゆっくりしていることが多いですね。レースの数日前はしっかり休みを入れて体を休めたりはしています。
山口:遠征もありますが、準備などどなたかにアドバイスはされましたか?
熊谷:遠征の時の経路などは先輩方に質問しました。飛行機は一人でこれまで乗ったことがなくて緊張します。新幹線でも緊張したのに、今から不安です(笑)徐々に慣れていきたいです。
山口:賞金は何に使いましたか?
熊谷:最初の賞金は、家族でご飯に行きました。弟がいるんですが、お菓子とか買ってあげてますね。自分のものだと、お洋服やアクセサリーを買いました。
山口:プロになって取材も増えますもんね。
熊谷:身だしなみは最近気にするようになりました。それも楽しいです。
山口:選手としての目標は何ですか?
熊谷:まずは先行で逃げきれるようになることです。
山口:目の前の目標を一つずつ、という感じですか?
熊谷:はい。いつかは世界を舞台に戦ってみたいと思うこともあるんですが、まだまだ弱いので目の前のレースを一つずつ自分のレースで勝てるように頑張りたいです。
山口:バンクの周長は好き嫌いなどどうですか?
熊谷:地元で練習している紫波自転車競技場が33バンクなので33バンクは走りやすいかなと思います。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
熊谷:逃げきれるような脚をつけて1着を取れるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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8月15日から行われるオールスター競輪の3日目に、ガールズケイリン総選挙の1~7位になった選手たちによる『ガールズドリームレース』が行われます。久しぶりにドリームレースを走る山原さくら選手(高知104期)に意気込みや、近況の成績、パールカップ(GI)の振り返りを伺いました。
山口みのり:今年はガールズケイリン総選挙では6位で『ガールズドリームレース』に選出されました。結果を見ていかがですか?
山原:まさか選んでいただけると思っていなかったので、めちゃくちゃびっくりしました。
山口:昨年は『アルテミス賞レース』を走りましたが、ドリームレースはまた違いますか?
山原:はい、1~7位に選ばれるというのは凄いことだと思います。私もここ数年はドリームレースは選ばれていなかったので、もちろん昨年のアルテミス賞に選んでもらえるのも嬉しいんですが、やっぱりドリームレースは気持ちが違うというか、更に嬉しいです!
山口:それはここまでの活躍をお客様が見ていた証拠ですね。
山原:選んでもらってからそう言っていただけることも多いんですが、そんな風に皆さんが思ってくれているのも嬉しかったです。
山口:ドリームレースの他6人の印象はいかがでしょうか?
山原:本当に『ドリームレース』というメンバーですよね。やばいです(笑)どうなるんだろう、って思ってます。
山口:ファン目線ではすごく楽しみですけどね(笑)
山原:グランプリ女王だったり、近況のビッグレースを取った選手、世界でも戦っている選手、ずっと強い選手、本当に凄すぎます。それぞれの一番が集まっている感じです。戦法もみんなが自力だけど、捲りが強い、カマシが強い、何でもできる、とそれぞれの分野で強い人が集まっているので、まだ客観的に「すごいなー」と思っちゃいますね(笑)
でもその中で自分も選んでもらったので、ビビらずに存在感を出していきたいです。
山口:オッズパーク杯ガールズグランプリ2022を走った後にお話を伺った時は、「メンバーが決まってから1か月間は作戦を考えていた」というお話がありました。今回はいかがですか?
山原:グランプリの時も頭を抱えましたが、今回は特に強烈すぎて一周回ってどんな感じになるか楽しみです(笑)強すぎる選手ばかりなので、なかなか思うような展開にはならないと思いますが、逆にすごいメンバーが集まっている分、お互いがちょっとけん制する場面もあるかな、と。そんな時は思い切り仕掛けられるようにはしておきたいです。
山口:昨年のガールズグランプリもけん制し合うような場面がありましたね。
山原:はい。ただグランプリでけん制があったからこそ、今回はそうならないように皆さん考えていると思います。でもチャンスはゼロではないので、自分も持ち味を出せるところから仕掛けられたら良いなと思っています。
山口:ほとんどの選手が先行もしそうな選手たちでしょうか。
山原:最近でも先行で勝っている選手もいますね。ただでさえ強いのに、本番になると「本物の強さ」を出してくるメンバーばかりです(笑)自分が出来ることは、集中してレースに臨むだけですね。
山口:西武園のバンクはイメージいかがですか?
