無敗の兵庫ダービー制覇が期待されたマジックカーペットの戦線離脱によって混乱したダービー戦線。マジックカーペットとの対戦を避けて高知優駿に出走予定だったブレイヴコールが一転、地元出走となった。兵庫ダービーの1着賞金が1000万円、高知優駿が500万円なら、まあそういうことになるのだろう。
実質的に兵庫ダービーの前哨戦となった5月26日の3歳AB特別は、マジックカーペットが横綱相撲という勝ち方で、ジンバイッタイが5馬身差で2着。ブレイヴコールはそこから大差がついての3着だった。大差がついたのなら、ジンバイッタイ>ブレイヴコールという序列と安易に考えがちだ。しかし、「1頭だけ抜けて強い馬がいるレースでは、2着以下の着順と着差は、それが実力を示すものではない」ということは、ことあるごとに言っていること。実際そのレースでも、ハナをとったブレイヴコールは、ぴたりと直後につけたマジックカーペットにずっとプレッシャーをかけられていた。対してジンバイッタイは、マジックカーペットからやや離れた位置からの追走だった。
そういうわけで、厳しいレースを強いられたがゆえに直線バテてしまってたブレイヴコールが巻き返すと見る。父カルストンライトオは新潟直線1000メートルで大活躍したが、今年のダービーシリーズの勝ち馬は、ベンテンコゾウ、ヒガシウィルウィンの父がサウスヴィグラス、キングジャガーがキングヘイローと、短距離で活躍した種牡馬の産駒の活躍が目立っている。ブレイヴコールには初騎乗となる川原正一騎手が兵庫ダービー初制覇となるかどうか。
ジンバイッタイの田中学騎手は、07、08、10年と兵庫ダービーを3勝。7年ぶり4度目の兵庫ダービー制覇がかかる。
以下は能力比較が難しいが、菊水賞6着も、その後の3歳A特別で2、2、1着と調子を上げているスリーピーアイを3番手にとった。
兵庫若駒賞を制したナチュラリーも、菊水賞4着、兵庫チャンピオンシップJpnIIでは地元最先着の6着と堅実に走っている。連下候補として有力だが、ここにきての上積みまであるかどうか。
イオタイザンも、園田ジュニアカップ4着、菊水賞5着と重賞ではあとひと息だが、特別では常に上位争い。3月の特別ではナチュラリーに先着してマジックカーペットの2着もあった。
川原騎手がブレイヴコールに騎乗することになり、鞍上が空いたホープクリスエスには木村健騎手が収まった。2歳時は5戦3勝、2着2回という成績で、半年以上ぶりの復帰で3歳初戦となった前走が3着。叩き2戦目での上積みも考えられる。木村健騎手は昨年、6番人気で単勝41.5倍のノブタイザンをあっと驚く勝利に導き、兵庫ダービーは過去6年で5勝という活躍。マジックカーペットで今年も、となるところだったが、この馬での一発も警戒したほうがいいかもしれない。
◎11ブレイヴコール
◯8ジンバイッタイ
▲4スリーピーアイ
△2ナチュラリー
△3イオタイザン
△6ホープクリスエス
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岩手所属ながら北海道の三冠を目指しているベンテンコゾウの二冠目、北海優駿は、距離延長を不安視する声もあったが、むしろ距離が延びて他馬を圧倒する強さを見せた。当然のことならがここは不在となるが、馬主の大久保和夫さんは岩手ダービーを諦めるのではなく、船橋で3勝を挙げているハドソンホーネットを移籍させてそのタイトルを獲りに来た。南関東の3歳一組を勝ったという実績に加えて、父ロージズインメイ、母父アドマイヤベガという血統なら、距離延びてさらにという可能性も考えられる。
今シーズンのダート重賞、スプリングカップ、やまびこ賞で1、2着を分け合ったのがサンエイリシャールとキングジャガー。スプリングカップは、逃げたキングジャガーに対して、サンエイリシャールは中団を追走して向正面から早目に位置取りを上げ、直線でとらえ力でねじ伏せた。続くやまびこ賞は、最後の直線で全馬の脚が上がってしまうような展開で、サンエイリシャールはキングジャガーをついにとらえきれずという競馬。前にいたキングジャガーに展開の利があった。そして今回、水沢に戻るということであれば、サンエイリシャールのほうを上にとる。
留守杯日高賞で1、2着の牝馬、ダンストンレガーメ、グラマシーが、牡馬相手にどこまで迫れるか。
◎10ハドソンホーネット
◯9サンエイリシャール
▲7キングジャガー
△3ダンストンレガーメ
△5グラマシー
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中央から転入したメイジンが無敵の5連勝中。しかしさらに強力な馬が中央から転入してきた。トウショウフリークだ。9歳の昨年は、あまり順調には使えなかったようだが、それでも12月の師走S、1月の東海ステークスGIIでは勝ち馬から1秒ちょっとの差。転入初戦の前走、A1級二組は当然のことながら逃げ切り楽勝。名古屋グランプリJpnIIやダイオライト記念JpnIIで2着という戦績からも、2000メートルを超える距離ならさらに強いレースを見せてくれそうだ。
