それにしてもばんえい菊花賞は驚かされた。同世代同士、上下50キロというハンデ差でのトップハンデにもかかわらず、テンマデトドケは第2障害でじっくり溜め、ひと腰で越えたのが6番手ながら、ぐいぐいと伸びて前を行く5頭をあっという間に差し切った。世代最強は当然として、さらに抜けた実力であることを示した一戦だった。定量戦となるここは迷わず本命。
相手筆頭はホクショウバトル。1番人気に支持されたばんえい菊花賞では、障害5番手から先頭に迫る場面もあったが、直線後半で行き脚をなくして8着だった。しかし世代のトップクラスが出走していた10月9日の特別・秋桜賞を制し、3走前にB1-1組を勝っていることからも、テンマデトドケを除いたメンバー中では上位の実力の持ち主であることは間違いない。ただ近10走でも4勝を挙げているもののそれ以外は5着以下と、勝つときは強いが負けるときはあっさりというタイプでもあるだけに、絶対の信頼は置きにくい。
12月5日のB1・B2決勝混合を勝ったトレジャーハンターに、12月18日に同じくB1・B2決勝混合を制したミスタートカチが格付け的には続く存在。ばんえい菊花賞でも、それぞれ3、4着と、ともに見せ場のある内容だった。
ほとんどひねりのない格付け順の印で、言ってみればおもしろくもなんともない予想だが、いずれも自己条件でそれぞれ堅実な成績を残しているだけに、素直に実力を評価するとこうならざるをえない。
◎テンマデトドケ
○ホクショウバトル
▲トレジャーハンター
△ミスタートカチ
福山2歳優駿も牡馬がリニアステップ1頭のみだったが、そこから2、3着馬が抜けて2頭が加わったものの、やはり今回も牡馬はリニアステップのみというメンバー構成。
ここは、福山2歳優駿を圧勝したユメミルチカラと、距離が今回と同じ1600メートルに伸びた12月11日の2歳1組戦で、そのユメミルチカラを差し切ったムツミマックスの一騎打ちだろう。
その前走で敗れたとはいえ、ユメミルチカラの雪辱に期待したい。前走の敗因は、スタート後にビクトリーロマンと競り合ってやや折り合いを欠いたことに加え、ムツミマックスより1キロ重い斤量もあった。今回は再び同じ53キロ。一度距離を経験し、血統的にもマイルで長いということはない。
ムツミマックスはデビュー4戦目で初勝利を挙げ、福山2歳優駿でも7番人気で4着と、当時はあまり目立つ存在ではなかった。ところが前々走で2勝目を挙げ、そして初の1600メートルとなった前走でユメミルチカラを差し切り、急激に力をつけたところを見せた。今回はユメミルチカラと同重量に戻るが、勢いを見せつけるかどうか。
以下は実力的に差がありそうだが、リニアステップは近2走でムツミマックスから0秒5差、0秒8差とそれほど離されてはいない。ゴールドキャンドルは前走の1600メートル戦で、2着のユメミルチカラから2馬身半差の3着。この2頭が馬券圏内を狙う。
◎ユメミルチカラ
○ムツミマックス
▲リニアステップ
△ゴールドキャンドル
九州の古馬戦線では、もはやマンオブパーサーが絶対的な存在なのは疑う余地がないだろう。船橋・川島正行厩舎から転入後は6戦5勝。3着に負けたのは中央馬相手のサマーチャンピオンJpnIIIのみ。そのサマーチャンピオンにしても、1番人気のスーニを3/4馬身差でしりぞけ、中央勢上位独占の中に割って入った。ここも無事に通過して佐賀記念JpnIIIに向かってほしいところ。
昨年のこのレースを制したヘイアンレジェンド、一昨年の覇者で昨年2着のワンパクメロ、それに今シーズン南関東から転入し、A1で常に上位争いのコスモシェアト、この3頭による2着争い。
以前にも書いたことだが、こうした1頭だけ抜けた馬がいるときの2着探しは難しい。2番手、3番手評価の馬が、実力断然の馬に真っ向勝負を挑むと、直線力尽きて惨敗というケースがめずらしくないからだ。
ここは、勝ち馬を別とすればA1特別で常に安定した成績を残しているワンパクメロを相手筆頭とする。
コスモシェアトは、前々走の九州大賞典では、今回の2番手争いの3頭の中では最先着の4着だった。マンオブパーサーをマークする位置でレースを進め、どこまで食い下がれるか。
ヘイアンレジェンドは、前走A1の1400メートル戦でコスモシェアトを半馬身差でしりぞけ久々の勝利となったが、2走前、3走前は惨敗。印をつけた4頭の中では6歳ともっとも若いのだが、好調時の力をどこまで取り戻しているかが好走のカギとなりそう。
◎マンオブパーサー
○ワンパクメロ
▲コスモシェアト
△ヘイアンレジェンド
金の鞍賞は、2歳馬の入厩が少なくなって一時期中断されていたが、今年元旦に明け3歳馬の重賞として7シーズンぶりに復活。そして今年は従来通り12月後半の開催に戻った。
このレースを復活させたことで2歳馬の入厩が増えたのか、それともほかに理由があったのか。いずれにしても若馬の層が厚くなることは喜ばしい。
とはいえ、出走11頭中、未勝利馬が4頭。2勝馬は2頭いるがいずれも福山からの遠征馬で、それ以外は1勝馬と、力の比較が難しい。
中心はカシャッサ。北海道では3戦未勝利で高知に転入し、2戦目となった古馬C3戦で初勝利を挙げた。前走2歳-1組戦はタレントにクビ差で屈したとはいえ、直線での叩き合いは迫力があった。
相手にはマイネビレイ。こちらはJRA未勝利からの転入馬で、前走、前述のカシャッサが出走したレースと同日に行われた2歳-2組戦を完勝。これがデビュー以来の初勝利となった。奇しくもカシャッサとマイネビレイは1300メートル戦で同タイムの1分28秒0。持ちタイムの面でも、この2頭が上位といえそうだ。
3番手にはハッコー。前走、高知転入初戦は、カシャッサと同じレースに出走し、3番人気と期待されたものの直線後退して4着。北海道時代には未勝利勝ちがあり、北海道での最後のレースとなったアタックチャレンジは着順こそ6着だが勝ち馬とはコンマ5秒差。高知なら十分に通用するレベルで、2戦目の変り身に期待したい。
スピードオーバーは、北海道未勝利から高知に転入し、その初戦は勝ち馬から2秒8もの差をつけられる大敗だったが、その後徐々に勝ち馬との差を縮めてきて、前走は3着。今回も馬券圏内の争いには加わってきそうだ。
◎カシャッサ
○マイネビレイ
▲ハッコー
△スピードオーバー