山原:優勝はあるんですが、すごく良いイメージはないんです。捲りが決まりにくいのでその辺りは考えてレースを組み立てたいです。そもそもそんなに走った経験もないかもしれませんね。最近はコロナ禍もあり、西の開催が多かったですから、東日本の競輪場はビッグレースで走るくらいでしたからね。
山口:捲りが決まりにくいなら、先行やカマシを良いタイミングでできればチャンスはあるんでしょうか。
山原:今まで私が西武園で着外だったパターンは、捲り不発で勝てない時だった記憶があります。その結果を踏まえて、メンバーは強烈ですがあまり遅い仕掛けだと逆に厳しくなると思い、いつもよりは早くというイメージではいたいですね。
山口:ありがとうございます。それでは直近のレースを振り返ります。パールカップ(GI)は復帰戦だったんですね。
山原:はい。落車で怪我をしてしまい治りが遅く、復帰がパールカップ(GI)になってしまいました。不安と緊張もたくさんあり、その前に「パールカップ(GI)までに復帰が間に合えば良いな」という感じでした。
山口:そうでしたか。走ってみていかがでしたか?
山原:決勝にはいけませんでしたが、思っていた以上に動けました。何とかなりそうだなという感覚があり、その後から良い調子になってきましたね。
山口:その後の小倉でベストタイムが出たという記事を見ました。
山原:そうだったんです。3日間通してタイムが良かったんです。今までは3日間全部のタイムが良いというのは、私はあまりなかったんですが、2日目のタイムが小倉では見たことないくらいのタイムが出ました。
山口:トップ選手からは特に、最近のタイムの話もよく聞きますね。
山原:そうですね。上位の選手は11秒なかばでも出してきます。それに対応して自分も出さないと同じ土俵では戦えないです。
今まで、流れの中でだんだんスピードが上がっていく時はタイムが出せるタイプだったんですが、スローペースから一気にトップスピードを出すのが苦手でした。そういう時が負けパターンだったんですが、最近はそういう時にも対応できている気がします。トップスピードを上げるのはずっと課題の一つだったんですが、取り組んできた結果が最近出てきているのかなと思います。
山口:函館・ガールズケイリンフェスティバルでは連勝で決勝でしたね。
山原:実は初日がかなり脚が重かったんです。「大丈夫かな」と心配していたんですが、レースは展開に恵まれ何とかカバーが出来ました。2日目も緊張感を持って臨んだんですが、変な緊張感ではなく良い緊張感でレースを走れて、2日目で「調子が良いな」と思いました。
山口:決勝はドリームレースのようなメンバーでしたね。
山原:はい、凄いメンバーでしたが自分にもチャンスがあると思い、体も気持ちも良い状態で迎えられました。ただ決勝では発走直後に他の選手が落車というアクシデントがあり、待っている時も「レースはできるんだろうか、もしかしたら中止になるかもしれない」という気持ちがどこかでありました。15分くらい待つ時間があったんですが、待機場所も暑いところで、アクシデントなので仕方がないですが、それで集中しきれなかったんでしょうね。良い状態で迎えたのに、本当に悔しかったです。調子が良く、強い選手を相手に私はどこまで勝負ができるんだろうと楽しみだったんですが、「絶対はない」というのを改めて感じました。
山口:まさか、というようなこともあるんですもんね。
山原:本当ですね。ビッグレースでスタートのやり直しは初めてだったので、集中力が切れてしまい本当に悔しかったです。
山口:その悔しさは次へぶつけて、ですね。
山原:はい!
山口:ではパールカップ(GI)についてお伺いします。初のGIでしたが雰囲気はいかがですか?