メイジンはここまで金沢では敵なしだが、トウショウフリークが昨年まで中央のオープンでそこそこの勝負をしていたのに対し、500万条件で頭打ちだったという実績ではいかにも分が悪い。楽勝続きの金沢でどこまでパワーアップできているか。
トウショウプライドは、前走菖蒲湯まつり特別では4着に沈んだものの、メイジンに真っ向勝負を挑んでのもの。着狙いの競馬ならおそらく2着は確保していただろう。
ミスアバンセは、南関東時代に戸塚記念を制した実績があり、園田ではA1特別で苦戦が続いたが、転入初戦のA1特別を快勝。どこまで調子を戻しているか。
重賞やA1特別で安定して上位に食い込んでいるトニーポケットも連下争いなら。
◎8トウショウフリーク
◯2メイジン
▲6トウショウプライド
△12ミスアバンセ
△11トニーポケット
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A級馬による1800メートルのS2重賞。前走が久々の勝利で復活かというキョウワカイザーが回避となって混戦模様。
10歳でも3カ月ぶりの実戦となるコウギョウダグラスに期待する。大井から転入してS2重賞で2着、2着のあと、はがくれ大賞典では強敵相手に5着は評価できる。南関東では短距離を使われていたが、2走前の鏡山賞、続く前走はがくれ大賞典(ともに2000メートル)のレースぶりから距離もこなせる。年を重ねていい意味でズブくなったとも考えられる。
相手にはコスモポッポ。12月の師走賞を勝って以降は、1秒以上の差での敗戦が続いていたが、それはコウザンゴールド、ウルトラカイザー、キングプライドなど、一線級相手でのもの。それでも前走はキョウワカイザー相手に3着とまずますの好走を見せた。今回はそうした強豪が不在となって、いかにもS2重賞というメンバーが相手ならチャンスはある。
前走北山湖特別でコスモポッポに先着して2着だったのが、コスモガラサ。A級のS2重賞でたびたび上位争いにからんでいるだけに◎◯とも差はない。
ダンシングは、昨年11月以降はすべて3着以内の好走。ただ使われてきたのが1400m戦ばかりで、久しぶりの中距離戦が課題となりそう。
前走九千部山賞でウルトラカイザーの2着だったロードフェリーチェも、今回が佐賀では初の中距離戦となるだけにどうか。
◎7コウギョウダグラス
◯8コスモポッポ
▲5コスモガラサ
△6ダンシング
△1ロードフェリーチェ
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ホッカイドウ競馬でデビューしたニシケンモノノフが約4年ぶりの里帰り出走となる。昨年末の兵庫ゴールドトロフィーが、2歳時の兵庫ジュニアグランプリ以来、久々の重賞勝ち。とはいえ2015年以降、掲示板を外したのはたった一度だけ。それが地方のダートグレードだけということなら、能力差もあってそれほど難しいことではなさそうだが、能力が拮抗した中央のオープンや重賞を使われてということでは、安定して能力を発揮している。2走前、フェブラリーステークスGIで、勝ったゴールドドリームからコンマ5秒差の5着も評価できる。3歳以降、1200メートル戦の経験は少ないが、昨年、天王山ステークスを勝って、カペラステークスGIIIでも2着なら、存分に能力を発揮できる舞台だ。
ショコラブランは、1番人気に期待されたかきつばた記念JpnIIIは残念ながら3着。初めての地方参戦が直線の短い名古屋コースということで、他馬の早めの仕掛けに対応できなかった印象。経験豊富な3、4コーナーを回るだけの1200メートルの舞台で巻き返すと見る。
地元のスプリントチャンピオン、アウヤンテプイが8歳になった今季初戦を勝利。まだまだ衰えのないところを見せた。このレースは5年連続の出走で、過去4回は4、4、5、6着と馬券圏内に届かず。昨年は着順だけでなく着差もつけられたが、勝ったのがダノンレジェンドでは仕方ない。今年はそのレベルの超一流馬が不在で、復帰2戦目でもあり再び上位争いに絡む可能性は十分と見る。
スノードラゴンは、一昨年2着で昨年が3着。芝を使われるようになってからも3年連続でこのレースに出走となるのは、ローテーションの関係だろうか。昨年のこのレース以降、芝では5着が最高という成績だが、過去2年よりもメンバーは手薄な感じで、今回も崩れることはなさそう。
メイショウノーベルは中央オープンでは頭打ちという成績での北海道への転入だが、転入後はアウヤンテプイにハナ差2着に、続く前走を勝利。環境が変わって復活ということも考えられる。
◎ニシケンモノノフ
◯ショコラブラン
▲アウヤンテプイ
△スノードラゴン
△メイショウノーベル
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