今日は東京競馬場。
久し振りに馬券を思いっきり買って、4戦3勝と調子に乗り、最後のオークスですべてドボン・・・
安藤さんから買っていた私は、完全なタテ目にちょっと涙目。
でも、いーさっ。勝った『カワカミプリンセス』は強かったし、『フサイチパンドラ』の復活した走りっぷりも嬉しかった!
その後、現役時代の恩師である新谷さんと、築地でお寿司♪お腹いーっぱい食べて、至福のひと時。
新谷さんは、高崎の名物厩務員さんで、『ヒロベスト』や『ティーケークイン』、『トミケンヒーロー』などで、数々の大きいレースを制している、この道30年以上の大ベテランです。
レースに自分の馬を出走させる時はいつも自信満々で、パドックやゲート裏なんかで、
「○番の馬は本命だけど、こずんでいるから気にするな。」とかって、大きい声で言うからハラハラしてました・・
そんな感じだったので、さぞ馬の仕上げに対して自信を持っているのかと思ってたけど。
「馬は生き物。いくら人間が仕上げたつもりになっても、走ってみないとわからない。」
初めてそんな言葉を聞いて、ビックリの私。
新谷さんの担当馬は、たとえ鞍上が私でも、必ず人気になっていました。
周りには絶対見せなかったけど、プレッシャーがあったんですね。
「パドックで、ジョッキーの足を上げるとホッとした。」そうです。そこから先は、ジョッキーの仕事ですからね。
「そんな風に思ってたなんて、全然知らなかった!」と言うと、
「当たり前だ!俺が不安がってたら、馬にもお前にも伝わるだろ。自信を持って競馬場に行けるように、毎日精一杯仕事するんだよ。」
おぉ・・いい事言うじゃないの。
「お前を乗せるようになってから、馬の仕上げに対して今まで自信持ってたものが覆されたよ。それまでは、これくらいやれば勝てるっていうのがあったのに、お前はとんでもないレースをしてくれるからな。
お前でも勝てる馬をつくるのが、面白かったよ。」
それはそれは・・スミマセンでした・・
そういえばいつも、
「調教でもレースでも、この馬に乗れるのは最後だと思って、真剣に乗りなさい。そうすれば、たとえ馬が壊れてしまっても、悔いが残らないから。」と言っていた。
前にも書いたけど、初めて競走馬を殺してしまった時、この言葉の意味を理解した私。
経験してから学ぶ事は間違いではないけれど、取り返しのつかない場合もある、という事を知りました。
新谷さんは、私をジョッキーとして、というよりも、競馬を通して人間的に成長させようとしてくれました。レースに勝っても怒られてましたから、
「なんて厳しい人だ!」と思っていたけれど、今になるとあの厳しさが優しさだったのだと、心から思う。
現在新谷さんは、境町トレーニングセンターで開業しています。高崎けいば時代、多くの馬主さんや競馬関係者との信頼関係を築いていたので、たくさんの馬たちを預託され、忙しく楽しい毎日のようです。
「一番の財産とは、人脈だ。そしていい人脈を作るためには、日々真面目に生きる事だ。」
10年近くにわたり、新谷真司流の生き方を学んだ私は、自分で言うのもナンですが、だいぶ成長出来たと思う。
このブログ用の写真を撮ろうとしたら、「絶対イヤだ!」と、激しく抵抗している姿が可愛かったな。
「南関東の外厩が認められたら、また忙しくなるぞ〜!」と、嬉しそうに帰って行きました。
まだまだ現役で馬に乗る、ちょっぴりシャイで元気な60歳。「長生きしてね☆」な〜んて言ったら、怒るだろうな・・