山原:ビッグレースの参加は今までもあったので、特にいつものビッグレースと変わらない感じでした。ただビッグレース初めての期の若い選手とかは緊張しているかなという雰囲気はあったんですが、ベテラン勢はそこまでではなかったです。
ただ優勝したらグランプリに繋がるのでそこに向けて、というのはあったと思いますが、いつもの緊張感のあるピリッとしたビッグレースの雰囲気だったかなと感じました。
山口:この後のGIも2つありますし、山原選手は出場も決まってますよね。
山原:そうですね。出られるんですが、ビッグレース出場の選手はスキがなくて強いです。最近はビッグレースの開催も増えてきて、走る機会も多いから、みんなが底上げをしてきているのを感じます。
ビッグを走って失敗して「また次頑張ろう」と、今までは思っていたんですが、そんな感じじゃあっという間において行かれてしまうと感じます。みんなのレベルアップの仕方が尋常じゃないので、失敗したら次それをいかせるように、持ち帰って練習して、次どう改善して結果に繋げるかをしていかないと、成長できないし終わってしまう。そんなハイレベルのメンバーの中で戦えるのは嬉しいですね。
山口:最初から勝負ですもんね。
山原:そうですね。みんな本当に強いです。余裕はないですが、10年くらいの経験はあるので期の若い選手たちと比べると、気持ちは落ち着いて走れているのかなと思います。
山口:ガールズケイリンフェスティバルでは1、2期生のガールズ選手が決勝に4人いましたもんね。
山原:そうなんです。出場した1、2期生の全員が決勝に上がったので頑張ってますよね(笑)「おばさんたちまだまだやるよね!(笑)」と小林莉子(東京102期)とも話していました。
山口:凄いですね。
山原:そうですよね。年齢だけじゃないですよ(笑)
山口:練習面の充実ぶりもうかがえます。防府へ練習に行かれているという記事を拝見しましたが今もですか?
山原:今は防府は改修をしていて11月まではバンクが使えないんです。今は高知に戻って練習をしているんですが、それまではずっと防府で家も借りて練習はお世話になっていました。また使えるようになったら行く予定です。
山口:どんな環境だったんですか?
山原:周りものどかで自然がたくさんです。逆に言うと練習しかやることがない。良い環境です。男子選手だと桑原大志さん(山口80期)や清水裕友くん(山口105期)、取鳥雄吾くん(岡山107期)などと一緒に練習させてもらっていました。皆さん「GIを優勝する」「グランプリを目指す」という高い目標でレースも練習もしているので、同じ空気を感じて練習をさせてもらっていると、いつもの練習もとても刺激になります。1日1日、きつい内容でも楽しく練習させてもらえて、気持ちの面でも大きく強くなれたと思います。
山口:更にレベルアップできた環境なんですね。では今年後半への目標は何ですか?
山原:残りのGIの優勝を目指したいです。私の今の賞金ランキングだとグランプリ出場は厳しいと思うのでGIを優勝するしかないですね。今までだったら追加を走って走って、少しずつ賞金を積み上げていくしかなかったですが、今はGIがあるので、そこへ向けてモチベーションを高めていきたいです。今年は本当に良い制度になったと思います。
山口:それでは、最後にオッズパーク会員の皆さんへメッセージをお願いします。
山原:いつも応援ありがとうございます。今年は前半がスタートダッシュを失敗してしまい、調子が悪い時もあったんですが、皆さんの応援のおかげで大分調子も戻ってきました。残りのビッグレースで自分の力を出し切って優勝できるように頑張るので、また応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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今年もガールズケイリン総選挙の結果が発表され、上位になった選手たちによる『ガールズドリームレース』『アルテミス賞レース』があります。昨年アルテミス賞レースを優勝した小林莉子選手(東京102期)に連覇に向けての意気込みや、近況の成績、パールカップ(GI)の振り返りを伺いました。
山口:近況からお伺いします。パールカップ(GI)の最終日に落車がありました。怪我の状態はいかがでしょう?
小林:だいぶ良くはなってきましたが、まだ反応が鈍いですね。瞬間的な動きがまだまだかなと思います。
山口:その後のガールズケイリンフェスティバル(函館)では決勝進出されましたね。
小林:なんとかギリギリでしたけど上がれました。
山口:初日は外並走になり苦しい形でしたね。
小林:飛びつかれた時に、外並走をこらえて伸びたかったんですが、踏み直しがまだ本調子ではなかったです。レースを走ってみて足りない部分がわかりました。
山口:フェスティバル後の高松では完全優勝もされました。徐々に良くなってきていますか?
小林:決勝は捲りだったんですが、体の動きも確認できましたし、セッティングの修正点も見えたので収穫のある優勝でした。
山口:修正点というのは落車後の、ということですか?
小林:はい。他人の自転車を乗っているような乗りにくさがあり、自転車と自分の感覚のギャップがあるなと思っていました。セッティングは、怪我をする前のに戻しつつあったんですが、新しい部品を試したりもしていたので、馴染むまでに時間がかかったかなと思います。
山口:ガールズの選手はセッティングを師匠や他の方に見てもらう、というのをよく聞きますが、小林選手はご自身でされるんですか?
小林:自分でする時もあれば、兄弟子に聞くこともあります。でも今回はわからなくなってしまったので、いろんな方に聞きながらしました。
山口:アルテミス賞レースも迫っていますね。今年も選出されましたがいかがですか?
小林:毎年選んでいただき、レースに乗せていただいているのでたくさんの投票、本当に嬉しいです。去年やっとアルテミス賞を優勝できたので、今年も同じ場所(西武園)でまた勝って恩返しがしたいです。頑張らなければと思います。まずは乗せていただいたので、それに応えたいです。
山口:去年お話を伺った時は、「コレクションを優勝できていない」というお話があってのアルテミス賞優勝でした。次の目標は何でしょう?
小林:ビッグレースの決勝は何度かありますが優勝ができていないので、アルテミス賞は取れましたが、勝ち上がりのある大きい大会はまだ優勝がありません。「優勝できたら良いな」ではなく「優勝できるように」頑張っていきたいです。
山口:今年はGIが始まり、単発レースが今までより減るかと思います。その辺りはいかがですか?
小林:勝ち上がりが難しくなってくると思います。GIが出来て流れが変わりました。でもガールズケイリンが認められて男子のGIに組み込まれていくのはありがたいことだと感じています。
山口:ではGIのお話はまた後半にじっくりお伺いします!アルテミス賞レースのメンバーを見ていかがですか?
小林:毎年強い選手がたくさんいるので緊張しています。
山口:西武園のバンクについてはいかがでしょう?
小林:たまに練習にも入らせてもらっていますし、去年のアルテミス賞の他にも優勝したことがあるので、相性は良いと思います。
山口:自力タイプ、自在タイプといろんなタイプの選手がいますね。
小林:どうレースが動くか、まだ全然想像がつかないです。
山口:去年のアルテミス賞では、動くタイプの選手に切り替え切り替えての優勝でしたね。
小林:良い位置にいたいのはもちろんですが、今年自分の中で課題にしている「トップスピードを上げる」「捲りを出す」というのが、もしかしたら必要になってくるのかなという気がしています。でも基本的には自在で動ければなと思っています。
山口:では連覇目指して、ですね。
小林:頑張ります!
山口:ではGIについてお伺いします。パールカップ(GI)の雰囲気はいかがでしたか?
小林:新設のレースだったのでみんな緊張感がありました。高松宮記念杯競輪(GI)に組み込まれたので、男子選手のGIの雰囲気も3日間味わえたし、個人的には勉強になりました。
山口:勉強になったというのは、過ごし方のようなところですか?
小林:それももちろんですが、レースの取り組み方や勝ち上がりへ向ける気持ちの作り方、アップの仕方など、いろんな選手を見て勉強になったなと感じました。一走一走、失敗すると勝ち上がれないので、自分のピークをどう持っていくかなど、シビアな戦いの中でどう動くかを見られました。
山口:今後ガールズケイリンのGIに向けての参考になりましたか?
小林:とても参考になりました。
山口:具体的にどなたかと話しましたか?
小林:東京埼玉というくくりで近いので、平原康多選手(埼玉87期)とは何度か話しました。気持ちの持っていき方やレースの取り組み方などアドバイスもらいました。
山口:GIは一つ終わりましたが、今年からのGI新設についてはどう感じましたか?
小林:素直に嬉しかったです。ガールズケイリンにGIができるのはもっと先かなと思っていたので、こんなに早く認めてもらえて選手数も増えて、ビッグレースを組んでもらえたのは嬉しいです。ただオッズパーク杯ガールズグランプリに出場するのは更に難しくなったんですけどね。それでもそれ以上に嬉しかったです。
山口:初GIパールカップの決勝7人のうち、1期生が小林選手と荒牧聖未選手(栃木102期)の2人が勝ち上がったのは凄いですね。
小林:1期生は、一緒に1年間競輪学校(現:競輪選手養成所)に入って、デビューしてからもギリギリの戦いの中でお互いいたので、1期生が2人決勝に乗れたのは嬉しかったです。荒牧さんと一緒に「まだまだこれからだぞ、1期生」というのを見せられたかなと思いました。
山口:最初からずっとガールズケイリンを引っ張ってきて、今もなおトップでも活躍しているということですもんね。
小林:11年目ですが、「まだまだトップで頑張るぞ」という存在感は示せたかなと思います。
山口:ガールズケイリンの最近の流れについてお伺いします。近況いろんな選手の台頭があると思いますが、いかがでしょう?
小林:ガールズケイリンがレベルアップしたのは、まず児玉碧衣(福岡108期)が一強の時代があったからだと思います。どう倒すかみんなが研究し、練習し、その中で全体的なレベルが上がっていき今は誰が勝ってもおかしくないです。その中で児玉も「どうしたら負けないか」を研究している。以前と比べて「本命は誰が見てもこの人!」というのではなくなってきたと痛感します。
山口:混戦の中でレースを組み立てているんですね。戦法も広がっていますか?
小林:最初はスタートを取って、誰かが逃げて、と単調なレースがほとんどでした。今はゴール前まで誰がどこから捲ってくるかわからないし、内を開けたらすぐすくわれてしまう。そういう意味では全体的なレベルがここ数年で上がったと思います。
山口:スピードやタイムの話は選手たちからよく出ますが、コース取りや位置取りなどの自在の面でもレベルは上がっていますか?
小林:上がってます。自力対自力のように、強い人に力だけで勝つ以外は、戦法で勝つしかないです。戦法も多彩になってきていて、お手本にする選手が増えてきました。トップのレースは、一瞬のスキも許されない雰囲気になってきている気がします。
山口:パールカップの予選では小林選手の「何とか前へ」という気持ちを感じました。最初は後方で、一車ずつ前にのレースでしたね。
小林:後方になってしまうと苦しい展開になるので、一車でも前へという気持ちは強いです。コースを見極めるのは経験も大きいのかなと思います。
山口:今年のビッグレースでは久米詩選手(静岡116期)が活躍しています。イメージはいかがでしょう?
小林:もともと強いなとは思っていたんですが、5月のガールズケイリンコレクションを優勝してから一気に勢いに乗ったのかなと。ビッグレースを優勝するというのは大きいんだなと思いますね。
山口:小林選手とは仲良しですよね。変化は感じますか?
小林:そうですね(笑)久米はナショナルチームの練習に入り始めて、「練習内容とかどんなのやってるの?」と聞くことも多いです。今は、勝ちへの強い意識が出ているのかなと感じます。今までは「強い人に勝ちたい」くらいの漠然とした気持ちだったように思うんですが、コレクション優勝後は本命も背負うので「トップ選手としての自覚や責任」を感じてる気がします。常に注目されている、というのを感じているんだろうなと。
山口:5月コレクションと7月ガールズケイリンフェスティバルの連続優勝ですもんね。
小林:メンタルは強いなと思います。学ぶところも多いですね。
山口:久米選手のお人柄というか、オッズパークのビッグレース直前配信でも先輩選手から愛のあるいじりをされているのをよく見るので、普段から良い関係を築いているのかなと思っていました。
小林:そうですね!久米はいろんな人と話すタイプで、先輩選手にも打ち解けてすぐ飛び込んでいくので、センスなんだなと思います。
山口:ありがとうございます。それでは小林選手の今後の目標は何でしょう?
小林:落車の影響もありグランプリ出場は今の時点でギリギリです。今後の2つのGI『オールガールズクラシック』と『競輪祭女子王座戦』、どちらかの優勝を狙いたいです。
山口:ナショナルチーム組も優勝を狙ってきそうですね。
小林:かなり厳しい戦いにはなると思いますが、気合い入れてそこを目指して練習もしていきます。
山口:今(7月下旬)の賞金ランキング7位。ボーダー上ですね。
小林:グランプリ出場はもちろん目指すんですが、GIが出来たことで「優勝してグランプリを決めたい」という気持ちも大きいです。それにどこかで優勝するとその時点から賞金争いからは解放されるので、特に次の10月を優勝する、というのは重要です。賞金ランキングでのグランプリだと毎年ギリギリまで走っているので、ちょっと疲れて参加になってしまいます。1本取って、年末を勝つためにしっかり練習して臨むのがベストです。
山口:パールカップでの児玉選手が「賞金ランキングでグランプリ出場は厳しいから優勝するしかない」と明言していましたね。
小林:パールカップ参加メンバーは「GIを優勝して勢いをつけてグランプリを走りたい」と思っていたと思います。
山口:次は10月です。取材時はまだ発表されていませんが、賞金ランキング上位ですから出場は出来そうですね。(補足:8月1日、選考順位10位で出場決定)
小林:そうですね。取らないとグランプリ乗れなさそうなので頑張るしかないです。ボーダーの選手たちはみんなそう言ってますけど、結構絶体絶命の賞金ランキングですからね。しっかり狙いたいです。
山口:ありがとうございます。最後にオッズパーク会員の皆様へ、まずは直近アルテミス賞レースへ向けての意気込みをお願いします。
小林:まずは選んでいただいたお客さんへ向けて、去年は優勝できたし連覇を目指して頑張りたいです。
山口:今後の意気込みもお願いします。
小林:今年の前半は落車など、お客さんにはご迷惑をお掛けした部分が多かったですが、後半戦はしっかり1着をたくさん取ってガールズグランプリに繋げられるように頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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函館競輪場で行われたサマーナイトフェスティバル(GII)。
決勝戦では脇本雄太選手(福井94期)とのサプライズ連係もある中で、3連覇という偉業を達成された松浦悠士選手(広島98期)にお話を伺いました。
大津:サマーナイトフェスティバル優勝おめでとうございます。
松浦:ありがとうございます。
大津:お気持ちはいかがでしょうか。
松浦:なかなか3連覇は出来ることではないので素直に嬉しいです。相性も良い大会なので、そこも後押ししてくれたのかなって思います。
大津:連覇への意識はありましたか。
松浦:そうですね、昨年連覇したことで3連覇ってのはかなり意識しましたけど、脇本さんと決勝で連係したことによって、その意識は強くなりすぎず走れました。
大津:高松宮記念杯(GI)では決勝進出、小松島記念(GIII)では優勝と良い流れでサマーナイトを迎えられたのではないですか。
松浦:走る中でストレスなくレースを出来るようになったっていうのが大きかったです。自分のやりたかった競走が高松宮記念杯(GI)から出来るようになって、それが結果に繋がっていると思います。
大津:ご自身らしさを取り戻せた要因は何だったのでしょうか。
松浦:バンクが使えなくなったので練習方法は変えざるを得なかったのですが、それ以上に武雄での落車がかなり尾を引いていたので、それが治ったというのが一番です。
大津:函館競輪場のバンク相性も良いように感じます。
松浦:函館は気温や湿度の関係で凄い走りやすくて、それも大きな要因だと考えます。
大津:全国的に厳しい暑さが続いていますもんね。
松浦:そうですね、そういった意味でも函館は良い条件の中で走れたという感覚はありましたね。
大津:選手の中では前泊して函館のグルメを楽しまれた方もいらっしゃったようですが、松浦選手はいかがですか。
松浦:それが身体の治療の予定が合わなくて東京に泊まることになってしまい、僕は前の日に函館に入ることが出来なかったんです。
大津:初日は単騎でのレースでしたが、どのような競走をイメージされていたのですか。
松浦:赤板くらいから展開が激しくなりそうだなって雰囲気があったので、どこのラインの後ろにいるのが最適なのかを見極めるのが大切だと考えてました。
結果的に脇本さんの3番手から始めるってのを選んだんですが、初日に関してはレースミスだったかなって感じました。
大津:1走してみてご自身でコンディションはどのように捉えていましたか。
松浦:めちゃくちゃ調子いいなって思いました。
脇本さんが行った後の古性君(古性優作選手・大阪100期)の感じがけっこうキツそうだったので「あー、キツいんだ。」って思って。僕はそこまでキツくなくて、まぁ余裕はなかったんですけど、それでなんか調子良いなぁって感じました。
大津:そのお言葉通り準決勝戦は圧巻のレースでしたね。
松浦:一番良い時の動きが出来たなっていうのはあります。
大津:後ろに付けた山田英明さん(佐賀89期)が「競輪人生の中で一番びっくりした。」とコメントもされていました。
松浦:そういって表現してくれるのは嬉しいです。
タイプは違うと思うんですが、脇本さんや犬伏君(犬伏湧也選手・徳島119期)の後ろっていうのは英明さんもないと思うので、犬伏君の後ろに付くと自分は自信がなくなるというか・・・。そうですね、そんな僕の後ろでもそういう風に思ってくれるんだっていうのは嬉しかったです。
大津:今大会での一番のサプライズは松浦さんが脇本さんと連係したことだと思いますが、改めて経緯を教えていただけますか。
松浦:去年くらいから機会があれば付かせてもらいたいなとは思ってたんです。
競輪の走り方だけじゃなくて脇本さんの人間性とか、そういうところも僕の中での判断材料になりましたし、戦っていく中で、ファンに近い感覚になってたんです。
昨年の富山記念(GIII)の時に四日間すごい良いレースが出来たんですけど身体がとてもしんどくて、でも脇本さんは、僕以上の距離をいつももがいていて。
ただ強いだけじゃなくて、キツくてもしっかりレースで100%出し切るって姿が凄いなぁって思ってて、チャンスがあれば連係したいと考えていました。
大津:そういった想いは脇本さんに伝えていたんですか。
松浦:はい、何回か話はしていました。
大津:いざ連係する旨を伝えた時の脇本さんのリアクションはどうだったんですか。
松浦:付いてくれるなら頑張るよって感じでしたね。
大津:決勝戦に向けての作戦会議はあったんでしょうか。
松浦:特にはなかったです。スタートの位置の確認だけで、あとは行けるところから行くねって。なんかいつもそんな感じみたいなんで。
大津:脚見せや発走機でのファンの声援はいかがでしたか。
松浦:脇本さんと連係を決めないといけないって思っていたので、決勝戦に関しては周りの声はほとんど聞こえていなかったです。
そういう意味ではとても集中出来ていたのかなぁと。
大津:松浦さん自身はどのような所に気を付けて走っていたのですか。
松浦:脇本さんの番手に付いたことがなかったので、どれくらいの加速なのか、どこから踏み上げていくのかとか、連結を外れてはいけないってことだけ考えていました。
離れてしまうと脇本さんに迷惑がかかってしまいますから。
そこに意識が集中出来ていたので、僕自身の3連覇っていうことに変に意識が向き過ぎずに良かったのかなと思います。
大津:実際に脇本さんの後ろに付いてみていかがでしたか。
松浦:力は凄いのは勿論なのですが走る技術も非常に高いなって感じました。ライン取りとか踏み上げ方とか、そういう技術の凄さを付いてて思いましたね。
大津:色々な方の番手に付いたこともありますが、脇本さんは別次元って感じですか。
松浦:そうですね、「力だけじゃなかったんだ。」って。これは実際に付いてみないと分からないことでした。この経験を中四国の若手の子たちにも伝えていきたいですね。
大津:ゴール前の直線を振り返っていただけますか。
松浦:いや、もう脇本さんのかかりは凄かったですし、最後の踏みなおしも強烈だったので自分の余力がどれくらい残っているかわかりませんでした。ただ、後ろから来られることはないなとは思ってました。「抜けるぞ」って感覚は全くなくて「抜けるのかな?」って感じでした。
大津:ゴール後は脇本さんと話されましたか。
松浦:あまりはっきりとは覚えてないんですが「ありがとうございます。」って言ったような気がします。
大津:後半戦に向けてどのようなレースを見せていきたいですか。
松浦:自分らしい動きというのは良い位置を取ったりだとか、勝負どころを逃さないことだと思ってて。
調子が悪い時は、そのタイミングをなるべく遅らせたりとかテクニックに拘ったりし過ぎた部分があるので、もっとイキイキと動くところを見てほしいですね。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様に意気込みをお願い致します。
松浦:今回こうやって結果を残すことが出来て嬉しいです。また良いレースが見せられるよう頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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